無念の敗戦で1年間の戦いに幕

男子バスケットボール

 まさかの結果だった。全日本大学選手権(インカレ)2日目、準々決勝進出をかけこの日は中京大との1戦に臨んだ。前日の試合でのアクシデントでC富田頼(スポ3=京都・洛南)が欠場。その影響もあってか思うように得点を伸ばすことができない。終始リードを奪われる展開の中第4クオーター(Q)、2点差まで詰め寄るもののそのまま勢いに乗ることができず、58-66で無念の敗北となった。

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)で王者拓大に勝利した試合のように、サイズの小さい相手に対し機動力重視のラインナップで臨んだ早大。「速い展開に持ち込むのが目標だった」(G石原卓、社4=東京・京北)と振り返ったがお株を奪われるかのように相手に速攻からの展開を許してしまう。第1Q途中で10点のビハインドを負う苦しい立ち上がりとなったが、石原とG南木俊樹(社4=東京・早実)が連続スリーポイントを決めるなど4年生が意地を見せる。しかし第2Qも早大の特徴であるピックアンドロールからの攻撃を上手く見せることができず、27-39というスコアで前半を折り返す。

石原は随所に戦う姿勢を見せた

 勝負のかかる後半、G森井健太主将(スポ4=京都・洛南)のパスが冴えわたる。この試合インサイドで奮闘したC小室悠太郎(社1=石川・北陸学院)との息が合い始めると見事なアシストを連発。小室もこれに応えゴール下で得点を量産。じわじわ追い上げ残り5分を切ったタイミング、森井が大胆なスリーポイントを沈めついに2点差まで迫る。完全に早大ムードとなった中、次のディフェンスで大きなジャッジの笛が鳴る。森井のキックボールで試合が止まったかに見えたが、審判の判定はアンスポーツマンライクファウル。同点を目前にした早大にとってあまりにも痛いワンプレーとなってしまった。この後は焦りからかなかなかシュートを決めきることができず、そのまま1度も追いつくことなく58-66で敗戦。早大バスケ部の1年間が幕を閉じた。

小室は初の大舞台で奮闘した

 関東大学選手権(トーナメント)での1回戦敗退から始まり、苦しいスタートとなった早大。最後のインカレも思うような結果を残すことはできなかったが、早慶定期戦での4年ぶりの勝利や、目標であった打倒筑波大をリーグ戦で果たすなど、多くの素晴らしい戦いを1年間演じてくれた。南木が「ワセダは常にチャレンジするチーム」という言葉を残してくれたが、引退する4年生からは『チャレンジする姿勢』が確実に後輩に受け継がれているだろう。この一つの武器を携えて、来年のチームも次の目標に向かってチャレンジし続けてくれるだろう。

(記事 秋間勇人、写真 吉田寛人、阿部かれん)

第69回全国大学選手権
   1Q 2Q 3Q 4Q 合計

早大

14 13 21 10 58
中京大 20 19 15 12 66
◇早大スターティングメンバー◇
G#18 森井健太主将(スポ4=京都・洛南)
F#8 新川敬大(スポ4=東京・京北)
G#15 森定隼吾(商3=岡山・倉敷青陵)
F#27 濱田健太(社3=福岡第一)
C#41 小室悠太郎(社1=石川・北陸学院)
◇主なスコアリーダー◇
得点  小室悠太郎:20得点
リバウンド  新川敬大:12リバウンド
アシスト  森井健太:5アシスト
コメント

G森井健太主将(スポ4=京都・洛南)

――最後のインカレはどういった思い出臨んでいましたか

最後は結果も大事にしたい一方で、4年間やってきたことをどう後輩に見せていけるかという部分を強く意識していて、それがどういう形であれ伝わってくれればいいと思っていました。

――具体的に後輩に対してどういったものを残していきたいと思っていましたか

プレーよりも練習だったりやる姿勢。どうやってやればチームが良くなるかとか、どういう事をすればインカレにしっかり向かっていけるのかという姿というのを4年生が見せられるかがインカレのカギだったと思うんですけど、きょねん負けたの含めてまだまだだなと。他の大学に比べて甘いのかなという風に感じました。

――試合を振り返って

やはり富田がいない影響はあったと思うんですけど、どこかまとまり切れていないというか、やってきたことを出せない時間が多くて、その中で我慢できたというのは1年間やってきたことの成果だと思うんですけど、最後できなかったのは決定力がワセダにはまだなくて、強いチームにはそういうことができる選手が多いので、その点がまだまだだったなと思います。

――4年間やってきたワセダという場所は森井選手にとってどんな場所でしたか

正直中学高校と比べると環境であったりも違いました。1番は勝てない時も多くて、「なんでこんなに勝てないんだろう」と思うことも多い4年間で。でもそういう環境の中だからこそ頑張れたこともいっぱいあったと思うので、そうした意味では成長できた場所だったなと思います。

――4年間一緒にやってきたチームメイトに伝えたいことはありますか

僕はそういう感情とか出すのは苦手なんですけど、それでもこの4年間一緒にやってきてくれてただただありがとうと言いたいし、特にこの1年間は色んなことでサポートしてくれたので、本当に感謝しかないです。

――主将としての1年間はいかがでしたか

そうですね、伝え方の部分だったりとか、3年生まではどちらかというと自分がどうするか。どうすれば自分が高められるのかというベクトルに考えが向きがちだったので、それが4年生になって大きく変わったので、どうすればみんなに伝えられるかということを考えるというか、他人を巻き込んで考えるということができるようになったので、非常にいい経験になりました。

――来季はどんなチームになってほしいと考えていますか

結果というよりも最後どういう形であれやり切ったと思えるチームになってほしいし、そういう過程を大事にしてほしいなと思います。

G石原卓(社4=東京・京北)

――まずきょうの試合を振り返っていかがですか

きょうは、相手に合わせてスタメンを変えていくというのをずっと前から言われていて、リーグ戦の拓大戦のときにやったように、サイズを小さくして展開を早くしようというのが今回の目標だったんですけど、それがあまり全うできていなかったかなと思います。拓大戦のときは相手の優勝が決まっていて、強いところを知っていたので良い意味で思い切りがあったので、きょうはそれが無くて受身に回ってしまって、相手のバスケットに付き合ってしまったというのがあって、そこが敗因なのかなと思います。

――きのうときょうでルーズボールに飛び込む場面がみられましたがどういうお気持ちでのプレーでしたか

ワセダは小さいのでリバウンドやルーズボールで負けてしまったら試合は勝てないと思うので、自分で言うのもなんですけどムードメーカーとして自分がやったらチームも盛り上がるかなと思って、そういうところは自分も負けたくないので、負けずにやろうという気持ちは常に持っていましたね。

――きょうはどのような思いで試合に臨みましたか

今回はオールジャパンが無いということで、トーナメントなので崖っぷちというか負けたら終わりなので、4年生でも話していたんですけど、一戦一戦本気で臨もうというのはありました。その気持ちもどこか足りなかったというのもあるかもしれないですし、単に実力でやられたのか、どちらかが欠けていたのかなとは思います。

――4年間ワセダでバスケをしてきて、ワセダはどのような場所でしたか

自分自身、高校時代はバスケIQが全然無くて、ボールを持ったら全部シュートに行くという考えだったので、ワセダに来てバスケットボールの知識などを初めて教えてもらったので、新しいバスケットを知れたのかなというのがあります。4年間本当に楽しかったですね。先輩、同期、後輩と全員が楽しい人たちばかりで、特に菊池(雄大、スポ2=東京・小松川)は家も近くて、練習中でも私生活でもずっと一緒にいて遊んだりしていたので、自分の中では楽しい場所でしたね。厳しい練習もあったんですけど、みんながいるから頑張れるという気持ちがどこかありました。

――ワセダの仲間にどんなことを伝えたいですか

自分は悪ガキというか問題児で、同期には迷惑をかけて来たので、本当にすみませんという感じですね。(笑)下級生にはきょうの結果を受け止めるというか、良い経験として、僕たちができなかった優勝やベスト4などをもう一度来年チャンスがあるので、今回のを糧に良い方向へ進んで欲しいなと思います。今の3年生は技術もあって、個人個人でプレイヤーとして良い選手がたくさんいるんですけど、それがかみ合わなかったら僕たちみたいに負けてしまうと思うので、3年生がどうリーダーシップをとって、良いチームを作るかというのを期待しています。自分たちより実力があるメンバーがそろっているので、その分期待は大きいですね。

F新川敬大(スポ4=東京・京北)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日の試合は4年生が勝利の鍵を握っていたと思っていたのに、試合を通して3年生以下、まあチームを勝たせることができなかったというなは1番悔しいですし、個人的にも全然納得のいく結果が残せていないので、すごい悔しかったです。

――4年間振り返っていかがですか

4年間の中で、2部からスタートして1部昇格っていうことも経験できたし、4年目ににして初めて早慶戦勝利っていう経験もできたので、色んな体験ができた4年間だったなと思います。

――4年間通して、ワセダはどのような場所でしたか

難しいですね。ワセダっていうのはスポーツだけじゃなくて、社会に出てからっていう人間性の部分も大きく成長できた場所だったなと思います。

――同じ4年生の仲間にお願いします

最初の1年間はA、Bって分かれてて、違うチームってなっていたけど、結局2年目から僕たち4年生が全員1つのチームとしてやり始めて、すごい絆っていうのも生まれたし信頼性も生まれて、すごく仲の良かった4年生だったので。言いたいことも言い合えたし、お互いバチバチすることもできたので、まあ後輩に残すってなると何も残せなかった僕たちの代ですけど、本当に仲間1人ひとりには感謝しています。

――後輩にお願いします

1人ひとりに言ったんですけど、 本当に申し訳ないっていうことがまず最初に出てきて、僕たちの学年は結構期待されてて期待されてる中で、そのプレッシャーの中でプレッシャーに負けて勝たせられなかったっていうのは1番後輩たちには申し訳ないですし、まあその悔しさっていうのも、糧じゃないですけど僕たちの悔しさも背負って結果を残してほしいな、と思います。

G南木俊樹(社4=東京・早実)

――率直に今の気持ちをお聞かせください

やっぱり(引退には)早いなと、悔しいなという気持ちはありますけど、この結果が全てだと思います。

――ことしは最上級生としてチームを引っ張る立場でしたが、どのような一年間でしたか

選手とスタッフとのコミュニケーションをすごく大事にしてきて、チーム全体としてやりたいことを言い合える環境を作ることができたっていうのは素晴らしいチームだなと思います。結果はどうあれ、自分たちがやりたいことに対して過程を大事にすることができたことに対しては満足しています。4年生としての自覚というか、自分のことよりもチームのためをみんなが思うようになったことも含めて大人になれたのかなという気はします。

――南木選手にとって同期はどのような存在でしょうか

よきライバルであり、よき信頼できる仲間ですね。他の同期は(高校時代から)実績もあって、僕は附属生で、その壁をすごく感じながらも、理想の選手だった選手と近くで練習できる環境を得て、追い抜きたいという気持ちで切磋琢磨してやれたことは僕としては感謝しかないですね。

――南木選手にとって早大での4年間はどのようなものでしたか

山あり谷あり、だけど谷はすごく深かったですね。やっぱりキツかったです。自分がチームに必要とされていないんじゃないかって感じた時もあれば、チームの一員としてやらせてもらった時もあって、多分人生の中でこの4年間が一番大きなものになったと僕は思っています。

――後輩に伝えたいことはありますか

スタッフ陣がまだ経験が浅いので、そういう時は選手からもやりたいことをスタッフにちゃんと言わないと伝わらないし、僕たちはいわゆる名門のチームではなくて常にチャレンジするようなチームなので、選手とスタッフとの話し合いというのはすごく大事にしてほしいなと思います。チーム内でのコミュニケーションを大切にしてチーム一丸となって戦えるようなチームにしてほしいということは伝えました。

――最後にヘッドコーチをはじめとしてスタッフの方々へ伝えたいことはありますか

言いたいことはたくさんありますけど、こんな自分を2年生の時から信頼して使ってくださって本当に感謝しています。たしかに4年生では試合に出れないことも多かったですけど、下手な自分なんかをずっと見てくださってありがとうございます、と伝えたいです。