関東大学選手権(トーナメント)で目標としていたベスト4に進出した早大。2007年以来となる決勝進出を目指して、この日は強豪・筑波大との準決勝に臨んだ。立ち上がりこそ自分たちの形を作ったものの、ショットを確実に沈めてくる筑波大にじりじりと点差を離されていく。なかなか反撃の糸口をつかめないまま後半を迎えると、第3Qは立ち上がりから無得点が続き最大51点差をつけられる。最終Qこそ意地を見せて点差を縮めたものの、最終スコア63-104で完敗。早大は3位決定戦へ回った。
「立ち上がりから自分たちのバスケが出来たという面では成長が見られた」(G河合祥樹主将、スポ4=京都・洛南)と語ったように、第1Qの終盤まではこのトーナメントを通して相手を苦しめてきたディフェンスがさえ、接戦を演じた。しかし第1Q残り1分で3Pシュートを2本決められると、流れを完全に明け渡してしまう。第2QはSF澁田貴大(スポ4=東京・京北)のドライブやC富田頼(スポ2=京都・洛南)がゴール下でリズムをつかみかけるも、その後はイージーショットを落としてしまう場面が増えてくる。対する筑波大は決めるべきショットを確実に決め切り、点差をさらに広げられる。最後は豪快なダンクを決められ会場の雰囲気も持っていかれたまま、前半を26-53で折り返した。
相手の高さに圧倒される場面も見られた
悪い流れで迎えた第3Q、早大は立ち上がりから7分間無得点が続く。「リングにアタックすることに怖気づいてしまった」(SF伊藤諄哉、人4=京都・洛南)。オフェンスに積極性が見られず、その間に相手に一方的に得点を決められ、最大51点のリードを奪われてしまう。最終Qはこの大会でプレータイムの少なかった選手が出場し、意地を見せて点差を縮めたものの、広がった点差はあまりにも大きく、最終スコア63-104と完敗を喫した。
果敢にアタックする河合主将
力の差を見せつけられた試合ではあった。しかし、今季から戦いの場を関東大学1部リーグ(リーグ戦)に移す早大にとって、このような高いレベルの試合を戦うことで得られる経験は必ず今後につながってくるだろう。あしたの3位決定戦の相手は、昨年のリーグ戦の覇者でありトーナメントで2連覇をしている東海大だ。またしてもタフな相手となるが、とにかく自分たちのバスケットを体現することが勝負のカギになるだろう。
(記事 秋間勇人、写真 黒田菜々子、橘高安津子)
第65回関東大学選手権 5月7日(vs筑波大) | |||||
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1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
早大 |
12 | 14 | 10 | 27 | 63 |
筑波大 | 23 | 30 | 28 | 23 | 104 | ◇早大スターティングメンバー◇ |
G#7 石原卓(社3=東京・京北) SG#21 南木俊樹(社3=東京・早実) SF#8 新川敬大(スポ3=東京・京北) F#27 濱田健太(社2=福岡第一) C#38 宮脇隼人(スポ4=京都・洛南) |
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◇主なスコアリーダー◇ | |||||
得点 伊藤諄哉:10得点 リバウンド 新川敬大、富田頼、岡野佑紀、宮脇隼人:3リバウンド アシスト 森井健太:3アシスト |
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コメント
G河合祥樹主将(スポ4=京都・洛南)
――きょうの試合はどのように臨もうと思っていましたか
特別な対策は無かったんですけど、これまで色んなチームと試合をしてきた上で取り組んできたことを、より気持ちを出して挑もうという話を試合前にしていました。
――立ち上がりは良い形が何度か見られましたが振り返っていかがですか
昨年の全日本大学選手権(インカレ)前に練習試合をやったのですが、その時は自分たちが入れ替え戦のことでほっとしてしまって気持ちが入らなかったということもあって、何をしても攻められないという印象が筑波大に対してはありました。でもきょうは立ち上がりから自分たちのバスケができたという面では、成長が見られたのかなと思いました。
――相手のディフェンスに対してはどのような印象を持ちましたか
前からのプレッシャーというのはあまり無かったんですけど、高さのプレッシャーだとかぶつかり合ったときのフィジカルの強さというのは、なかなか練習では体感できないものなので、それを今後いかに練習の中で出していけるかというのが課題になってくると思います。
――ワセダらしさをなかなか出せなかった原因は何だと思いますか
ディフェンスリバウンドとルーズボールというのを今までずっと意識してやってきたんですけど、きょうは相手の方がルーズボールに飛び込んだりディフェンスリバウンドで体を張ったりしていたのが一つだと思います。あとはベスト4という目標を達成して少しほっとして喜んでしまったというのがあるので、インカレ優勝を目指している中でトーナメントベスト4というのは最低限の目標だったんですけど、まだまだ上を目指していく気持ちを作っていかないといけないなと思いました。
――第3Qの途中までなかなか点が入らなかった時間帯を振り返って
なるべく第3Qから点差を縮めていきたいところだったんですけど、ディフェンスでもオフェンスでも相手のプレッシャーを受けてしまったというのがあると思います。さらに得点が入らない焦りや不安というのも積み重なってしまったと思います。
――点差が離される中で気持ちの面で意識したことはありますか
点差を離されたからといって諦めてしまって、今までやってきたバスケが適当になってしまったら、ベスト4まで接戦をものにして勝ち上がってきたという経験が無駄になってしまうと思ったので、気持ちを切らさずにどこまで点差を詰められるかというのが大事だと思ってプレーしました。
――次戦への意気込みをお願いします
きょうは完敗というか大敗という感じだったんですけど、こういう負けた試合のあとってどうしても気持ちが乗らなかったりするかもしれないんですけど、それは今後も起こりうることだと思うので、気持ちの切り替えというのを大事にしてあした全力で臨みたいと思います。
G石原卓(社3=東京・京北)
――課題としていた立ち上がりは良かったと思いますがいかがでしょうか
ベスト4に入ったということもあってみんな気合いも入ってて。良いとはいえないのですが、前みたいな点差をつけられる立ち上がりではなかったですね。でも、徐々に相手が強いのでいつもとは違うなというプレッシャーにやられて、自分たちのプレーができなくてシュートも入らなくて、気持ちが途中で切れてしまって。それで第3ピリオドで離されてしまって、その瞬間にみんなの集中も切れてしまって離されてしまったという展開でした。
――どのような部分で強さを感じましたか
ディフェンスのプレッシャーですかね。フィジカルも強いので。ちょっと半分抜いても身体で押し切られてゴール下まで持っていけないっていう。フィジカルの強さですね。
――ピックアンドロールの際にダブルチームで仕掛けられましたが、やりづらさはありましたか
やりづらさというか、相手はそれで攻めてくると思ってはいたのでスタッフ陣からもリフトっていって、近くのひとがもらいにいくということを言われていました。ですが、それがうまくいきませんでした。ダブルチームでくると分かってはいたのですが、できなかったという感じですね。
――ディフェンスは良い印象を受けました
筑波大でも何回かミスしていたので、全く通用できなかったわけではないのですが、もう少しプレッシャーをかけられたなと思います。相手は大きくて、ボール運びもうまいのでそこをどうやって守るかが次の課題かなと思います。
――専大や筑波大という1部校と実際戦ってみて、個人やチームとしての感触はいかがですか
個人では全然だなと。通用しないと思います。ワセダのスタメンのガードとしてはダメだと思っています。チームだと専大にはある程度通用した部分はあったと思うのですがきょうの筑波大戦では誰も突破口というか、相手に勝る部分がある人が誰もいなかったのでチームとしてもまだまだ練習しなきゃいけないなと思いますね。
――3位決定戦にはどのような思いで挑みたいと思いますか
どっちがきても自分たちよりサイズがあるチームで、きょうもディフェンスリバウンドとかボックスアウトができなくて相手にチャンスを与えてしまってやられちゃったので、身長が相手より無い分ボックスアウトとかの地味な部分で頑張って、あとはワセダらしいディフェンスをやれば勝てると思います。まずはディフェンスからやって、見ていて楽しいバスケがしたいなと思います。
SF伊藤諄哉(人4=京都・洛南)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
自分たちがやってきたことを出そうというテーマでやってきたんですけれど、出し切れなかったというのが現状で。場慣れというか、ベスト4以上の経験が薄かったというのは間違いないです。でもそれ以前にルーズボールとか、精神面の部分を徹底しようということだったんですけど、それも相手の方が上回っていたというのを感じました。
――相手との差を感じた部分はどこにありましたか
もちろん見た目で分かるように体格差はありますけど、それ以上に準決勝という場面での気持ちの入れ方というか、メンタルの要素がやっぱり向こうのほうが上回っていたなと感じて、自分たちも見習わなければと感じました。
――後半の入りは苦しい時間が続きましたが、どのような所が悪かったと思いますか
今までは恐れずにリングにアタックしてシュートまでいけていたんですけど、前半でそこが通用しなくて、リングにアタックすることに対して怖気づいてしまったと思います。積極性に欠けたところでどんどん自分たちのペースを失ってしまってああいう状態になってしまったと思います。
――リングにアタックに行けなかったとおっしゃいましたが、ピックアンドロールを仕掛けた時に相手がダブルチームに来たことでやりづらさはありましたか
今までの相手はダブルチームを仕掛けてこなかったんですけど、昨シーズン筑波大と試合した時も同じようにやられて、その時はなにもできませんでした。そこでターンオーバーせずにつなげたというのは大きな進歩だと思うんですけど、次のレベルに行くためにはそこからさらにアタックをしていかなければと思いました。
――伊藤選手は今シーズン4番ポジションで出場して、サイズのある選手とマッチすることが多いと思いますが、どんな意識でプレーしていますか
準備としては体づくりです。高さでは勝てないので、当たりの強さだったりそういうところを頑張っています。戦術面では相手より良いポジションを取られたら絶対に負けてしまうので、良いポジションを相手より先に取るという事を意識しています。
――明日は3位決定戦です。意気込みをお願いします
八つ当たりではないですけれど、きょうの悔しさを相手にぶつけられたらなと思います。