【連載】『TIP OFF』第2回 F平野哲朗×F山本純平

男子バスケットボール

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)で連敗が続く中、常にコートの内外からワセダのムードメーカーとしてチームを盛り上げた平野哲朗(人3=京都・洛南)、黙々と仕事をこなしチームに大きく貢献した山本純平(スポ2=福岡第一)。共にけがを乗り越え一層の躍進を見せるフォワードのお二人に、リーグ戦を終えた今の心境と、全日本大学選手権(インカレ)への思いを語っていただいた。

※この取材は11月13日に行われたものです。

「精神的にも肉体的にもきつかった」(平野)

終始笑いの絶えない取材となりました

――リーグ戦を終え、結果についての感想をお願いします

平野 リーグ戦が始まる前までは正直、自分たちの中で勝てるんじゃないかという意識があって。いざふたを開けてみたら、噛み合わないまま最後まで行っちゃったなというのがありましたね、やはり。で、その原因として、今シーズンやっていることが一年を通して一貫性がなかったというか。

山本 そうですね、陸トレとか。

平野 陸トレという、磯先生という陸上短距離の先生がいるんですけど、その先生に来てもらって、早く走るコツやもっとスピーディな動きをするために体幹トレーニングとか体の使い方をやったんですけど。そういうトレーニングも徹底されずに夏前くらいで終わってしまったりして。ことしはちょっと一貫性がなかったかな、というのはあります。

山本 春の(京王)電鉄杯とかにいい成績を残したんですけど、多分そこから来た自信かなんかでちょっと気を抜いて、リーグ戦のあの結果になっちゃったんじゃないかなというのはあります。

――リーグ戦で連敗していたとき、どんなことを考えて雰囲気の悪さを改善しようと思っていましたか

平野 リーグ戦って、連戦じゃないですか。しかも今シーズンって一週間に3試合あったりして。短い間にプレーどうこうはできなかったので、雰囲気よく元気にやることだけを考えてやっていました。本当そこしか改善できないなと。

山本 そうですね。練習中も哲朗さんとか晃大さん(木村晃大、スポ3=京都・洛南)が盛り上げてくれて。それで、みんなやる気になって、もうちょっと頑張ろうみたいな感じでした。

平野 さすがです。こいつ本当なめているんですよ。(笑)

――リーグ戦で一週間に3試合やったことについて、体のコンディションなどに影響はありましたか

平野 僕はリーグ戦の3週間くらい前までリハビリしていたので、けがの調子が悪いなという感じはありましたね。体力的にもきつかったです、そこの点は。

山本 僕は最初はちょっとあまり試合に出させてもらえなかったのですけど、中盤らへんから出してもらうにつれてやっぱり週3という期間は、体力が持たなかったですね。すぐ足つっちゃったりとか。

――チームの中でも、そのような雰囲気があったのでしょうか

平野 いやもうそれはめっちゃありましたね。もうバスケット嫌い。嫌になりました。(笑)

山本 休みないんですもんね。

平野 そう、休みがないんですよ。他のチームと比べるのはおかしいかもしれないんですけど、他のチームって、どこかで落としみたいな期間があったりするんですけど、練習軽くなったりとか。僕らどんどん負け込んで来ちゃってて。落としている暇がなく、改善改善改善改善みたいな。ずっとやり続けていたので、めっちゃきつかったです。

山本 全力でしたね。

平野 本当に。あの一ヶ月間はもう、後生に語り継げる。あのきつさは。

――リーグ戦の中で印象に残っている試合はありますか

山本 最初の中大戦とかですかね。

平野 そうだね。最初の中大戦までずっと勝てなくて、あそこで一勝できたっていうところくらいですかね。きついイメージしかないね、今回のリーグ戦。精神的にも肉体的にもきつかったです。どうだった?

山本 とりあえず足の裏が痛かったです。

平野 こいつ母指球の皮とか剥がれていたんですよ。

――入れ替え戦で2部降格が決まったとき、率直にどのような気持ちでしたか

平野 そのときはもう真っ白というか、「わー」て感じですね。なんて言ったらいいんですかね。なんだろう。

山本 とりあえず悔しかったです。

平野 今まで2部を経験したことがないので分からないんですけど、やっぱり1部でやりたかったなという思いはすごく強かったですね。でもまあ、らいねんしっかり1部に上げて、後輩たちにはそういう思いをさせないようにしたいです。という感じで、好感度を上げる感じで(笑)。これちゃんと書いておいて下さいよ。(笑)

――リーグ戦中、けがから復帰して山本選手はオフェンスなどで伸びが見られましたが、ご自身の中で何か変化があったのですか

山本 いやそんな、やりましたっけ。

平野 あったあった(笑)。

山本 とりあえずけがしたので技術的な面とかはもう落ちると思ったので、リバウンドだけは頑張ろうかなと思って、オフェンスリバウンドは飛び込んでいました。とりあえず。

平野 少し話が戻るんですけど、入れ替え戦のとき何が悔しかったかって、負けたことも悔しかったし悲しかったんですけど、木村が膝をけがしたことも悲しかったって書いておいて下さい(笑)。木村のためにもね。木村の膝のけがの話もしなきゃね。木村が膝をけがしたときはもう、あれは本当に悲しかったです。あいつ本当にけがとかいままでしたことなくて。僕とかはここ(右膝)とここ(左足首)もやったんですけど、そのとき高校も一緒で、めっちゃいじってくるんですよ、松葉杖とか突いていたら。お前きょうもサボリか、みたいな。そういう風にいじってくるのに、あいつ今までけがしたことなくて、とうとうけがしたんで、いじり倒してやります。でも本当に、あいつのあんな姿見たくなかったです。あんな情けない、「痛い痛い」て言って。

「バスケ部としか遊ばない」(山本)

短い時間でも自分の仕事をこなす平野

――チームの中で仲がいいのは

平野 寮生は仲いいよね。僕と小林(裕太郎、スポ3=新潟商)っていう3年のやつと、純平と木澤(義椰、人2=京都・洛南)と、宮脇(隼人、スポ1=京都・洛南)と佐藤(智也、社1=北海道・札幌日大)っていう、札幌日大から来た猿がいるんですけど。クソ猿です(笑)。あと二宮さん(弘憲、スポ4=福岡大大濠)と玉井さん(勇気、スポ4=福岡第一)と。各学年2人で、そこはめっちゃ仲いいですね。あと僕は個人的には、武津(祐太郎、文構3=大分舞鶴)とか中野(瑛介、教育3=東京・早実)とかでよく遊びに行ったりしますね。あと晃大とはずっと一緒なので、ずっと仲いいです。

山本 2年生はみんな仲いいですよ。

平野 この学年は人数もちょうどいいので。この間もみんなで映画観に行っていましたよ。めっちゃ羨ましいです。

――普段の生活でのお互いの印象は

平野 純平はですね、このままです。めっちゃおしとやかな感じで。優しい奴ですよ。あとバスケしているときと、普段の純平は結構違います。結構闘争心あります、こいつは。バスケしている時は。

山本 哲朗さんも結構。

平野 似ているところあるかもしれないですね。(笑)

山本 哲朗さんはとりあえず、優しいですね。バスケのときも、試合に一緒に出ていて、苦しい状況とかになったときは積極的に声出しとかしてくれるし。天性のリーダーシップっていうか。

平野 あー、気持ちいいですね。心地いいわ。(笑)

山本 上げておきますね。(笑)

平野 こいつ可愛い後輩なんですよ、こういうところも含めて。(笑)

――自分のプレーで一番自信が持てるプレーは何でしょうか

平野 プレーとかいうよりも元気な感じのところが売りです。そこぐらいです。売りは。(笑)

山本 僕はテイクチャージですかね。

平野 こいつ上手いですよ。いやらしいです。

山本 ただ今シーズンほとんどとってない。(笑)

平野 なんかルール変わってね。

山本 ちょっと厳しくなりましたね。

平野 ちょっと貰えなくなったね。

山本 あとはリバウンドとか好きですね。

――お互いのプレーでいいところはどこですか

平野 純平はこの身長で機動力ありますね。外も出来るし中も出来るし、すごいリバウンド強いと思います。外からのシュートも上手だと思いますし、たまに練習でマッチアップすることがあるんですけど、本当に気を消せるんで、こいつ。ゴール下に潜んでいて突如エンジンかけて動き出したりするんで。『黒子のバスケ』です(笑)。めっちゃ止めにくいです。油断しちゃう感じもあるんで。

山本 哲朗さんはとりあえずディフェンス頑張ることもそうなんですけど、オフェンスとかもちょっとサイズは小さいけど中でゴリゴリやっていますね。

平野 やってやりますよ。そこは。

山本 たぶん僕がついても止められないと思います。リバウンドもゴリゴリ行きますね。とりあえずゴリゴリ。

平野 ゴリゴリです(笑)。僕の売りはゴリゴリです。(笑)

――今まで対戦した中で印象に残っている選手は

平野 あー誰だろうな。武津かな。

山本 武さん(武津)ですね。

平野 (自主練習中の武津選手を指しながら)あそこでドリブルしているんですけど、常に自主練をしまくるあのひたむきな姿勢な。

山本 ストイックです。尊敬します。

平野 本当にあいつはもう多才ですね。

山本 ノールックパスとかスクープシュートとか。

平野 一見堅実そうなプレーヤーに見えるんですけど、時折見せるノールックパスが。心奪われるよね。

山本 パスを見入っちゃう。

平野 ファンタジスタですよ。あいつは。関東屈指のファンタジスタです。本当です。これ書いといて下さい(笑)。『ファンタジスタ武津』って。

――他チームで印象に残っている選手はいますか

山本 中大の谷口さん(光貴、中大)とか塩谷さん(享、中大)とか結構印象的ですね。結構小さいんですけど、ジャンプ力がすごくてリバウンドとかすごいです。上いかれたりして。

平野 高校一緒なんですけど塩谷さんと谷口と。塩谷さんは仲いいですけど、谷口とは仲良くないです(笑)。きょねんとかだったら長谷川智伸さん(拓大)とか印象的だったんですけど、宇都さん(直輝、専修大)とかすごいですね。

――宇都選手のどういったところがすごいですか

平野 僕の個人的なあれなんですけど、止まっている状態から1対1を仕掛けてくるならつきやすいと思うんですけど、トップスピードの状態から仕掛けてくるんでこっちが後手後手になって最高でもファウルになっちゃうみたいな。すごく止めにくい選手です。

――同じフォワードとしてチームに河上選手がいますが、河上選手のすごいところは

平野 河上さんはやばいですよ。

山本 一歩で追い抜かれますよね。

平野 馬力あるっていうか。

山本 躍動しますよね。

平野 躍動感が半端ないですね。一歩が大きくて速いっていうのもあるんですけど、そこから普通の人だったら上に跳べないところもバンって跳んでくるんで、もう本当に横に並ばれたらやられちゃう印象ですね。外のシュートもあるんでマッチアップしにくいと思います。相手チームは本当に。

山本 たまにマッチアップするんですけど、やっぱり攻められたら止められないし、ブロックがめちゃめちゃ高いですね。

平野 高校の時は外のシュートは無かったんで、無かったっていう言い方は悪いですけど(笑)。今ほど入っている印象無かったんで、離せばまあ大丈夫かなって感じだったんですけど。今はもう外のシュートも入るからお手上げですね。

――フォワードとして意識していることや大切なことは何ですか

平野 個人的にはワセダはディフェンスのチームなので、ディフェンスから入ることですね。あと速攻の先頭を走って、速い展開を作れる起点になるようにしていますね。

山本 フォワードっていうよりも中寄りなんですけど、河上さんとか晃大さんとかと一緒に出させて貰って、二人とも外ができるのでなるべく攻めなくてもいいからリバウンドだけでも頑張ろうかなっていうスタンスですね。

「全力でインカレを戦いたい」(山本)

山本のオフェンスリバウンドはチームの大きな武器に

――いまのチームの状態はいかがですか

平野 いま4年生がけがとかで抜けちゃっていて、今は新チームみたいな感じになっちゃっているんですけど、そんな中でも修平さん(吉岡学生コーチ、スポ3=広島皆実)を中心に上手くまとまっていると思います。

山本 修平さんがいなかったらダメですね。

平野 修平さんがいなかったらダメっす。雰囲気よく出来ていると思います。

山本 雰囲気はいいと思うんですけど、修平さんがきょう言っていたんですけどピリッとした雰囲気がまだ足りないかなと思いますね。

平野 それはちょっとずつだと思いますね。みんなまだ慣れてない部分もあると思うので。インカレまでもうちょっと時間があるんでもっともっとよくしていきたいです。

――いま重点的に取り組んでいる練習はありますか

平野 ディフェンスのところだと思いますね。例えばきょう長くやったのがトランディションのディフェンス、速攻の時のピックアップの練習ですね。ディフェンスの細かいところですね、チームとしてやっていることは。個人的にはトレーニングってよりもリハビリやってます。膝まわりのリハビリがメインですね。

――インカレの目標はズバリ何ですか

平野 まず初戦も大事なんですけど、拓大倒したいなって思いますね。一発ね。

山本 やっておくことによって違いますね。

平野 一発やっておきたいです。拓大倒したいです。

山本 インカレ出るのも当たり前じゃなくなるんで、2部に落ちたので。

――リーグ戦を通して拓大の印象は

平野 やっぱり(ジョフ・チェイカ・アハマド)バンバ(拓大)かな。

山本 バンバですね。

平野 周りのガード、藤井さん(祐眞、拓大)とか慎之介(大垣、拓大)とかも上手いんですけどやっぱりバンバがリバウンドとかゴール下にいるからっていう部分があると思うんで。

山本 やりづらいですよね。

平野 バンバをどう抑えるかっていうのが大事だと思いますね。

――木村選手がけがですが、どうやってその穴を埋めますか

平野 そこはやっぱりチームとして大きな穴だよな。やっぱり彼はコート上だけではなくコート外でも力を発揮できるタイプの人間なので、彼には応援席での活躍を期待しています。彼の応援席での活躍なしには勝てないと思っているので、そこで躍動して欲しいです。(笑)

山本 木村さんが楽しみです。(笑)

平野 絶対盛り上げてくれると思います。

――インカレが終われば4年生は引退ですが

平野 いやー、寂しいですね。プレーどうこう以前に。すごい仲良くさせてもらってたんで、マジで寂しいですね。

山本 寂しいです。きょねんも寂しかったですけど。

平野 でも寂しいけど、すぐに慣れるけどね(笑)。居ないなーみたいな。

山本 消えたみたいな。(笑)

平野 個人的には河上さんと鈴木さん(貴大、スポ4=京都・洛南)は洛南時代から一緒で、本当に離れるっていうのは実感ないっていうか一緒にいて当たり前みたいな感覚があるんで。寂しいですね。

山本 練習の雰囲気とかも変わってくると思うし、まあ私生活でも寂しいですね。

平野 Bチームの4年生の山田さん(舜、政経4=東京・早大学院)と松本さん(大輝、商4=福岡大大濠)もしっかりしていて、チームをまとめてくれていたので、そこがいなくなるとBチーム的にもキツくなりますし、山田さんのようなムードメーカーがいなくなると寂しいです。ものの見方が違うんですよね(笑)。発言の切り口全然違う感じで、「ここでそれか!」みたいな。

山本 「その角度から入ってくるか!」みたいな。

平野 訳わかんない返ししてきますよね(笑)。本当に面白いです。

――インカレに向けて抱負をお願いします

山本 らいねんから出られるかどうかわからなくなってくるので、やっぱり出られるうちに全力でインカレを戦いたいです。

平野 そう、それ。その通り(笑)。まず拓大倒すことを目標に、木村のためにも頑張ります!『PLAY FOR 木村』です!『PLAY FOR 木村』を合言葉に(笑)。めっちゃ面白いじゃん(笑)。あいつがきょう対談にいないことが寂しいですね。

――どうもありがとうございました!

(取材・編集 東哲也、宮西祐香子)

色紙にはチームメイトの木村選手の名前を書いてくれました

◆平野哲朗(ひらの・てつろう)#27(※写真右)

186センチ。フォワード。京都・洛南高出身。人間科学部3年。コート内外でチームを盛り上げる平野選手。チームのムードメーカーらしく取材でもたくさんの笑いを巻き起こしてくれました。持ち前の明るさで、インカレでもチームを鼓舞する平野選手に注目です!

◆山本純平(やまもと・じゅんぺい)#16

191センチ。フォワード。福岡第一高出身。スポーツ科学部2年。リーグ戦で大きな成長を見せた山本選手。けがから復帰後スタメンに定着し、リバウンドや得点で大きくチームに貢献しました。進化を遂げた山本選手のインカレでの活躍に期待です!