【連載】『TIP OFF』第1回 G木澤義椰×G河合祥樹

男子バスケットボール

 3勝15敗、1部9位で関東大学リーグ戦(リーグ戦)を終え、国士舘大と2年連続の入れ替え戦の末、2部降格が決まったばかりのバスケ部。しかし落ち込む暇もなく、次は2週間後に控える全日本大学選手権(インカレ)に向け照準を合わせる。特集第1回はゲームをコントロールするガードに焦点を当てる。ルーキーのG河合祥樹(スポ1=京都・洛南)、2年目のG木澤義椰(人2=京都・洛南)。下級生2人がガードとしてチームをどのようにまとめるか。インカレ上位進出のカギとなるお二人にお話を伺った。

※この取材は11月13日に行われたものです。

ガードとして『抜けた穴』を埋められなかった

笑顔で取材に応じる2人

――秋季リーグ戦を振り返っていかがですか

木澤 振り返ったら全体としていい結果が残せなかったというのが事実で、出だしからつまずいてしまいました。リーグ戦は始めからあげていかないといけないのに、その前の練習からトラブルとかあって練習に身が入らないことがあったので出だしも悪かったですし、それに対応できなくてそのままリーグ戦を過ごしてしまったと思います。

――具体的にトラブルというのはどのようなことがありましたか

木澤 練習中に倉石さん(平監督、昭54教卒=東京・早実)にすごく怒られたり、練習を1回やめさせられたりとかしました。その頃の練習試合とかでも全然だめで、ミーティングしろとよく怒られて、少しチームがばらばらというかチームになっていなかったですね。

――河合選手はリーグ戦振り返っていかがですか

河合 もっとトーナメントみたいに楽しく終われるのかなと思っていたのですが、終盤に来て、「早くリーグ戦終わってくれ」ていう気持ちも少しありました。でもその中でもリーグ戦を通して自分のやるべきこととかを再確認できたので、そういう部分で得たものはあったと思います。

――具体的にどのようなことが得られましたか

河合 リーグ戦はじめはシューティングガードで、交代で出るポジションでしたが、それがポイントガードでスタートから出るようになったのが大きな変化でした。高校でもあまりポイントガードをしたことがなかったので、途中から変わって試行錯誤しながら出来たので、そういう部分では今後にもつながるようになったと思います。

――きょねんに続き国士舘大との入れ替え戦となりました。きょねんと何か違った点はありましたか

木澤 きょねんは1戦目勝った後、2戦目は向こうを勢いに乗せてしまい大丈夫かなと思ったのですが、大塚さん(勇人前主将、平25スポ卒=現豊田通商)のおかげで第3戦を勝てました。ことしはその抜けた穴を埋めることは少し難しかったなと思います。ことしも国士舘大の勢いにのまれてしまって、3戦目も立て直しができなかったですね。大塚さんは大きな存在だったなと改めてわかりました。

――河合選手は初めてのリーグ戦で入れ替え戦ということになりましたが、振り返っていかがですか

河合 自分としては、大学に来るまでにある程度大きな舞台は経験したと思っていて、大丈夫だろうという気持ちがあったのですが、大学バスケの入れ替え戦という独特の雰囲気に、自分の力を十分に発揮できたかというとそうでもなくて、悔しい気持ちもありました。国士舘大の応援のすごさとかチームの強さとか全部含めて入れ替え戦は全然ダメだったと思います。

――今季早大はディフェンスの練習が多かったようですが、ディフェンスに関して振り返っていかがですか

木澤 抜かれた時のヘルプの声だったりとか、ヘルプポジションにいなかったりだとか、そういうことが徹底できていなくて、練習でできていることでも試合ではヘルプポジションにいなくてそのままドライブでやられたりだとか、ローテーションが遅くてパスされてそのままシュートを打たれてしまうだとか、徹底ができていなかったのかなと思います。

河合 良い時は良くて崩れたら試合を通して崩れてしまうということが多かったです。良い時もあるけど悪い時もあるというように波があったので、そこが僕らのディフェンス力として、まだ力になっていないのかなと思います。

――オフェンス面では河上選手(宗平主将、人4=京都・洛南)に頼っている場面が多かったと思いますが、いかがですか

木澤 そうですね。特に入れ替え戦は河上さんに頼ってばっかりでした。1戦目は良かったのですが、2戦目で向こうが河上さんにダブルチームとか行っているのに、僕らが合わせとかできなくて、本当に河上さん頼みになっていました。僕らがもっと攻めないといけないと思いました。

――早大は立ち上がりが弱いと言われていますが、何が原因でしょうか

河合 やっぱり洛南が多いから(笑)。

木澤 洛南はいつも立ち上がりが悪いと言われていて。だめですけどね(笑)。

河合 高校の時は、立ち上がりは相手の勢いがあるのでそこは抑えて、4Q通して最終的に勝てばいいという考えでしたが、倉石さんの考えは全部のQを何点に抑えて何点勝ってというような感じなので、出だしが悪いのは少し僕らのせいですね。

木澤 それはありますね。僕は控えから出ることが多いので、立ち上がり悪いのは仕方なくて(笑)。途中から出るので、出だしやられたときにどうやって立て直すかっていうのが仕事かなと思います。ただ、出だしからちゃんとやってくれれば控えから出ても結構楽かなと思うので、出だしは大事ですね。

――リーグ戦結果は3勝と振るわなかったですが、青学大や東海大という強豪相手に粘れた試合もあり、収穫もあったのではないでしょうか

木澤 チャレンジマッチなので、やれることはしっかりやろうとしていて、リバウンドを絶対取るということだったり、ディフェンスでしっかり守るということだったり、走られないようにすることだったり。そこを徹底しただけで良い試合ができたのでそこは良かったのですが、それ以外の白鴎大とか専大とか、やることをしっかりやれば普通に勝てる相手の時に、青学大戦みたいに徹底できていなかったですね。勝てる試合で勝っていれば入れ替え戦にもいかなくてよかったと思います。

河合 チームとしては東海大、青学大にかなりやれた部分はあったのですが、勝たなくてはいけないところで勝てなかったというのがチームとして悪かったと思います。個人としては高校とは違ってどこのチームとやっても必ずレベルが高くて、何か工夫しなければいけないというところに関しては、楽しめたかなと思います。

ワセダ式はディフェンスからブレイク

今季はスリーポイントシュートも印象的だった木澤

――お二人とも洛南から早大に進学されていますが、早大を選んだ理由は何でしょう

木澤 尊敬している先輩がワセダに多くいるので、そこについて行って一緒にプレーしたいなっていうのがきっかけでした。

河合 僕も洛南の時から哲朗さん(平野、人3=京都・洛南)も晃大さん(木村、スポ3=京都・洛南)も木澤さんも、もっとも仲良くしてくれた先輩なので、そういう面で尊敬して入ったということもあります。もう一つは、スポーツ科学を学びたいと思っていて、筑波大とか順大も考えたのですが、ワセダが一番学べると思って選びました。

――バスケを離れた時のバスケ部の雰囲気はいかがですか

木澤 正直洛南とあんまり変わらないです。洛南が多いので。仲いいですし。楽しくやっています。

河合 なめ合いとけなし合いですよね。後輩としてはたまに上手くこびます(笑)。

――普段のお二人はどんな感じですか

河合 普段の木澤さんは人にあまり干渉しないというか、人にはあまり興味ないですね(笑)。自分の世界にいるというか。

木澤 それはありますね。

河合 でも、高校の時からバスケ以外でも優しくしてもらっています。

木澤 そんな遊ばないのでわからないですけど、彼は興味ある人にはあるので、僕もそこは見習わないとなと思います。

河合 僕は興味あるんですけど、木澤さんが興味なくてなかなか遊ばないんですよ!

――オフの日はどのように過ごしていますか

木澤 基本寝ています。たまに映画見に行ったりしますね。

河合 僕は、毎週月曜のオフは授業を入れていて、6限まで入っているので正直あんまり遊べないですけど、教職の授業を取っていて女バスも男バスもみんないるので、バスケがないという楽な気持ちでわいわいできるので、そこは楽しいです。

――バスケ部の人たちと遊びに行ったりはしませんか

河合 1日オフとかになったら絶対に誰かバスケ部といて、遊びに行きますね。特に多いのは佐藤智也(社1=札幌日大)っていうお猿さんなんですけど(笑)。よく買い物とか、一緒に映画を見に行ったりします。

――部内ではどなたと仲がいいですか

木澤 僕はやっぱり平野先輩が一番仲いいですね。よく遊んだりしますね。気を遣わないですむ先輩で、優しくて面白いですし、そういった面でも尊敬しています。

河合 僕は学校関係なく遊びに行くときはいつも佐藤ですけど、学校内にいるときには、渋田くん(貴大、スポ1=東京・京北)と一緒にいます。

――洛南ではないですよね

河合 2人とも洛南ではないです。

木澤 宮脇(隼人、スポ1=京都・洛南)は?(笑)

河合 寮生活も高校3年間一緒にいて、仲いいっていうか近すぎて、ちょっとした家族というか兄弟っていう感じになっちゃっていますね。

――河合選手はルーキーシーズンを過ごされましたが、早大のチームの雰囲気とプレーに関してはどのように感じていますか

河合 雰囲気はとても元気な感じがあって、それがいい時と悪い時がありますが、僕としてはすごく楽しくバスケができているので、とてもいいなと思っています。試合では、洛南出身の選手がいっぱい出てしまい、そうなると洛南のバスケに偏りがちになってしまいますが、倉石さんにはワセダ式にしろと言われていて。メンバーは高校と変わっていないのにプレーを切り替えるというのは少し難しかったですね。

――洛南のバスケと早大のバスケの違いはどのようなところでしょうか

河合 洛南はパスした人がパス&ランをしてボールをつないでいくという展開にしますが、ワセダは京北とか福岡第一出身の選手とかもいて、その選手たちはラン&ガンっていう別のスタイルでやってきた人たちなので、それが合わさらなくてぶつかり合ってしまう感じがありますね。

木澤 ワセダ式はディフェンスからブレイクですね。

河合 どっちかというとラン&ガン寄りですよね。洛南がこんなにも多いのに違うっていうのがちょっと難しかったですね。

――1年生がプレーでチームを引っ張る場面も多く見られましたが、木澤選手は先輩として1年生の活躍をどう感じていますか

木澤 今シーズン始まってから本当に1年生に助けてもらっているので。宮脇とか河合、諄哉(伊藤、人1=京都・洛南)もそうですけど、宮脇だったらディフェンスやリバウンドを頑張ったりだとか、河合はゲームコントロールをして入れ替え戦とかも緊迫した状況の中で冷静にプレーしていて、本当に助けられました。1年生が出てくることによって僕たち先輩も頑張らないといけないなと思いますし、1年生には本当に感謝しています。

――河合選手は落ち着いてプレーしている感じを受けるのですが、焦りなどはないのでしょうか

河合 そうやってよく言われますけど、内心はやばいですよ(笑)。ミスした時の相手の盛り上がりとか、追い上げられているときに感じるプレッシャーとかやばすぎて、試合嫌だなということもあるんですよ。逃げたくなるというか。でも、そういうのも出さないように頑張っています。

――ガードとして目指しているプレースタイルなどはありますか

木澤 ゲームコントロールがちゃんとできるかというところを意識していますね。今シーズン倉石さんにガードがだめだと結構言われていて、ちゃんとゲームコントロールができなかったから負けが多くなったのかなと思うのでそこは反省しています。ゲームの読みとかもちゃんとできるガードになりたいと思います。

河合 1部の選手とか国士舘大の松島さん(良豪、国士舘大)も引き出しが多いというか、こういう時にこういうプレーをしたら相手にダメージを与えられるなっていう技というか引き出しというか、いろいろなところから何でもしてくるということが多くて、そこは僕もしたいなと思っています。あとは自分の攻撃力も持っておきながら、周りを生かしていて、大事な場面では自分も得点を取れるんだぞっていうところをみせられるようなガードになりたいと思います。

――ガードとして目標としている選手はいますか

木澤 大塚さんもそうですけど、青学の小林さん(遥太、青学大)ですね。ゲームコントロールがうまくて、時には激しいディフェンスで速攻をしたりとか、本当にそういった部分で尊敬していて、そういう選手になりたいなと思っています。

河合 僕は高校から一緒にやってきて今東海にいる伊藤達哉(東海大)っていう選手です。僕よりも小さいですけど大きい選手に絶対負けなくて、技術もそうですけど気持ちの面でも、やられたら絶対自分でやり返すというか、それくらいの強い気持ちを持っていて、そういうところも尊敬しています。同級生なんですけど、尊敬していてガードとして目指したいなと思います。

――お互いプレー面で尊敬しているところはありますか

木澤 言った通り、安定していて落ち着いていらっしゃるところですね(笑)。本当に1年かよっていう。そういったところは見習いたいですね。

河合 高校時代は僕が控えで交代して出ていたんですよ。大学に来て、木澤さんを倒してのし上がろうっていう気持ちを持っていました。でも大学1年間はプレーを見ていなくて、その間に高校の時には考えられないプレーとかあって、かなり上手くなっていて…。上から言うのもなんですけど(笑)。なんかすごいなと思ったんですよ。ドライブで持っていったときにステップでかわしたりして打つシュートだったり、入れ替え戦でも入らないだろっていうまさかのシュートを入れたりだったり、そういうところで引っ張っていってくれているので、すごいと思います。

テーマは『全力でやろう』

1年生とは感じさせないプレーを見せた河合

――残すところインカレだけとなりましたが、入れ替え戦が終わった後チームの今後についてどのような話し合いがなされましたか

木澤 もう切り替えるしかないですね。もう2週間しかないので新しいことはしないで、一つ一つのことを真剣にやろうとミーティングで話していて。2部に降格になってショックはありますが、切り替えないといけないですし、今季の大学戦最後の締めの大会なので、4年生ラストの大会ですし、僕たちにとっては来年につながる試合にしないとですし、一戦一戦を集中して勝ちに行きたいです。

――リーグの反省点をインカレに生かすとしたらどのようなことがあるでしょうか

木澤 ディフェンスからブレイクですね。(ブレイクが)出ている試合もありましたが、出ていないときはほとんどできていなかったので、ブレイクを出したいですね。そういった面でガードは重要になってくると思うのでそこを中心に考えてやっていきたいです。

河合 1試合の中の悪い部分を減らしたいなと思います。悪くなったら一回全部悪くなってから上がってくるという、10点離されて追いつくとかなので、その離される10点を4点、6点くらいに抑えられるように、僕もコントロールできたらと思います。

――最後に、インカレに向けての目標と意気込みを教えてください

木澤 チームとしては全力でやろうというテーマと拓大を倒すという目標があります。拓大にはリーグ戦で1度も勝てなかったのですが、勝てない相手ではないと思うので。やっぱり初戦も大事ですが、拓大に勝つというところを目標にやっていきます。僕もきょねんケガして出られなかったので初めてのインカレですが、そういうことは気にしないで自分の仕事をしっかりやっていきたいなと思います。

河合 チームの目標としては拓大に勝って、ベスト8でオールジャパンに行きたいので、そこはチームとして達成できるように頑張りたいです。個人としては1つでもチームの勝利に貢献できたらなと思っています。

――どうもありがとうございました!

(取材・編集 加藤恵)

色紙にはチームと個人それぞれの目標を書いてくれました

◆木澤義椰(きざわ・よしや)(※写真左)

179センチ。ガード。京都・洛南高校出身。人間科学部2年。他人にはあまり興味がないらしく、マイペースに日々を過ごしているようだが、後輩からも慕われている木澤選手。周りを生かす堅実なプレーをするが、時にゴール下まで切り込んでシュートを決めるアグレッシブさを見せる。インカレでも流れを変えるプレーで上位進出を目指す。

◆河合祥樹(かわい・よしき)

177センチ。ガード。京都・洛南高校出身。スポーツ科学部1年。「前期の成績はばっちりです!」と1年生らしく学業にも抜かりがない。そんな河合選手は、ルーキーながらシーズン序盤からベテランのようなプレーを見せ、周りを驚かせた。落ち着いたボールさばきと冷静な判断を武器にインカレでも躍動する。