今季2度目の遠征・名古屋。全国に自身の力がどこまで通ずるか、鍛錬の成果を披露する格好の舞台だ。田中健博主将(商4=東京・国分寺)を始めとする上級生を中心に7人の選手が出場したがトーナメントを勝ち上がることができず、小枝信介(社4=埼玉・西武文理)と橋本周平(社2=大阪・清風)が3回戦出場という結果を残すのみ。府立(全日本学生選手権)を1カ月後に控えて課題が浮き彫りとなる試合となった。
1回戦を不戦勝で勝ち上がった田中は前大会の東日本選手権で敗れた因縁の相手との対戦。開始直後に2本連続で取られた苦い記憶がよみがえる。「相手が(前の試合と)同じ作戦でくることは分かっていた」。同じ轍(てつ)は踏むまいと逆に、始めの合図とともに積極的な攻めを展開し、相手を組み伏せて抑え面突き一本。先制攻撃に成功する。勝負は後半戦、ケガから復帰してからというもの体力面に不安の残る田中としては勝敗を判定に委ねずにもう一本取って次へと駒を進めたいところだ。しかし2本目を許さない堅い守りを前にして試合は足踏み状態に。これが結果的に相手の体力の回復を招くこととなり、試合終了20秒前に抑えこまれて得点を許し判定負け。手の内が分かっていただけに悔しさがにじんだ。
判定負けを喫した田中主将
勝てばベスト16という3回戦に挑んだ小枝と橋本。橋本にとっては9月に行なわれた全・総合選手権以来の全国規模での個人戦だ。1・2回戦では得意の足技を生かして確実に白星を収めていた橋本だったが、ベスト16まで勝ち上がってくる対抗選手の実力は並大抵のものではない。次々と技を繰り出す果敢な姿勢で臨むも、懐に入り込まれて膝で胴蹴りを決められてしまう。間際に繰り出した胴蹴りが得点につながることなく、そのまま試合終了の合図がかけられた。一方小枝も持ち味の組み技がさえきらず、一本を取りきれない。時間いっぱい粘ったものの先制点を決めていた相手に軍配があがり、ワセダ拳士たちの挑戦は幕を閉じた。
果敢に攻めた橋本
直後に新人戦(東日本大学新人戦)および、その優勝を1年の目標に掲げている府立(全総合選手権)を控えるワセダ。今大会の個人戦とは異なり、団体戦で挑むこととなる両大会では個人のレベルアップと共にチームとしての力が試される。まずは新人戦、若い戦力の台頭と優勝に向けたチーム作りに期待したい。
(記事、写真 田中智)
※掲載が遅くなり申し訳ありません。
結果
1回戦敗退
森和将(社3=神奈川・東邦大東邦)
2回戦敗退
田中健博(商4=東京・国分寺)
三橋啓吾(スポ4=千葉・成田)
大栄卓磨(文構3=上智福岡)
高橋世駿(社3=東京・早稲田)
3回戦敗退
小枝信介(社4=埼玉・西武文理)
橋本周平(社2=大阪・清風)
コメント
田中健博主将(商4=東京・国分寺)
──きょうの試合を終えていまのお気持ちは
全日本学生個人選手権という学生個人戦の一番大きい大会で自分の力量を試したかったというのもありますし、また、優勝したかったというのがいまの正直な気持ちですね。残念ですし悔しいです。
──1回戦では開始直後に相手を組み伏せる姿が印象的でした。どのような戦略で臨みましたか
そうですね、初戦の相手は前回大会の東日本トーナメント(東日本選手権)で僕が惨敗した選手でした。その時に開始から1分も経たないうちに2本取られてしまったのですが、今回も相手は同じ作戦で取りに来るということが分かっていたので落ち着いて対処しようと考えていました。また、ケガから復帰してからというものの組み技が自分のなかでウィークポイントになってしまい、それを克服しようと毎日下半身を重点的にトレーニングしていました。その成果も出せたのかなと思います。
──残り時間わずかという場面で相手に抑え込まれてしまいましたが
そもそも始めに一本取ってから受け身に回ってしまったというのがよくなかったと思います。試合の途中で体力を消耗して自分でもバテているのを実感したのですが、相手の選手も同じようにバテていることは向き合っていて分かったのでその時点で(自分の)体力の回復を待つのではなく、攻めに転じて即座に勝負を決めにいけばよかったと今にしてみれば思います。僕の強みの部分は、攻めのときに生かせると考えているので攻めに転じることができなかったのがとても悔しいです。
──判定負けという結果について
間違いなく判定では負けると確信していました。だからこそ最後一本取られて同点になってから無理にでも行くしかないと思ったのですが(一本取れずに)判定負けという結果になってしまいました。
──体力面に不安を感じるということでしたが、今後どのようなトレーニングを考えていますか
走りこむのに必要な体力については自分の中でも追い込んで練習できているとは思うのですが、組みながら攻防するような体力が戻っていないと感じているので、ひたすら組み技を練習しようと思います。
──新人戦(東日本大学新人戦)が11月1日にありますが後輩たちの成長ぶりというのはいかがですか
東日本トーナメントでチーム全体の団体戦のメンバー7人の中に2人(1・2年生が)入ってくるということがありまして、新人戦の展望としても明るいのかな、と思いました。
──府立(全日本学生選手権)前の全国規模での大会となりましたが、ライバル校の選手や決勝トーナメントなどの試合をご覧になって思うところはありますか
そうですね、先日府立のトーナメント表が発表されて一番のヤマ場が立命館大になると考えています。きょうの試合をみているともちろん立命館大の選手は活躍していますし強敵だなと思ったのですが高橋世駿(社3=東京・早稲田)がエースの横手選手を初戦で破っているのでいい流れだと感じています。
──目標は
優勝です。
橋本周平(社2=大阪・清風)
──全・総合選手権ぶりの全国規模での試合になりましたが、自身の成長などは感じましたか
そうですね、特段大きく成長したというのは感じなかったですね。
──全国のレベルで戦ってみていかがでしたか
1、2回戦はともかく3回戦から先というのはやはり手強い選手が多く、強い選手と戦うことができました。
──以前組み技が得意ということを伺いましたが、1・2回戦でも足をかけて組み伏すという場面が多いように見えました
やはり確実に勝ちたいなというところでは大きく(組み技を)生かせたかなと思います。
──3回戦では技をかけあぐねているようにも思えたのですが
そうですね、相手のほうが何枚も上手(うわて)で全く通用しませんでした。ずっとこの人に挑戦したいと思っていて、また全国のレベルというものを感じました。
──具体的な敗因は
相手が戦いたいように僕が戦ってしまったという、相手の戦い方に合わさせられたのが一番ですね。主導権を完全に握られてしまいました。
──決勝リーグをご覧になって
あそこまで勝てるというのは練習環境など仲間内で高めあってきた結果が出せている証だと思うのでうらやましいですね。早稲田もそのようなチームを作り上げていければと思います。
──新人戦は最高学年として挑むことになりますが、不安や意気込みは
百合草さん(明大)という優勝した選手や活躍している選手が僕と同じ新人という立場で成績を残しているのを見て、僕自身に個人としての力がもっと必要かなと思いました。僕たちは経験者も少なく誰が勝つかも分からないという状況なので、新人戦ではまず僕が勝ちをとりにいきたいと考えています。
──引っ張っていくような存在ということでしょうか
そうですね。
──府立に対して
準々決勝で春の選抜で完敗した立命館大と対戦する予定なのですが、まずはそれまでに確実に勝っていくことですね。そして、立命館大と自分たちにとってベストな戦い方をしてどのように勝っていくかを考えたいです。