個人戦としては今季初の公式戦。ワセダからは級の部に4名、段の部に6名の計10名が出場し激闘を繰り広げた。段の部の準々決勝では小枝信介(社4=埼玉・西武文理)と橋本周平(社2=大阪・清風)が激突し、熱いワセダ対決も見られた今大会。級の部に出場した高根未来(人3=大阪・明星)が4位に入る活躍を見せると、橋本との接戦を制した小枝が3位入賞を果たした。
級の部に出場した高根はシードで1回戦を突破すると、2、3回戦、準々決勝のすべてをパンチで一本を2つ決め、2分という時間を使い果たすことなく順調に勝ち進み、準決勝に駒を進める。しかし、迎えた準決勝はこれまでの試合からは予想もつかない展開に。開始15秒、相手に組み技に持ち込まれるとそのまま倒され、パンチを面に入れられて一本を取られる。その直後、同じ戦法で再び一本を取られ開始24秒で敗戦。試合後、高根はこの敗戦を「柔道経験者とかそのような技を持っている人には取られてしまうので、それに対抗できるように、自分も組みであったり耐える力であったりを学んでいきたい」と振り返った。続く3位決定戦は、先制するもパンチを胴に入れられ逆転され、結果4位で終わった。敗戦はしたものの、自身の課題と強みが明らかとなった今大会。次大会も「自分らしく頑張る」と、視線は先を見据えている。
果敢な攻撃で勝ち進んだ高根
団体戦での仲間が敵として立ちはだかる――。そのような試合が見られるのが個人戦。今大会、その瞬間がワセダにも訪れた。段の部の準々決勝。3回戦まで着々と白星を積み上げてきた2人の男が視線を合わせる。主将がケガで戦線離脱している今季、代わってチームを引っ張るエース・小枝と、2年生ながら常に団体戦メンバーに名を連ねる、次代のエース・橋本。開始早々、積極的な攻めで周囲を圧倒したのは橋本だった。大きく振りかぶった右手が小枝の面を突き一本先制。しかし小枝も負けてはいない。終了間際に、得意の組み技から膝蹴り一本を取り延長戦に持ち込む。1分1本勝負の延長戦。お互いの意地がぶつかり合い、なかなか試合は決まらない。だが、最後は同じく膝蹴り一本で小枝に軍配。試合後、小枝は「時間の使い方など、個人戦を積んでいくにあたって徐々に成長していくのかなと思います」と、橋本の今後に期待を寄せた。直後に行われた準決勝。「橋本選手と戦って体力を使い過ぎてしまって、準決勝では体力不足を感じました」と語ったようになかなか攻めきれずに敗戦したものの、3位決定戦では迫力ある拳法を見せ見事3位の座を勝ち取った。
ワセダ対決となった段の部・準々決勝。軍配は小枝に上がったものの互角の戦いが展開された
先週行われたあじさいまつり奉納大会に引き続き、小枝の活躍とともに新戦力の台頭が見られた今大会。次に待ち受ける東京都選手権に向け、橋本はただ一言「勝ちます。」と語った。勝ちにこだわり、試合の結果をすぐに次大会に生かそうとするのがワセダ日本拳法部。次はどれほどの成長を遂げて現れるのか。日本拳法部の躍進から目が離せない。
(記事 深瀬真由、写真 杉田陵也)
結果
▽級の部
4位
高根未来(人2=大阪・明星)
準々決勝敗退
三橋由吾(文2=北海道・札幌北)
2回戦敗退
眞鍋周(教3=香川・大手前)
宮脇希(教2=神奈川・山手学院)
▽段の部
3位
小枝信介(社4=埼玉・西武文理)
準々決勝敗退
橋本周平(社2=大阪・清風)
3回戦敗退
高橋智之(政経3=神奈川・浅野)
2回戦敗退
三橋啓吾(スポ4=千葉・成田)
佐々木啓行(スポ2=神奈川・鎌倉学園)
1回戦敗退
高橋世駿(社3=東京・早稲田)
コメント
小枝信介(社4=埼玉・西武文理)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
3位という結果に満足はしていませんが、良かったと思います。一方、優勝した玉置選手(裕也、明大)に悔しい一本を取られて負けていますので、その点に関しては大いに反省の余地があると思います。
――きょうはどのような課題を持って試合に臨みましたか
トーナメントを見たところ、初戦からタイミングを狙って胴を抜いてくる選手が非常に多かったので、時間をかけつつチャンスをものにするということを意識していました。
――決勝戦の反省点とは具体的に何ですか
準々決勝で橋本選手(周平、社2=大阪・清風)と戦って体力を使い過ぎてしまって、準決勝では体力不足を感じました。
――準々決勝はワセダ同士の対戦ということで、少し違った心境だったと思います
そうですね。普段練習をしている仲間ですので、若干(普段の試合とは)違う気持ちではあったのですが、大会においては相手は全員敵なので、絶対に勝つという心意気で臨みました。
――後輩の橋本選手に先制を取られましたが、焦りはありましたか
少し焦りはありましたが、その一方で自分の武器であるタックルを戦略的にその前まで見せていない状況だったので、限られた時間でしたが、タイミングを計ってタックルすることができれば取り返すことができると考えていました。
――橋本選手とは普段の練習でも対戦しますか
はい、よく(対戦)しています。
――やはり試合では橋本選手の雰囲気も違ったものに感じられると思います
そうですね。相手も絶対に勝ちを狙ってきていますし、自分も絶対に勝つことを考えていました。
――実際に対戦して、後輩である橋本選手の変化したところなどはありましたか
正直、普段の練習では橋本が取っていて、ほとんど僕が負けているという状況が多かったので、上からの視点というのは全くありません。一方で時間の使い方など、個人戦を積んでいくにあたって徐々に成長していくのかなと思います。
――試合で対戦して、いま橋本選手に声を掛けるとしたらどういうことを伝えたいですか
差は全くないと思っていますので、あとは試合に出ることによって少しずつコツみたいなものをつかめてくると思うので、ケガに気を付けて試合に出ようということですね。
――次の試合は東京都選手権ですが、そこに向けての修正点はありますか
時間を使ってじっくり一本を狙うことも良いのですが、自分はもう少しアグレッシブにいく戦い方をしても良かったのかなと思います。残り数週間という限られた時間しかありませんが、体力をしっかりつけて積極的な攻撃ができるようにしていきたいと思います。
高根未来(人2=大阪・明星)
――本日の試合を振り返って
自分なりにやりたいというところも表現できてすごく長所に捉えたい部分もあるのですが、やはり反省点とかもたくさん出てきたので、またそれを練習に持ち込んで今後につなげたいと思います。
――本日目指していた試合内容は
僕は自分から積極的に攻めることを心がけていまして、その自分らしいスタイルができれば、勝ち負けはともかくいいかなと思っていました。
――その部分はいかがでしたか
一応、自分の個性というか自分の前に出る姿勢というのが表現できたのですけれども、できたからこそ、今後の課題というのが見えた気がきます。
――課題とは具体的に
今はパンチばかりなのですが、蹴りであったり組み技であったりの技の数が少ないなと思いました。
――準々決勝までは、一本を2つ決めての突破でしたが
正直、組まれてしまうと相手も上手だったので、とりあえずは自分で一本取ってというもので。いつもは3分なんですけど今回の矢野杯は2分だったので、一本でもよかったかなという感じです。
――一方で、どの試合でも一本を一つ取られてしまいましたね
そこがやはり今後の自分の課題というか。けれども、一本取られても取り返す姿勢というのができたので、自分でもそこは高い評価をしてもいいかなと思います。しかし、取られたというのはやはり反省点になると思います。
――準決勝では、2つとも同じ方法で取られてしまいましたが
やはり、柔道経験者とかそのような技を持っている人には取られてしまうので、それに対抗できるように、自分も組みであったり耐える力であったりを学んでいきたいですね。
――次の大会に向けてはどのような調整を
自分の前に行く姿勢を残しつつ、きょうはちょっと怪我とかもあったのでそれも調整して、これからにつなげていければなと思います。
――今後への意気込みをお願いします
自分らしく頑張る、という感じですね。
橋本周平(社2=大阪・清風)
――本日の試合を振り返って
悔しいですね。それ以外は特にないです。
――目指していた目標は
ベスト4まで行って、そこから次の上位ランカーと戦うというのを目標にしていました。
――調子はいかがでしたか
悪くはなかった。まあ、調子のせいにしてはいけないと思うので、ぼちぼちでした。
――3回戦までは一本はとられるなどあったものの、安定した強さを見せていたように思いますが
やらなくてはいけないことだったと思います。
――惜しくも敗戦となってしまったのは、小枝選手との試合でしたが
やはり先輩とはいえ、ワセダ同士で戦って負けたので、実力不足としか言いようがないです。次また出直して勝てるようにしたいと思います。
――橋本選手のほうが積極的に攻めていたように思いましたが
延長になったので、やはり勝ちにいきたいなと思って僕から仕掛けました。
――見つかった課題は
あのような大きい人であればなおさらですが、動けないときにどうやって戦っていくか。個人戦だと団体戦と戦い方が違うので、団体戦ならあれでいいのかもしれないんですけど、個人戦であのようなタイプの人に勝つ方法を探さなくてはいけないなと思います。
――次の試合に向けて意気込みを
勝ちます。