見せた「粘りの早稲田」の真骨頂! 7季ぶりのリーグ制覇/立大3回戦

準硬式野球
TEAM
立大
早大
(早)大澤、杉山―阿部剛
◇(本塁打)久保嶋(4号3ラン、7回裏)、笠井(1号ソロ、7回裏)

 今季の早大準硬式野球部を象徴するような試合運びだった。2019年秋以来、50回目の東京六大学リーグ戦優勝に王手をかけている早大は、同じく優勝に王手をかけている立大との、勝った方が優勝という最終戦に臨んだ。この日は序盤から立大ペースで試合が進行したが、早大は2点ビハインドの7回に久保嶋真也(社3=神奈川・桐蔭学園)の3ランと笠井駿汰(政経3=埼玉・早大本庄)のソロで一挙に4点を奪って試合をひっくり返す。最後は今季大活躍の杉山恵琉(文構1=東京・早実)が3イニングを0点に抑えて試合を締め、早大が見事に優勝を果たした。

優勝を決め、喜ぶ早大ナイン

 勝った方が優勝という大一番で、早大の先発マウンドを託されたのはエース・大澤龍登(文構3=埼玉・星野)だった。この日の大澤は、緩急をつけた投球で立大打線を寄せ付けず、序盤の2イニングを無安打に抑える。しかし3回、1死から死球と内野安打で1死一、三塁のピンチを招くと、相手2番に左翼線への2点適時二塁打を許し、立大に先制される。それでも、後続の打者をしっかりと打ち取った大澤は、続く4回のピンチも無失点でしのぎ、6回2失点と先発の役割を果たしてマウンドを降りた。

 一方の打線は、立大先発の伊東大夢を攻略できず、6回まで2安打に抑えられる。それでも7回、先頭の岡田和也(スポ3=東京・国学院久我山)が強烈な打球で相手の失策を誘うと、1死後、阿部剛士(社3=神奈川・川和)が安打でつなぎ、1死一、二塁の好機を作る。この場面で、打席には今季すでに3本の本塁打を放っている久保嶋。久保嶋は、甘く入った初球を見逃さなかった。捉えた打球は右翼へと一直線に伸びていき、起死回生の逆転3ランに。一振りで試合をひっくり返した。さらに、2死から笠井も左越にソロを放ち、点差を2点に広げた。

7回、逆転の3ランを放った久保嶋

 早大は、7回から杉山をマウンドに送る。杉山はスリークォーターから繰り出す力のある直球で立大打線を寄せ付けず、7回、8回をいずれも三者凡退で終える。9回には、1死から内野安打と中前打で2死ながら一、三塁のピンチを招いた杉山だったが、最後の打者を遊ゴロに打ち取って試合を締めた。そして、この瞬間に早大準硬式野球の7季ぶり50回目の東京六大学リーグ戦優勝が決定。早大ナインはマウンド付近に集まり喜びを爆発させた。なお、50回目の優勝は、優勝回数49回で並んでいた法大を突き放して単独トップ。また、現4年は2020年入学のため、現役部員全員にとって初めてのリーグ優勝となった。

ソロを放った笠井

 見事に優勝を果たした早大。しかし、今季の早大は終始崖っぷちで戦い続けた。初戦となった明大戦では、いずれも接戦の末に1勝2敗で勝ち点を落とし、開幕早々に土俵際へと追い込まれた。しかし、続く法大戦では4試合に及ぶ激闘の末に勝ち点を獲得する。特に2回戦では5点ビハインドの最終回に7点を奪って神がかり的な逆転勝利を収めた。空き週を挟んでの東大戦で連勝したものの、続く立大戦では1勝1敗で第3戦に突入し、その3回戦が雨天中止となったことで勝ち点獲得の行方が持ち越された。それでも、他大学の試合結果により、早大は最終節の早慶戦で勝ち点を獲得し、かつ順延になっている立大3回戦に勝利して立大から勝ち点を獲得すれば優勝という状況になった。この状況で、早大は早慶戦の初戦を落とし、優勝するためには残り3試合で3連勝することが必須という状況になった。この崖っぷちの状況で、慶大2回戦では久保嶋のサヨナラ本塁打、続く3回戦では継投策でいずれも1点差の試合をものにして2連勝。この立大戦に勝てば優勝という状況を作り上げたのだった。そして、この立大戦でも、終盤に鮮やかな逆転勝利。今季、幾多の試練を乗り越えてきた早大ナインの集大成ともいえる試合運びだった。優勝を果たした早大ナインは今後、関東地区大学・社会人王座決定戦に出場する。

(記事 渡邊悠太、写真 渡邊悠太、荒井結月)

※監督・選手のコメントにつきましては後日別の記事に掲載いたします。