4年生の活躍光る! サヨナラ勝ちで準々決勝進出を決める/2回戦 近大戦

準硬式野球
TEAM 10
近大
早大 1× 4×
(早)大澤、〇髙橋隆―阿部剛

 『日本一』を成し遂げた2019年以来4年ぶりの全日本大学選手権(全日)出場となった早大。シード権獲得により2回戦が初戦となった早大は、前日24日の中止を挟み、近大との一戦に臨んだ。早大は初回に2点を先制されるも、4回に同点に追いつく。しかし7回に勝ち越されると、7回、8回と得点できず敗戦も危ぶまれた。それでも、数々の逆境を乗り越えてきた早大は9回に追いつき、延長戦へ。すると早大は10回、松永賢三(スポ3=東京・早実)がサヨナラ打を放ち、逆転勝利。慶大との準々決勝に駒を進めた。

 試合は初回から動いた。先発のマウンドに上ったのは、エース・大澤龍登(文構3=埼玉・星野)。先頭に安打を許すと、犠打と安打などで2死二、三塁に。ここで相手打者の放った打球は大澤の前に転がるも、一塁から逸れて悪送球に。2点を献上し、序盤から追う立場となった。対する攻撃陣は、近大先発・中村友郁(4年)の前になかなか出塁できない。最大球速差40キロにもわたるアンダースローに苦しめられ、先頭の岡田和也(スポ3=東京・国学院久我山)の安打以降は9人連続アウトに。近大ペースで試合が進んだ。

 4回、早大打線は少ないチャンスをモノにする。先頭の市川諒汰郎(社3=早稲田佐賀)の四球をきっかけに1死二塁。ここで、村上翔祐(商3=東京・早実)と阿部剛士(社3=神奈川・川和)が連続適時打を放ち、一挙同点に追いついた。序盤はストライクとボールがはっきりしていた大澤も、中盤に入って制球が安定。走者を出しても動じることなく、6回まで初回の2失点のみに抑えた。

粘投を見せた大澤

 ところが7回、大澤は1死から四球で走者を出すと、続く打者にも安打を許し、一、二塁に。このピンチをしのぎたいところだったが、4番打者に適時打を許し、勝ち越し点を奪われた。それでも、全日出場まで幾多の逆転劇を演じてきた早大。ここから粘りの野球を見せる。8回2死まで大澤がつなぐと、髙橋隆之介(法4=東京・早実)がマウンドへ。8回、9回ともに得点圏に走者を背負うも、無失点で乗り切った。すると打線も奮起を見せる。8回は2死一、二塁から無得点に終わるも、9回は松永と阿部剛の安打などで1死一、三塁のチャンスをつくる。ここで打席には、伏兵・網野幹太(法4=東京・早実)。2度試みたバントは成功せず追い込まれたが、ヒッティングで打球をレフト前に運び、三塁走者の松永が生還。試合を振り出しに戻した。

9回、同点適時打を放つ網野

試合は延長戦に突入。表のマウンドには引き続き高橋隆が上った。3イニング目に入っても落ち着いた投球で変化球を駆使。1死から一、二塁のピンチを招いたが、続く打者を併殺に仕留め、攻撃陣にバトンを託した。その裏、先頭の久保嶋真也(社3=神奈川・桐蔭学園)が死球で出塁すると、犠打などで2死二塁に。サヨナラ勝ちへ望みをつなぐべく、ここで春名真平主将(教4=東京・早大学院)が代打で登場した。春名主将の放った当たりは三遊間を抜ける内野安打に。一、三塁にチャンスを広げた。続く打席には4番の松永。初球を捉えると、打球はライトを悠々と越え、サヨナラ安打に。劇的な逆転勝ちで準々決勝進出を決めた。

サヨナラ勝ちを収め、ベンチ総出で喜び合う早大の選手たち

 早大の強みが存分に出た試合となった。7回まで近大に主導権を握られるもあきらめず、粘りの守備と攻撃で接戦を制した。3年生の活躍はもちろん、要所では途中出場の4年生が結果を残し、チームの層の厚さを感じられる試合となった。次戦の準々決勝の相手は、早大の永遠のライバル・慶大。大阪の地で全日史上初の早慶戦が実現した。東京六大学リーグ戦とは異なる、一発勝負による慶大との戦い。「覇者 早稲田」が勝るか、「陸の王者 慶應」が勝るか、目が離せない。

(記事、写真 横山勝興)

春名真平主将(教4=東京・早大学院)

――勝利できた率直な気持ちは

 初めて全日に出て1勝できたことは、チームとして大きく得るものがあったと思います。

――試合運びについては

 試合に入る前から、かなり厳しい戦いになることは自分の中で想定していましたが、より厳しい戦いでした(笑)。でも、その展開に持ち込めるのが強さだと思っていて、自分たちの野球ができたと思っています。

――10回の打席に臨んだ時の心境は

 「サヨナラを決めよう」というよりは、何が何でも塁に出ることで4番の松永につなげようという気持ちでした。松永には本当に信頼を置いているので、何が何でもつなぐ気持ちで泥臭くやりました。

――自らの安打がサヨナラ勝ちにつながったことについては

 ここまでチームをけん引してくれた松永に自分がつなぐことができて、自分の役割を果たせた気がしてうれしかったです。ランナーになってから松永の姿を見た時に「絶対にこれは決めてくれるな」と思いました。案の定決めてくれました。

――準々決勝は早慶戦となります

 まさか大阪まで来て慶應と試合をするとは思っていませんでした(笑)。より知っている相手だからこそ、負けられないですし、お互いにいろいろなものを背負って臨むことになると思うので、早稲田らしく慶應をねじ伏せたいと思います。

網野幹太(法4=東京・早実)

――初戦を一言で表すと

 苦しい試合でしたが、特に4年生がみんなの気持ちを一つにして戦った試合だったと思います。

――9回の打席に臨んだ時の心境は

 1アウト一、三塁の場面で何としても1点が欲しいところで、スクイズもありえたので、どのようなサインが出ても決める気持ちで臨みました。

――バントが成功せずヒッティングに切り替えましたが、その時の気持ちの切り替えは

 1アウトの場面でサードランナーが足の速い松永だったので、内野フライかゲッツー以外なら基本的には1点入るかなと思っていました。何とか食らいついてバットで持っていく気持ちでした。

――同点適時打を放った際の気持ちは

 ベンチもスタンドも盛り上がって喜んでくれたので、自分もすごくうれしかったです。

――準々決勝は早慶戦となります

 相手が慶應ということで、お互いにいろいろな情報を知っている中で、かなり苦しい場面もあるかとは思いますが、チーム一丸となって連勝したいと思います。

松永賢三(スポ3=東京・早実)

――勝利できた率直な気持ちは

 とりあえず1勝することができて、シンプルにうれしいですね。

――9回の打席に臨んだ時の心境は

 先頭が出ることが最優先なので、長打は狙わず単打やフォアボールで出塁することを意識していました。

――10回の打席については

 フライは打ちたくなかったので、低い弾道で強い打球を打つことを意識していました。シングルヒットでも勝ちなので、そこだけを意識していました。

――大事な局面で安打が出たことについては

 4番バッターを任されていて打たなければいけない打順だと思うので、責任を持って打てればと思っていました。

――打撃の調子は

 悪くはありませんが、これからさらにいいピッチャーが出てきます。今から何かを変えるのは難しいので、最大限の力を出せるようにしっかりと準備していきたいと思います。

――準々決勝は早慶戦となります

 慶應は1戦目、2戦目といい形で勝ってきているので、その勢いに負けないようにしたいと思います。やれることをやれば勝てると思うので、『一戦必勝』でやっていきたいと思います。