昨年は全日本大学選手権大会(全日)への出場は惜しくも逃したが、清瀬杯全日本大学選抜大会(清瀬杯)で優勝をかなえた早大準硬式野球部。今年は主将に春名真平(教3=東京・早大学院)、副将に德廣快(文構3=東京・国立)、宮内康汰(教3=東京・早実)、渡邉真之介(社3=早稲田佐賀)、主務に西村豪朗(法3=東京・早実)を据え、新たなスタートを切った。今宵は幹部5名全員が一堂に集結。昨年の振り返りに始まり、新チームになってからの様子、役職の経緯、そして今年の展望を伺った。新チームの幹部の仲の良さが伺える対談となった。
※この取材は12月13日に行われたものです。
昨年を振り返って
渡邉副将(左)を紹介する德廣副将
――最初に他己紹介をお願いします
西村 そしたらまず僕から春名を…。彼の魅力というのは誠実さや真面目さがあって。1年生の頃からずっと誰よりも真面目に、ひたむきに練習やグラウンド整備、ボールの準備を取り組んでいました。そこで培われたみんなからの信頼が自分たちの代の中で飛びぬけていて、キャプテンになった所以だと思います。真面目な人柄であるがゆえに人に言えないところもあったりするんですけど、ここ1、2年くらいは彼自身も心を入れ替えて、言うべきところで言うような姿勢が見えてきたので、彼を中心に始まっていくシーズンを私自身ワクワクしています。1枚も2枚も彼は成長していると思うので、本当にこれからのチームが楽しみでならないです。
春名 もっと言ってもらった方がいいですか?
一同 (笑)。
渡邉 ないって(笑)。
春名 もっといっぱいあるだろ(笑)。じゃあ德廣の(他己紹介)を。德廣はまず野球の面においては堅実な守備が魅力な選手で、昨年からチームの中心として試合に出る機会が多くて、彼の守備で救われた試合は多かったと思います。新チームの副将、内野手のリーダーとして引っ張ってくれていて、自分は主将としてやっていますが、彼に頼っている部分はあると思います。野球以外の面でも年齢が1つ上で、誰よりも客観的な視線でチームを見られていることが多いので、そういった面でも信頼を置けていると思います。
德廣 浪人してるんですよね(笑)。次に渡邉なんですけど、渡邉は自分たちの代でもいち早く試合に出ていて、去年のチームでも主力としてレギュラーで試合に出ていて、今年のチームの中でも一番試合に出ています。でも、ただ試合に出ているだけじゃなくて、試合の中でプレー以外の言葉でチームを熱く盛り上げたり、背中で見せる部分でも頼れると昨年1年間を通して感じたので、他の人もそこを評価して副キャプテンに選出したと思います。今年1年もそういう姿に期待したいです。
渡邉 宮内を一言で表すと、クレバーさの光る選手なのかなと思います。クレバーさで言うと、投球術であったり野球に対する知識というところでチームでトップクラスのものを持っていると感じています。あと副将の中で投手リーダーに就いてからは自覚を持って投手の練習メニューを考えているので、春先に投手に期待してもらっていいかなと思います。
宮内 こちらにいる西村豪朗という男なんですけど…
一同 (笑)。
宮内 早稲田大学準硬式野球部の中で間違いなく一番熱い男ですね。誰よりも野球が好きで、誰よりも準硬式野球部を大切にして、勝ちにも一番こだわっている人だと思っています。主務という役職は勝利の貢献度に関して言うと直接プレーに関わることはできないんですけど、裏方の役目として他の学校の分析や自チームの選手への理解度が一番大きい男なので、とても頼りになる人だとわれわれ一同思っております。
一同 (笑)。
西村 あと、僕から主将、副将全体のことも。
渡邉 それいいね(笑)。
西村 一昨年、去年、今年とチームを見ていく中で、今年の幹部は今までにないくらい聡明で、いろいろなことをよく考えて行動したり発言したりしているなと思っています。練習メニュー一つをとってもそうですし、練習試合の仕方とかも、根拠を持って発言していて、野球のことを話し出したら止まらないくらいの熱意と頭の良さがあると思っていて。ビジョンだったり、「なぜこれをやっているのか」という理由が明確にあるので、選手たちのついていき方も違うと思いますし、始まって1カ月くらいですが、このチームで1年間活動していくのが本当に楽しみです。
春名・德廣・宮内・渡邉 あざす(笑)。
――ここからは昨シーズンを振り返っていただきます。まずは昨シーズン全体を振り返っていかがですか
春名 昨年のチームは新井さん(健太前主将、商4=東京・早大学院)が中心となって個々のレベルがかなり高いチームだったと思います。新井さん、鷲田さん(拓未前副将、スポ4=神奈川・日大高)、鳥越さん(康介前副将、文構4=東京・早実)をはじめ川原さん(崚、商4=東京・早実)のような打つ選手がいたり、ピッチャーでも安在さん(悠真前副将、人4=早稲田佐賀)がいたりなど、個々のレベルが高い中で清瀬杯優勝や(東京六大学春季)リーグ戦2位といった結果を残されてきたのかなと思います。
德廣 2つ上の代が春も秋もリーグ戦がうまくいかなくて、夏の上部大会に何も出られずに1年間を終えた後に新しいチームがスタートしました。その中で去年の幹部も試行錯誤しながらやっていて、結果春のリーグ戦で2位という成績を収めて、全日予選では負けてしまいましたが、出ることになった清瀬杯で優勝しました。全国大会優勝というのはなかなかできない経験だと思うので、そういう大事な経験をさせてくれたことで今年の新チームの自信ややるべきことが明確になっているので、いろいろ大きなものを残してくれたチームだったと思います。
渡邉 まずはいいチームだったなという印象を強く持っています。今の自分たちのチームにはないものをつくりあげてきてくれたというところで、感謝すべきところは非常に多かったのかなと思います。プレーという面では春が2位、秋(東京六大学秋季リーグ戦)は3位という結果ではありましたが、德廣が言ったように、自分たちの代へ財産を残してくれた非常に良いチームで、そのチームでプレーができて良かったです。
宮内 同じようなことにはなってしまうんですけど、まず2つ上のチームであまり大きな結果を残せなかった状態で始まったのが前年度のチームでした。春も秋もなかなかいい位置までいけて、清瀬杯にも出られて優勝できたので、チームを一つ上の段階に持ち上げる意味で、成長することができたと感じています。ですけど、一番目指していたものには残念ながら届かなかったということを考えた上で、もう一つ上の目標を狙っていきたいです。経験を置いていってくれたのはもちろんですが、未達成の目標を私たちのチームに残してくれたと思います。
西村 選手たちのことは言ってくれたので、スタッフ陣に関して言うと、去年が改革の元年のような位置づけで。スタッフの組織図を変えてみようということで、役割を明確にした上で組織図を作ってみた1年でしたし、その中でいいことと悪いことがあったので、今年1年でいろいろ変えていこうと思っています。スタッフ陣も選手に負けないくらい同じ熱量できちんとやっていこうと意識されてくれたと思います。あと、データ班という組織を去年から発足させました。私と春名も所属していて、1つ上の鷲田さんと山浦さん(秀斗、スポ4=埼玉・早大本庄)を中心に立ち上げた組織で、相手チームの偵察に行ったり、敵チーム、自チームの分析をして、試合前ミーティングをきっちり行っていました。そもそも2年前のチームは試合前のミーティングも行っていない状態で試合に臨んでいたので、そこを丁寧に変えてくれました。スタッフ陣やデータ班という存在をつくってくれたことで、チームが『勝つ集団』に生まれ変われたのかなと思っています。
――特に良かった点及び反省点はどういったところですか
春名 特に目に見えた点で良かったのは清瀬杯優勝です。全日優勝ではありませんが、目標の日本一を見せてくれたことがとても良かったと思います。ですが、逆に言えばリーグ戦優勝、全日本大学選手権大会優勝という目標を達成できなかったことについては、自分たちが超えていかないといけない目標なのかなと思います。
德廣 良かった点は先ほど西村くんも言っていたようなデータ班の開設などのいろいろな改革です。プレーの面でも部内リーグ戦をやってみたり、いろいろな新しいことをやっている前チームでしたが、それが目に見えた結果につながった、体現してくれたのは良かったことだと思います。ですが、大事な試合でことごとく落としてしまって、リーグ戦で優勝できなかったり、全日に出られなかったりしたので、勝負弱さに関しては改善の余地があると思います。
渡邉 一緒にはなりますが、目に見えた結果を見せてくれたことです。自分たちも必ずそこまでは行かないといけないし、超えなきゃいけない舞台を整えてくれたと思います。改善した方が良かったところとしては、德廣も言っていましたが、大事な試合で勝ち切れなかったり、ワンプレーワンプレーの徹底すべきところがもろくなって負けにつながった試合があったところだと思います。自分たちの代はすべて行けるようにしたいと思っています。
宮内 自分は清瀬杯の1回戦と3回戦での逆転勝利が良かったと思います。これまで自分が準硬式野球部を見てきた中で、逆転して勝った記憶はあまりなくて、一回先行されたらそのまま後半までいって負けてしまう試合を何度も見てきました。負けてしまいそうな逆境から勝利に持っていける力を見られたような感じがして、諦めない心を残してくれたのはすごく良かったことだと思っています。逆に悪かった点としては、同じことにはなってしまいますが、大事な試合を落としてしまったことと、大敗してしまったことです。序盤に点差を大きく離されると勝つのが難しくなってしまうのが野球だと思っていて、その中で投手陣の力を伸ばし切れずに大きく負けてしまったところは改善していけると思います。
西村 良かった点としては、準備の質が格段に上がったと思います。選手で言うと、初見のピッチャーやバッターは去年1年間を通じていなかったと思っています。それは現地で映像を撮ってきてくれるデータ班の1年生がいたり、ベンチでソフトにデータを入力して持ってきてくれる1年生がいたおかげで、たくさんの情報が得られて、しかもその情報を無駄にせず試合前のミーティングでチームとしての対策を整えて試合に臨めました。その準備をしていく中でチームの一体感も生まれてきたと思いますし、試合前に「ハドル」という円陣で声を出す文化もできたりしていて、より『勝つ集団』になってきていたなと感じていました。良くなかったところとしては、1年間同じモチベーションで完走できた人がどれだけいたのかは気になっています。4年生だけじゃなくて自分たちの代もそうですが、どこかでやる気の波が生まれてしまったり、今まで熱かった4年生の中でも全日の夢がついえてしまった瞬間に人が変わったかのように目の覇気がなくなってしまった人がいました。そういう姿も後輩は見ていますし、スタッフ陣も含め先輩後輩のまとまりは今一つだったのかなと感じています。どんな結果になろうとも最上級生が最後までモチベーションを落とさずにやらなくてはいけないなと去年のチームを見て強く感じました。
新体制を迎えて
理想の主務像を語る西村主務(左)とそれを聞いて楽しむ宮内副将(中央)と渡邉副将
――新体制になってチームの雰囲気は変わりましたか
渡邉 変わっていると思います。そう信じたいです(笑)。
――どういった点で雰囲気が変わったと感じていますか
渡邉 4年生が主力で3年生以下が主にベンチに入っていた中で、これまで出場機会のなかった2年生、3年生が活気を持ってくれているなと感じています。そういうところがチームのいい雰囲気につながっていると思います。
德廣 選手間で言うと、新チームが始まる前に自分たちの代でミーティングを開いた時に、今までチームのことをあまり言っていなかった人からも熱い意見が聞けて、危機感や最上級生としての自覚を持っている様子が見られました。あとは自分たちが特に何かを変えたわけではありませんが、指導者の方からは、「前チーム、前々チームと比べて幹部がコミュニケーションや対話を取ってくれるから、選手と指導者の間でのイメージのすり合わせも齟齬(そご)なくできてありがたい」というお話を聞いています。
西村 いい意味で傲慢な人がいなくなったかなと思っています。みんなが「このままじゃ勝てない」と思っていて、誰一人として「勝てんじゃね?」と思っている人はいないと思っています。1個上の力のある4年生ですらなしえなかった優勝、そして自分たちの実力とのギャップは自分たちが一番分かっていると思います。練習は幹部が中心となって考えていますが、選手たちも楽しそうに練習しています。冬場は厳しめの基礎練習や個人の技量アップにフォーカスした練習が続いているんですけど、誰も面倒くさそうにしていなくて、いい雰囲気で練習ができているなとつくづく感じています。
宮内 キャプテンは何も感じないみたいなんですけど…
春名 最後に(言う)ね(笑)。
宮内 目的意識を持って練習に取り組めていると思っています。練習メニューは試合期間の練習とそれ以外の練習には分けていましたが、これまで大きく変えてきませんでした。ですが、現チームになってからは練習を段階に分けてどんなものをやるか提示していて、一人一人が目的意識を持って練習に取り組めていると思っています。昨年まではどのポジションも絶対的な人がいて、「この選手がいるから大丈夫だ」みたいな雰囲気があったんですけど、そういう選手たちが抜けて今は絶対的なポジションの人がいない状況なので、一人一人がやる気と自覚を持って取り組めていると感じています。これは自分たちの代だけじゃなくて、1年生、2年生にも言えることだと思っています。
春名 いい意味で全員に焦りが出てきたことと、いろいろな言葉で発する正義感が備わったと思います。焦りが出てきたのは、4人が言ってくれたように、4年生が抜けて「やらなきゃいけない」意識が全員に生まれて、その中で自分が試合に出るためにはどうすればいいのか、勝つためにはどうすればいいのかを会話するようになりました。
――練習メニューを変更したというお話がありましたが、新チームになって他に何か変えていることはありますか
渡邉 土曜日にチームウェイトを導入したところです。身体づくりの面からも個人ではなくチームとして取り組んでいこうという意識でいます。
――ここからは役職の話に移っていきます。皆さんの役職はどのような経緯で決まりましたか
春名 去年のチームが終わってから3年生で話し合う場を設けて、それぞれがチーム像や主将、副将の希望について話し合った結果、自分が主将になって、3人が副将、(西村が)主務になった感じですね。
渡邉 キャプテンが春名に決まったので、副キャプテンも必要だなというところで(笑)。
西村 去年のチームと一番違ったのが、全員に記名式のアンケートを作ったんですね。それで投票してもらった結果、春名と德廣がほぼ同数で並びました。ただ、自分たちの3年生の代が春名を推している人が多くて、理由を聞いているうちに春名が主将になって、德廣と渡邉も副将での票がかなり集まっていて。德廣は主将争いをしているので、順当に決まりましたし、渡邉も試合経験も豊富ですし、満場一致で副将になりました。それでこの3人でいってもいいけど、1個上の安在さんが副将で投手リーダーをされていて、「ピッチャーも幹部がいた方がいいんじゃないか」という宮内からの強い意向で…
一同 (笑)。
西村 うちの学年には宮内と髙橋隆之介(法3=東京・早実)がいて、どっちにしようとなったんですが、宮内は頭が良くてチーム運営の方にも長けているところがあったので、「宮内だったら大丈夫じゃないか」ということでピッチャーから宮内が副将になりました。それで、私の主務に関しては特殊で、代が替わる時に決まるわけではなくて、1年の冬頃に副務の希望を出す時があって学年でミーティングをしていく中で私と德廣と今はデータ班長をやっている蒲原実希也(スポ3=兵庫・神戸)の3人に絞られました。德廣は野球がうまいのでプレーで頑張ってほしいとなって、僕か蒲原になった時に、「蒲原にやらせるくらいだったら僕がやる」と思って副務をやることにしました。
一同 (笑)。
德廣 そこ絶対文字起こしして(笑)。
西村 僕は持ち上がりで去年は副務として。元々スタッフとして働いていく流れがあって、そのまま持ち上がりで主務になりました。
德廣 最終決定は毎年監督さん(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)がされていて、自分たちで話し合って監督に報告してから最終決定されます。監督さんからもスムーズに「この人選でいこう」と言っていただけました。
渡邉 監督さんとお話しした時間は非常に有意義でした(笑)。
春名 間違いない。
――やはり心境の変化はありましたか
春名 そうですね、主将になった時は、チームの顔としてやらないといけないことをかなり考えていたんですけど、選んでくれた理由の中で「野球に対してひたむきにやってきていた姿勢」があったのを見て、自分の色を出していけばいいと思うようになりました。「主将として何かをやる」「主将だから」というのではなくて、ただただ勝つために野球に対して自分が誰よりも真剣にやる姿勢を見せることが、自分としての主将らしさと感じるようになりました。
西村 心境の変化から言うと、「やっと来たか」と。
一同 (笑)。
渡邉 聞いたなぁ、その話なぁ(笑)。
西村 「ついに、ついに俺が主務になったか」と。うれしかったですし、「責任感を持とう」と思わなくても自分は責任感があるタイプだと思っているので、そこ(責任感)にも不安はないですね。本当に光栄ですし、より一層熱い気持ちになって、「待ってました」という感じでしたね。主務像としては、チームの運営、サポートももちろん全力でやろうと思っていますし、熱量がある人にしかできない運営があると思うので、新しいことにチャレンジして、選手とより近い距離感で同じ方向を向いて熱い気持ちでやっていきたいと思っています。性格的に出しゃばらないことが無理なので、こうなったらとことん自分の良さを出していきたいです。ただ、最近は役割の線引きにも気を付けていて、選手を立てるところは立てて発言してもらっています。彼らの意見が一番大事で春名のチームですし、いい意味で春名をより盛り上げられるように、春名という火が燃え上がるのを周りから援助できるように燃えております。
宮内 先ほどの主将、副将の決め方のお話でもあった通り、この3人(春名、德廣、渡邉)は「自分たちがチームをまとめていくんだ」という自覚はそもそもあったと思うんですよ。ですが、私自身は副将になる予想はしていなかったので、一番自覚を持たないといけないとは思っています。主将、副将と聞いてどんなイメージを持たれるのか考えたら、「精神的支柱」とか、「盛り上げる」「まとめる」というようなイメージを持つと思うんですね。この3人は精神的支柱でまとめることに長けていると思うんですけど、自分はその役目よりはチームを勝たせるためにどう努めていけるのかを考えていきたいと思っていて。投手陣の力不足はここ数年課題になっていて改善しないといけないポイントの一つであると思いますし、その中で練習の改善や試合中の起用にも携わって結果的に勝利に貢献するためのポジションでありたいです。試合を動かす方に関わろうと思っているので、勝利というのは一番の目標ですし、勝たせることに関しては一番責任感を持たないといけないと思っています。チームの勝敗に関わってくることなので、頑張っていこうと思います。
渡邉 心境の変化としては大きくはなかったです。今宮内が言ったように、自覚というのは下級生の時から持っていました。たとえ幹部になろうがならなかろうが自分たちの代の中で多く試合の経験を積ませてもらっていることは自分でも自覚していることなので、「自分がやらなきゃ」「自分がやってチームを勝たせなきゃ」という思いは最終学年になった時により強まりました。幹部かどうかではなくて、最上級生の力が大きなカギになるとここまでの3年間で感じてきたので、最上学年として、その中の幹部としてやれることをやり切って、最後全員で春名を男にします。
春名 熱いですね。
德廣 宮内が言ったように、新チームになったら幹部になることは薄々自分で感じていたので、準備の段階での心境の変化はなかったですね。ただ、今までだったら気づいたことがあっても「言わなくていいか」と流していた部分がありましたが、幹部になってからは言うようにしています。選手のことだけじゃなくてスタッフや指導者にも立場は気にせず気になったことは言って解決して、チームがより良くなるようにしています。
来季を見据えて
チームの目標を語る春名主将
――ここからは選手についてお伺いします。チームの攻撃の軸はどの選手になると思いますか
渡邉 攻撃の軸になるのは德廣…。
一同 (笑)。
渡邉 ごめんなさい、変な冗談挟んだ(笑)。
春名 自分は2年生の久保嶋(真也、社2=神奈川・桐蔭学園)になってくると思います。昨年から試合に出始めてレギュラーに定着して、試合経験も積める中で彼の中での自覚がかなり芽生えているのではないかなと。彼はすごく自覚を持っている選手なので人一倍努力している姿を最近はすごく見ています。勝ちに貪欲で、誰よりも試合に出たくて、誰よりも打ちたいという気持ちを持っている久保嶋が打つことが新チームの打撃の盛り上がり、試合に勝つためのカギになってくると思います。
德廣 去年のチームから久保嶋だったり村上(翔祐、商2=東京・早実)だったり松永(賢三、スポ2=東京・早実)、そして渡邉も結果を残していますし、今年も活躍してもらうのはもちろんなんですが、ファーストの選手にも打撃を期待したいです。実際に去年は川原さんが1年通してファースト固定で守り続けていたので、その穴を埋める必要があるかなと思います。そのファーストが打てたらチームにとっても大きいので、春名と笠井(駿汰、政経2=埼玉・早大本庄)と平尾(晟登、教2=東京・早実)と候補がいるので期待したいと思います。
西村 これはあえて言うんですけど、中村文哉(法3=埼玉・早大本庄)と德廣を挙げます。前のチームでは試合の後半の守備固めで起用されることが多くて、内野で一番うまいのは德廣、外野で一番うまいのは中村文哉だと思っているんですけど、今年彼らがレギュラーになってもらわなきゃ困る中で、バッティングの面では足りないところがあると思います。打ちさえすれば一流の選手になると思っています。その中で彼らがバッティングに対してどれだけ重きを置けるか、バッティングをどこまで成長できるかが、うちのチームが全国に行く一番の近道だと思います。そういう自覚を持ってほしいですね。
渡邉 間違いない。1シーズン、どっちかだけでもいいから3割打ってほしいよね。
西村 守備はうまいので、あとはバッティングお願いしますという感じです。
――守備の軸はどの選手になると思いますか
渡邉 守備の軸となるとキャッチャーになると思います。去年は服部さん(峻也、社4=東京・早実)が1年間務められていましたが抜けてしまったので、新しいキャッチャーが重要になってきます。間違いなくチームの防御の要ですし、大事になってくると思います。「投手の失点」と言われますけど、「バッテリーを通しての失点」なのかなと思っているので。キャッチャーが強くなればピッチャーもより投げやすくなって、チームにいい相乗効果が生み出せると思っています。
德廣 ポジションが固定されるのが現時点だとサードの久保嶋くらいなので、複数ポジション守れる選手を増やしていけば、打順や試合の出方を工夫してベストな形で試合に臨めると思います。試合に出られる可能性を守備の面で減らさないようにしたいですね。
西村 ピッチャーで言うと、今年の軸は髙橋浩成(教2=東京・早実)になるかなと思います。彼は去年1年間リリーフとして試合に出ていて、絶体絶命の場面もくぐり抜けてきたピッチャーなので、根性もあると思います。投げているボールも強くて重いので、ボールの力だけで圧倒できるという意味でうちのチームには珍しいタイプだと思います。ただ、来年1年間戦っていく中で長いイニングを投げられるピッチャーが不足しているので、彼を先発に回せるくらい他のピッチャーたちが力をつけて中継ぎを強化することが必要だと思いますし、彼自身が力をつけて先発、ひいてはエースになってくれれば、このチームはより強くなると思います。
宮内 自分は期待も込めて自分たちの代の4人のピッチャーを軸にしていきたいと思っています。髙橋浩成や大澤(龍登、文構2=埼玉・星野)のように2年生で全国レベルで戦っている選手はいるんですが、自分たちの代だと髙橋隆之介が大事な試合で勝ち切れなかったですし、自分もベンチ入りはしていましたが、勝ち試合ではなかなか出場できる位置ではなかったので。芦田(雅史、教3=京都・福知山)と太田(遼、スポ3=神奈川・横浜翠陵)の2人は活躍できる能力はありながらもこれまでなかなか出場できていません。投手陣の底上げももちろんですし、長いイニングを投げられるピッチャーが増えて、自分たちの代の4人も戦える位置まで押し上げていくことがカギになってくると思います。
渡邉 太田は自分たちが1年生の秋や2年生の春に大活躍している選手だったので、当時の活躍を見せてくれれば間違いなくチームにとってプラスになると思うので、本当に期待しています。
春名 間違いない。
宮内 ピッチャー陣は1年生から3年生まで真っ平な状態にあると言ってもいいと思うんですよね。髙橋浩成と大澤は抜けているとして、他の選手もトップチームの大会に関わる可能性があると思うので、一度フラットに考えてどの選手が戦っていけるのか見極めていきたいと思っています。
――皆さん個人の今年度の目標を教えてください
渡邉 全大会、全試合、フルイニング出場です。以上です。
一同 (笑)。
宮内 なんでとかないの(笑)。
渡邉 理由としては、春のリーグ戦で右肩を脱臼してチームに迷惑を掛けて、新井さんたちの代に申し訳ないと思ったからです。全試合出られる体力をつけて活躍することができれば、微力かもしれませんがチームのためになると思っています。
德廣 自分も全試合フルイニング出場することを目標にしたいと思います。先ほど西村くんから話があった通り、今の打力だと終盤代打を送られても文句が言えないような内容だと思うので、頑張って強化して、1試合を通してチームを支えられるように頑張りたいと思います。
宮内 今年はリリーフエースになろうと思います。
春名 おぉ!
宮内 さっき投手の軸として髙橋浩成の名前が挙がったと思うんですけど、現時点でのリリーフエースは髙橋浩成になると思います。肯定的なことで言えば、一番安定感があって球の威力だけで抑えられる投手なので、一番計算できると思いますが、先発に持っていきたいのが本音です。でもそうすると「誰が後ろを投げるのか」となってしまうのが現状なので、私がリリーフエースのポジションに就くことで柔軟に投手運営ができるようにしたいです。後半を任せられるような投手になりたいです。
西村 主務の仕事となると書類の提出が主になってきますので、目標となるとしっかり手続きをすることになってしまうと思います。スタッフは勝利に直接貢献しづらいポジションだと思いますが、そこで決して熱量を下げずにとにかく自分が誰よりも熱い人間で熱い気持ちを持って、それを波及し続けることで周りのやる気の火を消さない存在になりたいです。
春名 自分の実力で言うのもおこがましいですが、チームの誰よりもホームランを打つこと、4番に座ることを目標にしたいです。主将である自分が試合中にプレーで引っ張っていかないといけないと思うので、自分が誰よりも打って、チームの打撃の中心となってやっていけば『日本一』の目標は達成できると思います。「この代の4番は春名だ」「チームの4番は春名だ」と言ってもらえるようなバッターになりたいです。
――チームの今年度の目標を教えてください
春名 チームの目標は『日本一』です。全日本大学選手権大会を優勝することがチームの具体的な目標であり、チームとして掲げたスローガンが『PLAY FOR WIN』です。「勝つために何をするのか」「勝つためにどうしていくべきなのか」「勝つためにベストな選択は何なのか」を日々の練習から常に考えて、全日本大学選手権大会優勝という夢をかなえていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 横山勝興)
◆春名真平(はるな・しんぺい)(※写真中央)
東京・早大学院高出身。教育学部3年。主将、内野手。右投左打。対談中も聡明な人柄が伺えた春名選手。最近ハマっているのは乃木坂46で、自主練中に音楽を聞いて気分を上げているそうです!
◆德廣快(とくひろ・かい)(※写真右から2番目)
東京・国立高出身。文化構想学部3年。副将、内野手。右投右打。対談の質問にも客観的に答えてくださった德廣選手。最近は同期の太田選手、鈴木勇介選手(教3=東京・桐朋)とラーメン店『歴史を刻め』に週1回ペースで通っているそうです!
◆宮内康汰(みやうち・こうた)(※写真右)
東京・早実高出身。教育学部3年。副将、投手。右投右打。対談中の受け答えから投手リーダーとしての覚悟が感じられた宮内選手。最近はゴルフにハマっているそうで、ライバルは中澤勇之助選手(商2=岡山・金光学園)だそうです!
◆渡邉真之介(わたなべ・しんのすけ)
早稲田佐賀高出身。社会科学部3年。副将、外野手。左投左打。副将らしく真剣に質問に答えながらも、爽やかな笑顔が印象的だった渡邉選手。最近はリハビリに打ち込んでいるそうです。春の関東地区大学選手権へ向け骨を再生しているそうなので、復活に期待です!
◆西村豪朗(にしむら・ごお)(※写真左)
東京・早実高出身。法学部3年。主務、アナリスト。右投右打。主務の観点からチームや選手について積極的に語ってくださりました!