【連載】 Summer Challenge Cup事前特集『打破』第4回金田歩×清水佑樹×田中爽稀×安在悠真

準硬式野球

 第4回ではチームを支える投手陣を特集する。3月に開催された関東地区大学選手権(関東大会)では清水佑樹(スポ3=早稲田佐賀)、安在悠真(人2=早稲田佐賀)の両先発が試合のテンポを作り、金田歩(商4=東京・早実)、田中爽稀(法3=神奈川・柏陽)がリリーフを務める試合展開を作っていた。チームにとって不可欠なこの4選手に、大会に向けた思いを伺う。

※この取材は8月15日にオンラインで行われたものです。

「全日に出れなかったことがもったいないなと感じています」(安在)

関東大会では先発投手として試合を作った安在

――まずは他己紹介をお願いします

安在 僕と清水さんが、同じ早稲田佐賀高校出身なのですが、借り入部の時、当時いたピッチャー陣と一緒に走ったのですが、清水さんと走ることになって、そこから関係が始まりました。

――他の選手の紹介もお願いします

金田 中大と関東大会で戦ったんですが、田中爽稀は神奈川出身なので土地勘があるようで、試合後に知っている店に連れて行ったもらいましたね。タワーレコードとかに連れて行ってもらいました。

田中 金田さんは、とにかくまじめで、一番対極にいる選手だと思っています。僕がおちゃらけていてもすごくしっかりしていて、雰囲気を引きしてめくれる存在だと思っています。

――投手陣で遊びに行くことはありますか

田中 投手陣はないです。学年ならありましたね。今はやっていないです。

――自粛期間中にはどのように過ごされていましたか

安在 僕は定期的に公園走っていました。特に自粛期間の時は何もしていなかったですね。寝ることくらいですかね。

金田 自粛期間では無かったらジムに行ってたんですが行けなかったので。午前中は家でトレーニングをして、午後は就活をしていましたね。コロナじゃなくても大変だと思うんですが、就活やばかったですね。

田中 僕は何もないですが、走ることはしていました。あとは、家でゲームしたりしていましたね。

清水 朝起きて、ご飯食べて、自主練して、お昼寝して、ご飯食べて、寝るの繰り返しでしたね。自主練は安在とか吉ヶ江(輝、スポ4=兵庫・明石)さんとかと公園で走ったりしていましたね。そんなに頻繁に集まってはいなかったんですが、5月末くらいからは集まって自主練したりしていました。

――これからそれぞれの選手のことについて伺っていきます。まず塚脇選手、関東地区大学選手権(関東大会)で3位という結果でしたが、チームとして、個人としてこの結果をどのように捉えていますか

金田 だいぶ昔の話のようでよく覚えていないんですけど、大会が始まる前の練習でノックとかがすごくて、それが大会を通じてみんなうまくなっていたので全日本があったらよかったなと思いました。

清水 関東大会は自分のサヨナラホームランのせいで準決勝で負けてしまって、優勝して全日本(全日本選手権)出場を目標にしていたので自分の中では一番悔しかったです。

田中 自分は去年の春とか夏に比べて調子も落ちてしまったので、自分のピッチングを春取り戻せなかったのがつらかったです。

安在 関東大会に初めて出て規模もわからない状態で3位に終われたというのはよかったです。自分は試合に関わってはなかったんですけど、明治戦でコールドで勝ったので見ていて強いなと感じました。法政の時も、うちがひどいミスを何個もして相手がミスなくやって、最終的には負けましたが互角には戦えていて、連覇を期待できるチームだなと思っていました。全日に出れなかったことがもったいないなと感じています。

――金田選手は関東大会初戦で公式戦初登板でしたが振り返っていかがですか

金田 色々な人に支えてもらったので嬉しかったです。一昨年卒業した古賀(湧也、平31スポ卒=佐賀西)さんなど色々な人にトレーニングだったり教えてもらった上で自分でもかなり納得のいく結果が出せたので、いち早く報告しました。とても嬉しい経験だったと思います。

――大会を通じて主にクローザーとして登板していましたががクローザーとして意識していることはありますか

金田 クローザーの意識はあまりないです。最初の3試合は結果的に最後投げることになっただけで、別にクローザーという感じではなかったですね。意識していたことはコールドに近い状況だったので1点もあげずにスパッと明日に向かえるように早く終わらせるということです。

――大会を通してご自身の良かった点と反省点を教えてください

清水 ホームランを打たれたことしか覚えてないです。

田中 悪かった点は、微妙なコントロールが全然つかなかったということです。ボール先行になったところで最後打たれることが続いて、ランナーをためてしまうことが多かったのでそこがかなり反省すべき点、というか今生かさなければならない点です。良かった点としては最後中央戦では最後のピンチで1点取られはしましたが、三振で切り抜けたことです。自分の生命線であるストレートで押せていたという意味ではよかったと思います。

安在 初めて先発という役割をもらって挑んだ大会だったので、まず試合をこわさなかったこと、法政戦は負けてしまったのですが試合づくりという意味ではある程度持って行けたことはよかったと思います。悪かった点は法政戦で最後清水さんが打たれる前に自分が追いつかれたところですね。結局自分が2連打か3連打食らってそこで清水さんに交代になったので、もちろんピッチャー陣全員で投げ勝つ試合もあると思うんですけど、場の雰囲気によっては1人で投げ切らないといけないケースも出てくるので、そうなった時にまだ投げ勝つ自信がなく、最後まで投げ切れなかったという点が反省点です。

金田 良かった点は公式戦で初めて投げさせてもらって結果を出すことが出来て、それを続けられたのが良かったです。悪かった点は、最後中大戦で同じバッターに2本打たれて、2本目がスリーベースになって点を取られたことです。

「打線をいかに抑え込めるかが勝利へのカギ」(田中爽)

力強いストレートが持ち味の田中爽

――全日が中止になって率直な気持ちを教えてください

金田 言葉では言い表せないです。ぼく自身、去年は25人プラス5人で30人という枠があって、プラス5人の交代可能みたいなところでAチームに帯同させてもらいました。Aチームの優勝を見て悔しくて、来年の夏はそれに絡んで活躍したいと思って1年過ごしてきました。その面では悔しいというかなんとも言い表せない感情です。

――Summer特別大会が決まった時の気持ちは

金田 まだわからないですが、主務が言うにはやるかどうかもわからないと最初から言われていました。定まらないまま練習していたのですが、最近はやるだろうということで。公式戦も残り少ないですしそこで集大成を見せていきたいと思います。

田中 去年の全日本は何とか試合に出させてもらって決勝戦の勝ち投手にもなったんですけど最後の最後に、決勝戦の6回だったかな、フォアボール3つ出してしまって。結局1点で収まったんですけど完ぺきに締めたかったので悔いが残りました。今年もまた去年の春みたいなピッチングを全日でできたらいいなというモチベーションを持ってやっていたのでその中で中止になってしまったのは本当に辛かったですね。来年は絶対に優勝しなければという気持ちです。

――現在意識して取り組んでいることはありますか

田中 ピッチャーの原点と言いますかストレートのアウトローということだけをまずは念頭に置いて、崩れたフォームを一から元に戻しているような感じです。

金田 自粛期間で体力が多少落ちていると思うのでたくさん素振りバッティングやケースバッティングで投げて、投げる体力と落ちた筋力をつけるということを意識しています。

清水 最近は爽稀と一緒ですけど、ストレートの質を上げることを意識しています。今日の紅白戦でストレートの感触もあってきているので上々かなと思います。

安在 私はあまり球速も身長もない普通の人なので(笑)。メインは先発になってくると思うので炎上しないというのをまずは意識しています。国学院、慶應、今日の紅白戦と3戦やって、それなりの結果は出しているのでまずは試合を壊さないことと具体的な数字として8回2失点くらいを目標にやっていきたいと思います。

――オープン戦が始まってご自身の状態を100点満点で表すとしたらいかがですか

安在 60点くらいかな。一応結果が出てるので自己評価が高いかもしれないですけど平均点くらいはあるかなという感じで60点です。

田中 自分としては0点に近い5点くらいですね。

一同 おー(笑)。

田中 去年の春のよう流れが悪い時に相手の流れを止められるようなピッチングが出来るような状態にないので、0点に近い5点です。

清水 100点になった時が楽しみだ(笑)。

田中 目標は高くですね。

金田 90点ですね、僕は。

一同 (拍手)。

金田 理由としては4年生としてけがなく投げられているという点で、かなり高い点数を付けました。けがなく投げられている上で重要な場面を任せていただけているのはやりがいですし、そんな場面でで慶応戦では0に抑えることが出来ました。僕は自分に甘い人間なので90点です(笑)。

清水 80点です。春が100として今はさっきも言った通り調子も上がっていて。自分の限界は100だと思っていないので、120点、150点とこれから上がっていくつもりなのでこの点数をつけたいと思います。

田中 卑怯だわー(笑)。

金田 100点満点じゃないぞそれ(笑)。

――期待している投手はいますか

安在 1年生に高橋君(隆之介、法1=東京・早稲田実業)ていう子が入ってきたんですけど、同じピッチャーで自分よりも球が速くて変化球もよいので、自分の上位互換が来たみたいな感じです。自分も頑張らないと居場所がなくなっちゃうなという気がするので。今後来るんじゃないかなと勝手に思ってます。

清水 今ショートをやってる新井(健太、商2=東京・早稲田大学高等学院)が投手に挑戦していて、今は正直Aチームで投げるほどの実力はないんですけど、ポテンシャルとか体の使い方はピッチャー陣の誰よりも良いと思っているので、これから伸びてくると思います。二刀流として頑張ってもらいたいと思います。

田中 太田(遼、スポ1=神奈川・横浜翠陵)です。太田は自分と一緒でストレートが速い投手なので自分の後継としてというか、ストレートでがん押しするピッチャーに育っていってほしいなと思ってすごく期待しています。

金田 僕は渋谷(隆太、商2=茨城・江戸川学園取手)です。新人戦とかで投げている投手なのですが、同じ商学部で結構授業の話とかもしたりして、自分と投げ方も似ているんですよ。彼は自分より球が速く、スライダー、チェンジアップなど色々な変化球を持っていてポテンシャルがすごく高いのですが、けがが多いという点で今僕が入っているのかなと思っています。逆にけがしていなかったら自分は投げていないと思っているので。今年いっぱいはけがを治すのに専念してもらって僕が投げさせていただくので、来年以降活躍を期待しているという意味で名前を出しました

――野手はいかがですか

清水 捕手の浅野(崇太郎、スポ2=茨城・緑岡)です。来年4年生の捕手が3人抜けてしまうということで期待したいと思います。

安在 自分は渡邊(真之介、社1=早稲田佐賀)です。同じ早稲田佐賀出身で注目というより完全にひいきな目で見てしまうんですが、野球IQもすごく高くていずれセンターラインを担う人材になってくれるのではないかと期待してます。視野が広く様々な考え方ができたり、勉強も彼はできるんですけど野球もすごく状況判断ができ、高校の時から頭を使って自分がチームにどのようなことをしたら貢献できるのかということを常に考えながらやってくれる選手だったので、大学でも同じことをやってくれると期待しています。

田中 自分はファーストの春名(真平、教1=東京・早稲田高等学院)です。今日(の紅白戦)もベンチに入っていたのですがすごくバッティングに秀でていてポテンシャルがものすごく高いんですよ。性格もものすごくまじめでファーストの守備はまだ慣れていないんですけどその中でもよく投手に声をかけてくれてすごく頼もしくこれからが楽しみな選手です。

金田 篠原(大成、教3=大阪・早稲田摂陵)です。紅白戦でやたら自分だけ打たれるのですごいバッティングの良い選手だと思っています。頑張ってください(笑)!

「ノーヒットノーランを狙っている」(清水)

エースとしてチームをけん引する清水

――ご自身の注目ポイントはどこですか

清水 ストレートです。

金田 ランナーが出てからの投球は注目してほしいです。ランナー出さないようには頑張るんですけど出たときの粘り強い投球には注目してほしいです。

田中 ちょっと前に習得したナックルカーブの三振率がすごく高いので、ナックルカーブに注目してほしいです。

安在 自分は特に目立ったところはない人間なので…。安斉が投げているといつも同じ展開だな、抑えてるなと(思われるような)、自分では勝手にのらりくらりと呼んでるんですけど、その『のらりくらり度合い』を見てほしいです。

――Summer Challenge Cupの初戦の相手である関東学院大学はどのような相手であると感じていますか

田中 打線が強いチームなのでその打線をいかに抑え込めるかが勝利へのカギかなと思います。

清水 僕も少し一緒に野球をやった人たちがいるのでそういう意味でも負けられないなと思います。

――大会での個人の目標を教えてください

金田 投げるとしたら短いイニングなのでそこを確実に0で帰ってくることと、投げなくても声掛けだったり役割があると思うので投げる投げないに関わらず役に立てたらいいなと思います。

清水 最初のヒットを打たれるまではノーヒットノーランを狙っているのでそういう気持ちで臨みたいと思います。

田中 3年間お世話になった先輩たちを本来なら全日本優勝という形で送りたかったんですけど、それが出来なくなってしまった以上、サマーカップ優勝という最高の形で送り出せるようなピッチングがしたいと思います。

安在 最大でも3試合しかない短い大会なので、優勝という目標を掲げるのはもちろん大切なんですけど、まずは1個確実にとるということを最優先に。そのあとすぐに秋リーグも始まるので、サマーカップ、秋リーグと良い形で終えられるように、4年生を良い形で送り出せるようにしたいと思っています。

「やはり4年生の意地がある」

関東大会で公式戦初登板を飾った金田

――いつも最後に色紙を書いていただくのですが、もし今色紙に書くとしたら何を書きますか

田中 自分の人生の標語なんですけど『不撓不屈(ふとうふくつ)』です。貴乃花親方が現役時代に言っていた言葉で、いくら倒れても這い上がるという意味の言葉です。去年と同じ言葉を書きますね。

清水 『挑戦』でお願いします。今の自分を超えられるように新しいことにどんどんチャレンジしていこうという思いです。

安在 『なんとかなる』で。正直今度の大会で自分がぼこぼこに打たれたとしても野手の人がそれ以上に点を取ってくれれば勝てるので。自分がやられた時に野手の人たちに「お願い!」という気持ちと、逆のパターンもあるわけで、野手と投手が助け合えば『なんとかなる』かなという意味でこの言葉にしました。

金田 『大局観』で。将棋の羽生さんとかがよく使う言葉で目先の勝負にこだわらず多く周りを見て最後に勝つという意味で、何個目かにオーダーしたグラブに刺繍を入れた言葉です。トーナメントだと一戦必勝は当たり前ですけど、その中でも先を見て戦うという、そういう視点も必要なのかなと思いがあって、それを自分はできるのかなと思っているのでそれを書こうかなと思います。

――最後に意気込みをお願いします

安在 まずは1個(勝利を)取る。それが準決勝、決勝とつながってくはずなので、まずは初戦を全力で取りに行きたいです。

田中 自分は基本的にリリーフなので。去年と役割は同じなんですが。去年は4年生に引っ張ってもらっていた立場だったんですけど、今年は3年生として引っ張るような立場も増えてきたのでピッチングで引っ張っていくような意識を持っていきたいなと思います。

清水 投手がやるべきことをしっかりやる、守りの時間を短くするということを意識して投手陣だけでなく全員で勝ちに行こうと思います。

金田 この大会では今話した3人に助けてもらうことにはなると思うんですけど、やはり4年生の意地というものがあって。この3人のピンチは自分をはじめとする4年生で彼らのピンチを助けてあげられるような存在でありたいと思います。頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 新井万里奈、小山亜美)

◆金田歩(かねだ・あゆむ)

1998(平10)年4月15日生まれ。173センチ、68キロ。東京・早実高出身。商学部4年。投手。右投右打。「筋トレがすごい!」とチーム内で有名な金田選手。対談中たびたび「4年生の意地」という言葉が聞かれました。大会ではその「意地」を見せつける投球に期待しましょう!

◆清水佑樹(しみず・ゆうき)

1999(平11)年7月16日生まれ。184センチ、85キロ。早稲田佐賀高出身。スポーツ科学部3年。投手。右投右打。先発投手として、いつもチームを引っ張っている清水選手。高校の後輩にあたる安在選手は「(高校時代から)ストイックで、自分なりの意見を強く持っていた」と話してくれました。今大会もチームのエースに注目です!

◆田中爽稀(たなか・そうき)

1999(平11)年11月18日生まれ。176センチ、74キロ。神奈川・柏陽高出身。法学部3年。投手。右投右打。力強い投球フォームが持ち味の田中選手。自粛期間中はゲームを楽しんでいたのだそう。今夏は新たな変化球・ナックルカーブに磨きをかけ、大会に挑みます。

◆安在悠真(あんざい・ゆうま)

2000(平12)年8月1日生まれ。168センチ、64キロ。早稲田佐賀高出身。人間科学部2年。投手。左投左打。清水選手とは高校の後輩として、長く付き合いがあると言う安在選手。Summer Challenge Cupでも先発投手として、その活躍が楽しみです!