2年生に芽生えた自覚 惜敗も成長を感じさせる試合に/明大戦

準硬式野球
準決勝
早大
明大
(早)安在、清水、●今井-渡部

 木村杯新人戦(新人戦)。早大はこの大会で過去3代にわたって優勝を経験している。しかし現2年生世代は今春の新人戦、試合が全日本大会出場予選会の一週間前だったことで新人戦メンバーでの練習ができず、慶大に完敗してしまった。迎えた秋季新人戦、今回も翌週に関東地区大学・社会人王座決定戦(関東王座)を控えていることもあり、新人での全体練習を1度もできずにこの日の明大戦に臨んだ。試合は先発の安在悠真(人1=早稲田佐賀)が3回までに7安打を打ち込まれ、犠飛で2点を失う。しかし救援陣が好投して何とか希望をつなぐと、終盤には天本翔三(文2=佐賀西)の適時打で一時同点に追いつく。しかし最後は再び勝ち越しを許し、惜敗で準決勝敗退となった。

 東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)で首位打者となった上戸鎖飛龍(1年)や春季リーグ戦で早大を5回零封した廣瀬大介(2年)など、力のある選手がスタメンに並んだ明大。対する早大打線にも新人主将の須能浩太郎(商2=東京・早実)や関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)らAチームの主力選手が並んだが、序盤は一方的に押される展開となる。先発・安在は初回の1死満塁こそ併殺打でしのいだが、2回には1死二、三塁から、3回には無死一、三塁からいずれも犠飛で失点。打線も7番・川原崚(商1=東京・早実)以外に安打が生まれず、苦しい展開となった。

この日3安打を放った川原

 4回、中村康祐新人監督(教3=早稲田佐賀)は切り札・清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)を早くもマウンドに送る。「清水がどうにか試合をつくってくれた」(中村新人監督)。秋季リーグ戦で第1先発としてフル回転した右腕が粘りの投球で6回までを無失点に抑え、流れを引き寄せた。すると7回、稲穂打線の反撃が始まる。1死から鷲田拓未(スポ1=神奈川・日大高)が中前打を放つと、続く川原がエンドランでこの日3安打目となる右前打を放つ。一、三塁となって打席には新井健太(商1=東京・早大学院)。追い込まれながらも低めの変化球をうまくすくい上げ、左犠飛で1点を返すことに成功した。

 その裏に3番手・今井佑哉(社2=東京・早実)が相手のクリーンアップを三者凡退に抑える好救援を見せ、流れをがっちりと死守。そして8回にも早大の反撃は続いた。ここまで2度の好機で凡退していた1番・渡部椋雅(商2=神奈川・桐光学園)が四球で出塁すると、盗塁と犠打で三進。2死後には関も四球を選び、一、三塁の同点機を迎えた。ここで中村新人監督は5番・篠原大成(教2=大阪・早稲田摂陵)の代打に天本を起用する。フルカウントからの8球目、内角のボールを振り抜くと、打球は左翼線に落ちて同点の適時打に。実は天本は佐賀西高時代、高3夏の最後の試合で早稲田佐賀高と対戦し、安在に9回完封負けを喫して高校野球人生を終えていた。かつての敵が今はチームメイトとなり、この日は天本が安在の負けを消す一打を放ったのだ。

一時同点となる適時打を放った天本

 しかし8回裏に野手の失策が重なり、勝ち越しを許してしまう。9回、早大は新井健の中前打と渡部の死球で好機をつくったが、最後は下久保尚哉(商2=早稲田摂陵)が倒れて試合終了。確かな成長を感じさせながらあと一歩及ばず、ついに新人戦でのタイトルをつかむことはできなかった。

 春季新人戦から成長した部分について、須能は2年生に「チームを引っ張っていこうという意識」が芽生えてきたことを挙げた。秋季新人戦はあと1カ月以内に新チームが始まるという状況での試合。来年上級生になる選手にその自覚が芽生えてきたことは、未来につながる好材料となっただろう。また、関、須能、渡部らはまず来週に関東王座が控えている。この日の反省を生かし、まずは4年生の花道を最高のかたちで飾りたい。

(記事 池田有輝、写真 小山亜美)

コメント

中村康祐新人監督(教3=早稲田佐賀)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

全体的にはナイスゲームですけど、流れがこっちに来ている中でそれを掴みきれなかったというのが敗因かなと思います。明治打線も結構振れていたので、力負けという部分もあったかなと。やるべきことができなくて負けてしまったなと思います。

――きょうの試合のポイントはどこだったと思いますか

やっぱり、3点目を取られた8回裏ですね。先頭もセンターが取れそうなところを落として、向こうがスクイズをミスしたところでワイルドピッチ、セカンドフライエラーといったミスが続いてしまいました。向こうがミスした時に自分たちもミスしてしまったのが一番大きなポイントかなと思います。

――これからの反省点は何でしょうか

ミスをゼロにすることは無理なので、ミスを減らしていくのがポイントだと思いますね。そのミスを続けないで、他の人がカバーをするというのが一番だと思うので、個人の力だけではなく、チーム力を上げていくことが大切だなと思います。

――新人監督として、この試合にどのように臨みましたか

練習もあまりできていなくて、1、2年生をあまり見ることができていなかったので、どうなるかなという不安はありました。でも、やっぱり清水(佑樹、スポ2=早稲田佐賀)が試合をどうにか作ってくれて、今井(社2=東京・早実)も想像以上のピッチングをしてくれたので、あまり出場機会のない選手が活躍してくれたのは嬉しいです。

――春季新人戦から成長した部分はどこでしょうか

粘り強さがでたかなと。春は慶応に大差をつけられた感じだったんですけど、今回は良い選手が多くて、食らいついていくことができたのかなと思います。その粘り強さが成長のポイントなのかなと思います。

――最後に一言お願いします

新人メンバーは来年以降、出場のチャンスがあると思うので頑張ってほしいなと。主力で出場している関、須能、まあ自分も含めて、関東王座(関東地区大学・社会人王座決定戦)が控えているので、最後まで楽しみながらやっていければいいかなと思います。

須能浩太郎(商2=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

1、2年生の普段リーグ戦に出ているメンバー以外が全然練習できていなくて、1、2年生での全体練習が一度もできずにここに準備を任せてしまうという状況の中で、エラーとかが自分も含めて出てああいう結果になってしまいました。でももう切り替えて次につなげるしかないかなと思います。

――チームとして足りなかった部分は何でしょうか

即興でチームをつくったという言い方はおかしいかもしれませんが、このベンチ入りメンバーでの試合も初めてなわけなので、統一感とかが足りませんでした。普段だったらベンチワークとかがスムーズで声出しとかもいい感じに盛り上がったりすると思うのですが、きょうは何か試合に溶け込めていないというか、仕方がないのですが試合慣れしていないというのを少し思いました。

――春季新人戦では慶大に完敗を喫しましたが、それから成長した部分はどこでしょうか

春はみんな初めての新人戦で、2年生が最上級生なのですが、どちらかというとまだ下級生というようなふわふわとした気持ちでプレーしていました。今回は最後の新人戦ということで、2年生の勝ちたいという気持ちがより一層強くなって、自覚というか「チームを引っ張っていこう」という意識が少し芽生えたからこの接戦になったと思います。

――2年生は一人一人の個性の強い代ですが、学年リーダーをしてみていかがですか

学年リーダーを初めてどれだけ経つかわかりませんが、2年生は個性が強くてまとめられていないとは思うのですが、立場上まとめないといけないのは大変ですし、やりがいもあります。同級生ですし、「ついてこい」というよりは、一つになって物事を考えたりプレーしたりしたいと考えています。

――関東王座に向けて一言お願いします

秋のリーグ戦で優勝して、その流れで新人戦も優勝して関東王座に臨みたいと考えていたのですが、負けてしまったのでそこは切り替えて。4年生は本当に最後ですし、今までお世話になってきたので、個人的にはプレーでチームに貢献したいですし、個人どうこうよりも一番の目標としては関東王座優勝して、4年生にいい思いをして卒業してもらいたいという気持ちがあります。

天本翔三(文2=佐賀西)

――1点ビハインドの8回、一打同点の場面での代打でした。どのような気持ちで打席に入りましたか

打てば同点だったので、何とかしたいという思いでした。その結果打てて良かったです。

――追い込まれてからファウルで粘りましたが、だんだんとボールは見えてきていましたか

粘れたというよりは、ファーストファウルフライで終わりかなという打球があったのですが、ぎりぎり落ちてくれて助かりました。

――昨年の12月に吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)から「これから伸びるのではないか」というお話があったのですが、これについては

名前を挙げてもらったのに一年間全然活躍できなかったので、ここで打って最後にいい姿を見せられて良かったです。

――今年は春季新人戦前にけがもあったそうですが、一年間を振り返っていかがですか

新チームになってすぐチームに迷惑をかけるようなことがあって、そんな中でも先輩たちが春(季リーグ戦)と全日と秋(季リーグ戦)と全部(タイトルを)取ってくれたので、チームとしては本当にうれしかったです。でも自分としてはAに行けそうで行けなかったりしていたので、納得はいきませんでした。このヒットが来年につながればと思います。

――ご自身のアピールポイントを教えてください

消去法でバッティングになるかなと思います(笑)。守備はまだ自信がないので。バッティングは自分の中でも良くなってきていると思うので、まずはバッティングでアピールしていきたいです。

――今後に向けての抱負をお願いします

あと2、3週間で新チームになってしまうので、新チームでは常にAチームにいてベンチ入りができるよう、この冬の期間はバッティングも守備も頑張っていきたいと思います。

川原崚(商1=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

初めてスタメンで出て、最初は緊張したんですけど、結果3安打打つことができてよかったです。

――どのような気持ちで臨みましたか

1本目が出るまでは緊張すると思っていました。なので、最初は集中して1本目のヒットを出そうという気持ちで臨みましたね。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

打撃は打てたので良かったんですけど、長打が出なかったので、それは悔しいですね。あとは、守備がもともと課題だったので、ミスが出なくて良かったなと思います。

――ご自身の強みはどこだと思いますか

難しいですね。でもやっぱり長打を売りにしていきたいなと思っています。

――これからの抱負をお願いします

今回の新人戦は残念な結果に終わってしまいましたが、王座決定戦が終わるとまた新しい代になるので、まずはスタメンを取れるように頑張ります。