3失策12残塁…。拙守拙攻に泣き、まさかのコールド負け/4回戦 立大

準硬式野球
4回戦
立大 11
早大
(早)●前田、久郷-吉田
♢(二塁打)渡部(7裏)
※大会規定により7回コールド

 いったい誰がこんな結果を予想しただろうか。オープン戦では初戦で法大に圧勝すると、昨年の全国王者・中京大にも勝利。確かな収穫を得て関東地区大学選手権(関東大会)に臨んだはずだった。この日の相手は同じ東京六大学連盟に所属する立大。東京六大学リーグ戦(リーグ戦)でも対戦する好敵手を打ち倒し、波に乗っていくはずだった。だが終わってみれば1-11。大きな屈辱を味わい、関東大会制覇、そして『五冠』の夢ははかなく消えた。

 先発のマウンドには、チームの副将を務める前田直輝(スポ4=熊本)が上がった。この日21歳の誕生日を迎えた前田は、2回に3本の安打を集められ2点を失うも3,4回は無安打に抑えるなど修正力を発揮。先発の役割を果たし、試合を作っていた。だが、打線が振るわない。4回まで毎回得点圏に走者を進めるもあと1本が出ず、残塁だけが増えていった。

4回裏1死満塁で併殺打に倒れる渡部椋雅(社2=神奈川・桐光学園)。序盤の好機をものにできなかった

 そして悪夢の5回表。前田は先頭打者を三振に仕留めたが、次打者に右前打を許し1死一塁。ここで相手1番が捕手前に犠打。「これで2死二塁だ」と思われたが、吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)の一塁送球が逸れて打者走者に重なり、ベースカバーに入っていた二塁手・篠原大成(教2=大阪・早稲田摂陵)のグラブをかすめて後方へ。これで1死一、三塁となり、相手2番がセーフティースクイズ。一塁前へきれいに転がされ、一塁手・山口永路副将(社4=早稲田佐賀)は本塁を諦めて一塁に送球した。これで「今度こそ2死二塁だ」と思われたが、ふわりと浮いた緩い送球がまたも篠原のグラブをかすめて後方へ。速い送球であれば一旦ベースを離れて捕球し踏みなおす、ということも可能だったが、緩い山なりの送球だったためそれができなかったのだ。まさかの「2者連続バント処理失敗」で流れを完全に渡してしまうと、前田はそこから連打を浴びてさらに3失点。ここで無念の降板となり、エース久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)を引きずり出される形となった。

状態は悪くなかったが拙守拙攻に泣いた前田。バースデー登板を白星で飾ることはかなわなかった

 だが、緊急登板となった久郷もこの流れを止められなかった。最初の5番打者こそ三振に仕留めるが、続く6番打者に左翼席に飛び込む2ランを浴びる。エースの被弾で試合を決定づけられた。その後2死一、二塁から9番打者の適時打でもう1点、2死満塁から山口のこの回2つ目の失策でさらに2点と立て続けに失点。山口の失策は何の変哲もない一塁正面のゴロだったが、追い込まれた状況ではむしろそういう打球の方が難しいものなのかもしれない。この回9点を失い、5回終わって0-11。大会前に池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)が語っていた「守備面の不安」が現実となり、絶望的な状況に追い込まれた。

5回、相手9番に適時打を許し悔しい表情を見せる久郷。悪い流れを止められなかった

 その後試合は動かず迎えた7回裏、2点を取らなければコールドという場面で先頭の渡部が右越え二塁打で出塁する。今大会9打席目でやっと渡部らしい当たりを見せてくれた。続くきょう公式戦初スタメンの篠原も中前打。今大会5打数3安打と打撃面で大きく結果を残した。そして無死一、三塁で3番の関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)が初球を叩き、関にとってのこの日2本目の左前打が適時打に。2年生の3連打でようやく1点を返した。しかし反撃もここまで。続く4番・須能浩太郎(商2=東京・早稲田実業)は2球目を完璧に捉えるも、飛球は惜しくも中堅手の守備範囲だった。その後2死満塁となり吉田に打順が回ったが、快音響かず三ゴロに終わる。得点してなおも無死一、二塁という絶好機を生かせず、残塁数は合計12個に。大会規定により1-11でコールド負けとなった。

7回2死満塁で三ゴロに倒れた吉田。この日はチーム全体としてあと1本が出なかった

 吉田は敗因について「普段の練習から緊迫した公式戦を意識できていなかった」と振り返った。いつもは取れるアウトが取れなかったのは、まさにそれが原因だっただろう。また竹下直輝(スポ4=東京・小山台)は、試合後のミーティングで練習や私生活などの緩みについて指摘。練習では厳しい声を飛ばす者が少なく、私生活では部のルールを守れていない者がいるとした。その『自分にも他人にも甘い』ところがプレーに出てしまったのかもしれない。また関は「雰囲気で圧倒された」と振り返った。きょうの立大ベンチからは声が途切れることがなかった。中にはスポーツマンとしてどうかと思うような発言もあったが、雰囲気の良さで負けていたことは確かである。またスタンドの応援でもいまいち盛り上げることができず。菅野太一(商4=東京・早稲田実業)らが声を張って引っ張ったが、応援部とともに盛り上がる立大スタンドを超えられず、点差が離れてからは沈黙の流れる時間も多かった。

 これで関東大会は4回戦敗退となり、全日本大学選手権(全日)への道が1つ閉ざされてしまった。だが、まだ可能性は残されている。反省はもちろん必要だが、くよくよしてはいられない。12日後にはもう一つの道、春季リーグ戦が開幕する。「絶対優勝して全日予選に出て、何としても全日に出る」(吉田)。厳しい道のりには違いないが、精いっぱいやりきるしかない。関東大会で得た教訓を生かし、なんとしてもリベンジを果たしてほしい。

(記事、写真 池田有輝)

 ※記事中の学年は新年度のものです

 ※本日は対戦相手が東京六大学連盟のチームであるため、連載「関東の強者たち」はお休みとなります

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コメント

吉田龍平(スポ4=東京・小山台)

――試合内容を振り返っていかがですか

敗因は大量失点した5回だと思うのですが、あの流れは自分のエラーから始まってしまったので、本当に申し訳ない気持ちがあります。ずるずるといってしまう怖さがあるのが野球だというのを改めて痛感しました。

――ご自身としては3度四球で出塁されましたが7回は最後の打者になってしまいました。ご自身の結果についてはいかがですか

きょうは審判のストライクゾーンがあまり広くないと思っていたので、ボールは我慢して見るようにはしていました。その中で最終打席も、打ちにいくつもりはあったのですが、投手が良いコースに投げてきていて追い込まれてしまいました。最後の打席はもっと打ちにいくべきだったという後悔もありますし、ああいうところで1本出さないといけないなと感じました。

――今回チームとして一番足りなかったものは何でしょうか

ちょっと今はまだこういう試合になって整理がついていないのですが、やはり普段の練習からこういう緊迫した公式戦をまだまだ意識できていなかったというのが結果として現れていると思います。最後のミーティングでもありましたが、負けているのもエラーが原因ですし、こういう雰囲気を練習からもっと作っていくべきだと思います。春季リーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)が近いので、そういう風にやっていきたいと思います。

――来月には春季リーグ戦が始まります。それに向けて一言お願いします

反省はするのですが落ち込んでいても仕方がないので、全日本大学選手権(全日)に出られる最後のチャンス、絶対勝つしかないです。立大だけでなく他にも強い相手がいますが、絶対優勝して全日予選に出て、何としても全日に出る、という気持ちを持って春季リーグ戦に入りたいと思います。

関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)

――試合内容を振り返っていかがですか

今日の試合は雰囲気で立教に圧倒されてしまいました。雰囲気だけでなく試合の内容も圧倒されてしまったと思います。早稲田としては、きょうは雰囲気に飲まれずに自分たちのプレーをし、自分たちの声で盛り上げて試合をしようと最初から決めていたのですが、正直きょうは立教のほうがいい声も悪い声も含めて盛り上がっていて雰囲気に圧倒されました。その中で連打を浴びてしまったり、ミスが出てしまったりしたので誰のせいでもなく、完敗でした。打撃面では上位打線に2年生を4人入れさせていただきました。2年生でヒットを6本中5本打てたということは収穫ではありましたが、上位打線を任されている以上、ランナーがいる場面で打たなければ試合には勝てないと思わされた試合になってしまいました。最終的に1点は取れたのですが、もう少し序盤に点を取れたところもあり、自分たちがもっと上位打線を任されている意識を持ってやっていれば結果は違ったのかなと思います。先程のミーティングでの話にもあったのですが、4年生の全日への大会を1つ潰してしまった原因は少なからず自分たちにもあります。誰がミスをしたとかではなく、これからはチームとして全員が自覚を持って2度とこんな情けない試合をしないように敗因を突き詰めていかないといけないと思います。

――7回は3連打が出て、ご自身も適時打を打たれました。7回の攻撃を振り返っていかがですか

7回はもう押せ押せで行くしかないと思っていました。先頭の渡部が塁に出てくれて、篠原はきょう公式戦初スタメンでしたが、打てる選手なので絶対打ってくれると思い、チャンスに備えていました。それで篠原がチャンスを作ってくれたので、ここで2点とってコールドをなくしてやろうという気持ちで初球から思い切って振っていって、その結果タイムリーになってくれたのでよかったです。でもその後なかなか攻撃がつながりませんでした。須能のバッティングが完璧だったので、「あそこで抜けていれば!」という気持ちでいっぱいです。
早稲田のミスもありましたが、立教も1イニングに9点取ったりしていましたし、点数が離れていても9回までやれば何があるかわからないので、どうしても9回までやりたかったです。1点入ってもなお無死一、二塁という場面が作れたのに無得点だったというのは、非常に大きな反省点だと思います。日頃の練習から場面を想定したバッティングを個人としても、チームとしても突き詰められていなかったのかなと思います。この大きな反省をリーグ戦に向けて改善し、打ち勝つチームにしていきたいです。

――きょうは6本の安打のうち5本は2年生が打ちました。今後も2年生はチームの中で大きな役割を担っていくと思いますが、2年生全体としてどのように取り組んでいきたいですか

たまたまきょう試合が終わった後、2年生だけを集めてミーティングを行いました。
動機は自分が今日の試合で感じたことを2年生に話しておきたかったので話させていただきました。2年生はまだまだメンバー外の選手が数多くいるのですが、みんな実力のある選手ばかりです。先輩を含むメンバー外の選手の方々がチームの勝利ために応援やサポートをしてくれたにも関わらずこんな不甲斐ない試合をしてしまったので、なんの役職もない自分が言うのもあれですが、2年生に言ったのは、正直に言ってしまえばこのメンバーでは限界があるということです。今のベストメンバーで今日みたいな試合になってしまったということはこのままじゃ勝てないということです。つまり、リーグ戦へのメンバー変更が少なからずあると思い、2年生にはメンバー外でも良い選手がたくさんいるので、その人たちにどんどん出てきてほしいという趣旨を伝えました。今は2年生全体としてまとまっていない部分もあるのですが、この敗戦を機に1人でも多くの選手が「試合に出たい」とか「俺だったらもっと違うプレーができる」という風な思いを持ち、2年生全体として、チームのサポートはもちろんのこと、一人一人が目的を持って練習に取り組めれば、学年としてもチーム全体としても良いチームになれると思います。