ルーキー渡部椋雅の決勝3点本塁打で3時間56分の熱戦を制す!/立大3回戦

準硬式野球
立大3回戦 10 11
早大
立大
(早)久郷、前田、江藤、〇今井-吉田
♢(本塁打)渡部(11表1号3ラン) (三塁打)森田(1表)

  「タイムアウトのない試合のおもしろさ」(H2、あだち充)。野球は最後のアウトを取るまで勝敗がわからなく、そこにおもしろさがある、という意味のセリフである。この日はまさにその言葉を体現するような試合となった。序盤は完全に立大によるワンサイドゲームだったが、8回2死の敵失をきっかけにワセダの反撃が開始。度重なる相手の失策にも助けられ、8、9回で4点差を追い付き、土壇場で延長戦に持ち込んだ。延長10回には立大に無死二、三塁というサヨナラ負けのピンチを作られ、ここで万事休すか、と思われたが、何とかここを切り抜けると、11回に渡部椋雅(商1=神奈川・桐光学園)の3点本塁打で勝ち越しに成功。それでも最後までわからないのが野球だ。その裏の攻撃で中軸に回ってきた立大が猛追を見せると、一気に1点差に迫られ、なおも走者は二塁。同点のピンチとなったが、最後は二ゴロに打ち取り、ゲームセットに。息の詰まるような戦いをルーキーの躍動もあり制し、優勝へ望みをつなげた。

 

  ワセダは森田達貴主将(スポ4=埼玉・県浦和)の三塁打と永井隆太(スポ4=石川・七尾)の犠飛で初回から幸先よく先制点を挙げる。そして、マウンドには2日前に立大から完封勝利を果たした久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)。立大を圧倒し、勝利を収めるか、と思われたが、2回に早くも雲行きが怪しくなった。先頭打者に安打を許し、四球と犠打で1死二、三塁のピンチを背負うと、次打者に適時三塁打を打たれるなどし、この回3失点。その後も立て直すことのできなかった久郷は3回を持たず5失点で降板してしまう。その後を受けた前田直輝(スポ3=熊本)は、毎回走者を出すものの、なんとか無失点でつないでいったが、打線が出塁さえもできず。防御率4点超えの相手投手に完璧に抑えられるという苦しい展開となった。

5点目を取られた久郷

  しかし、何が起こるかわからないのが野球だ。この回から登板した江藤健太(教3=早稲田佐賀)が初回以来の3者凡退で終えると、その裏、2死走者なしという場面で敵失により高木寛人(基理4=東京・早実)が出塁するところからワセダの追い上げが始まる。前日に同点の場面で凡退し、最後の打者となった中村康祐(教2=早稲田佐賀)が中前打でつなぐと、森田の一ゴロを相手が悪送球。その間に三塁走者が生還し、7イニングぶりの得点を挙げると、続く永井の左前適時打でさらに1点を追加する。しかし、立大が山村一心(4年)にスイッチすると、この回はこれ以上反撃できず。山村には前日完封されているだけに、これ以上は厳しいか、と思われた。

 

3イニングを何とか投げぬいた今井

 
 

 それでも9回。この回先頭の関大輝(基理1=茨城・江戸川学園取手)が塁に出ると、次の打者が死球で出塁し、無死二、三塁に。すると吉田龍平(スポ3=東京・小山台)の投前犠打を山村が悪送球。その間に1点差とし、なおも一、三塁と同点に追い付く絶好の機会が到来する。しかし、ここで痛恨の併殺打。無死から一転、二死となってしまう。ところが、思わぬ展開が待っていた。山村が続く高木に四球を出してしまうのだが、この場面で立大がまさかの捕逸。そしてこの間に三塁走者が本塁生還し、土壇場で同点に追い付いたのだ。このまま畳みかけて試合を終わらせたいワセダだったが、惜しくも逆転とまではいかず。その裏を無失点で抑え、延長へと突入した。

値千金の決勝3点本塁打を放った渡部

 9回から登板していた今井佑哉(社1=東京・早実)。10回に連続で安打を許すと、無死二、三塁というサヨナラのピンチを迎えてしまう。延長15回まで戦う可能性も考えると、投手をここで交代するわけにもいかず、今井はこの局面を自身で片付けなければならなかった。ついにこの試合もここまでかと思われたが、ここから今井が踏ん張り、この絶体絶命の危機を見事無失点で切り抜け試合は延長11回へ。投手陣の事を考えるとどうにか点を取り、早めに試合を終わらせたい場面、敵失と四球で走者をためたところで打席には今井と同じルーキーの渡部。「とにかくつなぐことを考えた」というその打球は見事左翼フェンスを越える値千金の勝ち越し3点本塁打に。これが決勝点となり、4時間にせまる大熱戦にピリオドを打った。

 野球は本当に最後のアウトを取るまで結果は分からない。渡部の本塁打で3点差として迎えたその裏の守備で、ついに今井が踏ん張りきれずに、2失点。最後の打者を打ち取り、なんとか勝利したものの、1点差まで詰め寄られた。最後まで息もつけない展開となってしまったが、今井が1年生であること、あの緊迫した展開での登板であることを考えると、この試合の登板は上出来だろう。こうして勝ち点を奪取し、なんとか優勝への望みをつなげたワセダ。しかし、4年生の不振や拙守など、課題は残る。関が、「(クリーンアップでの出場について)前にも後ろにも頼れる先輩方がいてくださったのでプレッシャーは感じなかった」と語ったように、4年生の存在はチームにとって大きい。次週は優勝へ向け絶対に落とすことのできない早慶戦が待っている。最上級生の活躍なくして優勝はない。4年間の思いを胸に、ここから逆襲のワセダを見せていきたい。

(記事、写真 金澤麻由)

コメント

今井佑哉(社1=東京・早実)

――きょうの投球を振り返っていかがですか

全体的に、コントロールにばらつきがあったのですが、途中で修正できたのが良かったと思います。

――緊迫した場面での登板となりましたが、緊張などはありましたか

東大戦で一度投げているので、緊張などはありませんでした。しかし、緊迫した場面で投げるのは初めてだったので・・・はい。

――3点リードで迎えた11回の登板はいかがでしたか

3点リードだったので、2点取られてもいいか、と。少し余裕を持ちすぎたかな、というのがあります(笑)。

――きょうは1年生がとても活躍しました。同期の活躍というのはいかがですか

最後、(渡部が)ホームランを打ってくれて助かりましたし、うれしく思います。

――早実高出身ということですが、準硬式野球部を選んだきっかけは何でしょうか

先輩方に誘われて。硬式は厳しいと聞いていたので、準硬式を選びました(笑)。

――最後に今後の目標を教えてもらっても下さい

今後は新人戦(木村杯新人戦、新人戦)とか・・・。まだ1年生なので、ベンチに入れたら良いです。

渡部椋雅(商1=神奈川・桐光学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

全員野球をすることができたので、誰が打ったとか、誰が守ったとかではなくて、本当に全員でできたことが良かったと思います。

――きょうは2打数2安打でしたが

元々打つ方はあまり期待されてないというか、とにかくつなぐことを考えていました。それがいい結果につながったのかな、と思います。

――本塁打の打席を振り返っていかがですか

あれも同じで、同点の中で次につながるいい一本を打てればな、と思い振ったのがいい結果につながり、良かったと思います。

――部のHPには捕手として書かれていますが、内野守備はいかがですか

内野も色々やっているので、どこ登録、というのは気にしていません。もちろんキャッチャーもできますが・・・はい(笑)。

――高校ではどのポジションをされていましたか

高校も内野とキャッチャーですね。サード、ショート、最後はファーストをやっていました。色々やっていたので、それが大学に入っても生きていますね。

――早大を選んだ理由はなんですか

レベルの高いところで野球をやりたいと考えていて、硬式というのは自分のレベルに合わないので、その中でも強いということでワセダの準硬式野球部を選びました。

――最後に今後の目標を教えてください

自分のことよりは、このチームで優勝することが目標です。新人戦もあるので、少しずつ結果を残せればいいと思います。

関大輝(基理1=茨城・江戸川学園取手)

――きょうはリーグ戦初のスタメン出場でしたが、いかがでしたか

清瀬杯(清瀬杯全日本大学選抜)を機にスタメンを外れてから、リーグ戦(東京六大学秋季リーグ戦、秋季リーグ戦)でのスタメンを目標に練習してきたので、素直にうれしかったです。

――清瀬杯に続いて、クリーンアップでの出場となりましたが、プレッシャーなどはありましたか

前にも後ろにも頼れる先輩方がいて下さったのでプレッシャーは感じなかったです。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうの試合はなかなか逆転の兆しが見えず、勝つには厳しい試合展開ではありましたが、それでもチーム全員の、優勝したいという強い気持ちが点に結びつき、幾度とないピンチを耐えしのげたのかなと思います。苦しみながらもチームにとってすごく大切な一勝になりました。

――9回は関選手の安打から点が入りました。あの打席を振り返っていかがですか

清瀬杯や(秋季)リーグ戦を通じて自分が先頭で出て逆転するケースがよくあるので、あの打席はどんな形であれ塁に出ようと自分の全てを懸けて打席に立ちました。その結果、得点に結びつく形になり非常にうれしいです。

――5回裏には難しい打球を好捕されました。守備についてはいかがですか

法大戦は自分のエラーで負けてしまったので、守備面ではかなり不安視されていたと思います。しかし、その不安を埋めるように大輔さん(中村大)が細かく指示をしてくださり、あの打球を捕ったのは大輔さんから指示を受けた直後の事だったので、あの打球は大輔さんが捕らせてくれたと思っています。

――ワセダ大学を選んだ理由、そして準硬式野球部を選んだきっかけを教えてください

ワセダ大学は勉学、スポーツ共に一流の大学なので、大学生活が有意義なものになると思い志望致しました。準硬式野球部は勉強への理解が深く、理工学部でも続けさせていただけるので、入部させていただきました。

――優勝も射程圏内ですが、今後の意気込みをお願いします

次週の早慶戦ではスタメンで使っていただけるかまだわかりませんが、自分がどの役回りになってもこの素晴らしい4年生の先輩方と1日も長く一緒に野球ができるように自分のできることを全力でやり、どんな形でもチームに貢献して、チーム全員で必ず優勝を勝ち取ります!