1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 |
近大 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
(早)◯杉山-吉田 ♢(三塁打)森田 (二塁打)関 |
---|
東京よりもかなり涼しい北の大地できょう清瀬杯第50回全日本大学選抜が開幕した。負ければ即敗退が決まるトーナメント初戦の相手は関西の強豪校・近大であった。両校ともに実力が拮抗(きっこう)しており、厳しい戦いが事前に予想されていた。この日、先に先制したのは近大。押し出しも含めた3点を3回に失った。一方の早大打線はチャンスで中軸に1本が出ず、5回までを無失点に抑えられていたが、3点ビハインドで迎えた6回に森田達貴主将(スポ4=埼玉・県浦和)の適時三塁打と相手の失策が絡み、一挙4点を入れることに成功する。投げては先発・杉山周平(教3=神奈川・山手学院)がケガ明けであり、5カ月ぶりの公式戦登板であったが3回の3失点だけにとどめて完投。エースの粘りの投球と頼れる主将の一打でいいスタートを決めた。
この日先発の杉山は、2回までを0点で抑えていたが、3回の先頭打者に二塁打を打たれると、その後犠打で1死を取った後に死球を与えてしまう。その走者は吉田龍平(スポ3=東京・小山台)が盗塁を刺し、悪い流れを止めたかと思われたが、杉山はその後制球が定まらず、2者連続四球を出してしまった。強敵・近大相手であるために何としても先制点の献上だけは避けたかったが、3番、4番打者に連続で適時打を打たれると、5番打者にはまさかの押し出しの四球を与え、この回3失点。厳しい出だしとなった。杉山は4回以降は粘りの投球を見せ、追加点を許さなかったが、この日は早大の中軸が奮わなかった。チャンスで日頃早大の得点を支える3番・永井隆太(スポ4=石川・七尾)、4番・中村大輔(商4=東京・早大学院)に打席を回したものの、あと一本が出ず。苦しい展開となった。
帰ってきたエース杉山
しかし、この夏の早大はそのままでは終わらなかった。6回に1年生ながらクリーンアップの一角を担う関大輝(基理1=茨城・江戸川学園取手)が先頭打者として右中間への二塁打で出塁すると、続く徳島有樹(スポ4=早稲田佐賀)が遊撃へのゴロに執念のヘッドスライディングを見せ、内野安打とし、さらに遊撃手の悪送球により二塁走者・関が生還。思わぬ形で1点目を入れた。その後、1死二塁から代打の中村康祐(教2=早稲田佐賀)が中前打でつなぐと、打席には森田。この日全打席安打の森田の打球は中越え適時2点三塁打となり、同点に追い付く。さらには、三塁手の補球失策により、打者走者の森田までもが生還。この回、主将の適時打と相手失策により4点を入れ、勝ち越しに成功すると、この4点目が決勝点となり、強豪校からの貴重な1勝を手にした。
今日4打席4打数4安打3打点の森田主将
この試合、6回の森田の1打が勝敗を左右した大きな1打だったことは間違いない。しかし、森田がこのような成績を残すことができたのは、幹部学生を中心として相手校の分析をきちんと行ってきたからだ。それはきょう結果の出なかった他の野手も同じである。あすは、1試合目を制すれば、ダブルヘッダーとなり、その後すぐに2試合目が開始される。3日間で最大4試合を消化することとなる清瀬杯は、投手にかかる負担がいつも以上に大きく、野手の援護が重要となって来る。きょう早大は13安打を記録。あす以降はこの安打数を生かしてより多くの得点を取っていけるかがカギとなるだろう。1試合目を取れば、2試合目には同じ関東の強豪校・日大との一戦も予想される。最大の山場となる2日目を乗り越えられるか。
(記事 金澤麻由、写真 藤本壮汰)
コメント
森田達貴(スポ4=埼玉・県浦和)
――この大会はチームとして目標はどこに設定されていましたか
それはもちろん優勝を目指しています。全国大会なので。
――逆転勝利で勝ちましたが今のお気持ちは
勝って良かったな、それだけです。
――関西の大学ということであまり情報がない相手でしたがどのような準備をされてきたのでしょうか
幹部学生を中心として対策の動画を作ったりだとか、情報がなかったので、対戦経験のあるチームと練習試合をして話を聞いたり、高校時代の動画とかも引っ張り出してきて研究はしていたので、ある程度イメージはできていました。
――適時打の場面を振り返ってもらっていただけますか
2点をリードされていたので、1点ずつ取る意識で、転がせばなんとかなる、と思って思い切って振り抜きました。
――相手の先発投手をどのように見ていましたか
コントロールが良い、なという印象で打たされないようにだけ意識していました。
――きょうの試合4安打を放ちましたが好調の要因は
本当にたまたまで、大会に入るまでは悪かったのですが、ようやく昨日の打撃練習で上向いてきたかな、という感じで(きょうの自身の活躍にびっくりしています。
――あすに向けて意気込みお願いします
一戦必勝で必ず勝っていきたいと思います。
杉山周平(教3=神奈川・山手学院)
――きょうはケガからの復帰明け後、初の公式戦登板となりましたがいかがでしたか
さっき監督さん(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)から(ケガ明け後初の公式戦登板だと)言われたのですが、自分としてはケガ明け初登板だということは意識していなくて、終わった後に言われて気づいたくらいでした。本当に春(東京六大学春季リーグ戦)から投げられなくて、チームに迷惑をかけてしまったので、きょう自分の仕事がなんとか果たすことができて良かったと思います。
――試合前の近大打線のイメージはどうでしたか
対戦したことがなかったので、一回、(相手打線を)1巡見てから、という感じだったのだと思うのですが、1巡目を対戦し終わった後はキャッチャーの吉田とも(話して)バットが振れている選手が多いな、という印象を受けました。
――3回には3点を先制されましたが
あそこは自分としても苦しいピッチングになってしまったと思うのですが、3点を取られたところで、中村(大)さんなどの野手の方々がから声を掛けていただいて、そこで一旦気持ちを切り替えることができました。3点で(これ以上失点しないで)最後まで行こう、と切り替えることができて。それが良かったのだと思います。
――終盤にかけて立て直されていましたが、何か変わったことはありましたか
先を見るのではなくて、1回1回を抑えて、いけるところまでいこう、という気持ちだったので、それが良かったのかな、と思います。
――大学入学後初の全国大会出場となりましたが、実際に戦ってみていかがですか
(全国大会だからといって)特に自分のやることは変わらないので、そこまで緊張をすることはなかったのですが、野手の方々が援護をして下さって、声も掛けて下さって、支えて下さったのがきょうの1勝につながったのだと思います。
――あすの第1試合を勝ったならば、第2試合で日大と対戦することも想定されますが、いかがでしょうか
相手も「早大に絶対負けないぞ」という気持ちで向かってくると思うので、チーム一丸となって(戦って)いければ良いと思います。