攻守で実力を発揮し連勝!/立大1回戦

準硬式野球

立大1回戦
立大
早大 ×
(早)○向江、沼座-松下

◇(二塁打)吉田康

 チームは切り替えを迫られていた。東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)第1週。1勝1敗で迎えた対法大3回戦が悪天候のために行えず、4月29日(水・祝)に延期となった。決着のついていない試合を残したまま迎えた第3週。早大はリーグ戦前半の山場・立大戦に臨んだ。先発の向江洋光(人4=大分上野丘)は初回に先制点を許すも、その後は鈴木夏亥(社2=東京・早実)の好守にも助けられ、立大打線を零封。打線も投手陣の奮闘に応えて5回に勝ち越しをすると、7回にも追加点をあげて勝負を決めた。

 法大戦同様に第1回戦の先発を任された向江。初回、2番打者を死球で出塁させると、続く打者に左翼手頭上を越える二塁適時打を打たれ、先制点を許す。課題の立ち上がりで1点を失ったものの、それ以降は本来の打たせて取る投球で立大打線を抑えていった。同点で迎えた5回、向江を再びピンチが襲う。二死一、二塁の場面、4番打者・奥山碧志(立大)がはじき返した打球は中前へ。勝ち越しを許したと、誰もがそう思った。しかし、中堅手・鈴木が見事な好返球で本塁へ向かった走者を捕殺。相手が勢い付くのを阻止し、試合の流れを譲らなかった。鈴木は、7回にも再び本塁を狙った走者を同様に捕殺。「すごい自信になりました」(鈴木)と、本人も納得の2度にわたる好守でチームのピンチを救った。

鈴木が投じた球で走者を刺す松下

 ピンチの後には好機が来る――。試合の流れが勝敗を左右する、それが野球というスポーツの醍醐味だ。そして、この試合はまさにこの言葉を体現したものとなった。鈴木の好返球で勝ち越しを阻止した直後の5回。この回の先頭打者は、その鈴木。「何としても(走者に)出ようと思いました」(鈴木)と、振り抜いた打球は右前安打となる。連打で好機が広がり、打席には青木将敬(創理4=福岡・西南学院)。内野ゴロの間に鈴木が生還し、待望の勝ち越し点を奪った。追加点を取った7回。この回も鈴木が走者を捕殺した直後であった。笹井健佑(社2=東京・早実)の安打を皮切りに、相手のミスも絡んで3者連続出塁で好機をつくる。そして、続く松下和樹(先理4=静岡・掛川西)の内野ゴロで1点を追加。守備で引き寄せた流れを確実にものにし、試合を決定づけた。

勝ち越しの契機をつくった鈴木

 いまだに終わっていない法大戦を引きずることなく、しっかりとこの試合に照準を合わせてきた早大。攻守ともにその実力を発揮し、自分たちの野球で勝利を収めた。さらに、不振に陥っていた松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)が久々のマルチ安打を記録するなど、チームにとって明るいニュースも多い。このままの勢いに乗り、次戦で1つ目の勝ち点を奪取したい。

(記事、写真 杉田陵也)

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コメント

松本憲太郎主将(スポ4=福岡・筑紫丘)

――先々週の法大戦の決着がつかないまま、立大戦を迎えました。チームとしては切り替えが難しいと思いますが、その点はいかがですか

法大戦が終わっていませんが、立大戦は一つの山場だと僕は思っていたので、そこに向けてもう一度しっかり(チームを)つくっていこうということで、練習をしっかり頑張れたのかなと思います。

――雨の日が多かったですが、そのような日はどのような練習をしていましたか

グラウンドが使えない時は、基本的に全体としての練習は中止なのです。しかし、個々人に任せてウエイトトレーニングなど、(1人で)できることは僕たちが指示するとかではなく、完全に個人でやってもらっています。

――悪天候だけではなく、寒さも厳しい日がありました。全体練習も中々思うようにはいかない時もあったと思います

試合に出ていない選手や下級生がテキパキ動いてくれました。そのようなサポートもあって、やりたい練習を天気が悪い中でもできているのかなと思います。

――個人的にはきょうの試合で3打数2安打と、復調の兆しが見えてきたと思います

何となく打てるかなという感じがしていたので、きれいな安打が出て良かったと思います。

――きょうの試合ではチームで3失策でした。松本選手から見て、きょうの守備は何点ですか

難しいなあ(笑)。守備に関しては30点くらいです。内野は失策がありましたが、外野手に関しては、鈴木(夏亥、社2=東京・早実)が2回走者を刺しましたし、勝田(優斗、スポ3=千葉・成田)も代わってすぐに良いプレーをしました。そして、何より投手が頑張ったので、もう少し内野がやれればというところですね。

――相手のミスもありましたが、きょうも打線がつながり、良い状態をキープできていると思います

そうですね。その通りだと思います。

――あしたの試合に向けての意気込みをお願いします

良い流れで試合を運べて勝つことができたので、あしたもこの調子で、全員で勝ちにいきたいと思います。

向江洋光(人4=大分上野丘)

――きょうの投球を振り返っていかがですか

立大打線が自分に合っていて厳しい投球でしたが、よく粘れたなと思います。

――前回登板の試合と同様、立ち上がりで失点をしました。その点についてはどうお考えですか

しょうがない部分もありますが、強いて言うなら2番(打者)への死球(が改善すべき点)ですかね。しかし、(適時打を)打たれた球はそこまで悪い球ではなかったので、相手の方がうまかったのかなと思います。

――立大打線はどの点で向江選手の投球に合っていたのでしょうか

タイミングですね。迷いなく振られていたので、少し嫌な感じがしました。

――狙い球などを初めから絞られていたのでしょうか

そういうわけではないと思います。もう4年目ですし、だいたいどういう投手かというのは相手も分かっているので、そういう意味でうまく対策されているのかなと感じました。

――きょうはピンチの場面で好守に助けられた時もありました

そうですね。きょう勝てたのは、中堅手の鈴木夏亥(社2=東京・早実)と、僕の後を投げた沼座(翔平、スポ4=広島なぎさ)の功績が大きいと思うので、感謝したいと思います。

――勝ち越しをした後は笑顔も見られ、落ち着いて投球できていたと見受けられました

そうですね(笑)。余裕があったわけではありませんが、「守りに入るな」と、主将(松本憲太郎、スポ4=福岡・筑紫丘)や監督(池田訓久、昭60教卒=静岡・浜松商)が言っていたので、攻める気持ちを持って投げました。

――次戦への意気込みをお願いします

まずはあすの試合で勝つことと、(次週の)東大戦も気を抜くことなく、しっかり戦って勝ち点を取れるように頑張ります。

鈴木夏亥(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうは打撃が内容は悪くなかったのですが、結果が出ませんでした。そういう時に守備のミスは絶対にしてはいけないと思っていて、その中で自分の守備ができました。その場面(5回と7回)で1点をやらなかったということが得点につながったと思うので、打てなかった分を守備で貢献できたので良かったなと思います。

――1番打者には、早実高時代からの同級生・矢野匠選手(社2=東京・早実)が入りました。二人で話している場面もありましたが、どのような話をしていましたか

彼(矢野)はよく球を見られる選手なので、彼の意見や、相手投手がカウントによってどういう球を投げるのかということについてアドバイスをもらいました。僕はそのことを頭に入れて打席に立つことができたので、1番(打者)としてすごく信頼のおける選手だと思います。

――準硬式野球部には早実高出身の2年生が多く在籍していますが、やはり一緒にプレーしやすいですか

(早実高硬式野球部に在籍していた)僕たちの代は23人いたのですが、ほとんど(早大の)硬式野球部か準硬式野球部に入っていて、いまだにグループLINEが動いています(笑)。その中でも準硬式野球部の早実高出身メンバーは仲が良いと思います。

――きょうは外野からの好返球でピンチを救いました。肩の強さというのは自身の強みでもあると思います

そうですね。中堅手をやらせてもらっているので、なるべく安定した送球ができるようにと思っています。本塁に向かう走者を捕殺する場面というのはあまり巡ってこないので、それがきょう2回来て、両方(走者を)刺せたというのは、普段練習していたことがそのまま出てくれて、すごい自信になりました。

――4回に走者を刺した直後に打席が回り、出塁をして勝ち越しのホームを踏みました。自分の中で良い流れができていたのでしょうか

やはり、野球というのはそういうものだと思います。ここで僕が出塁できれば必ず好機が来ると思っていたので、先頭打者で何としても(走者に)出ようと思いました。それで出塁できたので、これも得点につながった要因だと思います。

――この流れのまま次の試合も勝ちたいところです

立大はすごく投手が良くて、あしたも谷さん(淳平、立大)という良い投手がいます。しかし、きょうのような粘り強い野球ができれば勝てると思うので、変に気負うことなくいつも通りの僕らの野球をできればいいなと思います。

矢野匠(社2=東京・早実)

――きょうは今季初のスタメン出場でした。振り返っていかがですか

素直に楽しかったです。待ち望んでいたので。

――昨年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)はレギュラーでした。ことしはベンチスタートとなった理由を教えてください

ずっと腰痛を抱えていました。1月から2月の中旬くらいまで全くプレーをしていなくて、なおかつ他の内野手がみんな良かったので。競争の中で試合に出られたので、嬉しかったです。

――腰の容体はもう大丈夫ですか

はい、大丈夫です。

――初めは硬さもありましたが、やはり緊張はありましたか

緊張はなかったのですが、普段とは違う環境の中で落ち着きはなかったと思います。

――それでも中盤以降は1安打2盗塁と、持ち味を出すことができたと思います

そうですね、自分のプレーができました。なおかつ府中市民(球場)には良い思い出が多く、(昨年の)秋季リーグ戦の初スタメンの試合もここだったので、思い入れのあるグラウンドです。

――あす以降への意気込みをお願いします

僕は僕の仕事をするだけなので、変に張り切ったりせずにやることをしっかりやりたいと思います。