4強逃すも4年ぶりベスト8! 中野&道下の一本で中央大を下す

柔道

 ベスト4入りを目標に今大会へ臨んだ男子部。初戦の同志社大、続く仙台大に快勝し、第3戦で前年度ベスト8の中央大との対戦を迎えた。試合は一時リードを許すも、中堅の中野智博(スポ3=神奈川・桐蔭学園)と三将の道下新大主将(スポ4=東京・国士舘)が連続で一本勝ちを収め、逆転に成功。後続もそのままリードを守り切り、8強をかけた接戦を制した。続く準々決勝では明大に敗れて4強を逃したが、2019年以来となる同大会ベスト8入りを果たした。

中央大戦で内股を決めた中野

 大会1日目、早大は昨年2回戦で5-0と快勝した同志社大を初戦の相手に迎えた。先鋒、次鋒は引き分けに終わるも、五将の安藤健志副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が一本背負投と大外刈の合わせ技で一本勝ちを収める。これを皮切りに後続の4選手が全て一本を奪い、昨年と同じ5-0で同志社大を下した。大会2日目に迎えた仙台大との2回戦では、先鋒・中野が開始7秒で小内刈を決めて技ありを獲得、そのまま優勢勝ちを収めてポイントを先取する。その後仙台大に一時リードを許したものの、中堅・道下主将が大外巻込で一本勝ちを収め、再びリードした早大。続く三将・長澤篤希(スポ2=静岡学園)ら後続の選手も3人連続で勝利を収め、5-1で3回戦進出を決めた。

仙台大に臨んだメンバー

 ベスト8入りをかけて迎えた中央大戦。先鋒・飯田健介(社3=福岡・南筑)は激しい技の掛け合いの末に引き分けとなり、続く次鋒・中島瑞貴(スポ3=福岡・西日本短大附)は得意の寝技に持ち込む攻めを見せるも、残りあと30秒足らずで反則の一本負けを喫する。3人目の五将・長澤は体重が自身を約44キロ上回る選手を相手に迎えたが、体格差に気圧されることなく、価値ある引き分け。そして未だリードを許す中、呉世鎭監督(平20教卒=千葉・成東)が「スーパーエース」とも評する中堅・中野が畳に上がった。開始から1分も経たぬ中、中野は相手が技を掛けようと体勢を崩した瞬間を逃さず、何度も内股を仕掛けていく。猛攻でバランスを保てない相手に、中野が3度目に掛けた内股が決まり、中央大とのポイント差を埋める貴重な一本勝ちを収めた。

三将・道下に思いを託した

 中野の一本勝ちで中央大に追いついた早大。続いては三将・道下がリードを奪うべく一戦に臨んだ。道下は開始直後から激しい組手争いを繰り広げると、20秒ほど経過したところで相手と体を密着させ、懐に入り込むような動きを見せる。その後すかさず自身の左足を相手の左ふくらはぎ付近に掛けて重心を崩し、一気に後方へ押し倒した道下。見事に大内刈を決めて一本勝ちを収め、盛り上がる早大選手たちを背に、力強いガッツポーズを見せた。一転してリードを奪った早大は、続く副将・笠井雄太(スポ2=愛知・桜丘)と大将・園田陸斗副将(スポ4=熊本・九州学院)が引き分けに持ち込み、2−1の僅(きん)差で勝利。中央大との接戦を制し、準々決勝へ駒を進めた。

大内刈を決めた道下

 目標のベスト4入りへ、明大との一戦に臨んだ早大。しかし、先鋒・飯田が序盤に内股で技ありを取られて優勢勝ちを許すと、続く次鋒・安藤は自身が掛けた大外刈に対して大外返を決められ、一本負けを喫してしまう。なんとかポイントを取りたい中、五将・笠井が中盤に払巻込で技ありを獲得。その後、相手が寝技のために自身に覆い被さった隙を突いて体を返し、後袈裟固で技ありを決めて一本勝ちを収めた。このまま勢いに乗りたい早大だったが、中堅を務めたエース・中野が終了まで残りわずかのところで小外刈を決められ、痛い一本負け。早大は続く三将・道下が引き分けに終わり、勝利には後続二人の一本勝ちが絶対条件という苦しい展開となる。もう後がない中で続く副将・中島が悔しくも敗れ、2-4で準々決勝敗退となった。

後袈裟固を決める笠井

目標のベスト4には届かなかった

 ベスト4入りとはならなかったものの、同大会4年ぶりとなるベスト8を決めた早大。悔いが残る場面もあるであろうが、主将の道下が「チームの色が出ていた」と振り返った中央大戦など、今大会は選手たちに自信や成長を感じさせたものとなったはずだ。次に迎える団体戦は、10月に兵庫・尼崎で行われる全日本学生体重別団体。それまでの個人戦においても、今大会の勝利と敗北が、今後選手たちを躍進に導くことを願うばかりである。

 優秀選手賞を受賞した笠井

 ベスト8で大会を終えた男子部

(記事・写真 湊紗希)

結果

▽1回戦  対同志社大 ○5−0

▽2回戦  対仙台大  ○5−1

▽3回戦  対中央大  ○2−1

▽準々決勝 対明大   ●2−4

コメント

道下新大主将(スポ4=東京・国士舘)

――どのような目標で今大会に臨まれましたか

 今回のチームの目標は、ベスト4以上でした。部としてベスト4以上に残ることはしばらくなかったことなので、悲願として部全体として取り組んできました。

――今大会を振り返っていかがでしょうか

 ベスト8を決めた試合(中央大戦)はチームの色が出ていました。上手くいかない選手や上手くいっている選手がいる中で、しっかりと流れを考えて個人個人の仕事ができたんじゃないかと思います。

――今大会で得られた収穫はありますか

 負けてしまった明治戦は、前の試合後すぐの連戦でした。その中でも集中力を欠かさないよう次の試合に臨むという部分は、うちよりも明治大学さんの方が上手だったのかなと感じましたね。

――大会を通じて、主将としてどういった点を意識されましたか

 団体戦なので、まずそれぞれの仕事をしっかりしようと常に言っていました。試合に出る選手に限らずチーム全体で、全員で集中して練習に臨むようにという点は意識していました。

――最後に、今後の意気込みをお願いします

 今大会で自信のついた選手もいると思うので、そういった意味で、東京都の個人戦(東京学生体重別)や全日本の個人戦(全日本学生体重別)、あとは尼崎の体重別団体(全日本学生体重別団体)、早慶戦(早慶対抗戦)で当初立てた目標を個人やチームが到達できるように、チーム全体を引っ張っていきます。

笠井雄太(スポ2=愛知・桜丘)

――今大会はどのような目標で試合に臨みましたか

 2年生ですが、監督からポイントゲッターと言われて結構期待していただいているので、先輩後輩関係なく、中心としてチームを盛り上げていきたいという気持ちで臨みました。

――昨年1年生の時も出場されていましたが、去年と比べてチーム内での役割、心境の変化はありましたか

 1年生の時は場に慣れることに精一杯で、監督からポイントゲッターと言われても獲りきれない試合も多かったと思います。今年は慣れてきたので、その分集中できて結果が伴ってくるようになりました。

――その上で今大会を振り返っていかがでしょうか

 いやあ、ダメダメですね(笑)。自分の思っている勝ち方が出来なかった、悔いが残るというか、もっと追い込めんたんじゃないかなって感じでした。次の尼崎の体重別団体戦に向けて調整していきたいと思います。

――今大会で得た課題や収穫はありますか

 技術面では、技出しの遅さが課題だなと感じました。チームで見ると、道下キャプテンの下でまだ慣れ切っていないように感じるので、もっとチーム力を上げていけたらなと2年生ながら思います!やっぱりチームを盛り上げていきたいです(笑)。

――最後に、今後への意気込みをお願いします

 団体では、まず個人的に直近の尼崎でベスト4です。自分としては日本代表になりたいのでそこを目指して頑張ります!

呉世鎭監督(平20教卒=千葉・成東)

――今大会2日間を振り返っていかがでしょうか

 まず怪我人が多く、東京学生(東京学生優勝大会)に出ていなかった選手を使うなど、新しくリセットした感じで臨んだ部分があったと思います。なので、昨日の試合(同志社大戦)や今日の初戦(仙台大戦)はバタバタした部分があったかなと思いますけど、道下キャプテンをはじめ4年生がいい雰囲気でチームを引っ張ってくれたので、それがいい方向に働いたんじゃないかなと思っています。

――試合前には、選手たちへどういった声掛けをされたのでしょうか

 今まで一生懸命頑張ってきたので、とにかく自信を持って、新しいことは特にやらずに今までやってきたことに自信を持ってやってこいと伝えました。大会を終えて振り返った時に、全力を出し切れたなと思えるようにと声を掛けましたね。

――中央大、明大戦が特に重要な試合だったかと思います。どのようなプランで臨まれたのでしょうか

 正直、2試合とも相手のオーダーが少々読めなかったので、まず選手個人個人を見て、チームの流れを作れるメンバーを出していきました。やはり中野(中野智博、スポ3=神奈川・桐蔭学園)というスーパーエースと、道下というしっかりしたキャプテンがいたので、その辺りを基準にチームを作ったという感じですかね。

――上記の2試合で想定内だったこと、または想定外だったことを教えてください

 想定外だったことはいっぱいあるんですけど…(笑)。想定内だったことは、やっぱり道下はしっかりしていたということですかね。あとはいい想定外という点で、道下や園田(園田陸斗副将、スポ4=熊本・九州学院)ら4年生がいい感じで仕上がってきたかなと思います。

――最後に、今後チームをよりよくしていく上で呉監督自身が取り組みたいことは何でしょうか

 基本的に僕もそんな練習に毎日いられる訳ではないので、やはりキャプテンが自分で考えて、指示を出しやすいようにしてあげるべきかなと思います。僕のできることといったら出稽古などの環境を整えてあげることかなと感じていますし、幸いにも今の学生たちは自分で考えて、勝つために必要なことを自分でしっかりできる生徒たちだと思います。とにかく考える環境を作ってあげること、そして考えたことを実践できる場所を提供してあげることが、大事かなと思っています。