男子部からは4選手が出場 1年生の中野が準優勝の快挙達成! 

柔道

 体重別の個人戦で学生日本一を決める全日本学生体重別選手権が2年ぶりに開催された。男子部からは、仲島聖悟副将(スポ4=東京・修徳)、佐藤虎太郎(スポ4=神奈川・桐蔭学園)、安藤健志(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、中野智博(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が出場。ベスト8以上の成績を残すと、講道館杯体重別選手権(講道館杯)の出場権を獲得できる今大会で、佐藤がベスト8、中野が準優勝の快挙を成し遂げた!

がっちりと押さえ込む安藤

 大会1日目は仲島と佐藤が登場。仲島は2回戦からのスタートとなったが、初戦特有のかたさを感じさせない試合運びのなかで、見事な背負投を決め一本勝ち。続く3回戦、上位入賞に向けて勢いをつけたいところだったが、開始わずか47秒で相手の豪快な払腰をくらい、一本負け、仲島は悔しい3回戦敗退に終わった。

 1回戦を危なげなく勝ち抜いた佐藤は、続く2回戦も相手に圧力をかけ続け、反則勝ち。3回戦は序盤から両者が圧力をかけ続ける拮抗(きっこう)した展開となる。結局、4分間で決着つかず試合はGSへ。GSに入って4分半、ついに均衡が破られる。相手が中途半端な体勢から腰技に入ったところを見逃さず、腰に腕を巻きつけ、裏投のようなかたちで小外刈を決め一本。そして迎えた準々決勝、過去の大会で勝利経験のある相手に対し、佐藤のペースで試合は進む。しかし試合開始から1分が経過したときにアクシデント発生。佐藤が手首を負傷し、相手の道着を掴むことさえままならない状態に。痛みに耐えながら懸命に技をかけ続けるも相手の内股が決まり、なすすべなく敗北。佐藤にとって悔しいベスト8となったが、「1回戦から調子が上がらなかった」という中で、なんとか講道館杯への切符を手にした。

豪快な小外刈を決める佐藤

 大会2日目は安藤と中野が登場。安藤の1回戦は開始15秒、見事な一本背負いが決まり、一本勝ち。続く2回戦も相手がうつ伏せになったところを豪快に返し、袈裟固で難なく勝利。ベスト8進出をかけた3回戦、序盤から相手の攻めを受ける時間が続く苦しい展開。指導を1つ受けたところで迎えた2分37秒、相手の大内刈でバランスをくずし前屈みになったところで、上から帯を掴まれて豪快な釣腰(公式記録は大腰)を決められる。ベスト8にあと一歩及ばなかった。

 1年生の中野は他大学の強豪選手を相手に次々と勝利をおさめ、ベスト8進出がかかった3回戦を迎える。相手は日体大の八木。身長差で劣る相手に上から圧力をかけられ、前半のうちに指導を2つ重ねる苦しい展開に。しかし、ここで終わらないのが中野。「このままだと負ける」(中野)という展開だったからこそ、思い切りよく攻めの姿勢に転じることができた。試合終盤、相手との間に生まれたわずかなスペースを逃さずに、背負投に入る。この技が決まって技ありを獲得、そのまま押さえ込んで一本勝ち。上位入賞に向けて価値ある1勝となった。続く準々決勝も勢いそのままに勝利し、上位入賞を決めて迎えた準決勝、互いに主導権を譲らぬ展開が続く。4分間で決着つかず、両者ともに指導2つを重ねた状態で、GSに突入。組んでから積極的に技をかけ続けている中野に対し、相手は疲れの色を見せはじめる。奥襟を掴みにくる相手に対し屈することなく攻め続け、相手の指導を誘い、反則勝ち。ついに決勝戦に駒を進めた。今大会において早大男子柔道部の優勝はまだない。(女子部は2015年に渡邊聖未(平31スポ卒=現アドヴィックス所属)が優勝している)。歴史に名を刻みたいところだったが、「ただただ相手が強かった」(中野)と振り返ったように、思うような柔道をさせてもらえず、2分7秒で一本負け。それでも堂々の準優勝という快挙を成し遂げた。

中野は1年生ながら準優勝という好成績を収めた

 出場した4人の選手それぞれで実りと課題が見つかった今大会。特に実力十分ながらも、目に見えるかたちとしてなかなか結果に現れなかった中野にとって、今回の快進撃は大きな自信になっただろう。来月には全日本学生体重別団体優勝大会が控えている。少数精鋭の早大柔道部にとって怪我人が相次いでいることは懸念点ではあるが、一戦必勝、目標の上位入賞を目指す。

(記事・写真 安齋健)

結果

▽66kg級

仲島聖悟副将(スポ4=東京・修徳) 3回戦敗退

▽73kg級

佐藤虎太郎(スポ4=神奈川・桐蔭学園) ベスト8

▽90kg級

安藤健志(スポ2=神奈川・桐蔭学園) 3回戦敗退

▽100kg級

中野智博(スポ1=神奈川・桐蔭学園) 準優勝

コメント

佐藤虎太郎(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今大会はどういった意気込みで臨まれましたか

 とにかく優勝しなくてはならないと思って臨みました。

――準々決勝の敗北直後の悔しそうな様子が印象的でした。試合を振り返ってもらっていかがですか。また、どこかを痛めているようにも見えましたが影響はあったのですか

 試合中手首を骨折してしまって。全日本ジュニアで過去に対戦した時に勝っていたのこともあり、そのイメージで試合展開もいい感じで進んでいたのですが、怪我をしてからは相手をつかむことができず、柔道にならなくなってしまいました。投げられた時は悔しいというよりも痛くてどうしようもなかった感じです。

――ベスト8という結果については

 すごく悔しい結果ではあるのですが、最低限の講道館杯(の出場権獲得)というところにはつながったので。1回戦からなかなか調子も上がらなかった中でこの結果は良かったのではないかなと思います。

――数少ない残された試合への意気込みお願いします

 怪我をしてしまい、次の団体戦は出場できるか分からないのですが、年明けの講道館杯は早大柔道部を背負って臨む最後の試合ということもありますし、ここで爪痕を残さないと自分の名前も消えていってしまうというのもあるので、最後まで必死にやり切ります。

中野智博(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――準優勝おめでとうございます。悔しさもあると思いますがこの結果をどう受止めていますか

 準優勝は今の自分に妥当な結果であったと思います。今回の試合は久しぶりに自分の柔道をすることができ、調子は良かったです。ただ、あと一歩足りなくて、もう一皮をむくことができない自分の弱さが出たのかなと感じています。

――初戦から準決勝までを振り返って、印象に残っている試合と理由を教えてください

 どの試合も難しい試合だったのですが、僕の中では3回戦の八木選手が特に印象に残っています。先に指導を2つもらって、自分の中で「このままだと負ける」って思って。どうせ負けるなら1回背負い投げに入ろうと思っていたのが掛かったので、それが勢いにもつながりました。

――決勝戦の試合を振り返っていかがですか

 決勝戦は気持ちでは負けてなかったと思います。しかし、気持ちなど関係なしにただただ相手が強かったです。自分が考えていたこともやったのですが、全て相手に吹き飛ばされた気分でした。

――次戦以降への意気込みをおねがいします

 準優勝という結果ですが、自分がここまで戦えたことは自信になりました。ただ、この結果に満足せずにあと1戦を勝てるように稽古を積みたいと思います。次こそ優勝を目指して頑張ります。