第2回目の連載では女子部主将としてチームをけん引する岡田蛍主将(スポ4=愛知・大成)と、主将と共にチームを支える藤原七海副将(文構4=福岡・修猷館)、木村萌乃主務兼副将(社4=群馬・前橋育英)をお招きする。大学4年間の集大成である早慶戦に向けて、今までの取り組みや意気込みを伺った。
※この取材は10月23日にオンラインにて行われたものです。
主将としてチームをけん引する岡田選手
――今年はコロナで練習がストップするなど、いつもと違うスケジュールになったと思いますが、自粛期間中の部としての練習はどのようにしていましたか
岡田 トレーニングのメニューをトレーナ―の方が提示してくれていたのでそれを各自各々やるという感じでした。
――それはどういったメニューをやられていたのですか
藤原 ウエイトができる環境にいる人が結構少なかったので自重でできる、ながらでできるトレーニングだったり、公園の遊具を使ってできるトレーニングが提示されていました
――自粛期間中に意識して取り組まれたことは何ですか
岡田 試合があるかわからなかったのですが、ある覚悟でいたので、いつ試合ができるようになるとか、練習が再開しても体を動かせるようには準備していました。
藤原 一年生が入学してすぐ自粛という形になったので、あまり一年生と話したことがなかったのでラインの電話とかで積極的にコミュニケーションをとって一年生が不安にならないように心がけていました。
木村 さっき七海が不安にならないようにという話をしていたのですが、自分自身が毎日のトレーニングがルーティン化してしまって、トレーニングで実力がついている意識ができなかったので、それで不安にならないようにリフレッシュもしっかりやっていました
――どういったリフレッシュをされていたのですか
木村 犬と散歩したり、家族みんなでタコパしたりしていました。
――練習がストップして長期間柔道から離れていたと思うのですが、練習再開後、けがなく練習をするために具体的にはどのような工夫をされていますか
岡田 練習が再開されて、すぐに激しい練習をするのではなくてだんだん段階を上げていきました。トレーニングだけ、打ち込みだけの日もありました。上手く段階的に練習を再開できたので、自粛によるけがは今のところないです。
――自粛期間があけて、柔道に対する考え方や練習との向き合い方が変化した部分はありますか?
藤原 自粛期間中、柔道が恋しかったので、こっちに帰ってきても一時柔道着を着て練習を行うことができないということもあったので、柔道がより好きになりました。
木村 柔道が好きになったのはもちろんなのですが、無理をしないでも強くなれるということを学びました。
――無理をしないとはどういうことですか
木村 柔道部って投げられることの意識というか、投げられないことを意識していたので、今は投げられても大丈夫で投げ返すという意識でやっています。
――自粛期間だったからこその練習でのプラス面、マイナス面はありましたか
藤原 練習再開したての頃は息がとてもあがりました。吐きそうでした。
岡田 自粛が始まったのが3・4月だったので、いつもだとそこから新チームがスタートになるのですが、それが曖昧になってしまって。例年は試合も段々と始まって、チームが固まっていると思うのですが、今年はどこかチーム力が去年と比べたらあれかな(低いのかな)と思います。
木村 ずっと自粛期間中は一人で練習していたのですが、みんなと合流した時にやったラントレは一人の時よりもきつかったです。みんなと競争することで自分を追い込めるので、そこは今のプラス面です。
――コロナの影響で試合の中止が相次ぐ中で、モチベーションを保つためにどうしていましたか
岡田 すぐに試合が中止になるということはなかったので、先の試合もあるかもしれない、と考えてモチベーションを保っていました。今も早慶戦があるので、そこまでは走れますし、(練習が)始まったら乱取りするので、一日一日、目の前の相手に勝つことを目標にして、保っていました。
――皆さんそれぞれ役職についていると思うのですが、ご自身の役割や大変だったことがあればお聞かせください
岡田 自分はキャプテンなのですが、今のところ自粛で練習もできていなくて、試合もなくてで、正直キャプテンとしては仕事をしていなくて。本当に練習の号令をかけるとか、そのくらいしかできていないと思っています。一応、練習中も全体を見て元気がなかったり、気付いたことがあったら声を出しているつもりなのですが、やっぱりまだキャプテンとして仕事ができていないと思うので、それこそ最後の締めである早慶戦ではキャプテンとしてかっこいいところを見せたいと思います。
藤原 私は部員へのトレーニングの指示を行っているのですが、自粛期間中に全部員にどんな練習をしているのかを聞いて、早稲田のヘッドトレーナーがいらっしゃるので、その方と学生トレーナーとも連携しながら女子部のトレーニング管理を頑張りました。その頑張りが早慶戦で成果として発揮できればいいなと思います。
――そのトレーニング管理というのは、先ほど仰っていた一年生に電話をしたり、コミュニケーションを密に取るということですか
藤原 そうですね、一年生は何をしたらいいかわからない子がほとんどだと思うので、電話して具体的に説明したり、困っていることがないかを気を付けて聞きました。
木村 私は主務として、本来ならば試合の手続きなどをするはずだったのですが、今年は大会の中止だったりで、取っていた施設のキャンセルの手続きを主にやっていて。それが過去にはなかったことなので、マニュアルがなくて、それがとても大変でした。やっと今年になっての初めての仕事が早慶戦で、今具体的に早慶戦をするために動いているのですが、この仕事をして引退できるかなと思います。
――今年のチームの状況についてどう思われていますか
岡田 一年生がレベルが高くて、それこそインターハイでチャンピオンだったり、実力が高い子がいて。二年生以上は実力もあるし、ここまでやってきた団結力もあるので、チームとしてはとてもいい状態だと思います。
――現在のチーム内の雰囲気はいかがですか
藤原 一年生が5人入ってきて、人数が増えたので、みんなでワイワイいい雰囲気だと思います。
――今年の新入生の印象はどうですか
藤原 若い。
一同 (爆笑)。
藤原 足が速い。体力がある。強い。元気。
――新入生の入部してからの変化で何か感じたことはありますか
藤原 こっち(大学での練習)に戻ってきてからウエイトトレーニングをやりはじめたので、ガタイが良くなった気がします。あとは、女子柔道部が体幹トレーニングを大切にしているので、その成果が柔道にもでてきたのではと思います。
副将兼トレーニング隊長を務める藤原選手
――これからプライベートな質問をさせていただきます。お互いの印象を教えて頂きたくて、他己紹介をお願いできますか
藤原 岡田さんからいきますね。岡田さんは一年生の時と比べて前髪が伸びました(笑)
一同 (爆笑)
藤原 印象じゃないですね(笑)。ツッコミもできてボケもできる印象です。やっぱり関西の出身なので、オールマイティですね。後はそうですね、印象か…
――印象でなくて、紹介でも大丈夫です
藤原 そうですね、自分と木村は21歳なのですが、(岡田選手は)早生まれで22歳なんです。年が一歳くらい違うので、お母さんみたいな感じです(笑)。あとはたらこスパゲッティが好きですね。ずっと食べてますね。
――なぜたらこスパゲッティなのですか
岡田 小さい頃から好きなんですよね(笑)。
木村 後はダンスが上手です(笑)。自分はできないので、うらやましいです。
――どんなダンスをやられるのですか
藤原 最近流行りのKpopです。虹プロとか。
岡田 KARAとか好きだったんです。踊るとすごいウケるんです。
藤原 後輩とかが、踊ってくださいよって言ったら踊ってます。
――次に藤原選手の紹介をお願いします
岡田 実際は勉強もできて頭がいいんですけど、すごく幼稚です(笑)。すごいしょうもないんです(笑)。
藤原 しょうもないエピソード?(笑)よく冗談言うかもね。
――どういった冗談を言われるのですか
岡田 しょうもないから記憶にも残ってないです(笑)。部屋が同部屋なのですが、夜通し「右手が取れてでも!」と言いながらツムツム(ゲーム)をしていました。中二病っぽいですね(笑)。
藤原 確かに言ってました。「右手が果ててでも!」って(笑)。
岡田 あとは酒豪ですね。
藤原 九州出身なので、めちゃくちゃ飲みます(笑)。
木村 あとは、意識高くタンパク質とかとってるかと思ったら、いきなり変なの食べたり。急な行動が多いです(笑)
岡田 あとはあんこのイメージ。
藤原 そうだね。あんこ好き。(岡田選手が)たまにおっきいどらやき買ってきてくれるんです。あんこで餌付けされてます。
――次に木村選手の紹介をお願いします
岡田 宇宙と交信している。
一同 (爆笑)
藤原 本当なんです。どっかの星と交信してます。
岡田 萌乃も主務なので、しっかりしていて頼りがいはあるんですけど、話が通じないんですよ。仕事の話はできるんですけど、日常の会話はなぜか通じないんです(笑)。
藤原 本当にそう(笑)。会話していて、「そこなの?!」となります。
一同 (爆笑)
岡田 あとは、逆境を楽しむタイプですね。ポジティブ。
藤原 そう捉えるかっていうね。
岡田 みんなが嫌がることを率先してやってくれています。
藤原 あとは自粛明けの靴下焼けがすごかったです。たぶん自粛期間にランニングをとてもやっていたからだと思うんですが。
木村 いえ、競技変更をしようと思って。
一同 (爆笑)
藤原 そういうこと言いだすんですよ(笑)。
一同 (爆笑)
――四年生ということで今年が大学でのラストイヤーですが、大学生活を振り返って今思うことはありますか
藤原 あっと言う間でした。この前入学したのにという感じです。
木村 足りないよね。
藤原 一年生がてんやわんやして一番忙しかったなと思います。柔道の練習や授業だったりで毎日が秒でした。
岡田 いろいろもっと計画的にできていれば、もっと部活や日常のことでもスムーズにいけたのになあと思います。あとはもっと遊んでおけばよかったなと思います。
藤原 そうだね。もっとウェイウェイできたかな(笑)。
岡田 学年が上がるにつれていろいろ切羽詰まってきます。
木村 遊ぶタイミングはあそこだったなと今になったら思うことはありますね(笑)。
岡田 あるあるだね。トレーニングは今一番強度が高いのでしんどくて、それに関しては頑張っているなと思います。練習のメニューが一年生と比べて濃くなっています。
木村 年とっているのにね(笑)。
主務兼副将としてチームを支える木村選手
――柔道部での4年間を振り返っていかがですか
岡田 三年生までは上に先輩がいるので、試合とかも先輩が引っ張ってくれていて、それまでは何も考えずやっていたのですが、いざ四年生になって上の立場でやるとなったら自分たちが以前の先輩にようにやらなければならなくて、そう考えると、先輩方は偉大だったなと思います。
藤原 岡田さんと一緒で、先輩の偉大さは感じますね。今は多いのですが、女子の人数が自分たちが一・二・三年生の時は少人数で。少人数だからこそ、先輩達が一人一人気にかけてくれて、引っ張ってくれていました。いざ自分たちが四年生になって後輩も増えて、たくさん引っ張らないといけないという状況になった時に、「ああ、四年生は大変だな」と思いました。
木村 柔道部を振り返ると、トレーニングはきつかったとかあるのですが、学校生活の中では柔道部といた時間が一番長かったと思います。ずっと部活をしていましたね。
――早慶戦は皆さんにとってどのような舞台ですか
藤原 めちゃくちゃ緊張する舞台です。
岡田 今までも緊張してきたのですが、やっぱり早慶戦が引退試合となると、より緊張します。伝統もあるし、早稲田の意地もあるので。
藤原 あと、私と岡田の復帰戦なんです。けがしていたので。復帰戦が引退試合なんです。複雑な気持ちなんですけど、とても緊張しています。
木村 今年になって初めて試合ができる大会なので去年は一週間前から緊張するかなという感じだったのですが、今年はまだ一カ月前でもとても緊張しています。
岡田 あと、団体戦で三人で出るのは初めてなんです。
藤原 最初で最後だね。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
岡田 さっきも言ったのですが、まだキャプテンとしてかっこいいところを見せられていないので、早慶戦では四年生の意地とか、キャプテンとしての最後の仕事だと思って、しっかりポイントを取って優勝したいと思います。
藤原 女子は三回目の大会なのですが、今まで全部慶應に勝ってきているので、今年ももちろん勝って、来年以降のいい流れにもっていきたいです。また、自分の柔道人生の最後の試合でもあるので、しっかり勝利を飾りたいと思います。
木村 私は今年三回目の早慶戦に出場するにあたって、二回は引き分けだったので、最後はポイントを取って、勝って終わりたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 倉持七海)
楽しそうにポーズを決めてくださいました
◆岡田蛍(おかだ・ほたる)(※写真左)
1998(平10)年4月11日生まれ。160センチ。愛知・大成高出身。スポーツ科学部4年。お母さんのように頼りがいがあるという岡田選手。小さい頃からたらこパスタが大好きなのだそうです。『たらこパワー』で3度目の早慶戦優勝に向かってチームを引っ張ります!
◆藤原七海(ふじわら・ななみ)(※写真中央)
1999(平11)年3月31日生まれ。160センチ。福岡・修猷館高出身。文化構想学部4年。女子部のトレーニング隊長として一年生の指導もきめ細やかに行う藤原選手。しっかり者と評されながらもあんこが大好きで岡田選手に餌付けされている(?)という一面も。早慶戦では4年間の集大成に注目です!
◆木村萌乃(きむら・もえの)(※写真右)
1999(平11)年3月21日生まれ。157センチ。群馬・前橋育英高出身。社会科学部4年。「板に乗りたい」と最近スケボーを始めたという木村選手。逆境を楽しむタイプと、いつもポジティブな木村選手は自粛期間中も工夫して練習を行っていました。大学最後の早慶戦では必ず勝利を収めてくれるでしょう!