全日本学生優勝大会から早2週間。15歳〜20歳までの若き精鋭たちが東京武道館に集まった。今大会は各階級上位3〜5名に全日本ジュニア体重別選手権(全日本ジュニア)への出場資格が与えられる。早大からは男子8名、女子4名の計12名が出場した。男子73キロ級の佐藤虎太郎(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が優勝、男子66キロ級の仲島聖悟(スポ2=東京・修徳)が3位という好成績を残し、全日本ジュニアへの出場権を獲得した。
ハイレベルな戦いに各選手が苦戦を強いられる中、一際注目を集めたのは佐藤虎だった。「緊張していて、出来としては30点ぐらい」と振り返るが、順調に準決勝まで勝ち上がる。準決勝では残り1分30秒のところで、裏投げが決まり先制点を獲得。その後、相手の猛攻にあうも、何とか逃げ切り決勝進出を決めた。決勝戦の相手は村上優哉(日大)。佐藤虎と同学年で、2017年の高校総体では優勝を果たした実力者だ。「相手が強くて心が折れてしまっていた」という佐藤虎。前半は相手ペースで試合が展開された。しかし、両者とも得点がなく試合は膠着(こうちゃく)する。どちらに流れが傾くか分からない状況が続く中、試合が動いたのはラスト15秒。組み合った直後に佐藤虎が仕掛け、大外刈りで試合を決めた。
背負投げを決める佐藤虎
また66キロ級の仲島も快進撃を見せた。「調子は良い」と臨んだ今大会は、苦手なタイプの相手にもしっかり対応をして得点を奪う。準々決勝では自分の得意とするかたちで一本を取り、全日本ジュニアへの出場権を勝ち取った。準決勝の相手・武岡毅(國學院大)は高校の時からよく対戦していた相手。「大学生になって初めて戦うので勝ちたかった」と語る仲島だが、先制を許し勝利にはあと一歩及ばなかった。一方の女子部は木村萌乃(社2=群馬・前橋育英)が3回戦まで駒を進めた。「今回の試合でまだまだ勝負できるという自分の自信につながった」(木村)。厳しい戦いが続いたが、自らの成長を実感できる大会となった。
果敢に攻めた仲島
今大会で佐藤虎と仲島が全日本ジュニアへの切符を手に入れた。「一戦一戦しっかり戦って全日本ジュニアで優勝し、世界ジュニア選手権に行きたい」と話す佐藤虎。9月に行われる全日本ジュニアまであと2ヶ月。今大会で見つかった収穫と課題を生かし、今後の練習で技術面も精神面も磨いていきたい。
(記事 瀧上恵利、写真 西山綾乃)
結果
男子
▽男子66kg級
仲島 3位 全日本ジュニア出場権獲得
尾上太郎(国教1=東京・成蹊) 1回戦敗退
▽男子73kg級
川島聡太(先理2=三重・四日市) 1回戦敗退
坂上伶(社2=長崎南山) 1回戦敗退
佐藤虎 優勝 全日本ジュニア出場権獲得
▽男子90kg級
百瀬敦也(社2=長野・松本第一) 2回戦敗退
長嶋勇斗(スポ1=山梨・東海大甲府) 3回戦敗退
▽男子100kg級
高山康太(スポ1=神奈川・桐蔭学園) 1回戦敗退
女子
▽女子48kg級
中野愛巳(社2=福岡・南筑) 2回戦敗退
▽女子57kg級
藤原七海(文構2=福岡・修猷館) 1回戦敗退
木村萌乃(社2=群馬・前橋育英) 3回戦敗退
▽女子70kg級
尾﨑美玲(スポ1=愛知・大成) 2回戦敗退
コメント
木村萌乃(社2=群馬・前橋育英)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
今まで3年間やってきた中で、一番ベストコンディションで試合に臨むことが出来ました。また試合では負けてしまったのですが、完全燃焼してやれる事はやったという感じで終われたので、自分としては次につながる試合になったと思います。
――今回の結果をどのように受け止めていますか
3回戦敗退となってしまいましたが、今までよりもちゃんと相手と組み合って投げにいこうとできたので次の都学(東京学生体重別選手権)につなげられるように頑張りたいと思います。
――今回はどのような目標をもって臨まれましたか
きょうは絶対に勝ちきる、負けないという目標を決めて全日本ジュニアにつなげようと思っていたんですけれど、結果としては負けてしまいました。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
きょうは練習通りきれいに1本取ることが出来たので良かったです。
――練習ではどのようなことを意識してプレーされていましたか
今回は(ジュニアカテゴリーの大会に出場できる)最後のチャンスだったので絶対にここで取ってやろうという気持ちで練習してきました。
――今回の試合で見つかった収穫と課題について教えてください
今回の試合ではまだまだ勝負出来るという自分の自信につながりました。次は絶対に取りに行くつもりで頑張ります。課題はスタミナですね。また、3回戦で負けてしまった時は展開が早ければ勝てた試合だと思うので、これから早い段階で自分のいい状態に持っていく練習を積んでいきたいと思います。
――では、出だしはあまり良くなかったということでしょうか
そうですね。自分のペースに持っていくのが遅れてしまいました。
――ではその課題を克服するためにどのような練習をしていきたいですか
早稲田は人数が少ないので特定の相手としか練習出来ないんですけれど、先生が出稽古といって他の大学に行って練習させてくださるので、その環境で慣れておき、先に自分のペースに持っていって投げきる練習をしたいと思います。
――次の都学の目標と意気込みを教えてください
全日本学生(全日本学生体重別選手権)につなげられるように自分らしい柔道を磨いていきたいと思います。
佐藤虎太郎(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――全日本学生優勝大会の試合後に東京ジュニア体重別選手権で優勝したいとおっしゃっていましたが、優勝された今はどのような気持ちですか
優勝はうれしいんですけれど、内容的にはまだまだだったので、全日本ジュニア(全日本ジュニア体重別選手権)に向けてまた頑張りたいという気持ちがあります。
――具体的にどのようなところがまだまだだったのでしょうか
勝負どころで競り合った時に緊張と不安から逃げてしまった部分があったので、そこがまだまだだと思いました。トップ選手が相手になると不安でも勝負していかないといけない場面があるので、そこを頑張りたいと思います。
――きょうのためにどのような準備をされてきましたか
僕は技で勝つというのをテーマにやってきたんですけれど、東京都ジュニアで相手と競ってくるとタフな試合になるので、走り込みなど一つ一つの運動を大事にして練習してきました。
――試合ではどのようなことを意識してプレーされていましたか
試合ではぶっちゃけ「どうやって僕はこの試合で負けるだろう」とずっと考えてプレーしていました。
――それはどうしてですか
相手が強くて心が折れてしまっていたので、勝ったのはまぐれなのではないかなくらいの感じでした。たまたま勝てたようなものなので、また1から頑張りたいと思います。
――きょうの調子はいかがでしたか
準決勝まで決まれば全日本ジュニアに出られるという試合だったんですけれど、とりあえずずっと緊張していて出来としては30点くらいかなという感じですね。
――それは緊張やプレッシャーであまり自分の力が発揮できなかったということでしょうか
そうですね。
――準々決勝ではコンタクトが何度か外れてしまったりと厳しい戦いになりましたね
コンタクトが落ちてくれたことは結構ありがたかったですね(笑)。
――それはなぜですか
必死なので、コンタクトが落ちることによってすごく冷静になれました。僕の武器ですね(笑)。気持ちを切り替えられます。
――今回見つかった収穫はありますか
調子の悪い中、決勝も日本代表の選手などトップレベルの相手と戦いました。その中でも勝てたのいうのはやっぱり自分が成長している証だなと思うので、きょうは調子が悪いなりにも戦うことができた試合だったと思います。
――最後に全日本ジュニアの目標と意気込みをお願いします
全日本ジュニアでは優勝と言いたいんですけれど、今日みたいに一戦一戦しっかり戦って優勝して、結果的に世界ジュニア(世界ジュニア選手権)に行くことを考えています。そのために1試合1試合集中して頑張ります。
仲島聖悟(スポ2=東京・修徳)
――今大会はどのような目標で臨みましたか
優勝も狙っていたのですが、今年はジュニアカテゴリーで出場できる最後の年なので、全日本ジュニアの出場権をしっかり獲得できるように意識して臨みました。
――一本で決める場面も多かったですが、ご自身の調子はどうでしたか
調子はいい方だと思います。しかし自分の自信のある技で投げることができたのが高校生だけでした。大学生が相手になると得意な技でもかからなくて、後半になって苦しい場面が多くなってしまいました。まだまだ大学で勝っていけるような柔道ができていないと感じたので、全日本ジュニアまでに少しでもそういった部分を直していきたいです。
――準決勝を振り返っていかがでしたか
相手は高校の時から東京都の違う学校に通うライバルで、何度も負けている相手でした。大学に入ってから初めて戦うことになったので勝ちたかったのですが、相手も高校の時より階級を上げて技も磨いて強くなっていて、まだまだ追いつけないのかなと思いました。それと同時に同学年でこれからもたくさん戦う機会があると思うので、しっかりと苦手を克服して次は勝てるようにしたいです。
――全日本ジュニア出場権を獲得しましたが、きょうはどのような収穫がありましたか
1回戦や3回戦の相手の大学生は投げるような柔道ではなく、相手の反則を誘ったりしっかり持ち合わずに片手で技をかけてきたりするような僕が苦手とするタイプの相手でした。そういった相手にしっかり勝ち星を取ることができたというのは良かったと思います。
――最後に全日本ジュニアへの意気込みをお願いします
全日本ジュニアまで2ヶ月近くあるので、しっかり66キロ級として戦っていけるように自分を追い込んで頑張っていきたいです。