惜しくもベスト16で終えるが、成長を実感

柔道

 今年も東京学生優勝大会(東京学生)が開催された。男子は2回戦を快勝するも、3回戦の相手は昨年の大会で敗れた中大。7人全員が引き分け粘りを見せるも、代表戦で空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)が相手のエース・後藤昌毅(4年)に敗れ、ベスト16で終わった。

 2回戦の相手は明治学院大。先陣を切ったルーキー・高山康太(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が大内刈りで一本を取ると、早稲田の勢いが止まらない。同じくルーキーの五将・長嶋勇斗(スポ1=山梨・東海大甲府)は今春ブレーメンジュニア国際大会で優勝した実力者。1年生が2人とも自らの力を発揮すると、周りの上級生も流れに乗り、7人全員が一本勝ちで試合を決めた。

果敢に攻めるルーキー・長嶋

 続く3回戦の相手は昨年、同大会で敗れた因縁の相手・中大。「全員がミスをせず負けないこと」(佐藤竜主将、スポ4=東京・修徳)を目標に掲げ、早稲田よりも体の大きな相手に挑んだ。その言葉通り、各選手は4分間全く隙を見せなかった。先鋒の高波勁佑(社4=富山・小杉)が引き分けに持ち込むと、次鋒から大将までも引き分けで続く。団体戦で勝つために最低限引き分けて相手に得点を与えない柔道を7人全員やってのけた。7人の試合終わった時点で0ー0で勝負は決まらず、代表戦で決着をつけることに。勝負の行方は空に託された。10キロ以上体格差がある中大・後藤になんとか食らいついていくも、2分半が経過した頃、合わせ技で一本負け。「組み合ってみると想像以上に筋力の差を感じた」(空)と力比べで負けてしまった。

引き分けで終わり空に勝負を託す佐藤竜主将

 宿敵・中大には敗北を喫しベスト16で終えたが、収穫も多かった。「どの選手も簡単に負けなかったことが一番の収穫」(西田清二監督、平14年二文卒=岡山白陵)。全員がチームのなかでしっかり自分の役割を果たした。「今メンバーの強さや雰囲気も含めてチームが3年間で1番いい状態」と空が語るようにいいかたちで全日本学生優勝大会(全日本学生)に向かっていける大会となった。また新入生も十分な実力を示した。3回戦には出場機会がなかったものの、「1年生は2人とも力がある選手だったので、2試合目も7人に選ぶか迷った。」と西田監督に言わしめた存在だ。この6月はさらなるチーム内競争が待っているにちがいない。誰が得点を取って勝利を手繰り寄せられるか。体の小さな早稲田にとって一丸となって大きな相手に向かっていくことが不可欠だ。全日本学生に向けて残り1ヶ月チームのレベルアップを図る。

(記事 瀧上恵利、写真 萩原怜那、友野開登)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽2回戦 対明治学院大 7−0

▽3回戦 対中大 1−0

 

西田清二監督(平14年二文卒=岡山白陵)

――今年初めての団体戦となりましたが、どのような意識で臨まれましたか

翌月の全日本学生に向けて弾みがつくように一試合ずつ戦っていこうと思っていました。

――1試合目は1年生の活躍もあり、快勝となりました。手応えはありましたか

1年生は二人とも力がある選手だったので、2試合目も7人に選ぶか迷いました。この6月は競争になっていくと思います。

――中大戦はあと一歩のところで破れてしまいましたが、収穫はありましたか

どの選手も簡単に負けなかったことが収穫です。

――課題はどこにあると思われましたか

課題は7人が出た時にみんなが人任せになってしまうことです。負けないということが団体戦の鉄則ではあるのですが、相手の力のある後藤(昌毅)くんに本戦では空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)が引き分けたので、他のメンバーが1点取るんだという気持ちが大事だと思います。

――全日本のキーマンはどなただと思われますか

佐藤竜(スポ4=東京・修徳)と空ですね。二人とも当然勝つこともできるのですが、強い選手に対してストッパーの役目もできると思うので、私がしっかりオーダーを作れば全日本ではベスト8に入る力があると思います。

――全日本に向けての意気込みをお願いします

なんとか5位に入賞して表彰状をもらって帰ることを目標にして頑張ります。

 

佐藤竜主将(スポ4=東京・修徳)

――今季初の団体戦となりましたが、どのような意気込みで臨みましたか

今回はチームとして冬からやってきたことを試す大会として挑みました。その中でも昨年中大に負けてベスト16に降格したので、みんなで中大を倒すという認識はありました。

――冬からはどんなことに取り組んでいましたか

早稲田は体の小さいチームなので、大きい選手と戦う時に緻密な組み手で投げられない柔道をしようと心がけていました。中大戦は7人全員引き分けるという最低限の仕事をしていたので、その点は良かったと思います。

――明治学院大戦では1年生の活躍もあり、快勝しました。手応えはありましたか

早稲田は今ベスト16に留まっていますが、2部に落ちるチームではないと思います。あの試合は早稲田もちゃんと力があると証明できたので、いい試合でした。

――中大戦ではあと1歩及びませんでした。どういった点が足りなかったと思いますか

「全員がミスをせず負けないこと」を冬からやってきたことなので、そこは良かったです。ただ、7人のうちに誰か1人が勝っていたら、勝てたということも事実です。一番強いとはいえ、3年生の空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)に任せっきりというのはチームとして良くないかなと思います。7人で挑んで1点を取りにいくという姿勢がまだ足りなかったです。

――チームとしての課題と個人の課題を教えてください

返し技や奇襲技で1点を取れるようにしたいです。個人としては寝技が得意なのですが、寝技に対応してくる選手だと点を取り切れないので、立ち技でしっかり組み合って1本投げることができていないことがずっと足りないところだと思っています。

――次の全日本への意気込みをお願いします

目標はベスト8です。今大会は負けてしまったのですが、みんなが白熱するいい試合ができました。悔しかったですが、きょうのように楽しい試合をして、ベスト8に進みたいと思います

高波勁佑(社4=富山・小杉)

――新体制として初の団体戦でしたがどのような気持ちで試合に臨みましたか

ひとりひとり自分の仕事を果たすというところでまず失点しないことを目標に一年やってきたのできょうは負けてしまいましたが自分たちの理想とする戦い方ができたかなと思います。

―明治学院大学では快勝でしたが手応えは感じていますか

一ヶ月前に膝を怪我して復帰したのが一週間前とかだったので心配だったのですが体がよく動いてくれたなと思います。

――中大戦ではどのようなところに苦しみましたか

相手が大きかったのでやっぱり相手のペースになってしまうと負けてしまうので自分の形で攻めるということを気をつけて戦いました。

――チームとしての課題は出ましたか

チームとしてはやはり得点力不足というかどこかで一点取れれば勝っていたので攻撃力というか得点を上げるということを見つめ直していきたいと思います。

――個人としてはどうですか

僕はどちらかといったらポイントを取る側の人間なのでしっかり技を作って自分がポイントを取れるように、自分が勝利に貢献できるように練習していきたいです。

――最後に来月の全日本に向けて意気込みをお願いします

ベスト8になります!

 

清水祐希(スポ3=愛知・大成)

――新体制となって初めての団体戦でしたが、どのような目標を持って挑まれましたか

チームとしては、全体のベスト8という目標を掲げてきたので、今回の負けてしまった中大戦がかぎになると考え、研究して練習に取り組んできました。個人としては、チームの各個人に役割がありますが、体格が大きい自分はポイントをとらなければならないという思いで取り組みました。

――明治学院戦には快勝されましたが、チームとして手応えを感じましたか

はい。取りこぼしなく7ー0で勝つことができ、雰囲気よく試合に挑めたので良かったです。

――負けてしまった中大戦では、どのような点に相手の強さを感じましたか

今回のように互角の勝負になったときに、技の上手さが出てしまったところです。

――チーム、個人の課題を教えてください

チームとしては序盤から引き分け続きのときに、誰かがどこかで勝負に出ないと今回のような展開になってしまうので、勇気を持って技をかけて(一本を)取りに行くという練習が必要だと思います。個人としては、ポイントを取ってチームに貢献しなければならない立場なので、リスクを恐れずに勝負に出るという気持ちの面、また技術面全てにおいてが課題だと思います。

――来月の全日本への意気込みを教えてください

チーム一丸となって1つでも上に行けるように頑張ります。

空辰乃輔(スポ3=広島・崇徳)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

最後まですごくチームワークが見られた試合だと思っています。個々の役割がありますが、それを全員ができてあそこに繋がった試合でした。最後のところで絶対的な力というのが足りなくて、勝負に行ったけど力比べで負けてしまったという感想を持っています。

――新体制として初めての団体戦だったと思いますが、どのような目標で臨みましたか

とりあえず目の前の一試合に集中しようと思っていました。一試合一試合全力を出して、出た結果を良くしていこう感じです。でも、きょうの中大戦は目標としては勝ちたかったですね。

――初戦の明治学院大戦では大勝されましたが、手応えはありましたか

そんなに意識はしていなくて、順当に力を出し切れた結果で、いいスタートが切れたという印象でした。

――どこに中大の強さを感じましたか

僕の個人的な試合ではフィジカルの強さというところに強さを感じました。自分は90キロ級で相手は100キロ級くらいだったと思いますが、僕はまともに組み合って柔道をするタイプなのですが、組み合ってしまうと筋力の差が出やすくて、想定以上に強かったと思いました。

――中大戦では試合を決める場面で登場されたと思いますが、どのような心境で臨まれましたか

僕の中ではやることをやりきれれば勝てると思っていたので、僕の持ち味である接近戦での打ち合いというのを意識して試合には臨みました。でも負けてしまいました。

――中大戦の結果は、悔しさが残りましたか

負けた時は悔しさが残りましたが、後から振り返ってみるとチームとしての働きは7人ともベンチも含めてみんな自分の役割をできていたと思います。こんなにできるのかという実感がありました。次の試合まで1ヶ月近くありますし、落ち込んでいるというよりは、やるべき事が明確になり希望が見えてきたので東京学生も大事ですけど僕らはインカレのほうが重点を置いているので、そちらに向けて進むべき道が見つかったのかなと思います。

――チームとしての課題と個人としての課題を教えてください

チームとしての課題は、僕たちは他のチームに比べて体がそこまで大きくない分大きい相手とやる技術というのが必要になってくると思います。しかし僕らが小さいので日頃の練習のなかだと、小さい人同士でやっていてもそういう力が育ちにくいのでなかなか育たないです。だから、そういった大きい相手と戦えるかや、団体戦になると戦略的な面も含めてどこでポイントを取るのかというのが重要になります。ポイントを奪える得意な技というのをみんながまだ持っていないというのが強いて言えば課題ですね。個人的な課題としては、接近戦に持ち込めば絶対に勝てるという自信がありましたが、接近戦でも勝てないときはあると思いました。もちろん接近戦ももっと詰めて練習すれば接近戦もより上手くなると思いますが、担ぎ技などもできるのでその技も磨きかけて、相手にプレッシャーをかけられると、もっと柔道の幅が広がってやりやすかったのかなと思います。

――全日本に向けて意気込みをお願いします

やることをしっかりやって、今メンバーの強さや雰囲気も含めてチームが3年間で1番いい状態だと思っているくらいなので、強いチームに対して小さいながら大物食いというのをできる可能性のあるチームに育てていきたいと思います。