ルーキー佐藤竜が全日本ジュニアへ

柔道

 ことし15~20歳を迎える新鋭たちが集う、東京都ジュニア体重別選手権が東京武道館で開催された。ワセダからは男子13名、女子4名の計17名が出場。一際活躍を見せたのは、男子73kg級の佐藤竜(スポ1=東京・修徳)だ。ベスト4に入り、全日本ジュニア体重別選手権(全日本ジュニア)への出場権を手にした。一方女子は70kg級の小野華菜恵(スポ2=長野・松商学園)が準決勝まで進んだものの、全日本出場権獲得にはあと一歩及ばなかった。

 多くの男子選手が敗退する中で、次々と敵を破る快進撃を見せたのは佐藤竜だった。73kg級のルーキーは、初戦から日体大の古賀颯人と激突。「どうしても勝ちたくて緊張していた」と意識していた相手だったが、有効を2つ奪う優勢勝ち。過去2敗1分と水をあけられていた古賀から初白星を挙げた。勢いは止まらず、延長戦を2戦連続で制すなど気持ちの強さも見せる。しかし、迎えた準決勝では東海大の選手を相手に攻め続けたものの、指導2で優勢負け。決勝進出はならなかったが、ベスト4に入り全日本ジュニアへの出場権を得た。また、昨年この大会でベスト8入りした90kg級の田中大勝は準々決勝で敗れ、全日本ジュニアの補欠決定戦へ。補欠決定戦2回戦では指導2を奪われ苦しい状況となったが、「日々の厳しい練習の中で鍛えてきたところが出た」と残り数秒で腕挫十字固めが決まり、補欠を勝ち取った。

全日本ジュニアへの出場権を手にした佐藤竜

 一方の女子部は、70kg級の小野が準決勝まで順当な勝ち上がりを見せる。しかし、決勝を前に「自分が攻めて上を向いてしまった」と抑え込みでの一本を取られてしまった。残り1枠の全日本ジュニア出場権を懸けて順位決定戦に臨んだが、延長戦の末に大外刈を仕掛けられて優勢負け。補欠の座に甘んじた小野は「全日本ジュニアに出場するのは最低ラインで、優勝を目指していた。詰めが甘かった」と肩を落とした。

小野は補欠となった

 今大会には、これからの早大柔道部を担う選手たちが登場した。1年生の瀨川勇気(スポ1=北海道・東海大四)や佐藤美裕(スポ1=千葉・八千代)が勝ち進むなど、ルーキーたちの活躍も目立つ。おのおのが見つけた課題を克服し、さらに強い早大柔道部へ。若い戦力の成長に期待したい。

(記事 熊木玲佳、松富リサ、写真 加藤耀、加藤佑紀乃)

入賞した佐藤竜(左)、小野

結果

男子

▽60kg級

加藤 2回戦敗退

▽73kg級

佐藤竜 ベスト4 全日本ジュニア出場権獲得

伊藤悦 2回戦敗退

▽81kg級

平沼、間瀬 1回戦敗退

佐野 2回戦敗退

▽90kg級

田中 ベスト8

齋藤、高波 2回戦敗退

▽100kg級

瀨川 3回戦敗退

増田 2回戦敗退

▽100kg超級

伊藤哲、坂田 2回戦敗退

女子

▽48kg級

上領 2回戦敗退

▽63kg級

松岡 1回戦敗退

▽70kg級

小野 ベスト4

▽78kg超級

佐藤美 ベスト8

コメント

小野華菜恵(スポ2=長野・松商学園)

――先月末の全日本学生優勝大会からはどんな調整をしてきましたか

本当に全日本学生優勝大会は滝澤(美咲、社2=群馬・前橋育英)とか渡邊(聖未、スポ2=山梨・富士学苑)とか佐藤(美裕、スポ1=千葉・八千代)が頑張ってくれて、自分は勝たせてもらったという感じでした。それもふまえて自分の柔道ができるように調整してきたつもりだったのですが、結果的にはちょっと悪かったですね。

――今回の結果はご自分としては納得がいかないということですね

本当は全日本ジュニア(全日本ジュニア体重別選手権)に出場するのは最低ラインで、優勝を目標に頑張ってきたので。準決勝の負けが、自分が攻めて上を向いてしまったのはやはり詰めが甘かったし、最後の3位決定戦のときも指導で勝っていたのに最後の最後で決めきれないのも詰めの甘さが出てしまったかなとすごく反省しています。

――準決勝までの試合は全体的にどう振り返りますか

(勝ち)上がってきたのは自分が思っていた人とは別の人だったのですが、予想外の中でも自分の柔道はできたかなと思います。準決勝はだめだったのですが、2、3回戦はよかったかなと。

――準決勝を改めて振り返っていただけますか

自分の中ではいけると思っていて、正直負ける試合ではなかったので、すごく悔しいです。最後の決めが甘いかなというのが一番の課題です。

――今後の目標を教えてください

秋には個人戦があるので、それはまず東京の大会(東京学生体重別選手権)は通過して、全日本学生(全日本学生体重別選手権)ではベスト8以上を目指して頑張ります。またらいねんは団体戦も視野に入れていかないといけないので、勝ちにこだわっていきたいと思います。

田中大勝(社2=青森北)

――今大会どのような目標で臨みましたか

昨年のジュニアはベスト8だったので、ことしは全日本ジュニア出場を目指してがんばってきたのですが、カベが厚くて乗り越えることができませんでした。

――昨年もベスト8でしたが、きょうの結果を振り返っていかがですか

昨年もベスト8であったのは一緒なのですが敗者復活戦で自分に負けていたんですけど、ことしは気持ちを切り替えることができて補欠を勝ち取ることができたのは成長かな、と思います。

――補欠決定戦について振り返ってください

ポイントを取られたり劣勢だったりする状況から攻めるというのは、日々の厳しい練習の中で鍛えてきたところが出たのかな、と思いますね。

――最後の補欠決定戦2回戦では終了間際で技が決まりました

最後の1秒まであきらめないという気持ちが結果として表れてよかったです。

――試合中、仲間からの声援は届きましたか

心の支えになりますし、応援してくれるおかげで頑張ろうという気持ちになるので本当に助かりました。

――今後の目標を聞かせてください

補欠があるので完全に終わったわけではないですが、ジュニアの大会が終わって、これからは学生の大会があるのでもう一段階、二段階レベルアップして東京都でも勝ちあがっていけるような選手になれればと思います。

佐藤竜(スポ1=東京・修徳)

――今大会はどのような目標を持って臨みましたか

全日本ジュニア(全日本ジュニア体重別選手権)につながる大会でした。僕はいままで高校の時から(東京都ジュニア体重別選手権に)出ていたのですが、一度も(全日本ジュニアに)出たことがなかったので、どうしても出たいという気持ちで臨みました。

――全日本ジュニアへの出場権を獲得されましたね

そうですね。とりあえず本大会に出るというのが目標だったので、準決勝で負けてしまったのはしっかり課題として全日本ジュニアまでに改善していきたいです。

――初戦は日体大の古賀颯人選手と当たりました。振り返っていかがですか

古賀くんとは高校のときからずっとやっていて。3回(試合を)やっていて、2敗1分で勝ったことがなかったので、どうしても勝ちたくて緊張していたのですが、勝ててよかったです。

――きょうを迎える前から初戦はひとつの山場として意識していたのですね

はい、意識していました。

――きょう延長までもつれる試合が2試合ありました。いかがでしたか

つらかったです、めちゃくちゃ(笑)。根性で戦わないと勝てないので、そこは負けてはだめだなと思って頑張りました。

――部員の皆さんが応援していらっしゃいましたが、声は聞こえていましたか

聞こえていました。力になりました。

――準決勝の試合を振り返っていかがでしたか

準決勝は、強い選手なのですが、あまり自分の持ち味を出させてもらえなくて、相手のペースで試合をしてしまったので、本大会では改善してしっかり戦いたいと思います。

――ご自分の持ち味とは具体的に何ですか

持ち味はがつがついくことなのですが、がつがついく前に組み手をさせてもらえなくて、いきようがなくて。結局相手のペースに飲まれてしまいました。組み手の技術を上げることが目標です。

――吉村拓郎男子部監督(平3卒)は佐藤竜選手のことを「本番に強い選手だ」とおっしゃっていました。ご自分でもそう思われますか

練習よりは本番の方が強いと思います(笑)。

――大学の部活には慣れましたか

そうですね。先輩方がサポートしてくださるので、やりやすい環境で自分のペースでやっています。

――今後も個人戦が続きますが、目標を教えてください

日本一になりたいです。