日大に敗戦も成長を実感

柔道

 早大柔道部は、日本武道館で開催された全日本学生優勝大会に臨んだ。3回戦では先月対戦した日大に再び黒星を喫し、ベスト8入りの目標は達成できず。それでも前回より競った試合を展開し、手応えを得た大会となった。

 初戦で龍谷大を中上駿(社4=大阪・清風)、圓山泰雄(社4=岡山・作陽)による一本勝ちで下した早大。2回戦は流通経大との対戦となった。先鋒の中上は何度も仕掛けるが技が決まらず、引き分けに終わる。しかし、続く次鋒の林孝樹主将(スポ4=富山・小杉)はなかなか技を繰り出せなかったものの、残り22秒で粘りを見せ、内股で技ありを取って優勢勝ち。さらに、五将の齋藤光星(スポ3=静岡・加藤学園)は序盤こそ相手とうまく組ませてもらえなかったが、終盤に袈裟固で一本を勝ち取る。中堅以降の戦いはいずれも引き分けで終わり、2-0で3回戦へ駒を進めた。

1年生ながら団体戦出場を果たした佐藤

 迎えた3回戦の相手は先月の東京学生優勝大会で敗れた日大だった。先鋒の齋藤は果敢に攻めるも、残り1秒で相手に技ありを取られ優勢負け。次鋒の佐藤竜(スポ1=東京・修徳)も相手に一本を取られてしまう。それ以降も攻めの姿勢を見せる早大であったが、流れをつかむことができない。五将戦、中堅戦、三将戦、副将戦、大将戦と続けて引き分け、ベスト16という結果に終わった。目標のベスト8には届かなかったが、「前回から成長できるかに重点を置いた」と吉村拓郎監督(平3卒)が語ったこの試合。林主将は「前回と比べると対等に拮抗(きっこう)した試合ができた」と振り返った。

敗れはしたが、手応えも得た日大戦

 秋には個人戦が待ち受けている。この夏は、おのおのがフィジカル面、技術面ともに向上させる時期になりそうだ。確実に成長を続ける早大柔道部の今後に期待したい。

(記事 高橋里沙、写真 熊木玲佳)

結果

▽男子

○1回戦 対龍谷大

先鋒 ○中上-赤尾 決まり技:肩車

次鋒 △佐藤-木村 引分

五将 ○圓山-福迫 合技(背負投・袈裟固)

中堅 △熊田-山本 引分

三将 △齋藤-小川 引分

副将 △浅賀-北山 引分

大将 △下田-木村 引分

○2回戦 対流通経大

先鋒 △中上-林 引分

次鋒 ○林-新美 優勢勝ち

五将 ○齋藤-知名 決まり技:袈裟固

中堅 △圓山-佐藤 引分

三将 △熊田-鈴木 引分

副将 △浅賀-一面 引分

大将 △下田-渕田 引分

○3回戦 対日大

先鋒 齋藤-○佐藤 優勢負け

次鋒 佐藤-○一色 決まり技:大外刈

五将 △圓山-向 引分

中堅 △熊田-田中 引分

三将 △浅賀-下村 引分

副将 △長谷川-尾崎 引分

大将 △下田-安達 引分

コメント

吉村拓郎監督(平3卒)

――東京学生優勝大会ではベスト8を達成しましたが、ここまでの1ヶ月間チームの雰囲気はいかがでしたか

まず主将(林孝樹、スポ4=富山・小杉)とレギュラーの長谷川(公輝、スポ4=新潟・三条)が教育実習でいないという条件があったのですが、そこは副将の熊田(耕成、社4=神奈川・桐蔭学園)、浅賀(慎太郎、社4=静岡学園)を中心に取り組んできました。目標としては最終的にはやはり全日本(全日本学生優勝大会)でベスト8に入るというのが目標なので、そこを達成するためにいろいろなことをやってきました。たとえばフィジカルを鍛えるためにちょっとウエートトレーニングをやって。トレーニングの面では全日本向けにやってはきましたね。とにかくうちはチーム力がないと勝てないチームなので、一体感を持って選手だけじゃなくて部員もスタッフも含めて、一体感を持てるように意識してやってきました。

――今大会の1、2回戦を振り返っていかがでしたか

1回戦は龍谷大、2回戦は流通経大とかなり力のある相手なので、とにかくミスをしないこと。最初に流れをつくってポイントを取ったらきっちり負けないように、ということで、とにかくうちの持ち味であるミスのない柔道を心掛けていきました。

――3回戦では東京学生優勝大会(東京学生)でも対戦した日大と当たりました。東京学生と比べて内容としてどのような変化がありましたか

まずは目標として全日本でベスト8というのが何がなんでも達成したいもので、たとえ強豪校であっても臆さないでやろうというのが目標でした。日大であろうと本気で勝つつもりで。ただ、勝つといっても簡単に勝てる相手ではないので、学生には「前回と比べて成長しよう、成長した柔道をしよう、その結果が勝負につながる」と言って、前回と比べて自分として成長できるかに重点を置いてやりました。

――スコアとしては1-5から0-2と黒星が減りましたね

対戦相手も(東京学生と)同じことが割と多かったので、スコアや内容からすると確実に前回よりは成長したという実感はあります。

――佐藤竜選手(スポ1=東京・修徳)の活躍も見られましたが、ことしの1年生はどんな学年ですか

ことしの1年は非常に粒ぞろいで、柔道に対して非常に真摯(しんし)な気持ち、本当に強くなってやろうという気持ちがある1年生が多いです。その中で佐藤という勢いのある選手が入ってきてくれたことで、チームがまた違う化学反応を示して、非常に面白くなっているなという感じはします。

――チームにいい変化をもたらしてくれているということですか

そうですね。4年生中心のチームなのですが、(佐藤選手は)上級生もうかうかしていると出番がなくなるという緊張感を与えてくれる選手です。練習ではまだ先輩に太刀打ちできないところもありますが、本番になったら強い選手なので、非常にいい刺激を与えてくれていますね。

――チーム全体としては次の大会は秋の個人戦になりますが、夏はどう過ごしていきますか

夏はもう一度体力、フィジカルを鍛え直します。あとは技術的には、ワセダの持ち味として足技をもっと使えるようになれないと勝ちを拾っていけないのかなと。あと今の柔道は寝技ができないと勝てないので、寝技についても夏の合宿できっちりやりたいなと思います。

林孝樹主将(スポ4=富山・小杉)

――きょうの試合を迎えるに当たってチームの雰囲気はいかがでしたか

ベスト8を目標にしてきたので、目標達成するべくいい雰囲気で試合には臨めていたと思います。

――練習や調整といった点ではいかがでしたか

自分は教育実習で3週間いなかったので副将を中心にやってもらったのですが、自分が帰ってきたときも選手たちの雰囲気が非常によかったので、いけるかなと考えていました。

――3回戦敗退という結果についてどうお思いですか

目標ベスト8を目標にしてきてベスト16ということなので目標は達成できなかったのですが、
前回の日大戦などに比べていい内容で試合が出来たと思います。

――1回戦はどうご覧になっていましたか

(龍谷大は)関西の3位という大学で力がある大学なのですが、失点0でいいかたちで試合を進めていけたと思います。

――2回戦の優勢勝ちはいかがでしたか

まだまだもっと簡単に取れるところだと思うのですが、見過ごして少しふがいなく物足りない結果でした。

――3回戦の日大戦は、前回東京学生優勝大会で対戦したときとはどういった点が違いましたか

前回は指導四で負ける試合が2つあったり、押され続ける試合内容が多かったりしました。今回は取られる試合もありましたが、前回と比べると対等に拮抗(きっこう)した試合ができたと思います。

――チームとしての課題はどの点にありますか

力が同じもしくは少し上の相手にどうやって勝っていくかということ。これから個人戦中心になっていく上で、指導差のような小さな差でも優劣がついてしまうので、そういった中で細かなミスや隙を逃さず泥臭く勝っていく柔道を目指していきたいです。

――個人戦に向けてご自身の具体的な目標は

まず全日本学生体重別選手権に出場し、そこでベスト8以上に入って講道館杯出場が目標です。