ことしも兵庫で開催された全日本学生体重別団体優勝大会。60kg級~100kg超級の7階級別に選手が出場し、2日間にわたる熱い戦いが繰り広げられた。1回戦、2回戦を順調に突破した早大は、3回戦で強敵・東海大と対戦。気合い十分に挑んだが、圧倒的な強さを前に0-6で完敗。目標としていたベスト8進出はならなかった。
1回戦の相手は東海大九州。先鋒・林孝樹(スポ2=富山・小杉)が積極的な攻めでポイントを奪い勝利すると、早大はその後も優位に試合を進める。副将戦、大将戦で一本負けを喫したものの、3-2で1回戦を突破した。続く2回戦は流経大との対戦。先鋒・齋藤光星(スポ1=静岡・加藤学園)が鮮やかな背負い投でチームを鼓舞し、幸先の良いスタートを切る。五将戦では古川凌(社2=愛知産業大三河)が残り2分で有効を奪い、そのまま優勢勝ちを収めた。続く中堅戦、三将戦も引き分けに持ちこみ、迎えた副将戦。チームの勝利を決定づけたのは小林将来主将(社4=三重・四日市中央工)だった。開始2分で抑え込みをかけられるも、その後は落ち着いた試合運びで機をうかがう。体勢を崩した相手を返すと、横四方固を決め見事逆転勝利。4-1の快勝で早大は3回戦に駒を進めた。
有効を奪い優勢勝ちを収めた古川
迎えた2日目、ベスト8入りを懸けた3回戦の相手は王者・東海大。「1人でも2人でも多く勝って、来シーズンにつながる戦いをしたい」(圓山)。そう意気込んで試合に臨んだ早大だったが、立ちはだかるカベは高かった。先鋒戦から中堅戦までをすべて一本負けで落とすと、三将・圓山が奮闘を見せ引き分けるも0-6で完敗。昨年の成績を上回ることはできず、トップ校との実力差を痛感する結果となった。
相手を返す小林主将
東海大戦を振り返り、「目標を知るという意味で、貴重な良い経験ができた」と語る小林主将。1年間チームをけん引してきた4年生は今大会を最後に引退を迎え、さらなる高みを目指す志は後輩へと引き継がれた。多くの主力選手が残る来季は、ことし以上の飛躍が期待される年。「らいねんの最上級生がまとめてくれたら良い結果が残していけると思うので、頑張ってほしい」(小林)――。新体制を迎え、一体何を築きあげるのか。早大柔道部が新たな一歩を踏み出す時が来た。
(記事 山本葵、写真 平岡櫻子)
結果
1回戦 早大3-2東海大九州
2回戦 早稲田大学4-1流経大
3回戦 早大0-6東海大
コメント
小林将来主将(社4=三重・四日市中央工)
――今大会のご自身の戦いを振り返って
初戦で動きが悪くて、監督に怒られるくらいだめな試合をしてしまったのですが、2回戦ではしっかり立て直して勝つことができてよかったです。
――初戦のあと、監督からどのようなことを言われたのでしょうか
もう一度アップからしっかり取り組むように言われました。試合に向けての準備について特に言われて、その通りだなと思いました。2回戦からは、アップから追い込んで、試合へのモチベーションを高めることができたと思います。
――2回戦は逆転での1本勝ちでしたね
2回戦は(勝てばチームの勝利が決まる)結構大事な場面で(出番が)回ってきたのですが、最初にポイントを取られて、やってしまったと思いました。でもそこから落ち着いて上手く取り返せたので、ホッとしました。
――3回戦で対戦した強豪・東海大の印象は
ことし東海大はずば抜けて強くて、全てにおいて格が違うということを試合で感じました。力の差はもちろんなのですが、技術面においても自分たちとは差がありましたね。
――そういった強豪との対戦はチームにとって良い刺激になるのではないですか
そうですね。これから上を目指して行く上では、やっぱりそういった相手にも勝っていかないといけないので。目標を知るという意味で、貴重な良い経験ができたと思います。
――チームのベスト16という結果についてはいかがですか
目標はベスト8だったのですが、きょねんと同じベスト16で終わってしまって。悔しい気持ちはあるのですが、これがいまの自分たちの実力だと受け止めています。(実力を)出し切れたとは思いますね。
――試合前には他の選手の背中を叩いて声をかけている姿が見受けられました
格上の相手と対戦する時には、緊張してしまって何も出来ないという試合内容になってしまうと本当にもったいないと思ったので。思い切ってやってこいよという風に伝えていました。
――きょうで早稲田大学での柔道生活は終わりですが、いまのお気持ちは
終わってしまったという実感が全然ないです。なのでまだ引退したという気分じゃないですね(笑)。今後も柔道は続けるので、できる限り続けられるように頑張りたいです。
――早稲田大学柔道部での4年間を振り返って
本当にワセダは環境に恵まれていて、いつも良い刺激がありました。特にことしは主将をやらせてもらって、チームをまとめるのは大変さもありましたが、自分が人間として成長するという点でとても良い経験をさせて頂きました。
――特に印象に残っている試合はありますか
それはもう、先日の早慶戦ですね。5年間勝っていなかった早慶戦の勝利がかかった大将戦で、勝てたのは本当に嬉しかったです。
――早稲田で成長できたと感じる点は
技術面では、早稲田伝統の足技などの技術を学べたという点です。精神面ではやっぱり(主将という)上の立場に立つことで、今までは試合を頑張ろうというだけだったのですが、チームを引っ張るという意識を持てた点で、成長できたと思います。
――後輩たちに伝えたいことは
らいねんは、現在のレギュラーメンバーがほとんど残るので、ことし以上の結果が残せるような土台はあると思います。しっかりらいねんの最上級生がまとめてくれたら、良い結果が残していけると思うので、頑張ってほしいです。
――監督には何か伝えたいことはありますか
それはもう、「本当に4年間ありがとうございました」というのに尽きますね(笑)。
圓山泰雄(社2=島根・作陽)
――今大会での目標は
チーム戦なので、ベスト8に入って前回の成績を越えることが目標でした。ベスト16で終わってしまって、悔しいです。
――ベスト16まで順調に勝ち上がった印象を受けました
そうですね。メンバーがあまり変わっていないので戦力的にはきょねんと同じくらいだったと思うんですけど、チーム力が上がった証拠が出たと思います。
――1回戦は序盤から積極的に攻めていましたね
1回戦はいつも通りの力を出せば勝てると思っていたので、最初から自分の力を出そうと思って試合をしました。
――2回戦はどのような気持ちで対戦されましたか
相手はポイントゲッターだったと思うんですけど、自分がここで引き分けてもあとはみんなが勝って(チームが)勝つだろうと思っていたので。チーム戦なのでみんなを信じて、自分は引き分けでした。
――3回戦の東海大は強敵でしたが、どのように戦おうと考えていましたか
相手は優勝候補筆頭で、正直、実力は誰が見ても相手の方が上だったと思います。その中でも1人でも2人でも多く勝って、来シーズンにつながる戦いをしたいなと思っていました。
――実際に対戦していかがでしたか
自分の前でポンポン試合が決まっていたので、とりあえずその流れを止めようと思って試合をしたんですけど…。まあ、ぼちぼちですね(笑)。相手は自分が普段出場している100kg級の一つ上の階級でしたが、しっかり試合して分けようという気持ちはあったので、分けれてよかったとは思います。
――今大会で引退を迎える4年生への思いは
きょねんもこの試合で代が切り替わって、ことしもここまで1年間引っ張ってきてくださいました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
――来季への意気込みをお願いします
ことし達成できなかったベスト8入りを来季は達成できるよう、しっかり頑張ります。
古川凌(社2=愛知産業大三河)
――今大会にはどのような気持ちで臨まれましたか
昨年やっと2日目まで残ることができたので、ことしは2日目まで勝ち進むことは通過点で、その先を狙う気持ちでいました。
――1回戦では有効を奪ってから一本勝ちされましたね
尼崎は全国大会で緊張するので、その緊張をほぐすためにも初戦はしっかりやろうと思っていました。しっかり自分らしい柔道をすれば勝てると思っていたので、落ち着いた試合運びを意識して戦いました。
――以前の取材でスロースターターだと伺いましたが、その点はいかがでしたか
いや、スロースターターなことに変わりはないです(笑)。でも今回は最初からうまく技が入ったのでいけるなと思って、飛ばしていきました。
――2回戦も優勢勝ちでした
そうですね。初日は2試合とも勝って、チームとしてもいい感じに終えることができたのでよかったと思います。
――3回戦は東海大が相手でしたが、対戦してみていかがでしたか
格上の選手と戦って、日本のトップの実力を知って自分の甘さを痛感しました。これからはトップの選手とも対等に渡り合えるような柔道を目指して練習に励みたいと思います。
――実力差を感じたのは具体的にどのような部分ですか
まず、絶対に勝つぞという気迫がすごくて。そのオーラに威圧されて萎縮してしまった部分がありました。技術面でも、自分が取られたのは足技だったのですが、そういった細かい技術が全然あちらの方が上で。試合運びもうまくて、ポイントを取られた後に攻めていこうと思っても防御されてしまって、こちらから攻めることができませんでした。(相手は)試合慣れしていると感じましたね。
――今大会で引退される4年生への思いは
自分は寮に入っているので、主将を含め4年生には、練習面だけでなく私生活でもお世話になりました。ここまでできたのも4年生の先輩方のおかげだと思うので、とても感謝しています。
――来季への意気込みをお願いします
2年生の時はまだ引っ張っていってもらう立場でしたが、3年生になると上級生という立場になります。4年生と一緒に、練習面でも試合面でもチームを引っ張っていきたいと思います。