底力見せベスト16入り!

柔道

 全国の舞台が幕を開けた。今大会は7人制の団体戦であり、まさにチーム力が試される。下級生を中心に挑んだ早大は、3回戦で強豪・日大にストレート負けを喫するが、目標としていたベスト16に輝き大きく前進した。

全日本デビューを果たした林

 1回戦を6-1と快勝し、迎えた埼玉大との2回戦。それは「底力のあるチームを作ることができた」と吉村拓郎監督が手応えを口にする大きな一戦であった。先陣を切ったのは林孝樹(スポ1=富山・小杉)。早大の柔道着に袖を通してからまだ数か月しか経っていないルーキーが見せたのは、初々しさではなくワセダを支える頼もしい姿だった。中盤に相手の隙を見逃さず、持ち味の足技で一本を決める。「勝って流れを引き寄せられるように意識していた」と先鋒としての自覚をしっかり持ち、堂々と体現して見せた。しかしその直後早大は3連敗を喫し、これ以上負けられない厳しい状況に追い込まれる。ここで登場したのは三将・片岡雅樹(スポ3=千葉・幕張総合)。「ポイントを取られてもいいから、一本を取りにいこう」と果敢に攻めた結果、技ありで優勢勝ちを収め望みをつなぐ。2-3と劣勢の中、勝負の行方は大将・小林将来(社3=三重・四日市中央工)に委ねられた。しかし、ワセダの大将に迷いはない。「最初から一本を狙っていた」と思いっきり攻めにかかった小林は、相手を引き出し内股で鮮やかな一本勝ちを披露。拳を高々と突き上げた姿には、大将としての確かな自信が宿っていた。気迫の一本で大逆転に成功し、早大は3-3の内容差で勝利を手にした。

大将としてチームに大きく貢献した小林

 3回戦はシード校である日大との対戦。体格でも実力でも圧倒的に勝っている相手にどれだけの戦いをすることができるか。「気持ちでは負けないことを目標にしていた」という吉村拓郎監督の言葉通り、臆することなく立ち向かった早大だったが、結果は0-7の完敗。手も足も出せず、圧倒的な力の差を突きつけられることとなった。

 ベスト16で今大会を終えた早大。3回戦で完敗したものの、逆転勝利を収め強豪校に挑戦できたことが選手たちに大きな自信を与えたに違いない。大きな一歩を踏み出したいま、目線はしっかりと全国の上位を見据えている。「ワセダらしい柔道をどう作っていくか――」(吉村監督)。それはまだ模索段階である。その答えを見つけることができたとき、全国の舞台で強豪校と互角に戦える早大柔道部の姿があるはずだ。

(記事 依田萌 写真 井上義之、小川朝煕、平岡櫻子)

結果

【男子】ベスト16
◇1回戦 対松山大 ○6-1
◇2回戦 対埼玉大 ○3-3(内容差)
◇3回戦 対日大  ●0―7

コメント

小林将来(社3=三重・四日市中央工)

――1回戦を振り返っていかがですか

一回戦は緊張していたんですが、徐々に自分の柔道ができた結果、投げることができたと思います。

――そして白熱の2回戦を振り返ってください

この前の東京学生柔道優勝大会の時もそうだったんですが、自分が勝たなくてはいけないという場面だったので、思い切って臨んだ結果、いい方向に行けたかなと思います。

――最初から一本を狙っていましたか

そうですね。狙っていました!

――東京大会でも同じような重要な場面で期待に応える活躍をされていましたが、その経験が生きた点などはありますか。

そうですね、一回経験していたので、思いっきりできた点はありましたね。試合の入り方も同じようにできました。

――プレッシャーには強い方ですか

高校のときからずっと大将をやっていたので、切羽詰まった場面で出るのは、結構好きです(笑)

――3回戦はいかがでしたか

日大さんは強いので、自分たちがどれだけできるかというのを試す、経験するという気持ちで臨みました。自分も含めてふがいない結果に終わってしまったんですけど、まだまだこれからだなっていう印象を受けました。

――体格差があったかと思うんですが

そうですね、自分たちは小さいチームなんですが、全国大会で入賞するチームはすごく大きいので、その体格差を埋められるように作戦を考えていきたいです。

――今日の個人的な収穫と課題をお願いします。

埼玉大に勝つという目標を達成できたことが収穫で、課題はやっぱり日大とか強い大学との差は大きいので、それを埋めるためにもっと考えていきたいです。

――埼玉大に勝つことが目標だったとおっしゃいましたが、ベスト16という結果については率直にどう思われますか

そうですね、きょねんに比べて戦力が十分じゃないなかで、ベスト16に入れたというのは、頑張れたかなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

これからまだまだ試合あるので、この経験を生かして、頑張っていきたいと思います。

林孝樹(スポ1=富山・小杉)

――大学に入学してから初の全国規模の大会でしたが

3試合とも先鋒で起用されて、2戦目までは自分の仕事ができたかなと思うのですが、日大という全国でもベスト4に入るチームが相手になると、自分の力が足りないことを実感しました。

――3試合とも先鋒だったわけですが、先鋒として具体的にどういうことを意識していましたか

先鋒というのはチームの始まりの選手であり、試合の流れを左右する重要な役割があるので、勝って流れを引き寄せられるように意識していました。

――3戦目は惜しくも投げ技で一歩負けを喫してしまいましたが、ご自分ではどのように敗因を分析していますか

相手が格上だったので気持ちの面で後手に回ってしまいました。体格の面でも劣ってしまっていたので、しっかり食べて大きくならなければいけないなと思います。

――そういった体格で劣る選手には技術面ではどのように対策をしていこうと思いますか

まともに組んでしまうと負けてしまうので、前へ動いたり組み手をずらしたりと自分の柔道をやっていきたいと思います。

――自分の柔道ということですが、具体的にはどういう柔道がご自身の持ち味でしょうか

足技中心に組み合わせて、足技から内股などを掛けていく柔道です。

――今大会を通じて感じた自分の反省点はありますか

やっぱり出だしが悪いので、最初からしっかりと自分の実力を発揮できるようにしたいと思います。そのためには準備の段階から気を付けなければいけないのかなと思います。

――来週の東京ジュニアにむけて

組み合わせは良くも悪くもないので、全日本ジュニアの出場権を獲得できるよう頑張りたいと思います。