両校の意地とプライドを懸けた伝統の一戦がことしも慶大日吉道場で繰り広げられた。前年度とは異なり20人の勝ち抜き方式で行われた今回の戦い。先鋒・中上駿(社1=大阪・清風)の活躍で流れをつかみ好調な滑り出しをみせた早大だったが、中盤、慶大・後藤隆太郎を相手に苦戦を強いられ、逆転を許してしまう。終盤に粘りをみせるも勝利には一歩及ばず、4大会ぶりの単独優勝はまたもやお預けとなった。
先鋒として早大を勢いづけた中上
先んじて行われた女子の部での勝利に湧き興奮冷めやらぬ中、戦いの火ぶたは切られた。先鋒としてなんとしてでも勝利を収めたい中上は慶大選手2人を破り、3戦目を引き分けに持ちこむ。好スタートを切り、互いに譲らぬ白熱した争いをみせる中、早大はさらに勢いに乗る。早大7番手として出場した林孝樹(スポ1=富山・小杉)は、慶大8番手の選手と激突。体格差のある相手との対戦となったが、「とりあえず気持ちだけは強く持って、前に出るという意識で頑張りました。」と語るとおり、気迫のこもった後袈裟固で一本を奪い勝利。2戦目でも鮮やかな内股をきめ、安定した活躍を見せた。
再び慶大に迫る2勝を挙げた石井雄
リードを保ったまま中盤を迎えた早大だったが、ここからは粘る慶大に追い上げられる苦しい展開が続く。そしてついにその差を2人まで詰められた場面で、慶大の猛攻を受けることとなる。主力選手を並べ、優勝へ拍車をかけていきたいここ一番。気合い十分に慶大11番手の後藤を迎えるも、まさかの4連敗。一気に逆転を許した。それでも、早大17番手として出場した石井雄也(スポ2=近大付和歌山)は積極的に前に出ることを意識した柔道で2連勝をおさめ、意地とねばりをみせる。しかし再び早大に流れを引き寄せることはかなわず、最後は慶大の郡司拳佑を相手に早大が4連敗を喫し、苦杯をなめることとなった。
両校長年の宿敵として、伝統と特別な意味をもつ早慶戦。早大は3年連続で単独優勝を逃していることもあり、誰もがことしこそは優勝を、と意気込んでいたことだろう。「次の相手と引き分けて(早稲田の)次の選手につなげていきたいという思いがあったので、あと一人はいきたかった」(中上)、「負けるにしても、もっと試合時間を長くして相手を疲れさせることができれば、今回の試合結果も変わったと思う」(石井)と、各選手が悔しさをにじませる。しかし、決してマイナス面ばかりが目立つ試合であったわけではない。今回優秀選手に選ばれた中上、林、石井は1・2年生であり先行きも明るく、なにより今季はまだ11月に全日本体重別団体選手権があり、この敗戦を生かす機会が残っている。この敗北を糧として、早大柔道部がさらなる躍進をとげてくれることを期待したい。
(記事 山本葵、写真 平岡櫻子)
※掲載が遅くなり、申し訳ございません。
結果
▽女子
長山 ○
山口 ○(合技)
五十嵐×(引分)
金子 ×
▽男子
中上 ○
○(合技)
×
古川 △
吉野 ○
×
桐生 △
吉原 ○(一本背負)
△
山田 ○(崩上四方固)
△
林 ○(後袈裟固)
○(内股)
△
五嶋 ×
西岡 △
蛯沢 △
井上 △
浅賀 △
小林 ×
長谷川○
△
熊田 ×
キアラシ×
石井 △
片岡 △
圓山 △
野口 △
コメント
石井雄也(スポ2=近大附和歌山)
――試合を振り返って
まだまだ課題の残る早慶戦になったなという印象です。体力不足や、精神面の弱さなどを痛感しました。
――終盤の大事な場面での出場となりました。勝った二試合では、どんな戦い方を意識されていたのですか
(慶大に)リードされているのはわかっていたので、相手は逃げてくると思って、自分からどんどん前に出ようと思っていました。少し攻めるのが遅くなってしまったんですが、積極的に頑張りました。
――きょうの課題と収穫は
課題は先ほども言ったように体力不足と気持ちの弱さです。収穫は、自分はそんなに攻撃的な柔道ではないですが、どんどん前に出れば通用するのかなというのは感じました。
――課題の体力不足というのは、三試合目をもっと粘りたかったということですか
そうですね。自分が3人目に対戦して負けた選手が、どんどん勝ち抜いて最後まで行ってしまったので、負けるにしても、もっと試合時間を長くして相手を疲れさせることができれば、今回の試合結果も変わったと思うので。それが大きな反省点ですね。
――今後への意気込みを教えてください
次戦の全日本体重別団体選手権のメンバーには入れなかったので、また今度はメンバーに入れるように、また一から頑張りたいと思います。
中上駿(社1=大阪・清風)
――今日の試合を振り返って
次の相手と引き分けて次の(早稲田の)選手につなげていきたいという思いがあったので、あと一人はいきたかったです。反省点はまだたくさんあると思います。
――先鋒として意識したことは
次の選手たちを元気づけられるように、自分がどんどん前に出て攻めていく姿勢をもつことが必要かなと思って。必死になってやりました。
――1年生ということで、初の早慶戦となりなしたが
早慶戦は他の試合と違って、のしかかるプレッシャーも大きいし、スタミナの消費も激しかったです。いい体験になった試合でした。
――今大会でみつかった課題はありますか
もっと組み合って柔道をすることと、最後の技の決めというか、乗り切るところを重点的にやっていきたいなと思います。
林孝樹(スポ1=富山・小杉)
――きょうの試合を振り返って
ふたつ勝てたところまではよかったんですけど、三人目との対戦では引き分ける予定だったのに負けてしまって、そこが反省点ですね。
――最初の対戦相手とは体格差が大きかったですが、何か事前に戦い方で意識していた点はありましたか
やっぱり体格で負けている分、気持ちで下がったらやられてしまう可能性が高いので、とりあえず気持ちだけは強く持って、前に出るという意識で頑張りました。
――自身初の早慶戦でした。会場の雰囲気などはいかがでしたか
いつもの他の大会とは違って、独特な雰囲気だと感じましたが、試合にはそこまで影響することはなかったです。落ち着いて集中できました。
――次戦への意気込みをお願いします
次は11月の全日本体重別団体選手権に出場予定なので、そこでは一戦一戦しっかりと戦っていきたいです。全国大会なので、高い実力を持つ選手ばかりだと思うので、集中して頑張っていきます。