ついに迎えた全日本学生選手権(インカレ)。ことしは、早大をはじめ関東の各大学が慣れ親しむ埼玉・長瀞総合射撃場を舞台として開催された。男子部からは谷川諒(スポ4=早稲田渋谷シンガポール)が伏射60発で7位に入賞。一方、女子部は千葉朔美(スポ2=埼玉・栄北)が立射40発で見事優勝を成し遂げるとともに、中里志穏副将(スポ3=埼玉・浦和一女)が伏射60発、三姿勢60発の2種目で入賞を果たした。
男子部から唯一、3種目すべてで団体戦のメンバーとして今大会に臨んだ谷川。三姿勢120発、立射60発では惜しくも本選で上位8人に残ることはできなかったものの、得意の伏射60発で本選4位の好成績をおさめファイナルに進出した。ファイナルでは第1ステージを終えて7位と大きく出遅れてしまう。巻き返しを図るためにも高得点を撃ち続けたいところであったが、残るシリーズはいずれも10.0点前後といまひとつ得点は伸びず。最終的に7位のまま競技を終えることとなり、かねてより目標に掲げていたメダル獲得には届かなかった。
伏射60発で7位に入賞した谷川
女子部の千葉は立射40発で411.1点をマークし、本選を1位で通過する。迎えたファイナルでは序盤から10点台を連発。いきなり1位に躍り出るとその後も安定して得点を積み重ね、ライバル達との差を広げていく。中盤には法大の一ノ渡桜が千葉を上回るスコアをたたきだし、二人の差は一時0.5点差まで縮まってしまう。しかし「(一ノ渡のことは)特には考えていなかった」と自分の射撃だけに集中した千葉は、ラスト2発で一気に相手を突き放し堂々の優勝を果たした。SB(スモールボアライフル)では、秋関(関東学生選手権秋季大会)からの好調を維持する中里が大活躍。伏射60発で3位に入賞すると、三姿勢60発では自身初のファイナルへと駒を進める。ファイナルでは本来の力を出し切れず8位に終わったが、「このインカレで(ファイナルに)立てて良かった」と話す通り、今回の経験は今後に向けて大きな糧となるはずだ。
立射40発のファイナルに臨む千葉
個人としては満足のいかない結果となった選手もいるが、男子伏射60発団体と女子三姿勢60発団体でそれぞれ3位、2位という好成績を残し、さらに総合団体では男子部・女子部ともに今季の最高得点をマークするなど、今大会はチーム力の充実を随所で感じさせてくれた。インカレを終え今季の試合も残すところあとわずか。1ヶ月後には4年生の引退試合ともなる早慶戦が控えている。伝統の一戦でチームの団結力を最大限に発揮し、飛躍のシーズンを有終の美で飾りたい。
(記事、写真 大庭開)
全日程を戦い抜き、笑顔を見せる選手達
結果
【男子10m立射60発部門】
▽団体 1793.6点(6位)
谷川 諒 605.1点
松尾 悠佑 603.4点
松井 信衞 585.1点
▽個人
加藤 勇祐 590.1点
藤井 尭彬 586.4点
大岡 海登 582.7点
建部 紘男 580.5点
北嶋 亮太 580.4点
眞城 永稔 570.3点
三鍋 亘 547.8点
【男子50m三姿勢120発部門】
▽団体 3328点(6位)
谷川 諒 1128点
金子 将之 1112点
松尾 悠佑 1088点
▽個人
松井 信衞 1119点
眞城 永稔 1110点
建部 紘男 1074点
【男子50m伏射60発部門】
▽団体 1817.3点(3位)
谷川 諒 613.7点 ※ファイナル98.2点(個人7位)
松井 信衞 604.0点
金子 将之 599.6点
▽個人
眞城 永稔 604.2点
松尾 悠佑 602.4点
建部 紘男 589.4点
戸井田勇介 587.2点
牧野 恭尚 576.7点
【女子10m立射40発部門】
▽団体 1207.9点(7位)
千葉 朔美 411.1点 ファイナル206.2点(個人優勝)
田中 美沙 399.5点
長島 遥 397.3点
▽個人
末本 佳那 405.4点
佐藤 史江 395.5点
中里 志穏 394.3点
毛利 綾花 391.2点
【女子50m三姿勢60発部門】
▽団体 1686点(2位)
中里 志穏 569点 ※ファイナル377.1点(個人8位)
長島 遥 560点
末本 佳那 557点
▽個人
千葉 朔美 561点
【女子50m伏射60発部門】
▽個人
中里 志穏 608.9点(個人3位)
長島 遥 595.4点
末本 佳那 590.8点
◆総合団体順位
男子総合団体 6938.9点(5位)
女子総合団体 2893.9点(5位)
コメント
中里志穏副将(スポ3=埼玉・浦和一女)
――伏射60発で3位に入賞、三姿勢60発で8位に入賞しましたが、この結果をご自身でどのように評価していますか
P60(伏射60発)は割と狙っていたので嬉しいですけど、3×20(三姿勢60発)は残ると思っていなかったのでびっくりしました。
――三姿勢60発ではファイナルに進出しましたが、ファイナルの舞台に立った感想はいかがでしたか
ファイナルは初めてだったので、何が何だか分からなくて(笑)。立ってみるとこんなにも射座の中と外で違うものかと思いましたが、このインカレで立てて良かったという感じですね。
――ファイナルの内容については振り返っていかがですか
本当にいいところが一個もなくて(笑)。酷いところが全部出てしまって、内容は悪かったですね。全然当たらなくてびっくりしました。でも緊張して当たらなかったわけじゃないので、なんで当たらなかったのかなって(笑)。気持ちがふわふわしていたのはあるんですけど、全然当たらなかったです。
――秋関(関東学生選手権秋季大会)、インカレと立て続けに入賞を果たしていますが、何か要因はありますか
前期のシーズンはけっこう成績が酷くてやばいと思っていて、後半に入る前の夏合宿でいろいろな人にK(膝射)やP(伏射)、S(立射)も含めていろいろ教えてもらって。SBマスターというのがうちの部内にはいるんですけど、SBマスターの長島さん(遥、スポ4=埼玉・栄北)とかコーチ、あとは谷川さんにいろいろ教えてもらって、セッティングも前期と比べて自分にあったようにできるようになりました。考え方も、前期は副将になりたてで結果ださなきゃ結果ださなきゃできて、それで結果が出なくて、後期は自分のやれることだけを考えて自分のやれる最低限のラインを守っていこうというように気持ちのスタイルを変えたら意外と当たるようになったので、こんなもんかみたいな(笑)。あまり気負いすぎずにやれば良かったんだなと思っていて、多分気持ちの持ちようが変わったことが要因かなと思います。
――今大会で得た収穫、もしくは見つかった課題があれば教えてください
収穫は、自分がやるべきことだけを最低限やると思ってやれば3×20ではK,Pは落ち着いて当てることができて、Sは一番苦手だったけど、Sでもここだけは気をつけるとかコーチに教わったことだけを考えるという風にやったら意外と緊張しないでいつのまにか10点が当たるという感じだったので、自分の中で苦手だなと思っていたSのシリーズで96点が撃てたのが一番大きな収穫です。課題は、96点撃った次のシリーズで7点2回とか撃っちゃうのでそういう細かいところを修正して、後はファイナルに次また残る機会があれば、今回はセッティング変えるのがすごく遅くて試射も全然撃てなくて当たらなかったと思うので、セッティングや準備を早くするとかそういうファイナルに向けた練習をしていかなくちゃいけないのかなというのが今後の課題です
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
ことしは4年生のおかげでワセダが一年通して総合団体とかで入賞できているので、その4年生に最後に有終の美をあげるつもりで、ワセダがことし一年強いんだぞって言うのを慶応に見せつけて去年と同じくらい点差をつけて優勝したいなと思います。
千葉朔美(スポ2=埼玉・栄北)
――立射40発での優勝おめでとうございます。今のお気持ちを教えてください
2位の一ノ渡(法大)とは高校の時から競っていて、今回勝てたので嬉しかったです。
――今大会にはどのような意気込みで臨みましたか
やっぱり4年生が最後のインカレなので、4年生が良い試合だったなと思えるように自分が役立ちたいなという意気込みで臨みました。
――ファイナルを振り返っていかがですか
ファイナルは全体的に10点が低かったので、次のファイナルではもうちょっと高い10点を狙っていきたいです。
――先ほどお話にでた一ノ渡選手が一時詰め寄っていましたが、特に意識などはしていましたか
特には考えていなかったです。
――部員のみなさんが応援していましたが、心強かったのではないでしょうか
はい。やっぱり静かなよりはにぎやかな方がいいので(笑)。耳栓はしてないので、全部聞こえてきて楽しかったです。
――インカレ優勝を果たして、次の目標を教えてください
優勝したいです。来週にも全日本選抜があるので、とりあえず身近な試合から優勝を目標にしています。