女子部が総合団体優勝!インカレに向けて視界良好

射撃

 長瀞の地で4日間にわたって行われた関東学生選手権秋季大会(秋関)。全日本学生選手権(インカレ)を1ヶ月後に控え、現時点での実力を測るという意味でも重要な大会となった。男子部は個人入賞こそ谷川諒(スポ4=早稲田渋谷シンガポール)一人にとどまったものの、総合団体で4位に入りチームとしての総合力を示した。一方、女子部は2種目で入賞した長島遥(スポ4=埼玉・栄北)をはじめ、複数人が個人入賞を果たすとともに、総合団体では悲願の優勝を達成した。

 男子部の谷川は、伏射60発部門で本選9位と惜しくもファイナル進出を逃したものの、三姿勢120発部門では順当にファイナルへと駒を進めた。迎えたファイナルでは得意の伏射がさえわたり、10点台後半を連発する素晴らしい内容で一時は3位にまで順位を上げる。しかし立射シリーズで点数が安定せず、徐々に順位を落としてしまい、最終的な順位は6位となった。以前より秋関でのメダル獲得を目標に掲げていた谷川。今回、その目標を達成することはできなかったものの、「S(立射)だけしっかり撃てるようになれば、メダル圏内はもう近いなという確信が持てるようなファイナルでした」と、インカレに向け確かな手ごたえを得たようだ。一方、春関(関東学生選手権春季大会)に続く入賞が期待されていた金子将之主将(創理4=東京・早実)は、今大会での入賞はならず。自身の成績については、「全体的に自分の納得のいく射撃が全くできなくて、本当に悔しい思いでいっぱいです」と表情を曇らせた。しかし下を向いている時間はない。気持ちを切り替え、インカレでは主将としてチームを牽引する射撃を見せたいところだ。

エアーライフルに臨む金子主将

 女子部は、立射40発部門では団体6位と満足のいく結果とはならなかったが、夏合宿で重点的に取り組んだというSB(スモールボアライフル)で好成績が相次いだ。伏射60発部門では長島が613.0点、中里志穏(スポ3=埼玉・浦和一女)が612.8点と高得点をマークし、早大勢で1位・2位を独占。さらに、三姿勢60発部門では末本佳那(スポ3=福岡・大宰府)が566点の自己ベストを記録し本選1位。長島も本選2位の記録でファイナルへと駒を進めた。ファイナルでは、長島は序盤の膝射シリーズで精彩を欠き、ライバルから大きく遅れをとってしまう。続く伏射シリーズ、立射シリーズで懸命に差を詰めるものの、膝射での得点差を挽回することはできず無念の8位となった。一方の末本は、予選の勢いそのままに順調に得点を積み上げ、40発目終了時点で3位となる。しかし、ここから2発連続で8点台を記録してしまい、5位まで順位を落とし競技を終えた。より上の順位も射程圏内だっただけに悔しさの残る結果となったが、初めてのファイナルながら競技終了間際まで3位につけていたことは末本にとって大きな自信となっただろう。長島、末本の活躍で女子部はこの部門で団体優勝。さらに総合団体でも優勝を成し遂げ、インカレに向け大きく弾みをつける結果となった。

三姿勢60発部門で入賞を果たした長島(左)と末本(右)

 今季ここまで好調のシーズンを送っている早大射撃部だが、いよいよ勝負のインカレが迫っている。特に注目したいのが女子部だ。今大会では総合団体優勝を達成しただけでなく、春関で個人入賞のなかった中里、末本が好成績を残すなど個人のレベルアップを大いに感じさせてくれた。インカレでは個人、団体ともに複数種目での上位入賞、さらには優勝を期待したい。男子部も負けてはいられない。「3×40(三姿勢120発部門)とS60(立射60発部門)については、チームとしても個人としてもまだまだ課題がいろいろと残っているなと感じました」と金子が話すように、向上の余地は大いに残っている。各々が今回の課題をしっかりと修正できれば、今大会以上の成績を残すことは十分に可能なはずだ。残された期間は短いが、男子部・女子部ともに万全の準備を整えて、最高の舞台で悔いの残らない戦いぶりを見せてほしい。

(記事、写真 大庭開)

結果

【男子10m立射60発部門】

▽団体 1767.5点(9位)

谷川  諒 598.4点

松尾 悠佑 587.4点

藤井 尭彬 581.7点

▽個人

松井 信衞 592.4点

大岡 海登 582.9点

加藤 勇祐 575.2点

建部 紘男 574.4点

三鍋  亘 574.1点

北嶋 亮太 571.4点

眞城 永稔 570.5点

伊澤 昌平 568.8点

守田 慶亮 567.1点

金子 将之 565.8点

亀山 祥吾 563.9点

池田 佳悟 552.9点

波多 秀馬 551.3点

橋本龍太郎 550.2点

清水 学志 549.4点

小林 凌馬 DNS

尾花 駿輔 DSQ

岡村 祐生 DSQ

田曽 雅也 DSQ

加藤  一 DSQ

【男子50m三姿勢120発部門】

▽団体 3309点(4位)

谷川  諒 1129点  ※ファイナル393.5点(個人6位)

金子 将之 1093点

松尾 悠佑 1087点

▽個人

松井 信衞 1106点

建部 紘男 1098点

眞城 永稔 1083点

牧野 恭尚 1042点

【男子50m伏射60発部門】

▽団体 1808.9点(3位)

谷川  諒 606.8点

  

金子 将之 601.3点

松井 信衞 600.8点

▽個人

建部 紘男 596.4点

松尾 悠佑 594.9点

眞城 永稔 593.7点

戸井田勇介 589.3点

牧野 恭尚 584.1点

尾花 駿輔 565.5点

【女子10m立射40発部門】

▽団体 1203.8点(6位)

末本 佳那 401.4点

田中 美沙 401.3点

長島  遥 401.1点

▽個人

中里 志穏 396.8点

佐藤 史江 391.0点

毛利 綾花 391.0点

【女子50m三姿勢60発部門】

▽団体 1680点(団体優勝)

末本 佳那 566点  ※ファイナル399.7点(個人5位)

長島  遥 562点  ※ファイナル372.8点(個人8位)

中里 志穏 552点

【女子50m伏射60発部門】

▽個人

長島  遥 613.0点(個人優勝)

中里 志穏 612.8点(個人2位)

末本 佳那 598.2点

◆総合団体順位

男子総合団体 6885.4点(一部校内4位)

女子総合団体 2883.8点(一部校内優勝)

コメント

金子将之主将(創理4=東京・早実)

――今大会の総括をお願いします

まず女子に関しては3×20(三姿勢60発部門)の団体で優勝することができて、夏合宿を通じてSBをかなり強化してきたので、それが結果につながって本当に良かったなと思います。世界大会に出るような射手が他大に多くいる中で、エアーと3×20含めて女子が団体で総合優勝できたというのは次のインカレにつながるものになったのではないかなと思います。男子に関しては、P60(伏射60発部門)で団体3位に入ることができて、前からそういうチャンスはいくつかあったと思っていましたが、ようやくこうやって結果を出すことができました。まずは3位ということで次のインカレではより上の2位、そして優勝を狙っていきたいと思います。3×40とS60については、チームとしても個人としてもまだまだ課題がいろいろと残っているなと感じましたので、残りインカレまで1ヶ月しっかりと準備をして、インカレでしっかりと結果を残せればなと思っています。

――ご自身の成績についてはどう感じていますか

全体的に自分の納得のいく射撃が全くできなくて、本当に悔しい思いでいっぱいです。

――具体的な課題を挙げるとしたら何でしょうか

自分が取り組んできた練習や練習に取り組む姿勢などを、時間はあまりないのですがもう一回考え直して、インカレで結果を残せるような準備に全力を注いでいきたいと思います。

――夏合宿ではどのような点に重点を置いて取り組みましたか

夏合宿はもうSBしか練習していなくて、3つの姿勢をどれも重点的にやってきたつもりだったのですが、まだ自分の中でしっくりきているものがないなと思っていて、いろいろと課題ができたりだとかそれをクリアしたりというのを合宿の一週間で体験できたので、今後の準備の材料にしていきたいと思います。

――夏合宿の成果は今大会ではまだ出てこなかったということでしょうか

そうですね。今大会はまた別の問題が出てきたなというのをすごく感じたので、全く生かせていないとは思わないですが、うまくつながらなかったなという感じですね。

――インカレへの意気込みをお願いします

僕自身、4年生で最後のインカレになってしまうので、後悔のないようにしっかりと準備をして、納得のいく射撃をしたいと思います。

谷川諒(スポ4=早稲田渋谷シンガポール)

――3姿勢120発のファイナルを振り返っていかがですか

K(膝射)はそこまで得意じゃないながらもうまく踏ん張れたかなという感じでした。10点こそ当たりませんでしたが、深い9点がたくさん当たったのでそこに救われているという感じでした。P(伏射)に関しては一部飛ばしてしまうところもありましたが、ほぼ完璧でした。今までファイナルのPは心臓の鼓動がスリングを伝わって銃の揺れになってしまっていましたが、今回はスリングを少し改善しまして、その成果が本当に出ていて、いつものPと同じようにぴたっと止まっていて、思ったところでトリガーを引けたので、深い10点にたくさん当たりましたし、良かったかなと思います。5発ごとのシリーズでも一度、1番になって名前を呼ばれて嬉しかったです(笑)。S(立射)は結果としては良くなかったのですが、いつも通りといえばいつも通りでした。元々Sは苦手な姿勢ではないのですけれども、普段は試射をかなり撃った上で試合に臨んでいるので、ファイナルという限られた時間の試射しかできない競技ではやはりスロースタートになってしまって、銃の動きも止まらないし狙いも定まらないという状態になってしまっていました。もちろんそこはこれから改善しなくてはいけないところなのですけれども、どう改善していけばいいかは正直まだ分かっていないです。

――目標としていたメダルには惜しくも届きませんでしたが、その点については

そうですね。ただKとPが終わった段階ではけっこういい順位にいたので、もう後はSだけだなという感じがしました。今回のファイナルで4回目のファイナルだったのですが、ファイナルの緊張感や空気には今までと違ってかなり慣れて、精神的に落ち着いた状態で臨むことができたので、Sだけしっかり撃てるようになれば、メダル圏内はもう近いなという確信が持てるようなファイナルでした。

――P60についてはいかがですか

確か順位が9位で、ファイナルまでもうあと一歩だったので少し悔しいなというのがあるんですけれども、純粋に前回の春関の点数と比べるとマイナス10点、自己ベストと比べるとマイナス12点くらいの点数で、丸々一発撃っていないのと同じ点数を出してしまいました。これについてはいろいろと考えるところはありますが、元々Pという競技が浮き沈みが激しいというのと、サイティングがうまくいかなかったというところですね。普段からけっこう晴れの時に撃つことが多くて、曇りの時に撃つことに慣れていなっかたというのは言い訳になってしまうのですが、そこでの3点同心円のリアサイト側の円を認識するのがとても難しくて、ちょっとずれて覗き込んでいるせいで、各シリーズの集団がばらけて、そのせいで深い10点に当たらず、浅い9点を出してしまって点数が落ち込んでしまったのだと思います。ただ、点数だけを見てみれば決してそこまで悪い点数ではないので、前向きに捉えて、セッテイングも含めて改善していこうと思います。ファイナルでのPは良かったので、これを持ち帰って練習していこうと思います。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

次こそメダルを頂きたいと思います(笑)。今回P60でファイナルに出ることができなかったのでもちろんPも含めて、あとS60も正直良くない結果だったので、最低でも学生選抜の時の点数、さらにファイナルを狙っていきたいと思います。

末本佳那(スポ3=福岡・太宰府)

――3姿勢60発のファイナルを振り返っていかがですか

本戦で自己ベストを出せた上でのファイナルで、個人的に初めてのファイナルでもあったので、すごく楽しんで撃てたと思います。

――本戦で自己ベストを出すことができた要因には、どういった点が挙げられますか

気持ちを点数に向けるのではなくて、とにかく自分のやるべきことをやるということだけを考えて撃って、得意としているSの点数が伸びたのがけっこう勝因だったのかなと思います。

――ファイナル5位という結果をご自身でどのように受け止めていますか

ファイナル自体は楽しんで撃てたのですが、初めてのファイナルでまずまずかなという結果なので、インカレに向けてファイナルも含めて最終調整をして、インカレでは必ずメダルを取りたいです。

――ファイナルでは40発目以降、得点が伸び悩んでしまいましたが、やはりプレッシャーが大きかったのでしょうか

そうですね。緊張しましたね。もう地に足がついていないみたいな感じがするくらいの緊張感でしたが、後ろの部員の方が本当にたくさん応援してくださったのでそれがすごく励みになって、もう感謝の気持ちでいっぱいなんですけど、40発目以降も含めてインカレまでにしっかり調整していきたいです。

――夏合宿ではどういった点を重点的に強化しましたか

夏合宿では特に立射の練習を重点的にしていて、Sのファイナルの勝ち残りや負け残りの練習がすごく良かったなと思っていて、その点をしっかり今回の本戦で生かせたので、とてもいい合宿になったと思います。

――最後にインカレでの目標を教えてください

ファイナル進出はもちろん、ファイナルではやっぱりメダルは取りたいですね。1位も狙っていきたいので、個人での1位を目標にしつつ、やっぱり4年生が最後なので、団体でも得点を伸ばしていきたいなと思います。