【連載】全日本女子学生剣道優勝大会直前特集『雲外蒼天』  第2回 栗山一花×榎本凜香

剣道

 第2回は栗山一花(社3=大分国際情報)と榎本凛香(社3=茨城・守谷)のお二人。終始明るい様子のお二人からは普段の仲の良さがうかがえた。

※この対談は10月13日に対面で行われました。

「思い切って試合を楽しむ」(栗山)

メンを決めた栗山

――他己紹介をお願いします

榎本 一花(栗山)は稽古の時は誰よりも真面目で努力するのがめっちゃ良いところです。剣道外になったら1番明るくて、次期キャプテンでもあって責任感もあって、すごいムードメーカーだなって思います。

栗山 凛香は存在自体に花がある感じで、でも、なんて言うんだろう、剣道の戦い方とか作戦とかそういうのを考えるの上手です。私が来年キャプテンやる予定なんですけど、私ができないことをほとんどやってくれるので助かります。

――今年度の試合の振り返りをさせていただきます。 5月の関東女子学生選手権大会では栗山選手は出場されて2回戦敗退でしたが、振り返ってみていかがですか

栗山 自分の力を出しきれなかったなっていうのが一番強い印象です。良くもないけど悪くもないし、自分の殻を破り切れてないような感じでしたね。だから結果も付いてきてないって感じです。

――榎本選手は栗山選手の試合を見ていていかがでしたか

榎本 一花(栗山)が負けた相手がすごい有名な選手だったんですけど、見てて負ける気はしなかったです。一花(栗山)ならどっかでやってくれるだろうなって見てたからこそ、自分も悔しかった部分もあります。でも、3年生だから来年もあるので、全然それはそれでいいんじゃないかなと思います。

――8月には夏合宿行われましたが、一番記憶に残っている練習はありますか

栗山 同じタイミングで体調崩しちゃって。2人とも、私頑張ったなって思えるくらい練習して、結果倒れちゃったんですけど、それも良い思い出だったかなって思います。

榎本 私もです。

――練習以外で何か思い出はありますか

栗山 最終日になんとか流星群みたいなのあって3回流れ星を見たんですよ。

榎本 寝てたんだよー。

栗山 そうだ、ちょうど寝てた(笑)。なんか懐かしい気持ちになりました。

――9月の関東女子学生優勝大会について伺わせていただきます。お二人とも全試合出場されましたが試合を振り返っていかがですか。

榎本 法大戦が(トーナメントの)山だと思っていたので、そこを突破してかつ入賞してメダルを持って帰ろうっていう気持ちでチームでやってました。そこで一本勝ち切れなかったことがチームとしての課題だと思います。誰かが一本取ってれば勝った試合だったので、全員が一本を決めきれずに終わってしまったっていう反省点がありました。全日(全日本女子学生優勝大会)の切符は掴んだので、2回戦からで九州の強豪校(鹿屋体育大学)と当たるんですけど、そこで反省点を生かしたいと思ってます。

栗山 (法大戦で)負けて、私が大将戦で負けたんですけど、その前の4人の流れとしては100点に近かったです。あと自分がしっかりしたら全日は勝ち上がっていける力はあるんだなっていうことを再認識できました。あと、今までやってきた大学の団体戦の中で一番、自分たちに少しでも可能性を感じた大会でした。関東で勝つことが目標じゃないので、関東は負けたけど、それを踏み台にして全日ではしっかりやり返してやるっていう気持ちをもってできる、私にとってはすごい反省しないといけないのですが、チームにとっては悪い負けではなかったかなって思いました。

――法大戦後に選手同士で何かお話になりましたか

栗山 私が不甲斐ない試合をして、負けちゃって(監督やコーチに)怒られたりしたんですけど、みんなが大丈夫だよって言って見捨てないでくれて、私は謝ることしかできなかったのですけど、今度はそうやって恩返しできるようにしたいなって思いました。基本的に私をみんな励ましてくらました。

「3年生といういう一番力を発揮しやすい立場」(榎本)

メンを打つ榎本

――10月の早慶戦では見事19連覇を達成し、栗山さんは三将、榎本さんは中堅で早慶戦に出場されました。試合を振り返っていかがですか

榎本 私が一花(栗山)の前で、2勝1敗の状況で、これを言うと凄く口が大きいように思われるかもしれないのですが、私が負けたらチームが負けてしまうという思いが自分の中であったのでそこで絶対勝たなければならないと思っていました。また対戦相手も、そこでポイントを取りたいと思っていたのでそこを利用しようと思って冷静に試合に臨めたと思います。私は早慶戦のような大人数の試合の中で注目を浴びて試合をするのが楽しい方なので、自分の長所を認識しながらそれを生かした試合ができて、後ろにつなげたのが良かったと思います。

栗山 私は負けてしまったのですが、自分としては悪い試合ではなかったと思っています。私が勝ったら試合が決まっていたので、大事なところではあったんですけど、私が負けたことで試合が面白くなったなと思ってます(笑)。ちょっと落ち込みましたが、部分的には悪い試合でも思い切ってやれた試合でした。結果的にチームが勝ったので良かったかなと思っています。

―― 去年もお二人は出場されましたが、去年と今年で何か違いはありましたか

栗山 場所ですね。昨年の大きな会場と違って道場だったので歓声も直接聞こえてきました。

榎本 アットホームだけど少し異様な、早慶戦独特の雰囲気でした。普通だったら2年間ずつ同じ会場でやるんですけど、私たちは3年間とも違う会場でできたので楽しかったです。

――応援など会場の雰囲気はいかがでしたか

栗山 普通の試合と何が違うか言葉にするのは難しいですが、独特の雰囲気があります。

榎本 基本剣道では大声での応援をしてはいけないのですが、早慶戦ではそれができることと、歴史が長いのでOB からの重圧があることが違いかなと思います。

――全日本女子学生剣道優勝大会について伺わせていただきます。トーナメント表を見て対戦相手についてなにか印象はありますか

榎本 2回戦目に鹿屋体育大学、3回戦目に中央大学と当たります。今まであまり練習試合もできていない九州の学校、しかも九州の中でも1番強い学校と戦わなければいけないというのは、楽しみもありつつ、少し緊張感があります。トーナメントの発表をみんなで見たんですが、一花が、「体力のあるうちに強い学校と当たるから逆にいいんじゃない」と言ってくれました。法大戦ではみんなが疲れた中で試合して負けてしまったので、(対戦相手の厳しさを)プラスに捉えてくれる一言で、みんなの気持ちがガラッっと変わりました。

――栗山さんから榎本さんに期待することは何ですか

栗山 もちろん勝って欲しいですし、凛香(榎本)が勝ったらチームが勢いに乗れるような大事なポジションだと思うので、流れを変えるような試合をして欲しいです。また、私たちは実力で言えば勝つのは難しいので、作戦だったり、どうやって試合を進めるかをしっかり考えてチームがいい方向に向かうような試合を期待したいです。

―― 榎本さんから栗山さんに期待することは何ですか

榎本 試合時間が関東は4分に対して、全日は5分になるのですが、一花は、私から見て試合時間が長い方がスタイル的に有利だと思っています。相手は長くなることで嫌がるだろうし、逆に一花にとっては気持ちの面でも優位に立てると思うので有利に試合を進めて欲しいと思っています。あと、最近落ち込んでないと言いつつ、落ち込んでる部分もあると思います。チームのみんなはいちかを頼りにしてるので、気負わせるために言うのではないのですが、本当にいちかの実力を発揮してみんなで勝てるように、自分も頑張るんですけど、頑張ってほしいなと思っています。

――4年生の横山さん(舞香、スポ4=京都・日吉ヶ丘)にとっては最後の全日となります。お二人からメッセージをお願いします。

榎本 舞香さん(横山)はとても真面目で優しいです。1人しか4年生がいない中で、個性バラバラな私たちを1年間まとめてくれたので、恩返しできるように頑張りたいです。最後、舞香さんが早慶戦で決めたような思い切った試合をしてくれる姿を見たいなと期待してます。

栗山 舞香さんは私たちが自由すぎて大変だったと思います(笑)。でも最後なので、私たちよりももっと舞香さんにはバカになってほしいと思っています。私たちに気遣わずその場を思い切って楽しんで、 チームを引っ張ってくれたらいいなと思います。

―― 最後に全日への意気込みをお願いします

榎本 全日では、私たちはこれまでの3年間、 日本一という目標を掲げた以上、それに向かって頑張ってきました。しかも今年、私と中原(菜月、社3=愛媛・帝京第五)と栗山は4年生じゃなくて3年生といういう一番力を発揮しやすい立場にいます。4年生だと最後の年で色々思いがあり、ナイーブになりやすいと思いますが、3年生は絶対1番力を発揮しやすい年だと思うので、まず私たちが勢いをつけられるように頑張りたいです。日本一を取りたいと思っていますが、まずは1歩ずつ、 舞香さんと長く試合ができるように頑張りたいと思います。

栗山 最近決めたことなのですが、思い切って試合を楽しもうかなと思っています。プレッシャーなどは一旦忘れて、自分が楽しかった、チームでやってよかったと思えるような試合をできるようにして、それに結果がついてくればいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集・写真 小島大典、植村皓大)

◆榎本凜香(えのもと・りんか)

2003(平15)年1月15日生まれ。茨城県・守谷高出身。社会科学部3年。ディズニーにはまっている榎本選手。月1、2回のペースで行くそうです! 

◆栗山一花(くりやま・いちか)

2003(平15)年2月14日生まれ。大分国際情報高出身。社会科学部3年。「PRODECE 101 JAPAN」という番組にハマっているという栗山選手。 毎週木曜日に観て、推しに投票しているそうです!