第40回早慶対抗女子剣道試合(早慶戦)が10月8日に早大道場で開催された。早大は5ー2で快勝し早慶戦19連覇。優秀選手賞には、早大の勝利を決定付ける一本を放った中原菜月(社3=愛媛・帝京第五)が表彰された。
優勝杯と表彰状を手にする横山舞香(スポ4=京都・日吉ヶ丘)
通常の女子団体戦とは違い7人制で行われ、試合時間は4分、引き分けなしで勝敗の決するまで試合が行われた。
早慶両校のOB、OGも詰めかけた早大道場。試合前の両校応援部によるエール交換から、会場は熱気で溢れ返っていた。先鋒は海野美帆(スポ1=日大・神奈川)。ここまで公式戦での出場はなかったが、今年の早慶戦の1試合目を任された。試合開始早々、激しい打ち合いになり一手一手に歓声が上がる。試合1分30秒ごろ、間合いをじりじりと詰め相手のコテを誘い出し、コテからのメンで合わせて一本。まずは早慶戦の一本目を奪ってみせた。さらに試合2分ごろには、コテで相手のメンの先を取り二本目を奪った。先鋒を二本勝ちで制した早大は順調な滑り出しを見せた。
続く次鋒・松山若樹(社1=熊本・八代白百合)。得意の引き技を試合序盤から多く放つ。お互い有効打を決めることができず、試合は延長戦へ。延長1分30秒ごろ、松山は引きドウを放ち試合場中央から端まで残心をとる。追いかけてきた相手は構え直した後にすぐにメンを放ってきたが、松山は冷静に対応。相手のメンの先を取りコテを合わせて一本を決めた。1年生コンビの活躍で2連勝とした。
メンを打つ松山
しかし、五将・矢野ひかる(社2=京都・日吉ヶ丘) は試合2分30秒ごろ、コテを放って残心を取り決まったかと思ったが審判の旗は上がらず。直後にコテの残心を取っているところに放たれたメンに、矢野は対応することができず一本を奪われた。その後、矢野は鍔迫り合いをする時間も惜しいとでも言うように、一足一刀の間合いから攻め続けるが一本を決めることができず。昨年の早慶戦と同じ相手に敗れた。
相手に流れが傾かないようにしたい中堅・榎本凛香(社3=茨城・守谷)。序盤は上段の構えに攻めあぐめる相手に対して、焦らず攻め一本を決める機をうかがう。試合3分ごろ、榎本がメンを打つそぶりを見せるとたまらず相手の腕が上がる。すぐさま逆ドウを放ち一本を決めた。このまま4分が経過し一本勝ち。2連敗で勝ち数を並ばれるのだけは避けたい場面でみごと勝ち切った。
上段に構える榎本
三将・栗山一花(社3=大分国際情報)の試合は、休憩をはさんで6回の延長戦を行った持久戦となった。4回目の延長では栗山のメンに主審の旗が上がるが一本にはならず。6回目の延長に入った直後、相手は軽く上げた竹刀を栗山の小手に振り下ろし、栗山もコテからのメンで合わせにいこうとするが、相手のコテに旗が上がり敗戦。20分超にも及ぶ試合は相手に軍配が上がった。
ここまで3勝2敗となった早大。副将戦で負ければ勝ち数が並ばれ大将戦にまで勝敗がもつれ込む。副将を務めたのは中原 。この試合も延長戦が4回行われた。4回目の延長30秒ごろ、中原は鍔迫り合いから相手の小手を押し込んで、引きメンを打つように竹刀を上げた。反射的に三所避けした相手の左胴に引きドウを決めて一本。相手の反応できない一本を一瞬で決め、早大の勝利を確定させた。この試合の結果から中原は優秀選手賞に輝いた。
優秀選手賞の表彰をされる中原
人生で初めて大将を務めたという横山。試合が決した状態で回ってきて「楽しい気持ちで試合をやろうと思った」という横山は、気合の入った一本を見せた。早慶戦の最期を飾る大将戦、両校の応援には一層力が入る。一手一手に大きな拍手が上がった。4分では試合が決まらず延長戦へ。延長2分30秒ごろ、鍔迫り合いから間合いを切ったところ、相手の竹刀が少し下がった。横山は上段から思い切りメンを放ち一本。残心では勢い余って転倒してしまうほどの力強さをみせた。
メンを決めた横山、執念の一本を放った
今年も早慶戦に勝利した早大。長年のライバル慶応との対決を制したことは、11月に開催される全日本女子学生剣道優勝大会(全日)にもいい流れとなるだろう。今回の早慶戦のメンバーの多くは全日にも出場する。この勢いのまま、全国の舞台でも個々の輝きを見せて勝ち上がってほしい。
(記事、写真 小島大典)
結果
〇早大5(5) ー 慶大2(2)
〇先鋒 海野 メコー 工藤
〇次鋒 松山 コー 大久保
△五将 矢野 ーメ 長谷川
〇中堅 榎本 ドー 福西
△三将 栗山 ーコ 高橋
〇副将 中原 ドー 平川
〇大将 横山 メー 桑原
コメント
横山舞香(スポ4=京都・日吉ヶ丘)
――早慶戦にはどんな想いで臨みましたか
私は大将が人生初めてで、キャプテンが大将をするという決まりだったんですけど、すごい緊張しました。これまでも競技でうまくいかないことがあって、ほんとに苦しい思いばかりしました。やっぱり、 でも、選手としてなのかキャプテンとしてなのかという葛藤もありました。ここで勝って、全日にみんなが繋げられるような試合を展開したいなと思って早慶戦に臨みました。
――これで早慶戦19連覇
とにかく今はホッとしてます。試合前は19連覇とかそういう数字は関係なしに自分たちの試合をするというのを、指導陣の方、監督、助監督とお話しました。でもやっぱり19連覇できたという結果としては、本当に早稲田はすごいと思いますし、これからどんどん繋げて、連覇できたらいいなと思います。
――勝敗が決した状態で回ってきました
それもホッとしました。自分の試合ができるというすごい楽しい気持ちで試合をやろうとおも思いました。もちろん、後輩とかからのアドバイスと応援もすごいあったので、ほんとに自分らしい試合ができたなと思います。
――全日への意気込みをお願いします
全日では強豪校と当たる激戦区に当たりましたので、まずはそこを一戦一戦、自分たちらしい戦いをできるように本番までに練習して、必ず日本一になれるように頑張りたいと思います。