先週の関東学生選手権に続いて、関東学生女子選手権が墨田区総合体育館にて開催された。出場者450人のうち、上位28人が7月1日の土曜日に行われる全日本女子学生剣道選手権大会への出場権を得る。早大からは5人の選手が出場し、中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)が敗者復活戦の末に全日本個人出場権を獲得した。しかし、矢野ひかる(社2年=京都・日吉ヶ丘)は1回戦で敗退し、栗山一花(社3=大分国際情報)は2回戦敗退、横山舞香主将(スポ4=京都・日吉ヶ丘)は3回戦で敗退、そして松山若樹(社1年=熊本・八代白百合)は4回戦で敗退した。
矢野はコテ、メンを中心に消極的な相手に積極的に攻めていく。メンを防ぎにいったところに打ったコテなど良い打突も見られたが旗は上がらず。試合は延長戦へ。延長1分30秒ごろ、相手の竹刀の動きに釣られ、面を防ぎにいったところにコテを合わせられ一本負け。1回戦敗退となった。
1回戦、栗山は試合30秒ごろ、相手の先をとり相メンで打ち勝って早速一本を奪う。更に試合3分ごろ、一本目と同様に相メンで打ち勝ち二本目を奪った。常に優位な形で試合を進めることができ、幸先の良い勝利となった。
2回戦、両者譲らない展開が続く。しかし試合3分50秒ごろ、栗山が間合いを詰めようとしたところに相手が一気に間合いを詰めすぐにメンを放った。栗山もメンを後から合わせに行こうとするが、相手のメンに旗が上がる。残り少ない試合時間で一本を狙い激しい攻めを見せるが決められず。試合終了間近に一本を奪われ敗戦となった。
上段の構えの横山。1回戦、4分の試合時間では決まらず延長戦へ突入する。2回目の延長戦50秒ごろ、横山は間合いを詰めていき、相手の剣先が浮いてきたところでメンを放つ。相手も合わせてメンを放ち、相メンとなるが、横山の上段からの力強いメンが打ち勝ち一本。延長戦で一本勝ちとなった。
2回戦、立ち上がりからメンを放ち積極的に攻めていく。試合2分30秒ごろ、仕切り直した直後に、試合開始と同時に放ったメンと似た鋭いメンを放ち一本を奪う。その後もなかなか間合いを詰めることのできない相手を寄せ付けず試合終了。一本勝ちで3回戦に駒を進める。
3回戦は1回戦、2回戦と違い、横山と同じ上段の構えの相手と対峙する。試合2分ごろ、間合いを詰めようというところで、相手にコテを打たれ反応できず一本を奪われる。その後も、仕切り直し直後にメンを放つなど積極的に攻めるが、相手にことごとく防がれ一本を奪うことができず。悔しい3回戦敗退となった。
構える横山
今大会の早大からの出場者で唯一1年生の松山、1回戦は受け身な相手に打ち切ることができずに延長戦へ突入する。しかし、延長戦に入った直後、相手は様子をうかがいながら鍔迫り合いの間合いまで詰めてくる。松山は鍔迫り合いの体勢になった瞬間に引きドウを放ち一本。延長戦を制し大学入学後初の大会で勝利を収めた。
2回戦、相手は試合開始20秒頃に反則を取られる。更に20秒が経過したころ、相手はまた反則を取られ松山に一本が与えられる。思わぬ形で試合序盤に一本を手にした松山。2回の反則が影響したのか攻めあぐねている相手に優位な形で試合を展開。半端な間合いから詰めようとしてきた相手に思い切ってメンを放ち一本。二本を先取して危なげない勝利で3回戦進出を決めた。
3回戦、一足一刀の間合いでの睨み合いが続き4分が経過。その後、2回の延長戦を行うが試合は決まらず。3回目の延長に入った直後、両者様子をうかがいながら間合いを詰めていく。鍔迫り合いになるかならないかという間合いで、両者同時に引きメンを放つ。松山の引きメンが打ち勝ち、見事10分超に及ぶ試合を制した。しかし4回戦では、延長戦までもつれ込むがコテで一本を奪われ敗退となった。
ドウを決めた松山(写真左)
中原は1回戦シードで2回戦からの出場となった。2回戦、返し技を狙っているような相手に対し、素早いメンで積極的に攻めていき隙を与えない。試合3分ごろ、攻めあぐねている相手に、ここまでメンが多かったが隙をついてツキを放つ。相手は完全に反応することができず一本を奪う。このまま試合時間が経過し一本勝ち。試合後に強敵と語った相手に見事勝利を収めた。
3回戦、両者旗が上がらず延長戦に突入する。延長30秒ごろ、相手の竹刀を払い空いたところに素早く鋭いメンを放ち一本。3回戦も相手に反応させない素早い技で一本を奪った。
4回戦、お互い一足一刀の間合いで相手の動きを探り合い、なんとか攻めたいが詰め切ることができない緊迫した試合が続く。しかし、鍔迫り合いの状態から相手が引こうとしているところに引きメンを放ち一本を奪う。残り5秒で試合を決めた。
5回戦、勝てば全日本進出が決まる試合。相手の技に合わせて一本を狙っていくが4分で決めきることはできず。試合は延長戦に入る。延長40秒ごろ、鍔迫り合いから間合いを切った後に、相手の剣先の動きに釣られて中原の小手が浮いたところにコテを打たれる。中原も合わせて引き技を打つが、相手のコテが取られて一本負け。トーナメントはここで敗退となるが、この後は全日本進出の12枠をかけて敗者復活戦に臨む。
敗者復活戦、試合開始直後に相手は上段の構えからメンを放ってくるが、これを防ぎ引きメンを返して一本を奪う。更に試合20秒ごろ、一本目と同じように相手のメンに合わせて引きメンを放ち二本目を奪い勝利。僅か20秒で全日本進出を決めた。5回戦で1学年下に負けた悔しさがあったと語った中原。敗者復活戦ではその悔しさをバネに素晴らしい試合を見せてくれた。
メンを決めた中原(写真左)
今年の全日本個人出場者は男女1名ずつとなった。全日本に出場を決めた選手の全国の舞台での活躍に期待がかかる。
(記事 小島大典、写真 橋本聖 小島大典)
結果
横山舞香主将(スポ4=京都・日吉ヶ丘)
1回戦 ○横山|メ(延長)ー|小林(國學院)
2回戦 ○横山|メー|武井(東海大)
3回戦 △横山|ーコ|山内(明星大)
中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)
2回戦 ○中原|ツー|梅澤(立大)
3回戦 ○中原|メ(延長)ー|稲吉(国士舘)
4回戦 ○中原|メー|向山(日大)
5回戦 △中原|ーコ(延長)|猪原(中大)
敗者復活戦 ○中原|メメー|深澤(防衛大)
栗山一花(社3=大分国際情報)
1回戦 ○栗山|メメー|沖(明学大)
2回戦 △栗山|ーメ|杉本(中大)
矢野ひかる(社2年=京都・日吉ヶ丘)
1回戦 △矢野|ーコ|(延長)徳弘(国士舘)
松山若樹(社1年=熊本・八代白百合)
1回戦 ○松山|ド(延長)ー|須磨(立正大)
2回戦 ○松山|反メー|鈴木(成城大)
3回戦 ○松山|メ(延長)ー|福西(慶大)
4回戦 △松山|ーコ(延長)|門田(日体大)
コメント
中原菜月(社3年=愛媛・帝京第五)
――今日の試合を全体的に振り返ってみていかがですか
あまり試合前の調子が良くなかったので、今回の試合は思い切って勝負しようと思いました。
――今日は何を目標に取り組みましたか
1試合目の相手は結構強い相手だったので、まず1試合目を勝つのが目標でした。
――5回戦では惜しくも敗戦されましたが、5回戦の試合内容で次の敗者復活戦に生かされた部分はありましたか
1学年下の相手に負けて悔しかったので、敗者復活戦では絶対に勝ってやろうと奮起できました。
――敗者復活戦で一本目を決めた後、すぐに二本目を決めていました。どのような気持ちで臨んでいましたか
(5回戦で)負けてすぐの試合だったので、悔しいという気持ちで臨みました。
――今大会を終えて、新たな目標を教えてください
今回の大会でなかなか上に上がれず悔しかったので、全日本では上に上がって、団体でもレベルアップして上位に入賞できるよう頑張りたいと思います。