早慶対抗女子剣道試合の2週間後となる10月16日、同じく早稲田アリーナで早慶対抗剣道試合(早慶戦)が行われた。序盤は接戦となるも徐々に差をつけ、5試合を残して、あと1勝すれば優勝というところまでこぎつけた早大。しかし痛恨の4連敗を喫し、試合は大将戦へもつれ込む。それでも大将の大串快晴主将(スポ4=愛知・星城)が一本勝ちし、早大は2016年大会以来、6年ぶりの優勝を決めた。
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メンを狙う大串
20人制の団体戦として、各試合勝敗が決するまで延長される形式で行われた今大会。初戦を戦う先鋒を務めたのは斎藤裕太(社1=大分国際情報)。1年生同士の戦いで、相手が手を上げたところにすかさず逆引きドウを叩き込んで一本勝ち。先勝してチームを勢いづけた。続く次鋒・中村秀真(商2=京都・東山)も落ち着いて終盤にコテを決めて勝利し、2勝0敗と優位に立つ。しかしその後早大は2連続で一本負けし、2-2とイーブンに持ち込まれる。
それでも16将・平井皓之(法4=東京・戸山)が早々にコテを取ると、これを守り切って勝利し3-2に。さらに今大会が初の公式戦出場となる15将・渡部倫太郎(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が、慶大の4年生相手に粘りの試合を見せる。延長にもつれ込み、メンで一本を取って見事勝利。斎藤、渡部ら1年生の活躍で、早大は4-2とダブルスコアをつけることに成功した。
しかしその後1勝2敗し、すぐに5-4と1勝差に迫られる。だが11将の松田圭司(社4=大阪・清風)が、自分のペースを守って試合を運ぶ。そして延長戦で完璧に相手の上から乗る相メンを決め、少ないチャンスをものにして勝利。半分となる10試合終了時点で、6-4とリードした。
果敢に一本を狙う松田
取って取られての戦いが続いていたが、この松田の一本勝ちが契機となる。続く中堅の山本勇真(スポ3=大阪・明星)は自分の間合いを見定め、試合を有利に進める。延長で、松田と同じく相メンの一本勝ちを収めると、9将の山田大晴(スポ3=福島・安積)、8将・門田功成(社1=兵庫・育英)も相次いで延長戦で勝利。4連勝で9-4と、5勝もの差をつけた。
7将の千野峻暉(政経4=東京・早実)は幸先良くメンを取ったものの、コテを取り返され、延長へ。コテを狙われる中、じっくりと機を待ち続けた千野。しかし一瞬の隙にコテを許して惜敗する。しかしすぐさま外山大地(社3=神奈川・鎌倉学園)が一本勝ちを決めて取り返し、15試合終了時点でまたも5勝差をつけることに成功。残りは5試合、あと1勝で早大の優勝が決まるところまでこぎつけた。
だがやはり両校の意地がぶつかる早慶戦。5将以降を関東優勝大会のメンバーで固めた早大だったが、慶大もそう簡単には優勝をつかませてくれない。5将の和田晃貴(社4=東福岡)がメン2本を許して敗戦すると、続く嶋田陽樹(社4=栃木・佐野日大)、馬場恭大(スポ2=神奈川・東海大相模)、門間光児(社3=熊本・九州学院)の3人も、延長戦で惜しくも一本負け。痛恨の4連敗により、勝数は10-9と1勝リードしてはいるものの、本数が両校11本で同本数となり、大将戦で勝利したチームが優勝する展開となった。
大将を務めるのは主将の大串。慶大も主将の土田峻平(4年)が登場し、主将同士、チームの勝利がかかった負けられない一戦が始まった。拮抗した戦いに、大きな拍手や応援の声が飛びかい、試合はこの日一番の盛り上がりを見せる。そして終盤、つばぜり合いから、大串がゆっくりと後ろに下がるそぶりを見せる。このまま間合いを一旦切るかと思われたが、ここで素早く竹刀を回して引きメン。3本の旗が一斉に上がり、貴重な一本をもぎ取った。その後土田の猛攻を受けるも、しのいだ大串。一本を守り切って試合終了となり、優勝を決めた。
応援部の指揮で校歌を斉唱する早大部員
上級生だけでなく、出場した1年生の3人全員が勝利するなど、まさにチームで優勝をつかみ取った早大男子。これは2016年以来、引き分けや新型コロナ流行の影響による中止をはさみ、6年ぶりという快挙である。また、女子も早慶戦で18連覇を決め、二つの目標のうちの一つである「早慶戦優勝」を男女両方で達成することができた。今年度は男女ともに、来る全日本優勝大会にも駒を進めている早大。もう一つの目標である「日本一」に向けて、快進撃は続く。
(記事 荒井結月、写真 堀内まさみ)
結果
〇早大11(12)―(11)9慶大
先鋒 斎藤 ド- 梶原
次鋒 中村 コ- 安間
18将 石川 -ド 深野
17将 宮原 -コ 仁礼
16将 平井 コ- 伊藤
15将 渡部 メ- 松崎
14将 森下 -メ 佐藤
13将 神谷 ツ- 平岡
12将 今村 -メ 斉藤
11将 松田 メ- 吉田
中堅 山本 メ- 永江
9将 山田 メ- 丸山
8将 門田 コ- 常山
7将 千野 メ-ココ 中井
6将 外山 ド- 多田
5将 和田 -メメ 藤田
4将 嶋田 -メ 藤邨
3将 馬場 -ド 森川
副将 門間 -メ 小檜山
大将 大串 メ- 土田
コメント
大串快晴主将(スポ4=愛知・星城)
――2016年ぶりの優勝となりましたが、今のお気持ちはいかがですか
勝って良かったなという安心感があります。
――一時は5勝差とリードしていましたが、その後4連敗となり大将戦にもつれこみました。どのような思いで試合場に入りましたか
緊張していましたが、ここまでつないでくれた後輩や同期に感謝の気持ちと、あとは無心で挑みました。
――見事な引きメンが入り、優秀選手にも選ばれました。試合を振り返っていかがでしたか
得意技だったので、最後に決めることができて良かったです。
――チームメートの戦いぶりはいかがでしたか
みんな気持ちが入っていて自分も気持ちが入るような試合をしてくれて、本当に感謝しています。
――最後に全日本学生優勝大会への意気込みをお願いします
最後にこの試合で日本一を取るためにやってきたので、あと2週間頑張ります。
松田圭司(社4=大阪・清風)
――試合を終えて今のお気持ちはいかがですか
とってもうれしいです。何年も負け続けていたっていう前例があるので、自分たちで時代を変えられたと思うとすごくうれしいです。
――延長の末、完璧な相メンを決めました
やはり相手も選手クラスということで、非常にチャンスの少ない試合だったと思うのですが、その中でも自分の得意技を出せたこと、非常にうれしく思っています。
――優秀選手賞にも選ばれました
日本一・早慶戦優勝というのが目標だったのですが、実は早稲田に入学する時に、優秀選手賞に絶対になりたいという気持ちで入学していたので、4年の最後になることができて非常にうれしいです。
外山大地(社3=神奈川・鎌倉学園)
――試合を終えて今の気持ちはいかがですか
率直にうれしいなって気持ちはあります。
――返しドウで一本勝ちしましたが、振り返っていかがですか
狙っていたとかではなくて、体が勝手に反応したっていう感じです。
――優秀選手賞にも選ばれました
自分自身は自分が優秀選手だとは思っていなくて。本当に先輩方がつくってきてくれた土台があって、たまたま勝てたという感じです。
渡部倫太郎(スポ1=神奈川・桐蔭学園)
――大学で初の公式戦出場となりました。どのような思いで試合に臨みましたか
1年生で、後ろには強い先輩方が控えているので、とにかく思い切り自分のいいところを出そうという気持ちでやりました。
――4年生相手でしたが、自分のペースを保ち、延長でメンを取りました。試合を振り返っていかがですか
あそこは狙っていたところでした。相手は攻めが強くて、結構ぐいぐい来ていたので、そこの入り際を狙えば大きい選手でもメンが当たるなと思っていたので、狙っていました。