まさか…無念の結果も、成長の糧に

剣道

 男子の予選である関東学生選手権が行われてからおよそ一週間。東京武道館の地で関東女子学生選手権が幕を開けた。6月末に大阪で開かれる全日本女子学生選手権(全日本)の出場を懸けた今大会に、早大からは10人の剣士がエントリー。好発進を見せた男子とは一転、予想外なことに昨季活躍を見せたメンバーが次々と敗退し、初戦から早大は厳しい状況へと陥ってしまう。挽回を狙う早大であったが、誰一人として全日本の道を切り開くことはできず、不本意な結果に終わってしまう。

 早大にとって今大会は、去年に増して波乱の幕開けとなる。去年全国大会へと出場を果たしている中澤結貴(人4=埼玉・伊奈学園)、国体優勝経験を持つ二神明日美(社2=愛媛・済美)、そして女子主将としてチームを支えている太田麻友(スポ4=茨城・守谷)、実力者3人がまさかの初戦敗退となってしまったのだ。「みんなおしいところで一本が決めきれない場面が多くあった」と太田。早大のリズムが早くも狂い始める。

主将として懸命に戦う太田

 2回戦では、中澤とともに去年全国大会へと出場した品川大華(スポ4=広島・広)、阿住朱莉(社4=山形・左沢)、石田結稀(社4=大阪・四天王寺羽曳丘)4年生3人がまたしてもまさかの敗戦。また3回戦では、これまで順調に勝ち進んできたようにも見えた高橋野乃(スポ3=京都・日吉ヶ丘)、川畑美紗妃(教4=鹿児島・錦江湾)、浅野円花(社2=岐阜・中京)3人が、紙一重の僅かな実力差で惜しくも敗れた。さらに早大勢として唯一4回戦へと勝ち進んだ和田桃花(社3=鹿児島・錦江湾)であったが、試合開始直後、守りの姿勢時の浮いた手元を狙われコテを決められてしまう。そのまま一本を取り返すことができず、惜しくも全日本出場は決められなかった。試合後、和田は「攻めの気持ちが足りなかった」と思い残しながら顧みた。早大は狂うリズムを立て直すことができぬまま無念の敗戦。

しのぎを削る和田

 今大会では試合内容に対しても結果に対しても、全てに悔いが残った早大。しかし、「今回の大会で10/10全員が全日本に出場できなかったことは逆にプラスに考えている」と太田は気迫あふれる表情で語った。団体戦に向けての稽古をいち早く始め、より多くの勝利を目指す。全日本出場が叶わなかった悔しさをバネに、秋に行われる団体戦では選手全員が思う存分に実力を発揮してくれることだろう。ワセ女剣士たちの成長に今後も目が離せない。次回はきっと勝利のインタビューが待っている。

(記事 湯口尊、写真 岡秀樹)

結果

太田 初戦敗退

品川 2回戦敗退

川畑 3回戦敗退

阿住 2回戦敗退

石田 2回戦敗退

中澤 初戦敗退

高橋 3回戦敗退

和田 4回戦敗退

浅野 3回戦敗退

二神 初戦敗退

コメント

太田麻友(スポ4=茨城・守谷)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

試合前、試合中ともに不安な気持ちでした。自分の良いところを全く出すことができずに終わってしまったかなと思います。

――試合に向けて意識して取り組んだことはありますか

部全体の練習メニューとして、常に打てる足を作る目的で応じ技に対しての連続技に重点をおいて取り組んできました。

――主将として意識したことはありますか

女子主将として私が先陣を切って全日本出場を決めたいという思いはあったのですけど、それがプレッシャーとなりダメな方向に傾いてしまったのかなと思います。

――個人戦ではありましたが、本日の早大全体の試合の取り組みについてどう感じていますか

おしいところで一本が決めきれず、勝ちきれないまま試合が終わってしまうことが全体の課題としてありました。今回の試合ではこのような場面が多く、全員がこの課題にまた直面してしまったのかなと思います。

――最後に、団体戦に向けて一言お願いいたします。

今回の大会で10/10全員が全日本に出場できなかったことは逆にプラスに考えています。他の大学に比べて早く団体戦に向けてスタートができるので、負けたことを無駄にせずにしっかりと稽古に励んでいきたいです。

川畑美紗妃(教4=鹿児島・錦江湾)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

1週間前程から調子が良く、試合展開を良い流れとできるようにと意識しました。自分の中ではできたかなと感じています。

――試合に向けて意識した点はありますか

3年生まで前メンを跳ぶ事ができなくなっていて、コテにすごく頼ってしまっていました。一歩踏み出して、前に前に責めることができるようになるために練習を積んできました。

――試合の中で、出ばな技や、とびこみ技、応じ技など多様な攻め方をしているように見受けられましたが、何かこだわって練習してきたことはありますか

相手が打った後の後技は、相手に打たれて終わるのではなく、自分が打ち切って終わることを意識しました。自分が前に出ている、後ろに下がっている関係なく、たとえ押されていても一本を出すことを練習試合など通じてずっと目標としてきました。

――おしい技、もったいない技が多いようにも感じましたが、その点どのように感じていますか

――前々からの課題でもあるのですが、もっと残心に重きを置いて練習するべきだなと改めて感じました。

――今の早大にチームとして足りないことは何かありますか

監督などから言われていることでもあるのですが、一番危険な位置に攻め込むことに恐れてしまって前に踏み込む技が出せないという場面がとても多いので、みんながもっと前に踏み出せるような練習に取り組んでいきたいと考えています。

和田桃花(社3=鹿児島・錦江湾)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

結構きょうは調子が良かったんですけど、最後、次勝てば敗復(敗者復活戦)だと思うと、ちょっと守りに入ってしまって打たれたので、やはり守りに入ってはいけないなと改めて学ばされました。

――この試合に向けて準備されてきたことはありましたか

試合前結構、調子が悪くて、練習試合とか負けが続いていたので、あまり試合のことは考えすぎないで、集中するということだけを頭に入れていたので、特に何かを意識したなどは特になかったです。

――3回戦までは調子が良かったように見受けられたのですが、好調の要因は何かありましたか

調子が悪かったおかげといったらあれなんですけど、逆にもう吹っ切れて冷静になれたので、周りとかも見られていて、自分でも調子がいいなというのは分かったので、さらに上がって言った感じです。

――得意技を繰り出すことはできましたか

引き面が得意で、1回戦、2回戦どちらも引き面で(1本を)取ったので、得意技はしっかり出せていたかなと思います。

――4回戦では敗戦となってしまいましたが、敗因として考えられているところはありまあすか

気持ち的に若干、長期戦でいこうというように思っていて、守りから入ってしまったので、やはり守るとその分手元が浮いてしまって、うまく小手を当てられたので、やはり攻めの気持ちがなかったかなと思います。

――最後に今後の目標についてお願いします

個人では全日(全日本女子学生選手権)に出られなかったので、しっかり団体で選手に入って、今、3年連続全日(出場)を逃しているので、今年こそは出られるように頑張りたいと思います。