緊張感漂う日本武道館。この武道の聖地で、第65回関東学生剣道選手大会が行われた。6月末に大阪で行われる全日本学生剣道選手権大会(全日本)の出場権獲得を目指し、早大からは6人の選手が出場。藤田啓人(スポ3=東福岡)が全体のベスト8、中嶋優樹副将(法4=東京・國學院久我山)がベスト32に入るなど、好成績を収めた。秋山健太主将(スポ4=福岡大大濠)を含めた3名が、全日本への切符を獲得。今年度の初戦、早大は順調な滑り出しとなった。
秋山は主将として迎える、今年度始めての公式戦。序盤こそ危なげなく勝利を重ねたが、3戦目では延長戦でメンを決められ敗戦。全日本出場に向け、敗者復活戦へ回った。そして、「自分の得意な技で勝負しきれなかった」と、秋山は敗者復活戦でも延長戦にもつれ込む苦しい試合を強いられる。惜しい技はいくつもあったが、旗は上がらず。しかし、相手の反則2回で一本を獲得し、辛勝。勝利への執念で全日本の出場権を獲得した。一方、「絶対に全日本に勝ち上がりたい」と強い気持ちで今大会に臨んでいた副将の中嶋は3戦目で学習院の重黒木涼介と対戦。自身の得意技であるメンで「迷わず勝負できた」と、一本を決め、全日本への出場が決定。ベスト32へと駒を進めた。続く試合で敗れたが、この結果について試合後、「素直に嬉しい」と振り返った。
全日本出場を決めた中嶋
この日、良いコンディションで試合に望むことができたという藤田は絶好調。初戦、試合時間ギリギリにコテで一本を取り勝利すると、その後は順調に勝ち進んでいく。4戦目では、名門・筑波大の寒川祥と対戦。鮮やかなメンを決め、一本勝ちで全日本への切符を手にした。続く5戦目、相手の逆ドウに旗が一本上がりヒヤリとする場面も。試合は延長戦へと突入したが、最後は自身の得意技とする出ばなメンで一本。長い戦いを制した。そして、次の6戦目にも勝利し、ベスト8に進出。勝負の準々決勝の相手は、前の試合で前回の優勝者を破り、波に乗る明大・槌田祐勢。両者一歩も譲らない試合展開で、藤田はこの日3度目の延長戦へ。長い試合が多く、疲れもたまっていた。延長戦の途中、藤田の足がつるアクシデントが発生。試合に復帰した藤田だったが、最終的に上がった手元を狙われ、コテで勝負あり。惜しい敗戦となった。
果敢に攻め続ける藤田
全日本への出場権を懸けて行われた今大会。個人戦特有の延長戦までもつれる長い試合が多く、一つ一つの試合のレベルも非常に高かった。その中で、全日本出場を決めたことは選手たちにとって大きな自信になっただろう。今大会で得た収穫と課題。約1ヶ月、自身の剣道と向き合い、3人の剣士たちには大阪での活躍を期待したい。また、この日破れた他の選手たちも、悔しさをバネに、秋の団体戦での飛躍を誓う。
(記事 松下瑞季、写真 湯口尊)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
秋山 4回戦敗退(敗者復活戦を経て全日本出場)
中嶋 ベスト32(全日本出場)
平井 1回戦敗退
藤田 ベスト8(全日本出場)
吉村 1回戦敗退
藤本 2回戦敗退
コメント
秋山健太(スポ4=福岡・福大大濠)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
全体的に良くはなかったです。自分の得意な技で勝負しきれなかったところが反省点かなと思います。
――最後の敗者復活戦では相手の反則での勝利となりましたが
そうですね、本当はしっかりと一本をとって勝ちたかったですけど、全日本につなぐことはできたので良かったかなと思います。
――主将として意識したことはありますか
代替わりして、チームの団結力を増すことに力を入れてきました。チームのサポートや応援の気持ちの一体感を主将として大切にできたとは思います。
――新体制はいかがですか
新入生が入部してきてもう一度体制を作り直す時期となりました。6月末にある全日本、そして最終目標である団体戦に向けて、より一層チームづくりということを重点的に考えていきたいと思っています。
――個人戦ではありましたが、本日の早大全体の試合の取り組みについて主将としてどう感じていますか
良い明るい雰囲気の中、盛り上げながら試合に臨めたところはとても良かったです。
――最後に、全日本に向けて一言お願い致します
高校の同期が優勝とベスト8を勝ち取っているので、今度は自分が良い成績を出せるように頑張りたいです
中嶋優樹(法4=東京・國學院久我山)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
絶対に全日本に勝ち上がりたいという気持ちがありました。2年生、3年生のときも出場させては頂いているのですけど、結果がまだ出せていなかったので、個人戦で結果を残してチームをもっと引っ張っていきたいと考えていました。結果につながったので、素直に嬉しいです
――副主将として意識したことはありますか
個人戦ではあるものの、チームとして試合に臨むことを目標としていました。その点で今大会ではチーム一丸となることができていたのではないかなと思います
――団体戦に向けて早大の課題はなんだと思いますか
実力は確実についてきていると思います。全日本につながった選手は自分を信じて実力を出し切ることができたから勝利を勝ち取れたように感じました。実力はあっても試合で出し切ることができないようにならないように全部員での気持ち作りがより必要だなと認識しました。
――出ばなメンでの一本が多いように見受けられましたが、振り返っていかがですか
個人戦では自分をどれだけ信じられるかが勝負の鍵となってくると思うのですが、自分の得意技であるメンで迷わず勝負できたことはとても良かったと思います。
――では最後に全日本への意気込みをお願い致します
ちょっと就職活動があるので一回切り替えて頑張りたいと思っています(笑)就職活動が終わったらより一層全力で剣道に取り組みます!
藤田啓人(スポ3=東福岡)
――全日本出場おめでとうございます!
ありがとうございます
――今日の試合結果を振り返っていかがですか
最初から気持ちを入れていって、1試合1試合大切にして、自分の剣道が常に出来ていたというのが結果につながったと思います。
――試合内容についてはいかがですか
1試合1試合大事にしていく中で、相手に攻め込まれても落ち着いて攻め返したり、簡単に触らせなかったりすることを意識しました。コーチの方からもアドバイスを頂いて、それを次の試合からすぐに生かせていけたのは良かったと思います。
――今日は初戦から落ち着いて試合に臨まれているように見えましたが、体のコンディションはいかがでしたか
1週間前から体の調子や練習中の体の動きが良くて、結構調子がいいという感じはありました。前日も良い感じでコンディションつくることができたので、自信持って望むことができました。
――今日は色々な技が決まっていましたが、ご自身の得意技や決め技は何かありますか
出ばなメンって言って、相手が(攻めに)来たところをメンで抑えるという技です。今日キメられたのは少なかったのですけど、常にそれを狙いながら攻めることが出来たので、他の技も良いところで決まってくれたと思います。
―明大の槌田選手との最後の試合ではアクシデントがありましたが、何があったのでしょうか―
足をつってしまいました。試合前にもつっていて、1回治ったのですが、体力不足で、試合中また(つってしまった)。
――今は足の状態はいかがですか
痛いですけど、大丈夫です。
――最後に、全日本に向けて意気込みをお願いします
槌田選手との試合中足がつってしまったりしたので、体つくりから見直して、あと1ヶ月鍛え直したいです。しっかり次の全日本では優勝できるように頑張りたいです。