昨年度の主将・久田松雄一郎(平30スポ卒=現愛知県警察)の代が卒業し、新体制に代わってから初の公式戦を迎えた。60枠ある全日本選手権(全日本)への出場権をかけて各校から選ばれた468人が参加し、早大からは6人が出場した。松葉友暉副将(法4=岐阜北)をはじめ、昨年は3回戦まで進んだ秋山健太(スポ3=福岡大大濠)や中嶋優樹(法3=東京・国学院久我山)、平井亮太郎(社4=石川・羽咋)ら4人がまさかの初戦敗退。安井奎祐主将(スポ4=茨城・水戸葵陵)が早大勢では8年ぶりのベスト4入りを果たし、馬場健太(社4=東京・富士)と共に全日本出場権を手に入れた。
万全の状態ではない中、早大剣道部の主将として試合に臨んだ安井。2回戦で一瞬相手の旗が上がり、息をのむ場面もあったが順調に勝ち進んでいった。全日本出場がかかる4回戦では、筑波大の初田と両者一歩も譲らない白熱した戦いを見せ、コテで勝負あり。「あそこで負けてしまったら元も子もないので、厳しい所を狙って絶対に勝とうという気持ちで挑みました」と振り返るように、気持ちの強さが勝負を決めた。準決勝では大勢の観客が注目する中、中大の丸山に善戦するも力が及ばず優勝には届かなかった。
全日本出場を決めた馬場
馬場にとっては1年時の関東学生新人戦以来の公式戦となった今大会。初戦はシードで免除され、2回戦からのスタート。相手の反則により3回戦へと進み、そこで正確にコテとメンを捉えて全日本出場が目前にまで迫る。しかし4回戦では後ろに下がって手元が上がった一瞬の隙をつかれ、コテを決められてベスト32には入ることはできなかった。敗者復活戦では「とにかく全日本に出なければ、という気持ちが強かったので、どうにか1回で決めたかった」と言うように、一切迷いがない勢いのあるメンですぐに勝負を決め、悲願の全日本出場が決定。
ベスト4に入賞した安井
松葉の「秋の団体戦が1番大事にしている試合なので、そこに向けて全員がいい状態で臨めるように」という言葉のように、今大会がゴールではない。まずは安井、馬場が全日本でいい成績を残し、チームとしての結束力を高めて確実に成長していってほしい。
(記事 大山遼佳、写真 松本一葉)
結果
安井 ベスト4、全日本出場
松葉 1回戦敗退
馬場 4回戦敗退、全日本出場
平井 1回戦敗退
秋山 1回戦敗退
中嶋 1回戦敗退
コメント
安井奎祐主将(スポ4=茨城・水戸葵陵)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
調子があまり良くなかったのですが、試合が始まってみると思ったよりも体が動いて、それに気持ちものってきて準決勝までいけたと思います。最後、試合と試合の間に1時間ぐらい時間が空いた時に気持ちを切らせてしまい、一瞬の隙をつかれてしまいました。今後はそのすきがなくなるように練習していきたいです。
――序盤で相手の旗が上がる場面もありましたが
一本一本大事に試合をしていたのですが、最後にドウとメンで分かれた時にちょっと誘われ気味のメンでした。旗が上がったからよかったのですが、打たなくてもいいところだったので、そこも含め改善していきたいです。
――全日本決定戦では落ちついているように見えました
あそこで負けてしまったら元も子もないので、厳しい所を狙って絶対に勝とうという気持ちで挑みました。ラストなので、全日に出ることも重要なのですが、今大会でしっかり成績を残せるように戦いました。
――主将として意識したことはありましたか
1回戦で負けている選手が多かったので簡単に打たれない練習をしていかないと団体戦では通用しないと思います。厳しい稽古を積んでいきたいと思います。本番は団体戦で、団体戦で優勝できればいいと思っています。しっかり全員で気持ちを一つにしてしっかり頑張っていきたいです。
――準決勝を振り返っていかがでしたか
ドウにいってメンを打たれてしまいました。しっかり決め切るところだったのですが何かが足りなくて決まらなかったので、その何かを探してあの逆ドウが入るように練習していきたいです。
松葉友暉副将(法4=岐阜北)
――新人戦以来の公式戦でしたが、振り返っていかがでしたか
もちろん悔しいです。部内で選考試合もして、色々な部員を勝ち抜いて試合に出させてもらったのに府外ない試合だったので、秋の団体戦に向けてもっと頑張っていきたいです。
――副将として意識したことはありましたか
部のナンバー2として試合に出て活躍しないといけない立場でしたし、歴代の副将もこの大会で結果を残しているのでプレッシャーも少し感じていました。全日本に出たいという気持ちで頑張りました。
――1回戦敗退の選手が多かったですが
この大会に向けて部員全員で頑張ってきたのですが、実力不足でした。同期の安井が結果を残してくれたので、彼にしっかりついていって団体戦に向けて練習していきます。
――最後に、今後に向けて一言お願いします
まずはしっかり実力をつけて、全日本で安井と馬場がい結果を出せるようにサポートするのと、秋の団体戦が1番大事にしている試合なので、そこに向けて全員がいい状態で臨めるようにします。
馬場健太(社4=東京・都立富士)
――全日本学生選手権(インカレ)出場決定おめでとうございます
率直にうれしいです。1、2、3年生と出れなかったので、今回初めてのチャンスだったのですが、チャンスを生かせたというか周りの期待に応えられてよかったです。
――関東学生新人戦以来の公式戦出場となりましたが、緊張はありましたか
めちゃめちゃ緊張してました。でも、やっぱり出れなかった人の気持ちとかを考えたら、簡単には負けられないと思ったので、勝ててよかったです。
――選考はどのようにされたのですか
選考は、部内でやって、その中で勝った人だけで選考試合をして、結構際どい試合を乗り越えてきてやっと出れました。そういう試合で負けて出れなかった者もいますし、そういう人たちの気持ちも背負って戦いました。
――では試合を振り返りたいのですが、第2回戦は反則での勝利となりました
そうですね、言ったらラッキーだったんですけど、ちょっと竹刀落とし狙っていたので。
――第4回戦では惜しくも破れてしまいましたね
下がって手元が上がったところをコテ打たれましたね。なかなか攻めあぐねてましたし、相手上手だったんで。
――一転、敗者復活戦では落ち着いた試合運びのように見えましたが
そうですね、しっかり気持ちを切り替えました。とにかく全日本に出なきゃという気持ちが強かったので、どうにか1回で決めたいと思っていました。割と集中してできました。
――早大勢の試合を振り返っていかがでしたか
早大としては残念だった部分も多くて、私と安井(奎祐主将、スポ4=茨城・水戸葵陵)以外は1回戦負けというふがいない結果を残してしまいました。私は全日本がありますが、団体に向けてもっと一人ひとりがレベルアップしなければいけないなというのを改めて実感しました。
――試合が始まってからのチーム内の雰囲気はいかがでしたか
いきなり4人負けたので、自分としてもプレッシャーというか勝たなければいけないなという気持ちは一層高まりましたし、それに応えられてよかったです。
――新体制はいかがですか
安井キャプテンを中心に、統率はもちろん取れていますが、それ以上に仲が良いので、和気あいあいとしてます。でもきょうの結果も踏まえて、そういう面と厳しい面をうまくバランスとってやっていかないといけないなと感じました。
――4年生になっていかがですか
就活との両立が大変です。
――今年は体育会の実行委員長もされてますよね
そうなんですよ、やばいですよね(笑)。
――足は怪我をされてるんですか
そうですね、練習中に皮がむけて、割れちゃうみたいなのがあるんですけど。剣道病みたいなものです(笑)。
――チームのコンディションはいかがでしたか
安井は結構満身創痍の体だというのは聞いていたのですが、それでもあれだけの試合をしてくれたので頼りになったなって思います。
――今年の新入生はいかがですか
今年は結構自分たちの代に似てるというか、際立って強い人はいないんですけど、全体的にレベル高くて、ここから誰が頭抜けるのかなっていうのはすごい期待できますね。
――では最後に全日本への意気込みをお願いします
せっかくこんなに強い選手がいる中で出れるので、早大の自覚を持って戦いたいですし、就活もあるんですけど、それを言い訳にしないように。早大の代表に加えて関東の代表でもあるので、恥ずかしくない試合をしたいです。