次に登場するのは、昨年に引き続いての全日本学生優勝大会(全日本)出場となった大﨑泰拓(社4=奈良大付)と2年ぶりにメンバーの座をつかんだ船橋惇冶(社4=茨城・水戸葵稜)。メンバー入りの難しさをこの4年間で痛感してきた2人が感じてきたことは。そしてラストイヤーに懸ける思いを語っていただいた。
※この取材は10月17日に行われたものです。
「ふがいない」(船橋)
関東学生選手権(関東)では無念の1回戦敗退となった船橋
――春の個人戦を振り返っていかがでしたか
船橋 一言で言うとふがいないって感じです。
――選考はいかがでしたか
船橋 ちょうど就活の時期と被っていたので、正直あまり練習もできていなくて。まあでも4年生として(関東で勝って)全日本にも出てっていう、その先を考えていました。
大﨑 やっぱり3年生の時に初めて個人戦に出場して、個人戦に対する思いっていうのはあったんですけど、でも選考を迎えるにあたって就活とかもあってなかなか練習する時間もなくてその中でどうやって勝っていこうかと考えて臨んだんですけど、力及ばずって感じですね。
――個人戦が終わってからやってきたことはありましたか
大﨑 自分は足の使い方とあと師範から言われていることを重点的にやってきました。
――夏合宿はいかがでしたか
大﨑 練習自体は厳しかったですね。
船橋 でも、そんな1年生みたいに他にやらなきゃいけないことがあるわけでもないんで、自分が休む時間っていうのはしっかり確保できたかなあとは思うので普通に楽しかったです。きついってよりは楽しかったですね。
大﨑 すげえ。俺はきつかったですね。
船橋 俺も合宿中はきつかったけどさ(笑)。
大﨑 ああ、終わってしまえばね。終わったーって感じはしますけどね、一瞬一瞬はきつかったですね。
――大崎さんは同期の飲みなどでもよくハイ(テンション)になられるそうで
大﨑 は、誰言ったのそれ(笑)。
一同 (笑)。
大﨑 それ飲まされるからですよ。普段は大丈夫なんですけどお酒入ると自分でも楽しくなっちゃって。
船橋 普段も十分ハイ(笑)。
大﨑 普段はこっちの方がハイですよ。ていうか惇冶(船橋)は感情の起伏が激しくて。ハイの時もあるんですけどすごい喋らないときもあって極端です。
――お二人はいつ頃出会われたんですか
大﨑 高校の時から顔見知りでした。
船橋 で、二人とも同じ推薦で入るってなって、それで説明会が高校3年の時にあってそれからずっと話してますね。
――お互いの第一印象は
船橋 頭いいと思ってたんですけど、人間的にすごい馬鹿でした(笑)。
一同 (笑)。
――具体的にはどこらへんがですかね
船橋 よく抜けてるんですよね。何考えてるかわかんない(笑)。
――船橋選手の印象は
大﨑 高校からきつい練習やってて、しっかりしてんのかなあとか思ってたんですけど、見た目がだらしなさそうじゃないですか(笑)。だからどっちかな、って思ってた感じですね。
――今になって印象は変わりましたか
船橋 今はニコイチっす(笑)。大学1年からずっと同じ授業ばっかり取ってます。
大﨑 欠かせない存在ですね。授業登録も一緒にしますもん。どれにする、これ楽そうじゃね?って(笑)。
――どんな授業を受けることが多いですか
船橋 楽な授業です(笑)。必死に探して。
大﨑 マイル見て、評価見て、シラバス見て、照らし合わせてって(笑)。
――2人での思い出とかありますか
船橋 2人の思い出(笑)。なんかあると思うけどね。
――では今までで一番楽しかったとはありますか
船橋 何気ない毎日ですかね(笑)。
――そういえば船橋選手は早慶戦の冊子に、趣味は何気ない一瞬を切り取ることって書かれてましたね
船橋 写真撮ることが趣味なんですよ。最近は撮ってないんですけど、一時期は(やってました)。
――オフの日の過ごし方は
大﨑 普通に誰かと遊びに行くか、前日がめっちゃ飲んでたら潰れて次の日ずっと寝てるかですね。
船橋 オフの日はどこか遊びに行って写真を撮ってみたいな。インスタにはアップしないですけどね(笑)。自分だけの写真フォルダに収めときます。
――昨年の夏合宿後にはみなさんで川に行かれたそうで
船橋 そうですね、でも僕は内心微妙でしたね。
――どうしてですか
船橋 選考負けたんで。3年個人(でメンバーに)入って、で団体で外れたので。
「自分たちの色に染めてほしい」(大﨑)
2年連続の全日本出場となった大﨑
――今までで1番印象に残っている試合などはありましたか
大﨑 やっぱりきょねんの早慶戦の大将戦が一番印象に残ってますね。きょねん(自分は)出てないんですけどすごかったですね。
――では今年の早慶戦はいかがでしたか
船橋 ふがいないですね。
――試合の流れとしてはいかがでしたか
大﨑 前が、まあ私も含めなんですけど結構競ってきてて、もうちょっと前の方で後ろの人の負担を軽くできれば良かったかなと思います。
船橋 そうだよな。俺んとこにも予想しない展開で回ってきたもんな。前の方はもっと楽に勝てると思ってたので。
――女子の早慶戦はご覧になっていかがでしたか
船橋 そうですね、最初の方(次鋒、5将で)負けたんですけどまあ大丈夫かなっていう。
大﨑 相手の慶大側もあそこ(次鋒、5将)の2人が強いみたいな感じだったんで。立教(大)戦のときも次鋒の子が勝ったっていうのを聞いたので。負けるとしてもあそこじゃないかなと思っててもう安心して見れました。
――では話は変わりますが、関東学生優勝大会(団体戦)はいかがでしたか。お二人は初戦に出場されました
大﨑 ああいう負け方は一番しちゃいけなかったですね。
船橋 身体的にはそんなに調子悪くはなかったんですけど、逆にそれで1本取られてしまって身構えてしまいました。そこは反省かなと思います。
――団体戦を終えて取り組んでいることなどはありますか
大﨑 足に気を使ってやるのは今までどおり継続してて、あとは作りを早くすることか、師範によく言われている(相手の)リズムに乗らないようにして自分のリズムをつかんでいくっていうのは意識してますね。
船橋 試合になるとどうしても構えが横に開いていってしまうので、そこは直さないとな、と思って自然に前に手を出すように意識してやってます。あと打ったあとの作りの速さとかね。
大﨑 ね。やっぱりそこが問題だと思うんですよ。やっぱり中大とか作りめっちゃ早いもんな。そういうところですね。
――今のコンディションはいかがですか
船橋 今は正直あんまり気にしてないですね。一応今週は自分がいつもやってる通りやって、来週の3日前から上げていけばいいかなって感じです。
大﨑 コンディションっていうかモチベーショイン的にはもう4年生だし、あと2週間しかないしって思うんで、気持ち的には全然上がっているつもりではありますね。
――あと2週間で引退となってしまいますが、4年間を振り返っていかがですか
大﨑 でも楽しかったなあ。辛いこともあったんですけど。
船橋 すごい楽しかったです。仲良いもんな、俺らの同期ね。上(の代)とか見てると、結構仲悪かったりするんですけど。
大﨑 何でも言えるしな。
――今年入ってきた1年生の印象いかがですか
船橋 おとなしいですね。
大﨑 大人っぽい子が多いですね。僕は寮が一緒なんで、今は1年生ばっかりなんですけど、逆になんか仲良くさせてもらって、ありがとうございますって感じですね(笑)。
――船橋さんは1人暮らしですか
船橋 私はいろいろあって実家ですね。でも寮がいいです。
――寮暮らしはいかがですか
大﨑 ご飯作らなくていいのは楽ですね。あとエアコン使い放題。すっと付けっぱですよ(笑)。
一同 (笑)。
――卒業後はどうされますか
一同 実業団ですね。
船橋 剣道やりたいと思って(笑)。
――先ほど船橋選手の趣味は写真と伺ったんですけどお二人他に何かありますか
大﨑 オフの時はスノボですね。うまくはないんですけど。普通に滑れるくらいです。
――どこらへんでやられるんですか
大﨑 長野か岐阜あたりですね。
――剣道部の方と一緒に行かれることはありますか
船橋 1回行ったね。2年のときにスノボ合宿っていって。全身筋肉痛になりました(笑)。
大﨑 B型の旅だったよね(笑)。
船橋 みんな個人行動するんで(笑)
――4年生として後輩にメッセージなどはありますか
大﨑 やっぱりその代その代に色があるんで、自分たちの学年の色に染めて欲しいなと思います。
船橋 きめえ(笑)。じゃあ俺らは何色?
大﨑 虹色です。
一同 (笑)。
大﨑 後輩たちはまだ白いんでこれから1年で染まっていくと思います(笑)。
――高校時代の練習はいかがでしたか
船橋 めちゃくちゃきつかったです。レベルが違いますね。大学入った時めっちゃ楽だなって思いました。1年生の時が本当にきつくて、私85キロで入学したんですけど4カ月で72キロくらいまで痩せて。1年の前期は本当にしんどすぎてただぼーっと生きてましたね。希望もなく、何してるんだろうみたいな。
――辞めたいとは思われなかったのですか
船橋 辞めたいって考えてる余裕もなかったです。1日1日をどう生きようかで精いっぱいでした。
――大﨑選手はいかがでしたか
大﨑 私たちたちがいた時のコーチが今監督やってて、今はきついと思うんですけど自分らの時はどっちかっていったら間の駆け引きとかそこらへんをずっと重点的にやってきてて、3本打つ、とかだったんで練習は大学の方がきついですね。
船橋 俺らには限界の稽古があるからな。
――どんな稽古なのですか
船橋 月に1回校内合宿があるんですけど、で自分の限界までやるってことで、切り返しとかいろいろを本当にぶっ倒れるまでやってて。泡吹く部員とかもたまにいてそんだけ過酷でしたね。
――過酷すぎますね
船橋 夏合宿が一番きつかったですね。俺終わった後泣いたもん。本当にきつすぎて終わった後は号泣でしたね。
大﨑 普段の練習より練習時代の方がやばかった、毎週あるんですよ。毎週のように練習試合があって、兵庫育英(高)ってところとめっちゃ仲よかったんで、全体で何校か集まって練習試合やる時もあれば、本当に何もなくて暇な時はその兵庫育英ってところに行って対戦したりやってたんで、その練習試合して負けたり、あんまりよくない試合した後の先生が嫌でした。そっちが嫌でしたね。
――全日本の選考はありましたか
一同 ないですね。
――では関東の予選はいかがでしたか
船橋 シビアでした。
大﨑 練習休みの時とかはいいんですけど、午後が始まってからはピリピリしてました。
船橋 ピリピリしてるのが伝わってきましたね。団体は特に。団体の方が強いんで。
――勝ち上がっていかがでしたか
船橋 うれしかったっていうかほっとしました。よかったって。
大﨑 なんか、毎回の試合で自分ら2人入れ替わりって感じだったんですよ。2年の個人戦から、私が入ってその次団体惇冶(船橋)が入って次私が団体入ってみたいな。全然一緒にやることがなかったんですよ。やっとニコイチで一緒になれました(笑)。しかも、きょねんの選考と状況が似てたんですよ。< /p>
船橋 最初のリーグが4人だったんですよ。私と大﨑が1回戦の2試合目で当たって、私が大﨑に負けて。で私が次の試合勝ってっていう。
大﨑 きょねんの関東の団体の予選の選考の時と私が勝ってどうのっていう感じも、試合展開とかも全く一緒に進んで行って。< /p>
船橋 私だけめっちゃ不安で。きょねんと一緒やみたいになって。このままいったらここで負けるんだ、ていう。
大﨑 でもそこで勝ってな。
―難しいですね。船橋選手は高校の後輩の安井奎祐選手(スポ3=茨城・水戸葵稜)が入ってきてうれしかったですか
船橋 そうですね。なんなら私が冗談半分で(ワセダ)来いよって言ったら本当にきてくれて、みたいな。
――今3年生で試合に出られているのが安井選手のみということで
大﨑 強いと思うんですけどね。
――やっぱり4年生が強いんですかね
船橋 そうですね(笑)。
大﨑 でもやっぱり普通に強いよね。比べられてるだけじゃない?なんかみんな平均的に強いみたいな。なんか弱い子がいないですね。努力家の集まりですよね。
「やるべきことをやる」(船橋)
ラストイヤーにして初めて2人揃っての全日本出場となった!
――4年生になってご自身の変化ってありましたか
船橋 やっぱり叱ってくれる人がいなくなってちゃんとしないとなっていう部分はあって、率先して声掛けとかやりつつって感じですね。
大﨑 まあほんとに練習試合の取り組み方が変わりましたね。今年で最後だしっていう。
――では最後に全日本への意気込みをお願いします。
船橋 最後なんでやるべきことをやるってだけですね。今までの4年間の集大成をぶつけて一戦一戦に集中して勝ちます。
大﨑 (船橋選手と)重なっちゃうんですけど、1つ1つの試合を最後の試合だと思って、しっかりやっていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 松本一葉)
自分たちから一番遠い言葉を選んだというお二人が書いた言葉は「素直」でした
◆大﨑泰拓(おおさき・やすひろ)(※写真右)
1995年(平7)5月8日生まれ。身長171センチ、体重63キロ。B型。奈良大付属高出身。社会科学部4年。対談では船橋選手から「抜けてる」と言われていた大﨑選手。飲み会でもよくいじられるそうで、天然キャラで周りからも愛されているのが伺えます。後輩への愛を熱く語る姿も印象的でした!
◆船橋惇冶(ふなばし・じゅんや)(※写真左)
1995年(平7)8月5日生まれ。身長173センチ、体重90キロ。B型。茨城・水戸葵稜高出身。社会科学部4年。2年生時以来の対談となった船橋選手。ブランクを感じさせない快活なトークで対談を盛り上げてくださりました。全日本でもチームを盛り上げて勝利に導いて下さるでしょう!