悔し涙で終わった関東女子学生優勝大会から早1カ月、ことしは早大剣道場で早慶対抗女子試合が行われた。早大からは7人の女子剣士が出場。前半は一時負け越しを許すなど苦戦したが、中堅の太田麻友(スポ2=茨城・守谷)が2本勝ちでチームに勢いをもたらすとその後は快勝。5−2で慶大を下し見事早慶戦連勝記録を14に伸ばした。
最優秀選手にも選ばれた太田
早大の先鋒として出場したのは杉村麻記副将(社4=茨城・守谷)。「自分の戦いができるように、且つチームを勢いづけることを意識した」と述べたように、上段を生かした力強いプレーで相手を圧倒。序盤にメンを決めると、その後は相手に反撃を許さず1本勝ち。4年生の勝利にチームは湧き、早大が流れをつかんだように思われた。しかし続く品川大華(スポ2=広島・広)、山下紗奈未(社3=山形・左沢)が延長戦を制することができず相次いで敗戦。慶大にリードを許す展開となってしまう。
その悪い流れを止めたのは中堅として出場した太田。中盤にきれいな抜きドウを決めると続けざまにメンを叩き込み2本勝ち。この日初の2本勝ちに早大応援席からも歓声があがる。興奮覚めやまぬ中、次に登場したのは小西波瑠(スポ3=大分鶴崎)。「1本絶対に取ろうと気持ちを切り替えた」と序盤はいつもよりも硬い動きが目立ったが、中盤にはずっと決めたかったという返しドウを決める。小西はそのまま勢いに乗りメンを決め、見事2本勝ち。続く副将・河村奈穂(スポ4=大分鶴崎)につないだ。勝てば勝利が決まる局面での出場となった河村は、何度も引き技を繰り出すなど果敢に攻めるも旗はなかなか上がらず。もどかしい試合が続き勝負は延長戦へ。「焦らずミスしないように冷静にいこうと臨んだ」と、後がなく猛攻を仕掛ける相手をいなし、一瞬の隙をついてコテを決め勝利、見事延長戦を制した。早大の大将は川﨑茜主将(文4=京都・日吉ヶ丘)。「勝負は決まっていたが自分が勝って大会を締めようと思った」という言葉通り、延長戦開始直後にメンを決め勝利。有終の美を飾った。
最後は笑顔で幕を下ろした
「本当にいい仲間に恵まれて、いい環境で剣道をやらせてもらって。すごく楽しかったし、充実した4年間だった」と川﨑は4年間を振り返った。早大を支え続けてきた4年生は今大会が引退試合となる。これからは小西や山下、今回は補欠での出場となった沖田瑞希(社3=京都・日吉ヶ丘)をはじめとした新しい世代が早大を引っ張っていく。今年は果たすことのできなかった『日本一』を目指して。早大女子剣士はこれからも日々まい進していく。
(記事 松本一葉、写真 栗村智弘、栗林桜子)
コメント
川﨑茜主将(文4=京都・日吉ヶ丘)
――今回はどのような意気込みで臨まれましたか
絶対に勝つ、という意気込みで臨みました。
――大将戦での出場となりましたね
(私の時点で)価値は決まってたんですけど、私が最後勝って、この大会を締めるつもりでやろうと思ってました。
――決まり手はメンでした
あんまりどういう場面だったかも覚えていないんですが、相手よりも(勝ちたいという)気持ちが強かったから、ああいうところでメンが出せたのかなと思っています。
――4年生全員が勝利しましたね
本当によかったし、チームも勝てたことにすごく安心しました。
――これで引退となりますが4年間を振り返っていかがでしたか
本当にいい仲間に恵まれて、いい環境で剣道をやらせてもらって。すごく楽しかったですし、充実した4年間でした。
――最後に後輩に向けてメッセージをお願いします
私たちが取れなかった日本一を目指して頑張って欲しいです!
杉村麻記副将(社4=茨城・守谷)
――今大会の意気込みを教えてください
学生生活最後の試合となるので、勝って終わりたいという気持ちが強かったです。
――先鋒で出場されました
先鋒の勝敗はそれ以降のチームの雰囲気に関わってくると思います。4年生が最初勝つことで、チームを盛り上げれたらという気持ちでいました。自分の試合もしたかったので、自分の戦いができるように、且つチームを勢いづけることを意識しました。
――自分の試合とは具体的になんでしょう
自分は上段なんですけど、緊張すると手元をおろしてしまいます。そうならないように片手メンを狙いながら、上段らしくメンで決めようと思っていました。最後メンを決めることができてよかったです。
――この大会で引退となりますが、いかがですか
ワセダに来てよかったです。早慶戦でも優勝して終わることができてうれしかったです。
――後輩にメッセージをお願いします
チームのカラーは代によって違ってくるので、自分たちのチームを作っていってほしいなと思います。
河村奈穂(スポ4=大分鶴崎)
――早大での最後の試合となりましたが、早慶戦を終えた今の気持ちはいかがでしょうか
本当に最後なので悔いが残らないようにしっかり一本取ろうと思っていて、ちゃんと一本もぎ取ることができていい試合だったと思います。
――チームメートや応援に来てくれた人への気持ちもあったと思います
先輩方や友人が応援に来てくださって、同期のご家族とかも来られていて。その人たちへの、あの色紙に書いた『恩返し』じゃないですけど、いいところ見せて喜んでもらおうと思って戦いました。
――河村選手が勝てば早大の勝利が決まるという場面での登場になりました
何回も勝ち数とか本数をボートで確認して、ここで私が勝ったらワセダが勝つんだなあって思って。焦らずミスしないようにいけば絶対勝てると思っていたので、冷静にいこうと臨みました。
――決まり手はコテでした
そうなんですよ、私本当はメンを決めたくて。決めたかったんですけど、まあコテになってしまったんですけど、ちゃんと攻めて打った結果なので良かったです。
――最後に、後輩に向けてのメッセージをお願いします
私たちはあと二週間ほどで引退になるんですけど、まだ稽古には出て後輩と稽古する機会があるので、その間に伝え切れるだけのアドバイスを伝え切って、来年はことし以上の成績を残してほしいと思います。
小西波瑠(スポ3=大分鶴崎)
――きょうは目標どおり、勝って後ろに回されましたね
ずっと決めたいって言っていた返しドウを決めることができたし、チームの勝利にも貢献できたのでよかったです。最初はすごく緊張して、構えるのも怖かったんですけど、途中からは、1本を絶対に取ろう、という気持ちに切り替えていきました。
――試合の流れとしてはいかがでしたか
(前の)太田(麻友、スポ2=茨城・守谷)は絶対に勝って回してくれると思ったので2−2の引き分けで、私が後半戦のトップバッターだったので勝ち越してやろうという気持ちでやりました。
――今回で4年生は引退となってしまいますが
すごく寂しいし、でも(私も早大にいられるのは)あと1年しかないので、これからオフシーズンもしっかり稽古して、来年は全部(タイトルを)取れるように頑張ろうと思います。
――これからオフに向けてやっていきたいことはありますか
自分がまだできていないところを直していったり、あとはもっと技を増やしていきたいと思います。
太田麻友(スポ2=茨城・守谷)
――年に一度の早慶対抗試合でしたが、振り返っていかがですか
本当にあっという間でしたね。
――慶大が2連勝している中で出番が回ってきました。どういった心境でしたか
試合前から、チームの流れが悪い状態での戦いをイメージしていましたし、とにかく自分の試合をしようという気持ちで臨みました。それが結果につながったと思います。
――プレッシャーを普段以上に感じる、といったこともなかったですか
そうですね。それは全然なくて、いつも通りやろうという感じでした。
――4年生と戦う最後の試合でした。特別な気持ちはありましたか
団体(関東女子学生優勝大会)では、私の負けが影響して、勝ち進むことができませんでした。4年生にはすごくお世話になってきたのに、まだ結果で何の恩返しもできていなくて…。なので、最後の早慶戦こそは、自分がチームの勝利に貢献したいという気持ちでした。
――4年生がいなくなってしまうことに対しては、どういった思いがありますか
本当に寂しいの一言です。ただ、自分が結果を出し続けることで、これからも恩返しはしていけると思います。ことし先輩たちが出られなかった全日本に来年は出場できるように、またここから頑張っていきたいです。
――次は関東学生新人戦となります。
いま試合に出ているのは、私と品川(大華、スポ2=広島・広)だけなので、チームとして経験不足な部分もあると思いますけど、自分が頼りがいのある試合を見せて、全員のいい部分を引き出していければと思います。