筑波大剣道場にて、日本の関東選抜と大韓民国(韓国)の大学選抜が栄冠を争う日・韓交流学生親善試合が開催された。男子は15人制、女子は5人制の団体戦をそれぞれ2回ずつ行う今大会。早大からは、関東の個人戦で結果を残した久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)が男子の九将、河村奈穂(スポ3=大分鶴崎)が女子の中堅に選出された。国際規準の判定に苦しみ、久田松は、個人としては第1回戦は引き分け、第2回戦は一本負けとなり、チームとしては第1、第2回戦ともに敗戦。一方、第2回戦のみの出場となった河村は、個人として一本勝ちを収め、チームとしても全勝優勝と、男女で明暗が分かれた。しかし、両選手共に世界を知る良い機会となり、経験という収穫を得た大会となった。
精鋭ぞろいの男子日本だったが、普段とは違う判定に苦しんだ。先鋒の矢野貴之(国士館大)の敗北で幕を開けた第1回戦、日本はその後も近間を中心に攻めてくる韓国の剣道を前にペースをつかむことができず、終始後を追う展開に。2敗5分と、ビハインドを負った状況で迎えた九将戦。久田松は飛び込みメンやドウで果敢に攻め込み、相手と激しい技の応酬を繰り広げる。そうした打ち合い中で、久田松の鋭い打ちが観客を沸かす場面もあった。しかし、旗は上がらず、引き分けで試合終了。その後、日本は2勝を挙げるも最後まで韓国に追いつくことができずに2-3で惜敗した。続く第2回戦では、序盤から日本が先行。3-2で九将の久田松にバトンが回ってきた。恵まれた体格を生かして接近戦を仕掛けてくる相手に対し、久田松は冷静に竹刀をさばき攻撃をいなす。攻めては、立ち上がりから打ちがさえわたり、相手のコテやドウを何度も捉えた。しかし、審判の旗はピクリともしない。中盤、メンを打ったところに返しドウを合わされると、これは有効打突と判断され、久田松は一本負けを喫する。後ろに控えていた選手たちも国際基準のジャッジを前に一本が遠く、チームは4-6で敗北。世界の厳しさを知ることとなった。
慣れない判定に苦しむも、鋭い打ちで会場を沸かせた
一方の女子は、第1回戦こそ2-2の引き分けに終わったものの、河村の出場した第2回戦では、5人全員が勝利を飾る圧巻の試合運びを披露した。先鋒、次鋒がそれぞれ二本勝ちを収め、早くも優勝へ王手をかけると、続く中堅戦で出場したのは河村。あと1勝でチームの勝利が決まるという大事な局面で、河村は「負けてはいけない」とリスクを取らずに慎重に立ち回る。しかし中盤、相手が手元を上げると、「無意識のうちにコテを打っていました」と身体が自然に動き、先取に成功。この一本を守り切り、チームを栄光へと導く大きな1勝を挙げた。
落ち着いた試合運びで一本勝ちを収め、勝利に大きく貢献した
男女で明暗が分かれた今大会。片や喜びに沸く女子、片や渋い表情を浮かべる男子と、試合後の選手たちの雰囲気は対照的だった。しかし、「すごくいい経験になったと思います。海外の剣道というものを知れたし、これから上でやっていくには必要な経験だと思っています」と久田松は冷静に試合を振り返る。国外の剣道を肌で感じたことは、これからの剣道人生に生きてくるに違いない。今回の経験を糧に、秋の団体戦で一回り大きくなった姿を見せてくれることに期待したい。
(記事 佐藤諒、写真 久野映)
コメント
久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)
――本日の試合を振り返っていかがでしたか
ちょっと打ち急ぎすぎてしまったかなと思います。(旗が)上がるかなという場面もあったんですけど。国際基準での大会だったので基準もいつもとは全然違いますし、そんな中でいい経験をさせていただいたなと思っています。
――きのうから、大韓民国の選手や他校の選手と過ごしてきていかがですか
すごくいい経験になったと思います。海外の剣道というものを知れたし、これから上でやっていくには必要な経験だと思っています。
河村奈穗(スポ3=大分鶴崎)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
チームも自分も勝てて良かったと思います。
――勝てばチームの勝利が決まるという場面で回ってきました
前の2人が良いかたちで回してくれて、無理しないように、最低引き分けで負けてはいけないと思ってたんですけど、無意識のうちにコテを打ってました。あんまり打ったことのない技でした。
――日本との違いは感じましたか
日本人と違って、中間間が上手くて。あとは、身体もでかくてパワーもあって、技もバンバン打ってくる感じでした。
――そうした相手に対して、どのようなことを意識して対処しましたか
私の相手は韓国人の中でも小柄な人だったのですが、体当たりとかは強かったです。でも、それに合わせてやるのではなくて、焦らずにやろうと思いました。