春の陣、いよいよ開幕。聖地・日本武道館で、500名近くもの剣士が全日本学生選手権(全日本)への切符を懸け激戦区関東でしのぎを削った。今季初の公式戦となった本大会に、早大からは注目の新人・秋山健太(スポ1=福岡大大濠)含む7名が出場。並み居る強敵相手に小林直道主将(スポ4=東京・高輪)ら早大勢が次々と倒れる中、敗者復活戦に回るも見事返り咲いた森本翼(社4=京都・龍谷大平安)、ベスト8の好成績を残した久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)の2名が全日本出場を決めた。
「1年生のスタートが大事」と強い気持ちで臨んだルーキー秋山は1、2回戦を得意のメンで勝利するも、3回戦で長い延長戦の末惜敗。全日本出場は逃したとはいえ、大学デビュー戦にも物おじせず思い切りのある剣道を見せた新星の今後に期待だ。一方ベテラン勢は、小林が上段相手に苦しみ1回戦で、昨年全国3位の成績を残した勇大地(スポ3=東福岡)が2回戦でトーナメントから姿を消すなど、実力ある選手が勝ち上がれないというもどかしい結果に終わった。
大学デビュー戦に臨んだ秋山
昨年はあまり公式戦の出場機会に恵まれなかった森本。ラストイヤーに懸ける思いは人一倍強い。勝てば全日本出場が決定する4回戦に挑むも、強豪・中央大の選手に接戦の末敗れ敗者復活戦に回る。3戦にわたる敗者復活戦の最終戦で、執念のメンを決め出場権をもぎ取った。また、久田松は初戦から強敵とぶつかるも延長で勝利し、その後も危なげなく準々決勝まで勝ち進む。最もし烈だったのは5回戦。国士館大の井出との戦いは、長い延長にもつれ込み体力・集中力が問われる厳しい戦いとなった。百戦錬磨の久田松も「きつかった」とこぼす激闘だったが、最後はコテを決め勝利。その後準々決勝で敗れたものの、ベスト8の好成績を収めた。
ラストイヤーに悲願の全国出場を決めた
早大勢の中でも明暗分かれた今大会。小林は「それぞれに課題の残る試合だった」と振り返る。全日本出場とならなかった選手たちの次なる目標は秋の団体戦。個人戦とはまた違った戦い方の必要となる団体戦に照準を合わせながら、おのおのの課題の克服に取り組む。また、森本、久田松の2人は「部の代表に選ばれたのも全国に行けたのもぎりぎりだったので、全国では良い成績を残してしっかり決めたい」(森本)、「しっかり自分の剣道を出していい成績を出せれば」(久田松)と7月に向け気合いは十分。仲間の思いも背負い、精鋭集う全国の舞台で早大の名をとどろかせてほしい。
(記事 久野映、写真 佐藤諒、八木美織)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
ベスト8に入賞した久田松
結果
久田松 ベスト8
森本 4回戦敗退(敗者復活戦を勝ち抜き、出場決定)
船橋惇冶(社3=茨城・水戸葵陵) 3回戦敗退
安井奎祐(スポ2=茨城・水戸葵陵) 3回戦敗退
秋山 3回戦敗退
勇 2回戦敗退
小林 1回戦敗退
コメント
小林直道(スポ4=東京・高輪)
――今季初の公式戦でしたがいかがでしたか
それぞれに課題の残る試合だったと思います。
――具体的にどういった点で
個人個人思う部分はあると思うのですが、全日本を決めた二人はよかったとして、私も含めて他のメンバーはそれぞれもう少し思い切った試合ができたのではないかと思います。その部分をこれから直していけたらと思います。
――ご自身の試合を振り返っていかがですか
1試合目の相手が上段ということでやりづらさはありました。(上段)対策はしていたのですが実際の試合となるとうまく動くことができずに、不用意に出て行ったところを打たれてしまったので課題の残る試合でした。
――チームの雰囲気はいかがでしたか
本格的な新体制になって初めての公式戦だったので、まだつかみ切れていないです。
――チームとして意識したことは
個人戦なのであまり先の事を考えるのではなく、目の前の1試合1試合を大切にすることを全員で心がけていました。
――今後意識していきたいことは
団体戦なのでチームワークが大切になってくると思うのでそこを重点的に、個人として勝つのではなくチームとして勝つことを練習を通じて全員で理解できるようにしたいと思います。
森本翼(社4=京都・龍谷大平安)
――全日本出場決定おめでとうございます
とりあえずほっとしたというのが正直な感想ですね。
――今季初の公式戦ということでしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
本当はベスト8、ベスト4まで行きたかったのですが、負けた4回戦の相手が鬼門というか厳しい相手で負けてしまって、それで敗者復活戦に回ることになってずるずるしてしまったことが反省点です。/p>
――特に印象に残っている試合は
やはり4回戦で負けてしまった時の試合ですね。(相手の選手と)同じ高出身の後輩と稽古をしたりしていたのでタイプとしては相性がいいのかなと思っていたのですが、最後やられてしまいましたね。
――冬の間意識していたことは
いままでは結構足が止まってしまうことが多かったので、足を使って止まらないように意識していました。
――先日の都道府県対抗戦でもご活躍されていましたね
2週連続で試合があるとなかなか調整が難しいですね。先週の試合が大阪であってその往復だったり、就活もやっているのでなかなか調整が難しかったです。
――全国に向け抱負をお願いします
部の代表に選ばれたのも全国行けたのもぎりぎりだったので、全国では良い成績を残してしっかり決めたいと思います。
久田松雄一郎(スポ3=佐賀・龍谷)
――ベスト8という結果をどのように捉えていますか
残念っていう気持ちもあるのですが、とりあえず全日本出場枠は取れたので良かったかなと思います。
――入学から2年間、個人で結果が出ない状態を経て、ついに全日本出場を勝ち取ったということで、やはりうれしさもひとしおですか
上を目指していたので、悔しい思いもあるんですけど、ほっとしている部分もあります。
――関東学生新人戦からのオフシーズン、どのようなことを意識して稽古してきましたか
小さいことの積み重ねが大事だと思っていて、練習中打った後の自分の作り方とか工夫しながら練習をやってきて、そういうのが出ていたんじゃないかなと思いました。
――具体的にはどのようなところで実感したのでしょうか
抜かなくなりました。メンを打って、切っていたんですよ。そこを直して、「メン!」って打って集中を切らさずに、という練習をしていたので、延長が長かった試合もあったのですが、そういうところで集中を切らさずにできたところは練習の成果が出たかなと思います。
――お話に出たように長期戦もありました。体力的にはいかがでしたか
かなりきつかったです。
――井手勝也選手(国士館大)との対戦ですね
やばかったです、あのとき(笑)
――決め手となったコテは、狙っていたのでしょうか
そうですね。
――井手選手は引き出しが多くやりづらい選手だったと思うのですが、竹刀を交えるにあたって意識したことはありましたか
(井手選手とは)高校時代からずっとやってきているので、ああいう展開にはなるだろうなとは思っていたんですけど、最後には集中切らさずにやった方が勝つと思っていました。集中切らさずにできて良かったです。
――きょうの調子はいかがでしたか
調子は良かったので、決勝まではいくつもりだったんですけど、最後甘いところが出ましたね。
――全日本に向けて、これからどういった稽古をしていきますか
個人戦よりも団体メインでと思ったんですけど、個人戦でもしっかり自分の剣道出していい成績出せればなと思いますし、その試合で自信を付けて、関東学生優勝大会、全日本学生優勝大会でチームで優勝できればいいなと思います。
秋山健太(スポ1=福岡大大濠)
――きょうの試合を振り返って
1年生のスタートが大事だと思ったので、全日(全日本学生選手権)にはせめて行きたかったんですけど、力不足だと思いました。
――デビュー戦ということですが、そのあたりは
高校の先輩がデビュー戦で、全日本で優勝しているので、そんなに力はないですけれど、上がれるように頑張ったんですけど、駄目でした。
――長丁場の末の敗戦でした
メンが得意なんですけど、そこで逃げて、苦手な小手に行ってしまったことがきょうの敗因だと思うので、あそこで大きくメンの上の技でのれたらチャンスはあったのかなと。そこで勝っておけばまだ、2回か3回は勝てたと思うので。上も見えない所ではないと思いますし、何か変われば行けると思うので頑張ろうと思います。
――すべてメンで勝ち進んでいますが、自分の良い部分が出せた試合だったのでしょうか
引き技が割と得意なんですけど、大学になって引き技が衰えたというか、精度が落ちているので、そこをしっかり練習しようと思います。
――次回への意気込みをお願いします
まずは団体戦があるので、きょう負けた分、活躍できるようにするのと、来年個人戦で優勝できるように頑張っていきます。