一瞬の隙、突かれる

剣道

 前日の女子に引き続き、第61回全日本学生選手権が大阪で行われた。昨年度は早大から4人の選手が挑んだこの大会。今年度は予選である第59回関東学生選手権で6人もの選手が敗退し、早大からは嘉数卓(スポ2=神奈川・桐蔭学園)1人の参加となった。嘉数は1戦目、2戦目で安定感のある試合を見せたものの、続く3戦目で一瞬の隙をつかれ惜敗。ベスト32で大会を終えた。

積極的に技を打ちにいく嘉数

 シードの嘉数は2回戦からの登場。開始直後は、初戦の緊張もあってか大きな動きは見られなかったが、「集中してやっていくにつれて、緊張もとれて」と、その後たて続けに2本のメンを奪い、危なげなく勝利する。続く3回戦の相手は、強豪の大貫(明大)だった。「チャンスがくるまで我慢」。試合は、剣先がわずかに触れる距離での探り合いが続く緊迫した展開に。5分間互いに隙をみせず、両者一本も取らぬまま延長に突入した。延長後も変わらぬ試合運びが続くかと思われた矢先、二人が同時に動いた。お互いにコテメンを狙い、僅差で先に嘉数のメンが決まった。

 迎えた3戦目。ベスト16をかけた戦いの相手は、上段構えで大柄の選手だった。「足を使っていこうと思った」と、身長差のある相手にも怯むことなく積極的に挑み、試合は徐々に嘉数のペースに。ここまでの2戦と変わらない調子の良さがみられたが、悲劇は突然訪れた。「そのときだけ受けにまわってしまった」と、一瞬の隙をつかれて逆ドウを奪われる。その後も嘉数に大きな乱れはなく、決まったかに見えた技もいくつかあったものの、決定打を欠き、結果は一本負け。「ワセダから1人だけの出場だったので、もう少し上にいきたかった」。孤軍奮闘した剣士はそう悔しさをにじませた。

上段構えの相手に対して苦戦する嘉数

 早大剣道部が次に挑むのは秋の団体戦だ。9月に第61回関東学生優勝大会、10月には第60回全日本学生優勝大会(全日本)が控える。2010年の全日本制覇以降、満足な結果が残せていない早大。昨年も、優勝を目指しながら全日本ベスト16と不完全燃焼に終わってしまった。ことしこそは、秋に実を結べるか。剣道部の勝負の夏が始まった。

(記事 建部沙紀、写真 増山祐史)

結果

嘉数 ベスト32

コメント

嘉数卓(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――きょうの調子は

1回戦からとても調子が良かったので、いけると思ったんですけど。

――1回戦は緊張はありませんでしたか

立ち上がりちょっと緊張したんですけど、集中してやっていくにつれて、緊張もとれて、しっかり自分の剣道ができるようになりました。

――2戦目は強豪相手でしたが

向こうの方が力が上なので、粘り強く、ワンチャンスを狙っていこうと思いました。

――見合っている時間がとても長かったです

チャンスがくるまで我慢しようと思っていました。

――3戦目は上段構えの選手でしたが、対策などは

結構力のある上段(構え)の選手だったので、足を使っていこうと思ったんですが、打たれたところだけ、悔いが残るところですね。

――敗因は

ちょっとそのとき(うたれたとき)だけ受けにまわってしまったかな、という感じがあります。それ以外はこっちから攻められたのですが。ちょっともったいなかったと思います。

――ベスト32という結果について

ワセダから1人だけの出場だったので、もう少し上にいきたかったな、という気持ちはあります。調子も良かったので。

――秋の団体戦に向けて、夏に克服したい点は

個人戦と団体戦は、戦い方が違ってくるので、団体戦でしっかり試合にでても、通用するように頑張っていきたいと思います。