全国各地の予選を勝ち上がってきた強豪たちが集う一戦、第61回全日本学生優勝大会(インカレ)が日本武道館で開催された。ここ2年連続でベスト16に終わっている早大も覇権奪回を目指し出場。初戦、2回戦を危なげなく乗り切ると、3回戦では優勝候補の鹿屋体大相手に代表戦までもつれる接戦を制しベスト8のカベを突破。最後は法大に準決勝で敗れるも、3年ぶりとなるベスト4に輝いた。
「最後なので強い気持ちで臨んだ」(青木祐喜主将、スポ4=茨城・水戸葵陵)。今季ここまで思うような結果を残せてない早大剣道部もいよいよ最後の大会を迎えた。初戦の大院大戦を5-1、2回戦の中京戦を3-1で制しベスト16へ順調に駒を進める。しかしここで優勝候補の鹿屋体大という大きな山場を迎える。先鋒戦を落とし、迎えた次鋒戦。勇佑多(社2=東福岡)は相手に間合いを詰めさせず試合を進めるも、一瞬の隙を突かれコテを奪われてしまう。このまま負ければチームとして苦しい厳しい状況になるところだったが、攻めの姿勢を崩さずすかさずメンを返しなんとか連敗を避けた。するとここからチームは勢いに乗る。中堅・嘉数卓(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、五将・越智泰介(社3=愛媛・新田)が共に相手に一本も許さず連勝し逆転に成功すると、副将戦も引き分けに持ち込み2本差でリードした展開で大将戦につなぐ。完璧な展開に誰もが勝利を確信した。だが、ベスト8のカベはそう甘くはなかった。大将・青木がメンを奪われると、完全に相手の勢いにのまれすかさず2本目を献上。勝数、本数共に同数のため勝負は代表戦へと持ち込まれた。
勢いよく飛び込みメンを打つ越智
「お前はうちの大将。お前ならできる、頑張れ」。大将戦後、仲間からかけられたのは大将、そして主将である青木への揺るがぬ信頼だった。チームに迷惑をかけたと猛省する青木だったが、その言葉に「気持ちが入った」と満を持して代表戦へ臨む。先に一本を先取した方が勝利する代表戦。両者慎重な立ち上がりになると予想されたが、勝負は一瞬で決まった。立ち上がりの相手のメンをかわすと、続けざまに打ちに来たメンに出コテを合わせ勝負あり。念願のベスト8へと進出した。続く準々決勝も2-1で勝利し準決勝では法大と対戦。再び先鋒戦を落とすと、越智も一本負けを喫し後が無くなる。少なくとも1本を取らなくてはいけない状況に青木は攻め続けるも、相手にコテを決められてしまう。その後も逆転を目指し必至に攻めるも、試合巧者の相手にかわされそのまま試合終了。惜しくもベスト4で敗退となった。
代表戦を制し仲間に迎え入れられる青木
優勝とはならなかった。しかし近年破れなかったベスト8のカベを超えたことは、今季不振にあえいだ早大にとって大きな自信となったに違いない。「価値ある3位」(越智)、「いい結果が残せた」(嘉数)との選手の言葉からも、この結果は大きな進歩と言えるだろう。次は4年生にとって最後の試合となる早慶戦。古豪復活、そして勝利でラストを飾るためにも、選手たちの最後の追い込みに期待したい。
(記事 増山祐史、写真 戸澤美穂)
結果
諏訪 コメ―
勇 ―
大浦 メ ―
嘉数 メメ―
越智 メメ―
西村 メコ―
青木 ツ―メメ
小林 ―
勇 ドコ―
大浦 ―メ
嘉数 ―
越智 メ―
西村 メ―
青木 ―
小林 ―メ
勇 メ―コ
大浦 ―
嘉数 メ―
越智 メメ―
西村 ―
青木 ―メメ
青木 コ―
小林 ―ツ
勇 ド―ツ
大浦 メメ―
嘉数 メ―ド
越智 ―
西村 ―
青木 メ―
諏訪 ―ツ
勇 ―
大浦 コ―
嘉数 ―
越智 ―コ
西村 ―
青木 ―メ
コメント
青木祐喜主将(スポ4=茨城・水戸葵陵)
――きょうの大会に向けてはどのよな意気込みで臨みましたか
最後なので関東で得た課題を持って調整することは意識しました。あと主将なのでみんなをまとめて、全員で練習の後に素振りをするなど強い気持ちでこの大会に臨みました。
――初戦、2回戦を振り返って
初戦もみんな前で勝ってくれて勝負が決まってたので、自分のなかで課題を持って取り組むことができました。負けちゃったんですけどいい内容だったと思ってます。2回戦は次の試合を想定してやってたので、チームとしてどういう流れで戦うかを意識し、守りの強さを中心に意識して臨めました。
――鹿屋体大との試合では代表選までもつれましたが代表選前のチームの雰囲気というのは
みんなが、「お前はうちの大将、お前ならできる、頑張れ」って言ってくれたので試合前は凄く気持ちが入りました。
――代表戦を振り返って
出コテって技を取ったんですけど、前に前に攻めていった結果打てた技だと思いますし、自分が取ったというよりもみんなが打たせてくれた一本だと思います。
――その後法大戦では惜しくも敗れてしまいベスト4でしたがこの結果をどうとらえてますか
前向きにとらえていいと思います。というのはやっぱり自分たちは関東予選でベスト8のカベを破れず、悔しい思いをしてきたのでそういうことを踏まえると進歩したと思うからです。
――いよいよ最後の試合、早慶戦ですが意気込みをお願いします
最後なのでしっかり早稲田の代表として意地を見せて、勝って終わります。
大浦彰一郎(スポ3=大阪・上宮)
――試合を振り返っていかがですか
大学に入ってから入賞がなかったので、3位は素直にうれしいです。
――準々決勝、準決勝と勝利してチームに貢献していました
前の後輩が頑張ってくれていたので、自分が何とかして一勝を挙げて、少しでも良いかたちで回せるようにと思ってやっていました。
――負けている状況で回ってくることもありましたが、気持ちの面ではいかがですか
前半と後半で分けて考えたときに、前半は自分がまとめて後ろに回さなきゃいけないので、前が勝っても負けても、自分はしっかり自分の試合をして勝とうと思っていました。
――この大会を通して見えた課題はありますか
優勝したようなチームはフィジカルの面でも強いし、ここぞという時に打ち切って、打ち損じがないので、そこが自分の課題かなと思います。
――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします
自分に回ってきたら全員抜きます。
越智泰介(社3=愛媛・新田)
――きょうの結果について
最後の法大戦で、自分が一本取られて、チームを悪い状況に追い込んでしまったのでそこはちょっと反省点ですが、優勝候補である九州の鹿屋(体育大)に勝って取った、価値ある3位だと思います。
――春から調子を上げてこられました
師範の栗原先生から毎日走れと言われていたので毎日走るようにして、個人的には毎日素振り千本やって、この大会に挑んだので、大会でいつもの練習通りの試合ができたら勝てるかな、と思っていました。普段の力が出せてよかったと思います。
――最後の法大戦の敗因は
やっぱり相手の東郷君(法大)が小さいころから全国的に有名なスター選手だったので、そこの経験の差がでたと思います。自分があとひとつ甘かったな、と。しっかり学べたので、次の大会では真似できるように頑張ります。
――今後はどのような練習を
2週間後に早慶戦が控えているので、今まで通りランニングと素振りは欠かさずやって、きょう学んだことをしっかり次の試合に活かせるように、これからも頑張っていきたいです。
西村慶士郎(スポ3=佐賀・龍谷)
――きょうの試合内容を振り返って
1回戦でチームの流れがよかったので、2回戦からも流れを大事に、副将なので大将に繋ぐという気持ちでやりました。
――ご自身の調子はいかがでしたか
悪くはなかったのですけど、自分が一本取ることで勝負が決まったりする場面で引き分けて大将に回してしまったので。そこで一本取れるようにこれから頑張っていきたいです。
――鹿屋体大戦ではどのようなことを意識して試合に臨みましたか
2本リードで副将まで回ってきたので、とにかく大将にリードで繋ぐということを考えて。相手も強かったので、無理せず大将に繋ごうと思いました。
――惜しくも決勝進出とはなりませんでしたが
入学して初めて入賞ということで嬉しい分、負けているので。3位という結果に自信を持ってこれからも頑張っていきたいです。早慶戦もまだあるので、そこで結果を残せるようにあと2週間頑張ります。
勇佑多(社2=東福岡)
――きょうの試合を振り返って
粘り強く戦えたと思います。
――初戦から調子はいかがでしたか
初戦は勝てなかったんですけど、悪くはなかったのでいい感触を持っていけました。
――鹿屋体大戦では先鋒戦に続いて負けそうな場面で引き明けに持ち込みましたが振り返って
ここで負けたらやばいと思って、取られた後も積極的に攻めてなんとか一本を取れたのは良かったです。後ろにいい形でつなげたので役割を果たせて良かったです。
――どういった役割を意識していましたか
とりあえずチームの次鋒として流れを意識して、ミスせず絶対に負けないで後ろにつなぐということを意識しました。
――ベスト4をどうとらえてますか
実際上出来だと思います。ただやっぱり優勝というのを目指してやってきたので、さらに上に行くにはもう1つ何か足らないのかなと思います。
――この後は早慶戦が控えてますが意気込みをお願いします
早慶戦ではもちろん勝って、相手を1人でも多く抜けるように頑張りたいです。
嘉数卓(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――きょうの試合内容を振り返って
チーム一丸となってしっかり戦えて、いい結果が残せたと思っています。
――初戦から体がよく動いているように思われましたが、ご自身の調子はいかがでしたか
調子はよかったです。
――鹿屋体大戦では一本勝ちを決めましたが
後ろに少しでも楽な展開で回せるように、前がリードされていたのでとりあえず自分が勝って同点で繋ごうと考えて試合に臨みました。
――惜しくも決勝進出とはなりませんでしたが
鹿屋体大に勝って勢いにのっていたので、そのままいきたかったのですけど。そこはあともう一歩のところでした。
――早慶戦への意気込みをどうぞ
非常にいい流れが出来たと思うので、この流れにのって早慶戦では絶対勝てるようにしていきたいと思います。
諏訪稜介(スポ2=茨城・水戸葵陵)
――きょうの感想
一試合目と最後だけ出て、一試合目は良かったのですが、途中から補欠に回っていて、途中で交代になったときに、しっかり普段と同じように、100パーセントの力が出せるように控えておくべき実際試合に出て、緊張もしたし、体が正直動かなかったというのがあって、そこはとても大きな反省点だと思います。
――間の時間は何をしてモチベーションを保ったのか
自分としては、いつでも出られるようにと気持ちは作っていたのですが、やはり体が動かなかったというのが反省点で、ただ、9人全員で戦っていたので、出ても出なくても常に応援でも少しでも力になれるように、とは思っていました。
――最後出た理由は
たぶん先鋒の小林負けが続いていたので、それでだと思います。
――法政戦の敗因
自分の得意技が出頭面なんですけれども、立ち合いから構えが浮いてしまって除けから入ってしまって、すべて先に入られる形になってしまったので、先を取って、先に仕掛けていればどうにかなったかな、とは思っているのでそこを練習していきたいと思います
――今後の目標
今期はまだ早慶戦と新人戦があるし、来年から3年生になって後輩もまた増えるので、しっかり選手として出て活躍できるようにして、日本一になりたいと思います。
小林直道(スポ1=東京・高輪)
――試合を振り返っていかがですか
きょうは2回戦から出させてもらったのですが、あまり自分から取りにいけなくて、結果も良くなくて。まあ抑えるべきところは抑えられたのでそこは良かったと思います。良いところはしっかり伸ばして、悪いところはしっかり反省して、早慶戦に臨みたいと思います。
――3位という結果はどう捉えていますか
1年生で初めての全日本だったのですが、すごくうれしいですね。
――初めての全日本はいかがでしたか
やっぱり緊張してしまって、思うように動けなかったです。
――この大会を通して見えた課題はありますか
これから早慶戦、新人戦と続くのですが、チームに勢いをつけられるようにしないといけないと思いました。
――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします
チーム一丸となって、しっかりと慶大に勝てるよう頑張りたいです。