今回登場するのは女子団体組手に出場の土谷菜々子(スポ3=北海道・札幌北)・天本菜月(スポ2=宮崎・宮崎第一)・藤平梨沙(スポ1=埼玉・花咲徳栄)と、女子団体形の益田恵里花(創理3=東京・早実)だ。ここ数年で早大の女子部員が増え、大会でも結果が上向きつつある。そんな女子形・女子組手をけん引する4人に、これまでの取り組みや今大会への意気込みについてお話を伺った。
※この取材は9月21日にオンラインで行われたものです。
右から土谷、天本、藤平、益田。学年の垣根を越えて会話が弾む
日常の一コマに迫る
――まずは右隣の方の他己紹介をお願いします
土谷 天本菜月です。空手をしていない時はおっとりしていて、一見空手をやっている人には見えないけれど、空手をすると強い面が出てくる(笑)。でも実はメンタルがガラスのハートだったり繊細な面もあるのですが、空手ではいつも引っ張ってくれて、色々と発言してくれるので、すごくいい後輩です。
天本 藤平梨沙です。性格はとても可愛らしくて、女の子だなと思ったら意外と言葉がとても強い(笑)。組手の時も声を出していて、チームの仲間として心強いです。
藤平 益田恵里花先輩です。3年生で、種目が違うので関わることは少ないのですが、しっかりしているイメージがあります。あと頭が良くて…
益田 そうなの!?そんなイメージが(笑)。
藤平 練習にも一生懸命取り組んでいる姿がとても印象的な先輩です。
益田 土谷菜々子です。今は副務をやっています。すごくしっかりしているけどおちゃらけた部分もあり、部全体や同期内の雰囲気がふわっとするので、そういう所で助かっています。練習後にも自主練をしていたりして、「菜々子がやるから自分もやろうかな」と思うので、そういう形で引っ張ってくれているのがいいなと思います。
――オフの時にはどんなことをしていますか
土谷 元々インドアな性格なので、家ではまず昼まで寝て、その後はYouTubeを見たりしています。夜に時間があるときは、夜ご飯に自分が食べたいものを作ったりしてます。まあつまらないですけど(笑)。
天本 基本的に外出はあまり好きじゃなくて、家で本を読んだりおばあちゃんとおしゃべりしてます。最近は夜ご飯も一緒に作ったりしてます。いつも作ってもらってばかりなので(笑)。
藤平 地元の友達と会うことがとても好きで、リフレッシュになることが多いです。後は親と買い物に出かけたりしてます。
益田 最近は本当にバイトと就活しかしてないですね。Youtubeなども見ます。
土谷 私もバイトと就活をしてます。
――空手を始めたきっかけは何ですか
土谷 3歳上の兄の影響で始めました。兄が戦隊ものが好きで空手を始めて、その練習について行っていたので、兄の姿を見て「いいな」と思ったことがきっかけです。
天本 自分の父が道場の先生をしていて、道場に小さい頃から連れて行かれました(笑)。また1歳上の兄が先に始めていて、その流れで自分も始めた感じです。
藤平 天本さんと全く同じで、私も父が道場の先生をしていて、道場に遊びに行ったりしていました。稽古の休憩時間には鬼ごっこをしてましたね。6歳ぐらいの時に「(空手)始める?」と聞かれて「始める!」と言っちゃったのがきっかけです(笑)。
益田 中学に空手部があり、(一貫校の)高校生の先輩の形を見て「かっこいいな」と思い、それがきっかけで始めました。
――藤平さんに質問ですが、早大を選んだきっかけは何ですか
藤平 空手だけをやるよりも、就職など将来性を考えないといけないと思った時に偶然早稲田を知るきっかけがあり、受験する権利をいただけたので挑戦したいなと思いました。
――大学生活ももうすぐ半年ですが、慣れましたか
藤平 部活中心の生活ではあるので、部活はすごく楽しいですし、同じ学部の友達も何人か友達ができて、充実した生活を過ごせていると思います。
――高校から大学に入って変わったことは
天本 (高校の時は)休みの日もほぼ一日中空手をしていて、空手の中に生活がある感じだったのですが、大学に入って部活の時間が2時間になり、その他の時間が自由に使えるようになりました。高校の時は何も考えずにやることをやって寝る生活だったので、そうした自由時間の使い方を考えると難しいですね。競技面では今もコロナの影響でメンホーを着けて試合していて、高校の時とルールは一緒なのですが、早くメンホーなしでの試合がしたいです。
藤平 自己管理をしなければいけない場面がたくさん出てきたなと思います。競技面では特に困ったことはないのですが、技のパワーを高校生の時よりは気にするようになりましたし、組手のイメージも無意識のうちに変化が起きているような気がします。
益田 私は競技については語れるほどやってないので特にないのですが、どちらかといえば高校は遊びみたいな感じでやっていて大学に入ってから本格的に始めたので、そもそもどうやって練習したらいいかもあまり分かっていませんでした。そういうことがちゃんと分かり始めて、少しずつ自分でどうすればいいか考えられるようになってきました。
土谷 生活面の変化で言うと、私は北海道から上京してきて大学生活が始まったので、今まで親がやってくれたことを全部一人でやらないと行けなくなったことが一番大変でもあり、楽しくもあり、勉強になっています。大変だと思うことが7割8割くらいですけど、でも2割ぐらいは今後に生きるかなと思っているので、上京してきて良かったなと思います。
今年のチームの特色は?
――チームを引っ張っている三役や、部全体の雰囲気はいかがですか
益田 去年と比べたら、「数をこなして頑張る」よりは自分がやるべきことをしっかり考えながらやる雰囲気が、主将から部全体に浸透しているような印象はあります。
土谷 去年や一昨年と比べて一番いいなと思っていて、理想に近づいてきている感じがあります。部員一人一人がちゃんと考えられるように、三役が一生懸命考えて引っ張ってくれています。
藤平 私は今年が初めてですが、上の代の人達がすごく考えていることが伝わってくるし、先輩後輩でよく話すし、縦のつながりも横のつながりもみんな仲が良くていい雰囲気です。練習になるとみんな真面目に考えてできているので、環境としてはとてもいいと思います。
天本 去年はどちらかと言うと練習に入り込むような練習スタイルだったのですが、今年は他の人の意見を取り入れながら自分の組手をやって行くので、その辺りが変わったなと思います。どちらの練習もすごくいい練習なんですけど、新しい雰囲気が新鮮でその中で楽しくやれてるかなと思います。
――吉田主将はどんな方ですか
藤平 みんなに声をかけてくれる感じです。
土谷 すごく周りを見れる人で、一人一人にアドバイスしてくれるし、面倒見がいい先輩です。1年生や2年生でも話しやすいと思いますし、あまり学年を感じさせないような接し方をしてくださるので、それが自分達としてもありがたいです。
二部練習でつかんだ手応え
――今年も新型コロナウイルスの影響があったのではないかと思います
土谷 練習はコロナの有無に関わらず通常に近い感じだと思います。
益田 合宿に行けなかったぐらいかな。
土谷 ただ大会は中止になってしまうので、練習の中でのモチベーションは確かに少し低いのかもしれないですけど、部の雰囲気が良いので良い状態だと思います。
――今年の二部練習では特にどんなことを行いましたか
土谷 追い込んで負荷をかけることが目的なので、単純にきつかったです(笑)。でも考える時間を与えてくれたので、追い込む中でどう考えてやれるかも大切にしてました。
天本 最終日でしたっけ、試合をしたのは。
一同 あー!あったね!
天本 今年は全然練習試合ができなかったので、試合の雰囲気を作るために主将がメニューに団体戦を入れてくださって、それがすごく楽しかったです(笑)。
――二部練習で成長できたことや見つかった反省はありますか
益田 形は数をこなして追い込むような練習を中心にやっていて、団体形は3人でやるのですが、一体感は良くなったんじゃないかなと思います。逆に、個々の技術をもう少しつけなければいけないなと今は感じています。
天本 二部練習に限った話ではないのですが、練習中にバックの声かけが同じ人ばかりになっていることが普段の練習からあると思いました。みんなが声を掛け合う雰囲気が試合にもつながってくると思うので、そういう練習が必要だなと思いました。
藤平 二部練習は夏に休んだ分の感覚を取り戻すためにたくさん動くことが目的かなと思うので、対人でやる感覚を元に戻そうと色々試行錯誤したのは覚えています。
土谷 でも去年一昨年は夏オフが明けると皆めっちゃ体が重くて、動きが良くないことがあったと思うんですけど、今年は皆が(オフ中に)各自で練習してたのかなと私は思いました。だからその分、二部練習でも元の感覚を戻すことに加えて、できることを増やすことが皆できたんじゃないかなと思いました。
――ということは、例年以上に仕上がりが良いのでしょうか
土谷 そんな気がしました(笑)。
――団体メンバーは毎年変わりますが、共に練習してみていかがですか
益田 形に関しては、去年とメンバーがガラッと変わって、みんな組手のメンバーみたいに高校の時からバチバチにやってきたわけではないので、大変なところがあるのですが、先輩後輩関係なく意見をしっかり言ってくれます。私自身もどうしたらいいのかわからないことがあるので、そこはすごく助かっています。いい雰囲気なのかなと思います。後は個人形のメンバーもアドバイスをくれるのですごくありがたいです。
土谷 組手は新しいメンバーで大会に出たことはないですけど、私がすごくいいなと思っているのは梨沙(藤平)がめっちゃ声を出してくれるので、さっきなっちゃん(天本菜月)も言っていたバックからの声がこれから聞けるのかと思うととてもワクワクします。
一同(笑)
藤平 高校の時から団体戦は後ろから声をかける習慣があったので、その感じで二部練の時も声出ししてて(笑)。
土谷 今までバックからガンガン言うような人がそんなにいなかったので、結構心強いなと思います。自分たちも頑張りたいです。
「勝ってみんなで笑いたい」(土谷)
――現在のコンディションはいかがですか
益田 個人的には就活で部活に来れない日が多くなると、やっぱり体が動かないなと思う瞬間はあります。ただ全体で言うと二部練が終わった時よりもだいぶ動きが良くなったなと思っています。ただ人に見られているとパフォーマンスがすごく下がるので、そこを克服していかないとなと思います。
藤平 私は直近に試合があったのでそこに照準を合わせていて、今も調子が悪くないですけど試合で出た課題を関東団体までに細く修正していければいいかなと思っています。
天本 気持ちが落ちたりすることがあったんですけど、今の時点ではそれがなくて、技術的にも全然駄目だ、できないということも特にないので、今のまま順調にあげていければ大丈夫かなという感じです。
土谷 なっちゃんとほぼ同じです(笑)。今は結構いろんなことを試している状態で、その中でもう少し絞って大会に向かって行きたいです。最近は調子が悪くなることがあまりなくて、就活でいないこともたまにありますけど、その分考えてやるべきことを組み立てられているので、いい感じです。
――最後に、大会への意気込みをお願いします
益田 正直、私自身もチームメンバーも他の部員や他大の選手と比べると経験・技術共に劣る部分があるので、まずは練習してきたことも100%出せるようにすることと、物怖じせずしっかりやりきることが一番の目標かなと思います。
藤平 とりあえず、なるように頑張るしかないです(笑)。特別に思うことは何もなくて、ただただ役割を淡々とこなせればいいかなと思います。
天本 団体戦という括りで考えるのではなく、試合として考えると、去年もコロナで急に大会が中止になって、本当に試合がなくて、今まで当たり前のように試合をやってきたけどそれが当たり前じゃないと感じて、秋の試合が中止になっているので一つの試合に対して全力で、死に物狂いでやっていかないといけないなと思います。関東団体でも、感謝の気持ちを持って戦っていきたいと思います。それで、優勝します!
一同 おおー!(笑)
土谷 勝ちたい思いがあります。今年も一年生が入ってきてくれていいメンバーが揃っていて勝利が現実味を帯びてきたことを肌で感じてきたので、高校の時はたくさん試合をして買ってきたけど、大学では周りのレベルが高くて勝つことの楽しさを味わうことがあまりなかったので、やっぱり勝ってみんなで笑いたいなという思いがあります。それが結果的に関東団体で優勝できたり、全日本につながったりと結果についてくればいいのかなと思います。だから、勝つために頑張ります!
――ありがとうございました!
(取材・編集 名倉由夏)