新体制になって初めての大会である第28回東京六大学大会が慶大蝮谷体育館で開催された。主力メンバーが不在の状態で行われた男子団体組手では、1勝4敗で5位と悔しい結果に終わった。一方で男子個人組手では笹野由宇(スポ3=東京・世田谷学園)が奮闘し、3位に入賞した。また、「今回の大会では今まで出ることのできなかった選手に早慶戦などには出てもらわないといけないので試合の経験を積んでほしい」という澤入迅人主将(スポ4=静岡・常葉菊川)の思いもあり、多くの選手が出場することとなった。
男子団体組手では、初戦から強豪法大と対戦した。笹野が奮闘するも残り1秒で上段突きを決められ、惜敗。続く塚本惇樹(スポ4=千葉・拓大紅陵)も同様に残り2秒で相手に上段突きを決められ敗北。その後も敗戦が続き、0勝5敗と滑り出しはあまり良くなかった。次戦の慶大戦も4敗1分けと誰ひとりとして勝つことができない。ここで悪い流れを断ち切ったのが、笹野である。立大戦で勝利を収めると、続く明大戦と東大戦でも勝利し3勝を挙げた。一方、主将の澤入はまさかの4連敗。「動けず、ふがいない気持ちしかない」と団体戦では悔いが残った。
主将として奮闘する澤入
あまり動きが良くなかった午前の団体戦であったが、午後の個人戦では澤入や笹野が粘りをみせた。1、2回戦と順調に駒を進めていく澤入だったが、3回戦目では1本を取られて敗退してしまう。果敢に攻めて一時はリードしていた試合であったが、残り時間10秒を切ったところで相手の上段蹴りが決まってしまった。準決勝では、澤入が敗れた選手との対戦であった笹野。相手の突きの後に上段蹴りが決まって有利な状況に持ち込めたが、相手が着々と点数を伸ばし同点に。先取勝利のルールから、惜敗してしまった。「蹴りが決まったとき、勝ったと思った。惜しかった」と悔しさをにじませた。
3位入賞した笹野
今回は笹野の活躍が目立った。団体戦では5戦3勝、個人戦では3位入賞など、これからの活躍が期待される。現在人数不足が心配される早大空手部では、一人一人の力が欠かせなくなってきている。一人一人の成長が部の成長となる。東日本大学選手権では「ベスト4以上はいきたい」と言う主将の澤入。今後の成長に期待である。
(記事 江藤華、写真 石名遥、萩原大勝)
結果
▽男子団体組手
早大 5位
▽男子個人組手
笹野 3位
澤入 5位
※上位入賞者のみ掲載
コメント
澤入迅人主将(スポ4=静岡・常葉菊川)
――新体制での初めての大会でしたが、今大会はどのような位置付けだったのでしょうか。
今まで出てこれなかった選手にことしは早慶戦などに出てもらわないといけないので、試合の経験を積んでほしいというのが目的です。その中でもスポーツ推薦が3人しかいなかったのでその3人でちゃんと勝ちたかったのですが、動きが悪いといいますかどっか気が抜けるところが団体戦では多くあってそこが1番の反省点ですね。
――人数が減って1人ケガをしたら勝つことが難しくなってくる状態ですが、どう対策をしていきますか
ケガをしないように練習をすることは難しいことなので、どうしたらいいですかね。他の部員が強くなろうという意思があれば、当然スポーツ推薦も触発されて強くなることもあるので、全体として強くなれるというのがあるので、ほかもしっかりと自覚を持って練習させられる環境を自分が主将として作っていかなければと思います。
――主将としての試合はいかがでしたか
正直いうと、きょうはとても動けずふがいない気持ちしかないので、反省しなきゃなという思いです。
――去年との違いなどはありましたか
去年と一番違うのは、人数が格段に減ってしまったということです。練習のメニューもできるものとできないものがあって練習から去年と違って少しだけ暗い雰囲気になってしまうときもあり、そういう雰囲気づくりがことしは難しいのかなと思っています。
――勝つためにどのようなチーム作りをしていきたいですか
普段の練習の話になってしまいますが、一人一人がちゃんと自分の課題を持って4年生が考えたメニューの一個一個を自分で考えながらやっていける、全員がそのようにできるチームになればいいかなと思っています。それができた後、一人一人の課題をみんなで共有して教えることができたらいいチームになるんじゃないかなと思います。
――これからどのような主将になっていきたいですか
私自身、正直あまり上の先輩のように厳しくすることは苦手なのですが、締めなければいけないところもあるのでしっかりと1年間後輩のためを思って、そういう自分が嫌なことや不得意な部分を含めてチームを引っ張っていける主将になっていきたいです。
――団体戦では東大戦のみの勝利となりましたが、何が足りなかったのでしょうか
技術的なことでいうと少し消極的になってしまうところがあります。まず技を自分から決めていく気持ちというかクセづけるというのと相手が出てきたときにただ下がるだけになってたたみこまれ点を取られるという点があり、そこのカウンターの意識が低くなってきているので相手が出てきたら止めるということを意識してやっていけたらと思います。
――最後に、東日本への意気込みをお願いします
国士舘大学に勝てばベスト4で、正直勝てない相手ではないと思うのでベスト4以上はいきたいなと思います。
塚本惇樹副将(スポ4=千葉・拓大紅陵)
――新体制のもと、副将として臨む初めての大会でした。公式戦ではありませんが、この大会はどのような位置付けだったのでしょうか
まず、チームとして一発目の試合だったので、勝ち負けというよりは、今までやってきた練習の成果がどれだけ発揮できるかを確かめられたらいいなと思っていました。また、自分は来週世界学生(世界大学選手権)の予選会があるので、個人としてはその調整にもなればいいかなと思って臨みました。
――練習の成果、という言葉が出ましたが、オフシーズンはどこに重点を置いていたのでしょうか
今は人数が少ないので、冬シーズンは、ガツガツ練習するというよりは、試合において1本目の技で点を取れるような練習を心がけていました。
――それをふまえて、きょうの試合をどう振り返りますか
動きは、全体としてはよくなかったと思います。午後の個人戦は、澤入と笹野がいい動きをしていてよかったのですが、午前中の団体戦では、全体的に動きが悪かったかなあと。立ち上がりというのが課題なのかなと思いました。
――きょうの団体戦は、主力の芝本航矢(スポ2=東京・世田谷学園)やルーキーの吉田翔太(スポ1=埼玉・栄北)が不在でしたが、どのような意識で臨んだのでしょうか
日本代表級の2人がいなくても、自分たちだけで勝てるような試合がきょうはできればいいなと思っていました。ちょっと思い通りにはいかなかったというのが正直なところです。
――個人戦は、初戦敗退となってしまいました。体格差のある相手でしたが、その点についてはいかがですか
団体戦でも当たって、負けてしまった選手でした。団体戦での敗戦を生かして個人戦に臨みたいところだったのですが、大きい相手に真正面からぶつかっていっても勝てる確率は低いので、もうちょっと戦略を練られればよかったかなと思っています。
――個人戦の前に、団体戦で当たった時の印象はどうだったのでしょうか
すごい身長を生かした組手をするので、圧力もすごいかけてくるし、小さい相手に入られないような技をしてくるので、うまいなあとは思っていました。戦略が課題ですね。
――きょうは六大学のみの大会でしたが、六大学はもちろんその他の大学も含め、意識している選手はいますか
自分は校外よりは校内の選手ですね。スポーツ推薦でたくさんの選手が入ってきているので、それに負けたくないというか。それこそきょういない芝本や吉田であったり、きょういる笹野や澤入だったり、個人で試合に出てしっかり結果を残しているので、4人全員に勝てるような実力をつけないと自分は今後あと1年弱活躍できないと思っています。
――来月の東日本大学選手権への意気込みをお願いします
まずは確実にベスト8に入って、全日本出場を決めることです。そして、いつもベスト8まではいけるのですがそれ以上っていうのが、過去に1回3位があったんですけど、それ以上にいってみたいなと思います。
笹野由宇(スポ3=東京・世田谷学園)
――きょうの結果を振りかえっていかがですか
午前中(団体戦)はみんな動きがあまりよくなかったので、個人戦はのびのびとできればいいかなと思っていて、そこでうまく切り替えられたのは良かったです。でも初戦から強さを出していかないと、東日本(東日本大学選手権)では初戦から強豪校と当たると思うので、そこを改善してしっかりと練習していきたいです。
――東日本の組み合わせはもう決まったのですか
決まりました。ベスト8決めで国際武道大と当たって、その次には国士舘大ですね。
――きょうの試合は東日本へ向けての調整という位置づけでしょうか
そうですね。シーズンの最初なので、自分の技がどれだけ出せるかなというところを一番として、それで結果がついてくればなと思ったんですけど、あまりよくなかったので切り替えて練習していきたいと思います。
――個人戦を振り返っていかがですか
初戦が結構大変でしたね。午前中の団体戦で思うような組手が出来なくて迎えた午後の初戦でいきなり強い相手と当たってしまったので。そこを勝ったらうまく勝ち上がれたんですけど。
――準決勝では優勝した法大の選手に惜しくも敗れてしまいました
蹴りが決まった時、勝ったかなと思ったんですけど、負けてしまいました。惜しかったですね(笑)。
――新チームの雰囲気がいかがですか
4年生の先輩方が積極的に下級生に積極的に声掛けをしてくれているので、すごくいいチームができていると感じますね。自分たちからも先輩たちへアドバイスしたり、練習内容についても聞いてくれるので、それに対して自分たちも「こういう練習がしたいです」と言える環境にあるので、チームとして一つにまとまってきていると思います。
――4月から新入生が加わりましたがその点はいかがですか
推薦で吉田君が入ってきて、まずは自分がそこで負けないように、いい影響を与えられるような先輩になることと、その吉田君が次は同期に教えていって、いいチーム作りができればなと思います。
――大学生活も折り返しとなりましたが、ことしはどのような一年にしたいですか
去年は早慶戦で負けているので、これからしっかりと一つ一つの試合を大切にしながら、最後は早慶戦でチームとして勝てるように、チームみんなで頑張りたいと思います。