チームで明暗分かれる結果に、課題克服なるか

空手

 11月1日、関東学生体重別選手権が慶大日吉記念館で行われた。本大会は今季の試合シーズンの終盤に位置するもので、体重別に部門を設けトーナメント形式で試合を進めていく。早大からは男子13人、女子3人の計16人が出場した。末廣祥彦(スポ2=東京・世田谷学園)がベスト8入賞という快挙を成し遂げたのに対して、昨年ベスト8を獲得しシード権を得ていた今尾光(スポ2=大阪・浪速)含む13人の選手の多くが1回戦敗退となり、チームで明暗分かれる結果となった。

 

 「正直、だいぶ悔しいです」(今尾)。今大会で衝撃が大きかったのは、やはり今尾の1回戦敗退であろう。きょねんは同大会でベスト8に輝いた今尾。しかし今回は消極的なプレーが目立った。相手が引いた場面では慎重に対応しようとするあまり、攻撃を仕掛けられず、残り48秒のところで上段突きをとられる。その後すぐに1点を取り返すも、ペースは乱れ、焦るあまりまた同じ上段を捉えられてしまう。巻き返すことができず1−2で惜敗。「1ポイント目を相手に取られたときの対処がまだ不十分だった」と試合を振り返った。改善の必要な点が明るみになった試合となった。

まさかの初戦敗退に終わった今尾

 対照的に、末廣祥は躍進を遂げた。持ち味である攻撃的、積極的な組手で相手を圧倒し、3回戦まで危なげない試合運びで勝利していく。続く4回戦も気負うことなく冷静に相手の動きを見極めていた。そして両者の体が交わる時、すかさず技を決めていく。5-2と差をつけて勝ち、準々決勝に駒を進めた。しかしその準々決勝では互いに手詰まり状態に陥り、技をなかなか出せない。制限時間の2分はあっという間に過ぎ、勝負の行方は判定にもつれ込んだ。審判が挙げた旗は相手の方が多く、末廣祥の負けが決まった。しかし「自分のスタイルが見えてきたというのは収穫だと思う」と語った。多くの課題と収穫を得た今大会は実りあるものであったようだ。

勢いある攻撃をしかける末廣祥

 「1、2回戦で負ける試合が多かったため、これから早慶戦、全日本(大学選手権)に向けては課題が多い大会だと思う。」(末廣祥)。個人の課題が顕著に表れたようだ。次の試合である早慶戦は、1週間後に迫っている。もう一度全員が自分を見つめ直し、そこで得たものをチームに還元できるか。ここが早大の勝負どころなのかもしれない。

(記事 鎌田理沙、写真 渡辺新平)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

末廣哲彦副将(スポ3=東京・世田谷学園)

――きょうはどのような意気込みで臨みましたか

個人戦なので、いい意味で自分勝手にやろうかなっていうことと、世界学生選手権につながっていく大事な試合だったので、一戦一戦ちゃんと勝っていこうかなという気持ちでやりました。

――関東大学選手権から新しい取り組みなどはありましたか

自分の中では前に出ることは変わらずやり続けていました。他には、関東大学選手権のとき日大に当たり負けしていたので、筋力トレーニングを増やしました。

――2回戦を振り返ってみていかがでしたか

その前の試合が不戦勝だったので、動けるか少し不安でした。しかし昼の練習のときにしっかりと体を動かせていたので、相手の動きも良く見えてそれで技も出せるところをうまく出せたかなと思います。

――きょうは調子は良かった方ですか

そうですね。自分の中でも調子は良いのかなと思って初戦に入ったんですけど、ただその次の日大戦は相手の動きと一緒に硬くなってしまって、関東での負けがいかされなかったかなという感じですね。

――3回戦の相手との差は

点数だけ見ると圧倒的に負けているんですけど、自分の中ではもっともっとできたな、というのが正直な気持ちです。実力差を感じたかというよりは、自分が硬くなってしまったという感じです。やはり優勝を目標にやってたので、上まで勝ち上がっていく自信も自分の中ではあって、それなりのことをやってきたつもりでした。メンタル面がまだちょっと弱かったかな、という感じです。

――きょう見つかった課題や収穫などはありましたか

自分のスタイルが崩れてしまったので、まずはそれを貫くためのメンタル面をしっかり鍛え上げて全日本(大学選手権)、早慶戦と臨んでいけたらなと思います。

――ご自身のスタイルとは

相手をしっかり見て、取れるところでとるという感じですね。普段からあまり攻めたりするタイプではないんですけど、一回相手と交錯したら確実に取るという。一回一回のぶつかりを大事にするというのが自分のスタイルだと思っていて、それを貫けたらなと思います。

――2回戦ではそれがいかされた感じですか

そうですね。ごちゃつかないで、近くなったら手を出してそれで決まっていったので、よかったなと思います。

――次の全日本大学選手権に向けて意気込みをお願いします

ことしのチームでの最後の大会なので、やはり確実に結果を残すこと、また団体戦なので自分がチームに勢いづける試合をできたらなと思います。

末廣祥彦(スポ2=東京・世田谷学園)

――今回の試合にはどのような気持ちで挑まれたのですか

この間の関東の大会が終わって、この後の早慶戦、全日本に続く前の自分の実力を試し、どの程度調整が出来るのかが分かる試合だと思って挑戦しました。そこで自分の状態がよく分かったので、自分か望んだとおりの、結果としてはもう少し勝てればよかったのですが、当初の目的は達成できたので良かったです。

――今回の試合の早大全体を振り返っていかがですか

1、2回戦で負ける試合が多かったので、これから早慶戦、全日本に向けては課題が多い大会だと、自分を含め思います。

――4回戦目の洞澤選手との試合では、たくさん技を決めてらっしゃいましたが、調子のほうはいかがですか

相手の力量もある程度分かっていて、じっくり見て狙えるところだけ狙おうという、本当に力んでいない状態で、終わった後も全然疲れませんでした。本当に、決めるべきところで決められたなと思います。

――準々決勝へはどのような意気込みで臨まれましたか

(4回戦は)自分なりに良い技が出ていたので、スタイルは変えないように、同じ様にやるつもりで臨みました。しかし相手はちゃんと対策をしてきて、全然技を出せず、どんどん詰められてしまったので、相手の技を引き出して自分の技を繰り出すという4回戦目までやっていた自分の組手が出来なかったですね。

――今回得た収穫、課題を教えてください

ことしの12月に全日本選手権がありまして、その選考会が2週間ぐらい前にあり、その前日の組手の調子が悪かったので、組手のスタイルを変えてみました。そうしたら上手くいったので、今回の体重別で少し試して、それで自分で何か掴めたら今後何かにつながるかなと思い臨みました。自分のスタイルが見えてきたというのは収穫だと思います。

――最後に全日本の団体戦に向けてお願いします

きょねんは2回戦敗退というふがいない結果に終わってしまいました。先輩方を超えるにはやはりベスト8を乗り越えて、準決勝、決勝で戦えたらベストだと思うのですが、まずはその前に課題が沢山あるので、それを1つ1つ修正して、全員で団結して臨めたらなと思います。

今尾光(スポ2=大阪・浪速)

――今大会を振り返ってみていかがですか

非常に悔しい結果に終わってしまいました。正直、だいぶ悔しいです。

――今大会に向けてどのようなことに取り組まれましたか

今大会の2日後(11月3日)に世界学生の選考会があるので、選考会に良いかたちでつなげられるようにという風に挑んだのですが、こういうかたちで終わってしまったのでいろいろ課題が残る試合になりました。

――見つかった課題とは具体的には何でしょうか

ファーストポイント、1ポイント目を相手に取られたときの対処がまだ不十分でした。そこの対処をしっかりとしたいと思います。

――今大会の前にはオーストリアで行われたプレミアリーグに日本代表として参加されていました

今回と同じような負け方をしてしまいして、1ポイント目を相手に取られるというかたちでオーストリアに負けてしまったので、そこの修正がまだできていないというのが自分の大きな問題だと捉えています。

――きょうは相手が引いてきました

1試合目を見ていて積極的に来ると思っていたのですが、予想以上に引いて引いてだったのでその対応が遅れてしまいました。次までには絶対に直します。

――終盤はやはり焦りはありましたか

そうですね。少し動きも大きくなってしまって、焦らないでおこうと思っていたのですが動きに出てしまったことが敗因につながったのかなと思います。

――全日本大学選手権に向けて意気込みをお聞かせ下さい

全日本ではベスト4を目指してやっていきます。そして、そのためにも早慶戦(早慶定期戦)でしっかりと勝っていいかたちで臨みたいと思います。