ワセダの負けが決まった瞬間、選手も観客もぼう然としていた。5月17日、東日本学生選手権がいしかわ総合スポーツセンターで行われた。男子団体組手では、昨年ベスト4入りを果たしたこの大会。しかしまさかの初戦で敗退し、早大空手部は1回戦で姿を消した。女子団体組手もストレート負けを喫する。男女ともに課題の残る結果となった。
「先を見据え過ぎていて、目の前の試合を重要視できていなかった」と永田達矢主将(商4=東京・早稲田)は語った。初戦の相手は強豪日体大。先鋒の末廣祥彦(スポ2=東京・世田谷学園)、次峰の澤入迅人(スポ1=静岡・常葉学園菊川)は、どちらも上段突きで先制するも引き分け。中堅の今尾光(スポ2=大阪・浪速)が1−0で白星を持ち帰り、流れは早大に傾いたと思われた。しかし副将の末廣哲彦(スポ3=東京・世田谷学園)が奮闘するも有効打に至らず惜敗。続く大将の永田主将も勝ち星をあげることができず、勝利の旗は日体大にあげられた。「目標はベスト4以上」と誰もが口にしていた今大会。通過点でしかなかったはずの1回戦でまさかの敗退であった。
蹴りを入れようと何度も間合いを確かめていた今尾
女子の初戦は対青学大。先鋒は中村朱里(スポ1=愛知・旭丘)が出場。序盤から攻め入り、有効打を得るも2−3で惜敗。続く中堅の越間菜乃(スポ2=島根・石見智翠館)は先制するも追い越され1−3、大将の大木梨花(スポ3=東京・八雲学園)は果敢に攻撃をしかけたが1−2で敗れた。「いつもよりは動けていたが、決めるところで決めきれなかった」と大木は試合を振り返る。0−3のストレート負けを喫する結果となった。
開始5秒で上段突きを決めた大木
「きょねんのベスト4がまぐれだったと思われないように」(永田)。焦りもあったのかもしれない。実力ある新入生も加わり、周りの期待も高かったことだろう。「ただただ悔しい」と述べた永田は、六大学選手権から課題としてきた「初戦の入りを意識できていなかった」と試合を振り返った。男女ともに今大会で残った課題を解消し、秋の団体戦である関東学生選手権では躍進した姿を見せてくれるはずだ。次は7月に行われる全日本学生選手権。早大からは今尾と末廣の2人が出場する。この悔しさをバネに、飛躍した姿を見せてくれることだろう。
(記事、写真 三田侑実)
コメント
永田達矢主将(商4=東京・早稲田)
――今の気持ちは
ただただ悔しいですね。自分が不甲斐なくて。もう涙も出ないくらいですね。
――どのような気持ちで臨みましたか
試合前は、相手の日体大は結構強豪なのでそこに勝って、そこからどんどんベスト4以上を目指そうという感じでした。それで試合に挑んで、いざ大将で自分に回ってきて最後自分で勝ち負け決まるっていう感じだったので、とりあえず点を取らなきゃ勝てないんだ、という気持ちで臨みました。
――チームの雰囲気は
雰囲気としては悪くなくて。練習中も声もよく出ていましたし、みんなで話し合うことも多かったですし、試合前も雰囲気は悪くはなかったんですけど、やっぱりどこかで先を意識しすぎていて、初戦の入りというのを重要視してなかったという感じでした。硬かったとよく言われるんですけど、汗をかく量が足りなかったのか、気持ちが足りてないのか、ちゃんと足が動いてなかったなという感じです。
――大将戦の相手は強かったと思うんですけど、どのような印象を持ちましたか
自分の攻め気の方が強すぎて、それに足がついていってなくて。とりあえず攻めなきゃという感じで中途半端な間合いになってしまって、自分の間合いで勝負ができなくて、不用意にとられてしまったという感じです。相手がどうこうというよりは、自分の気持ちのコントロールができていませんでした。
――前回の関東個人戦では、「空手部の底力が上がってきている」とおっしゃっていたのですが、それでも負けてしまった敗因は
きょねん、おととしと関東で立教に一回戦で負けてるんですけど、それも入りが悪くて。実力的には勝てる部分もあったので力不足ではなく、気持ちの整理不足やそこまでの準備不足が原因だったと思います。
――昨年ベスト4入りでしたが、今回このような結果になってしまいました。それについていかがでしたか
悔しいですし、いいシード権がもらえたのにそれを自分たちが引き継げなかったことの悔しさや申し訳なさもありますし、ここ(石川)までわざわざ応援に来てくださった父兄やOBにもただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――今大会の課題は
入りと全体的な気持ちの持って行き方です。先を見据えすぎてしまっていて、目の前の一戦を重視できなかったことが悪かったと思います。
――次の秋の団体戦に向けて、チームをどのようにしていきたいですか
初戦の入りを重視していきたいと思います。その秋の団体戦で勝っていかないと、全日本に出れないので、絶対に全日本にでれるように頑張りたいと思います。
今尾光(スポ2=大阪・浪速)
――昨年ベスト4でことしは1回戦敗退となってしまいました。今の率直な気持ちは
悔しい気持ちもありますけど、正直上を見すぎていたという感じです。
――どのような意気込みで臨みましたか
ベスト4以上に勝ち進み、そしてその次の決勝まで上がることでした。ただやっぱり上ばかりみていて、目の前の試合に集中できていなかったというのが敗因ですかね。
――相手は互角な相手だと感じましたか
中堅だったので、相手もそれなりに強いはずなので、互角ではあったと思います。
――今大会で残った課題は
試合の入りですかね。前回(六大学選手権)でもそれがだめだったので、そこが課題かなと思います。
――全日本学生選手権に向けて意気込みをお願いします
しっかり一つ一つ勝って行って、精一杯頑張っていきたいと思います。
大木梨花(スポ3=東京・八雲学園)
――今日の試合を振り返って
いつもよりは動けていたんですが、決めるところで決められなかったという感じです。
――関東個人戦では、形で出場していたと思うのですが
組手と形どっちもやってきていたんですが、大学では組手メインという感じです。今回は人数合わせみたいな感じで出ました(笑)
――団体戦で出て、どのような気持ちで臨みましたか
今日は、組手の試合しかなかったので、(関東個人戦で)形の試合が終わって、それから組手の試合を中心に練習してきて、二人が組手を中心にやってきているので、二人になるべく迷惑がかからないように、ちょっとでも力になれるように頑張りたいと思って臨みました。
――相手との差はどこにあったと思いますか
相手の方が前に出るのが早かったし、突きの決めも相手の方が早かったところかなと思います。
――秋の団体戦に向けての意気込みをお願いします
形も組手も全日本まで行けるように頑張りたいと思います。