強豪ひしめく大会でベスト4に入賞!

空手

 第50回の節目を迎えた東日本大学選手権。男子団体組手、女子団体組手の2種目で、東日本の各地から集まってきた選手たちがしのぎを削った。2回戦からの登場となったワセダの男子団体組手は、隙の無い戦いぶりで順調に勝ち進んでゆく。前回3位の明海大との対戦となった準々決勝では末廣哲彦(スポ2=東京・世田谷学園)、末廣祥彦(スポ1=東京・世田谷学園)、今尾光(スポ1=大阪・浪速)の3人が勝利。強豪校がひしめく今大会でベスト4入りを果たした。また、末廣哲は優秀選手賞を受賞した。

 先月行われた東京六大学戦では、なかなか調子が上がらず苦しんだ末廣哲。思うような試合をすることができず、悔しい思いをしたという。「本当に自分の持ち味とか全部忘れちゃって、やりたいことができなくて」(末廣哲)。その試合後、自分らしい空手を取り戻すために、昔のビデオを見て研究し直した。努力の成果はいきなり現れる。2回戦では先鋒として出場し、積極的な攻めで相手選手を圧倒。豪快な倒し技を決めて白星を持ち帰ると、チームも勢いに乗って勝利する。続く3回戦では3連勝し、早々と勝負を決めたワセダ。前年度の成績・ベスト8以上を確定させた。

優秀選手賞を受賞した末廣哲

 迎えた準々決勝では、前回大会で3位という成績を残している明海大と対戦。
先鋒の末廣祥は、慌てず突きを決めて4−2で勝利する。次に登場したのは、この日好調の末廣哲。しかし序盤に突きを決められ2点を奪われると、なかなか反撃の機会をとらえることができない。残り5秒、このまま勝負ありかと思われた――その瞬間、末廣哲の倒し技が炸裂。「やっぱり自分の前で弟(末廣祥)が勝ったので、負けられないと思って」(末廣哲)。意地の一突きで一気に3点を加え、逆転勝ちを飾った。この後は薬師寺拓哉主将(商4=東福岡)が実力者相手に苦戦を強いられて敗れるも、続く今尾が相手選手の忠告を誘って勝ち星を挙げる。3勝1敗とし、長らく遠ざかっていたベスト4入賞をつかみ取った。

準決勝を控え、気持ちをひとつにする選手たち

 この結果を「チームとしては喜んでいい成績」(薬師寺)としながらも、ベスト4は最低限の目標だと口をそろえる選手たち。準決勝で激突した国士大との戦いでは連敗を喫してしまったが、大きな手応えは感じたという。「相手が誰であっても勝ちにこだわりたい」(末廣祥)。今月末に控えるのは、全日本学生選手権の予選も兼ねた関東学生選手権。さらなる高みへ――その目はもう、しっかりと頂を見据えている。

(記事 芦沢仁美、写真 目良夕貴)

結果

▽男子団体組手

早大 3位(ベスト4)

▽女子団体組手

早大 1回戦敗退

コメント

薬師寺拓哉主将(商4=東福岡)

――東日本3位ということで、お気持ちを教えてください

37年ぶりらしいので、チームとしては喜んでいい成績だと思います。

――順調に勝ち進んだ前半2試合を振り返っていかがですか

そこは勝って当然、と言っては失礼かもしれませんが、落とすことのできない試合でした。皆順調に勝ってくれたので、問題無かったかなと思いますね。

――準々決勝では昨年度3位の明海大との対戦となりましたが、チームとしてはどのように臨みましたか

明海大がひとつのカベで、ベスト4に入るためには絶対に勝たねばならない相手だったので、非常にフォーカスしてやってきました。そこに勝てたというのはいままでの練習の結果が出たということなので、良かったと思います。

――ご自身は中堅として出場なさいましたが

少し冷静さを欠いたような内容だったかなと思います。コートに入ったら学年は関係ないと思っているのですが、前の試合2つで後輩が踏ん張って回してくれたので、そこで決めたいという気持ちは強くありました。ああいう試合内容になってしまって、自分の課題、勝負弱さのようなところが出てしまったかなと思います。反省しています。

――主将としてのプレッシャーは大きいですか

そうですね、自分も主将で、相手も去年の全日本個人でベスト4に成績を持っている選手で。勝ちたかったですけど、また頑張ろうと思います。

――国士大と戦った感想はいかがですか

結果的には前3つの試合で負けてしまったのですが、正直な感想としては、部内での練習試合と大差ないかな、と思いました。監督とコーチにも言われたのですが、あそこまで来たら技術ではない、と。結局、優勝を本気で狙っているのか、まだぼんやりとしたイメージしか持っていないのかという違いが出てしまったかと思います。全く届かない、というようには感じませんでしたね。

――手応えとしては感じてらっしゃる、と

そうですね。ただ、そうはいうもののそこの1ステップというのはすごく大きい差だと思うので、そこを詰めていけるようにしたいと思います。

――六大戦後はどのようにこの大会に向けて準備してきたのですか

六大戦までは、私事なのですが就職活動でバタバタしていて。やっと六大戦直前に無事に終わりまして、そこからは本腰入れてチーム一丸となり、東日本では最低限ベスト4に入賞するのだという風に目標を定めました。練習の質や量ももちろん、気持ちもひとつになっていくことができたように思います。

――次戦は今月末の関東学生選手権ですが、目標や意気込みを教えてください

全日本は絶対に行かねばならないと思っているので、そこを目指して、1つ1つ大切にしてやっていきたいと思います。

大島翼(先理4=埼玉・早大本庄)

――ベスト4おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください

三十何年とワセダは入賞してこなかったので、入賞できたということはとてもうれしいです。ただ今回、やっぱり自分があんまり勝利に貢献できなかったかなというのがありました。声援とかそういったことはもちろんしていたんですけど…。1試合目は技の精度が少し悪くて、間合いが遠いのに技を出してしまったりしたので、そういったところで一つ一つ技を洗練して出していかないといけないなというのが今回の反省点です。あと1年生で強い子たちが入ってきて、彼らの活躍に隠れてしまったというのがあるので、もっともっと自分で勝ちを取れるようにしたいです。やっぱり4年生として勝たなければいけないと思うので、秋に向けて自分が勝てるように、1年生に負けないように頑張っていきたいと思います。

――強い1年生が入ったことでチームの雰囲気はいかがですか

やっぱり強い子が入ると自分たちも頑張っていかないといけないなという意識が全体としてあるので、すごくプラスの方向に向かっていると思います。

――きょうで全日本大学選手権(全日本)の出場権を獲得されましたが、全日本ではどれくらいの位置を狙いたいですか

きょねんの後期は目の骨を折ってしまってずっと試合に出られていなかったので、4月の六大学戦には一応出たんですけどきょうが正式な復帰戦という形でした。きょねんの東日本では自分に大将が回ってきてそこで試合を決めることができたのですが、個人的にはやはりその時の粘り強さをもう少し出したかったなというのはあります。きょねんの全日本はベスト16に終わってしまったので、強豪校の日大や国士大などに勝つことがやっぱり目標ですね。ベスト4か8は狙っていきたいです。

――目の骨を折ってしまったとのことですが、治療やブランクなどは大変でしたか

一応手術をして入院していたんですけど、意外と半年組手をやっていなくてもブランクを感じることなく自分としてはやれていました。しかしきょねんは六大学戦、東日本と結果を出せたんですけど、ことしは成績も振るわなくて…。あの栄光から1年じゃないですけど(笑)、きょうは1回戦も負けてしまったので不甲斐なかったなと感じました。もう一度あの感動を味わいたいと思っているので、4年生としてもっともっと粘り強く、技を洗練して出していけたらと思います。

――4年生ということで一つ一つの試合が最後になってくると思いますが、心境はいかがですか

やっぱり最後何かタイトルを取って引退したいなという気持ちはあります。後期だったら団体の関東大学選手権で優勝、ベスト4に入っていきたいですし、個人の関東学生体重別選手権でタイトルを取りたいですね。早慶戦はもちろん優勝です。最後に全日本でベスト4、または8を目指していきたいなと。それくらいの意気込みで、これからまた頑張っていきたいと思います。

末廣哲彦(スポ2=東京・世田谷学園)

――ベスト4、そして優秀選手賞おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください

試合前からコーチ陣から優勝をしっかり狙えと言われていて、自分たちもトーナメント表を見た時にベスト4を狙える位置には居ると思っていました。なのでそこはもう確実に入りたいなと思っていて、みんなモチベーションを上げてきていたんですけど、結果をしっかり残せたことは良かったなと思います。

――今回国士大、帝京大に続くベスト4に入られたということについてはいかがですか

今回ベスト4に入ったということで周りの大学もワセダを目に付けてくれたと思うんですけど、そういう目で見られているというのをしっかりと自覚して負けられないというふうにはなったかなと思います。プレッシャーは感じないといけないと思うんですけど、そのプレッシャーを楽しんでやれればいいかなと思います。

――六大学戦の時は本調子でない印象を受けましたが、きょうのご活躍に至るまでの過程を教えてください

六大学戦の時は本当に自分の持ち味とか全部忘れちゃって、やりたいことができなくて、本当に悔しい思いをしました。終わってからは、昔のビデオとかを見て、自分の持ち味とか何が得意かというのを一から考え直しました。不安もあったんですけど周りも練習中に本当に盛り上げてくれて、メンバーじゃない人たちも一緒になって頑張ってくれたので、それが今回につながったかなと思います。

――1試合目、2試合目は先鋒で出場され、6―0で勝利されました

六大学戦の時は本当に点が取れなかったのが問題だったので、今回は先鋒なので確実に勝たなければいけないというのと、そのために1点1点大事に取ろうという意識でやりました。

――倒し技を積極的に使っている印象を受けましたが特に意識はされていましたか

そうですね、繊細且つ大胆に攻めようかと(笑)。

――3試合目の次峰で出場された明海大戦では、残り5秒で倒し技を決めて逆転されましたが、振り返っていかがでしたか

明海大は本当に攻めてくるので、それに付き合わないで自分のペースでできるだけ試合しようと思った結果下がってしまっていた部分がありました。ただ、やっぱり自分の前で弟が勝ったので、負けられないと思って。最後はもう本当に意地ですね、苦し紛れでしたけど。

――弟の末廣祥彦選手(スポ1=東京・世田谷学園)や、今尾光選手(スポ1=大阪・浪速)など強い1年生が入ったことで刺激は受けますか

そうですね、本当に刺激を受けてばかりです。ちゃんと先輩として見習ってもらえているのか分からないんですけど(笑)。今回先輩らしいところを見せられたと思うので、また良いライバルとして頑張っていきたいと思います。

――5月下旬の関東学生選手権に向けて意気込みをお願いします

きょねんはあと一つ勝てば全日本学生選手権の選考会というところで負けてしまいました。それは国士大の選手だったんですけど、ことしはこの大会でベスト4に入ったということで周りからも見られていると思うので、その中で思いきりできるように個人でも強いんだというところを見せられたらいいなと思います。

末廣祥彦(スポ1=東京・世田谷学園)

――ベスト4おめでとうございます。率直な感想を教えてください

もちろん優勝を狙っていたのですが、最低のラインがベスト4という目標でやってきました。そこは達成できたので、次に繋がる良い試合ができたのではないかと思います。

――ベスト4は最低のラインだったのですか

そうですね。やはりあくまでも優勝が目標でしたので。久しぶりに早稲田大学がベスト4に入れたということは嬉しいのですが、目標は優勝でやってきたので悔しさがあります。次に繋げられたらと思います。

――初めての東日本大会はいかがでしたか

日本武道館で試合をすることが初めてでした。でもそこまで大会のことを意識せず、自分のできることをやろうと思ってやっていました。いい結果に繋がったのではないかと思います。

――プレッシャーもかかる中での試合だったと思いますがいかがでしたか

期待して頂いている分、プレッシャーと感じてしまう部分もあるのですが、自分の中で上手い具合に力に繋げるようにと思ってプレーをしました。プレッシャーはありましたが、楽しく試合ができたので良かったと思います。

――試合内容はいかがでしたか

最後勝てなかったことで自分の足りない部分が大きくわかりました。あと、1回戦、2回戦は結果的には勝てたのですが、自分の中であまり良い内容ではありませんでした。初戦からしっかりやっていける組手ができるようになりたいと思います。

――具体的にはどのような辺りですか

自分は競った時に1ポイント差で負けてしまうということが多くて。国士舘戦の最後に3-3でもう一つ足りない時に先に入られてしまいました。やはり気が抜けたところがあったので、修正しなければいけないです。

――相手は強豪・国士大でしたが

そうですね。格は上だと思うのですが、自分に自信を持ってやっているので相手がどうということは関係がありません。自分は相手が誰であっても勝ちにこだわりたいので、悔しいです。

――最後に次に向けて一言お願いします

次は関東個人があります。体調管理を上手にできるようになりたいなと思っているので、そういう面でもしっかりと気を使って、全日本に繋げられればと思います。

今尾光(スポ1=大阪・浪速)

――ベスト4という結果についての率直な感想をお聞かせください

最低ラインのベスト4ということで満足というよりも、達成感はあるのですが、やはり準決勝の国士舘戦で負けてしまったので正直悔しいです。また次にむけてしっかり頑張っていければと思います。

――初めての東日本大会はいかがでしたか

この前の六大学戦での感覚を少し意識してそのまま東日本に緊張せずに乗り込もうと思っていました。そのままの自分の動きをできるだけ出すことができたので良かったと思います。

――緊張はしなかったのですか

緊張というより、武者震いに近いわくわく感があってすごく楽しみでした。

――前回の六大学戦でのインタビューでは自分としてはあまり良くなかったと仰っていたのですがきょうはいかがでしたか

この前団体戦でワセダに貢献があまりできませんでした。今回は自分の中でも少しはできたのではないかと思っているので良かったと思います。

――六大学で優勝したことでプレッシャーをより感じることはありましたか

そういうことはありませんでした。1年生なのでチャレンジャー心を忘れずにやっていました。

――次の試合に向けて

関東個人の全日本による予選なので、まず予選を勝ち抜くことを意識してまた日々頑張っていこうと思います。