全関東学生選手権本戦 展望

弓道

大きな戦いが近づいている。6月11日(土)、12(日)に全関東学生選手権本戦が開催されることとなっており、予選は5月28日(土)、29日(日)の二日間で行われた。早大は団体戦で男女とも高い的中でシード権を獲得し、個人戦では男女合わせて7人が予選を通過している。目標とする優勝に向けて良い形でスタートを切った。

5月28日(土)に行われた男子予選では、6人で立を組んで団体戦に臨んだ。田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)、竹宇治雄介(政経2=東京・早実)、渡部瞭太(文3=東京・海城)が皆中を出すなどして24射20中とする。この立によって早大は団体戦で3位に入り、上位8チームが獲得できるシード権を掴み取った。1部リーグ校のシード落ちも相次ぐ中で、より有利な戦いが期待できるだろう。個人戦では1次予選と2次予選が設けられており、1次予選は2射1中以上、2次予選は4射皆中が条件だった。1次予選は18人が通過したが、2次予選の通過者は田沼と黒羽航平(文構3=東京・早大学院)の二人。緊張した場面で、4射全てを的中させる難しさが改めて浮き彫りとなった。

行射中の黒羽

同月29日(日)には女子予選が行われた。女子は団体戦を通常より一人少ない3人の立で戦う。ここで目標の9中を上回る12射10中を挙げ、立の終了後小さくハイタッチを交わす姿も見られた。その後行われた予備矢(同中校が出た場合にこの的中数で順位を決定する)でも6射6中、3射2中、3射3中をたたき出し、同率2位でシード権を獲得。1部リーグ校の上位争いにしっかりと食い込んでいる。個人戦では4射2中以上を求められる1次予選を6人が通過。2次予選は4射3中以上が条件だが、5人が通過を果たし、本戦へと駒を進めることとなった。

個人戦予選を通過した鈴木来実(スポ3=茨城・清真学園)

安堵(あんど)の声も、悔しさをこぼす声もあった。団体戦はチーム全員が固唾(かたず)をのんで見守る中、男女とも高い的中を出し笑顔が見られた。個人戦では仲間が的を外し、予選通過ができないと分かったときには、自分のことのように悔しがる姿も。「早稲田」と書かれた臙脂(えんじ)のワッペンを、これから行射に入る選手に他の選手が声を掛けながら着けている場面もあった。弓道は個人競技であるが団体戦である。的と、そして自分の弓道と向き合うのは自分だけだが、その背後には多くの仲間の存在がある。本戦では団体戦はトーナメント方式に、個人戦は射詰で一本一本が勝負になってくるだろう。早大全員の力でまた一つ、階段を上るときがやってきた。

(記事、写真 新井沙奈)

※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません

予選結果

男子団体 24射20中 3位通過

男子個人通過 黒羽、田沼

女子団体 12射10中 6射6中 3射2中 3射3中 2位通過

女子個人通過 井上采香主将(文構4=東京・吉祥女)、山野桃果(先理4=東京・吉祥女)、鈴木来実(スポ3=茨城・清真学園)、不藤奈々(創理3=埼玉・早大本庄)、山﨑琴葵(社2=東京・早実)

予選後のコメント

黒羽航平(文構3=東京・早大学院)

――今日の射を振り返っていかがですか

今週ずっと調子が良くてその通りに引こうと思ったのですが、ちょっといつもより体が弓に入らない感じがありました。そこはその場で修正しつつという感じだったので最初はうまくいかなくて、最初の団体の立で2中を出してしまったのですが、その後は巻き藁で調整したりして全体的にうまくできたかなという感じでした。

――団体戦の後の個人戦では皆中でしたが、どんなところが良かったと思いますか

緊張しないでリラックスして引けたのが一番の要因だと思います。個人も大事ですが団体で自分が失敗して予選通過できないと大変ですが、個人戦は最悪自分だけなので(笑)。そういうこともあってあまり緊張せずに、外してしまったら外してしまったでいいかなくらいの気持ちで引いていました。

――団体戦ではプレッシャーを感じながら引いていましたか

団体は昨年のインカレ(全日本学生選手権)予選で僕が一本抜いてしまって通過できなかったということもあったので、それも結構考えてしまって少し気負ってしまっていたかなという感じです。

――本戦への意気込みをお願いします

団体戦は今6人勝てるメンバーがそろっていると思うので、そこで自分がしっかり引っ張っていく一人になれるように、頑張って勝ちにいきたいと思います。個人戦は予選と同じで落ち着いてリラックスして、楽しんで引けたらなと思います。

田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)

――今日の射の振り返りをお願いします

最近は週末の試合はだいたい調子がいい状態で迎え られていました。今日は緊張はしたのですが予選を通過すれば良かったので、後ろも当たっていたのでこのメンバーなら大丈夫だろうと、安心して引けました。

――団体戦は皆中(予備矢は3中)でしたが、どのような心持ちで引いていましたか

今までの試合は20射の中で何中かだったのですが、久しぶりに一立が大事になってくる試合だったので、緊張はしました。ですが自信をもって甘えなきゃ大丈夫という気持ちで引いて、何とかなりました。

――大前を務めていらっしゃることが多いですが、意識していることはありますか

大前が初矢を当てると結構チームも波に乗れると思うので、初矢だけは絶対に当てようと思っています。仮に落が抜いた時には、自分がスタートになるのでその時も必ず当てるように意識しています。

――個人戦に入る時に意識が変わったなどはありますか

団体よりは少し気楽に引けて、個人の一次予選の方は3年の同期がみんな通過することもできたので、もう後は楽しもうという気持ちで引きました。

――本戦に向けての意気込みをお願いします

本戦の方は昨年自分が当たらなくて悔しい思いをしたので、同じアリーナで対戦相手もいてという場面で、昨年の悔しさを晴らせるように頑張ります。個人も昨年予選は通過していたのですが、本戦であまり自分の射ができませんでした。個人を通過している人たちはやはりレベルが高いので、その中で自分が一番になれるように頑張りたいと思います。

井上采香主将(文構4=東京・吉祥女)

――今日の射を振り返っていかがですか

全体的に結果としては上出来だと思います。団体も12分の10で確実に通過できますし、シード権内に入れるかどうかというところだったと思いますが、その後の一手競射のところも全員で6射皆中できたので上出来です。個人戦はできれば本当に全員通過して、全員で日本武道館で引きたかったというのはあるんですけれども、5人が部の代表として通ってくれたということは良かったかなと思います。

――団体はいつもより少ない3人での試合でしたが、プレッシャーはありましたか

はい、男子だと6人立ですが女子はその半分ということで、やっぱり一人にかかる責任と目の前の一本の責任の重さがすごいなと思いました。最低9中はしたかったのですが、一人一本ずつ抜いてしまったらもうそれ以上抜けないですし。4人だったら分散できるところを3人に重圧がのしかかるので、プレッシャーを感じるところはありました。

――9中を目安にということなので、今回の10中は合格点ですか

そうですね。試合だと全体的に的中が下がることも考慮すれば、練習だと12射皆中も出ているのですが、試合だったらみんな3中できればいいかなということで、10中は合格点だと思います。

――団体と個人で緊張の度合いに変化はありましたか

やっぱり団体のプレッシャーが本当にすごかったです。個人だったら私が通らなかったら残念に思うのは自分だけなのですが、まず自分が団体の3人の代表選手に選んでいただいていて、みんなの期待を背負っているにもかかわらず当てられないと、部の代表としても申し訳ないですしみんなもあーあと思ってしまうと思うので、全員分の期待があると思うとやはり団体のほうがプレッシャーがあります。

――本戦に向けての意気込みをお願いします

シーズンの最初から目標は日本一、インカレ制覇、全関制覇と言っているので、団体ではもちろん全関制覇、優勝を目指して頑張ります。個人もみんな通過しているということは実力がありますし、もちろん実力があるけれどうまくいかなくて通過できなかった選手もいるのですが、通過できた選手は通過できたことをしっかり自信にして日本武道館でもしっかり自信をもって引いてもらいたいです。みんないい射をしているので優勝、入賞を狙ってほしいと思います。私も頑張ります(笑)。

鈴木来実(スポ3=茨城・清真学園)

――試合の振り返りをお願いします

今まで試合に強い気持ちでいけていなかったので、今回は本当に挑戦する気持ちで初めから臨みました。練習はいつも100パーセントじゃなくて120、150パーセントくらいの精度で練習しています。そのくらい練習してやっと試合で80パーセント、いや80もいかないですね、ほんと半分とか60パーセントくらいなので。でも今日はその練習の成果もあって、練習でできたことが自分の中では8本のうちたった2本だったのですが、できて良かったなと思います。

――練習から試合に繋がるところで何を意識して引いていますか

特に1本目が当たるともちろんほっとするというのはあるのですが、一本目をきちんと引くことを意識しています。当たり前のことですが、一本目は緊張するのでそれをしっかり心を落ち着かせて引くこと、もう開き直っちゃうくらいの気持ちで(笑)引く練習を普段していたので、試合でもいつもよりかは落ち着いて一本目が引けました。一次予選の一本目が当たった時にいけると少しほっとした気持ちになれたので、それが良かったと思います。

――二次予選で3中で通過のところ、1本目を抜いたときの気持ちはどうでしたか

追い込まれた感はありました。一次予選は一本目が入ったこともあって、しかも二本で通過だったので安心しながら引いていたのですが、二次予選で一本目抜いたときはさすがに足が震えちゃって(笑)。一次の4本よりは全然いい射ではなかったんですが、抜いても当たっても途中で通過しないと分かったとしても、最後までちゃんと引くと決めていたので、決めたことはやろうと思って最後まで同じように引いた結果が通過に繋がったと思います。今はもう頭真っ白です(笑)。久しぶりに試合に出たので、その中でも自分の中ではいい方かなと思います。

――本戦に向けて意気込みをお願いします

本戦は四ツ矢じゃなくて一本ごとの勝負になってくるので、練習の時に一本一本を雑にならないように、しっかり目の前の一本に集中して練習に取り組んで、試合では最初から今日よりもいい射ができるように頑張りたいと思います。