東京都学生連盟リーグ戦代替大会で開幕からここまで2連勝と危なげなく勝ちを重ねている早大。今日の相手は一橋大だ。早大は立ち上がりにやや不安定さが見られたが、1立目終了時点で25中-18中とリードを奪う。調子を取り戻した中盤以降も追撃を重ね、最終的に116中-87中と快勝。目標とするブロック全勝優勝まであと星ひとつに迫った。
早大壱ノ立は1立目、3試合連続で大前を任された田沼翔太(スポ1=東京・桜修館中教校)と弐的の渡部瞭太(文1=東京・海城)の1年生コンビが皆中を出し、チームを引っ張る。村上史哉(法3=熊本)と長沼俊太郎(社3=東京・早大学院)もそれに応えるかのように3中を出し、初立から16射14中と順調な滑り出しを見せた。続く2立目でも田沼は皆中、渡部は3中を出すなどチームに貢献。1年生ながら壱ノ立をリードする活躍を見せた。「部全体のレベルを上げていくのはもちろん、僕も全体のレベルを上から引っ張っていけるような存在になれたらいい」(渡部)と、頼もしい言葉も見られた。
1立目皆中の渡部
一方の弐ノ立。1立目は落の千葉智広(先理3=東京・早大学院)が皆中したものの、大澤暢(創理2=東京・早実)、善村泰成(教3=東京・早実)は羽分けに終わる。2立目はさらに的中が落ち込み、16射9中と苦しい立ち上がりとなった。しかし、不調の善村に代えて東海枝航平(スポ1=埼玉・県浦和)を投入した3立目、弐ノ立は息を吹き返した。4人中3人が皆中、東海枝も3中を叩き出し、立の調子が一気に上がる。続く4立目でも東海枝を含む3人が皆中を出し、勝負の趨勢を決定づけた。「1年のために当てよう、1年が当てたから自分も当てよう、という具合に、東海枝にいい影響を受けた」のではないかと千葉は分析する。壱ノ立、弐ノ立ともに1年生の活躍が光る勝利となった。
20射18中の千葉
だが課題もある。勝ちこそしたものの、的中数自体は伸び悩み、116中は今大会最低の的中だ。試合後には西野敏哉監督から「この中の誰一人、満足のいく射が出来た人はいない」と厳しい言葉も飛び出した。目標とする全国制覇に向けて、到底足りる数字ではない。この試合は「立の中で流れに飲まれてしまう部員が多かった」(千葉)。11月に控える全関東学生弓道選手権で戦うのはこれまでの対戦相手より遥かに強いチームばかりだ。悲願の全国制覇のため、早稲田の新時代を築くため、まずは最終戦・中大戦で確かな実力を見せつけたい。
(記事 菊元洋佑、写真 宮崎円花)
結果
壱ノ立
田沼 20射17中
渡部 20射16中
村上 20射13中
長沼 16射9中
眞武希光(社3=東京・早実) 4射0中
弐ノ立
大澤 20射14中
村岡晃輔(文構2=群馬・高崎) 20射17中
善村 8射3中
東海枝 12射9中
千葉 20射18中
コメント
千葉智広(先理3=東京・早大学院)
――18中という数字について率直な気持ちをお聞かせください
正直不満しかない的中です。皆中しか狙っていなかったので、それを19中に抑えることもできず18中になってしまって、自分に負けたという気がして悔しいです。
――5立目の外した2本目は何か違いましたか
今日はずっと調子が悪くて、当たっている矢も真ん中ではなくギリギリのところに当たっているものが多かったところを、ここで大きく失敗してしまいました。今考えれば甘かったなというほかないのですが、それより前にもっと調子の悪い矢があって、それは当てられていたので、慢心がありました。
――1・2立目は前3人があまり調子のよくないところで好的中を維持されていました
前の人たちが当てたらそれに負けないように当てて、外したらそれ以上に集中して当てなければいけないという気持ちで引いていました。
――今年は落というポジションに定着しましたが、以前と比べていかがですか
みんなの射が良く見えるようになって、大前にいた時は弦音で判断するしかなかったものが、実際に目で見えるようになって、前の3人の頑張りが伝わってくるので自分が頑張るためのいい刺激になっています。良くも悪くも情報が入ってくるので、自分の射のことについて考えを割く余裕が少なくなっているのは難しいところです。
――3立目に東海枝が交代で入ったところでチームの調子が上がりました
予想ではありますが、前の2年生2人が、1年のために当てよう、1年が当てたから自分も当てよう、という具合に、自分も含めて東海枝にいい影響を受けたかなと思います。
――チームとして課題はどのようなものが挙げられますか
立ごとに崩れてしまうことが多かった印象です。立の中で流れに飲まれてしまう部員が多かったので、流れを悪いようにとらえるのではなく、流れの中で自分を良い方向にもっていけるかどうかが課題です。
村岡晃輔(文構2=群馬・高崎)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
まあまあです。
――前回よりも大幅に的中数が上がりましたが
ここ(心臓)です。メンタルです。
――今回の試合展開はどう考えていますか
今週は皆あまり的中が良くなかったのですが、試合では当たるかなと思っていました。自分も初めは当たってなかったですし、今週に関して言えば練習通りの的中で仕方ないかなと思います。
――3立目から調子が上がりましたがどのように気持ちを切り替えられましたか
何も考えてないです。
――普段試合で心掛けていることはありますか
当てようと思うと当たらなくなってしまうので、引くことはプロセスであって当たるのは結果だと思っています。結果が気持ちに先行すると当たらなくなるのでプロセスだけ重視して当たっても当たらなくても結果はないものとして扱っています。
――来週に向けての意気込みを教えてください
勝ちしか見えないです。
渡部瞭太(文1=東京・海城)
――今日の試合を振り返っていかがですか
いいものではなかったです。自分の印象として壱ノ立は普段は安定した的中が出るのですが、大前が1本目から流れをつくったところで弐的が一本から外してしまうといい流れを続けることができません。僕は2,3,4立目すべて1本目を外してしまって壱ノ立の流れを崩してしまったかなと思ったので反省点が多い試合だったと思います。
――最終立でどのように気持ちを立て直しましたか
終わってしまったことは考えても仕方がないのでそこまで引きずらないようにしていましたが、結果としては考えてしまっていました。先輩から「いつもの射で自信を持って、残心まで」と言われ、いつもの射を切り替えてできたかなと思います。最終立の皆中は先輩のおかげかなと思っています。
――個人の課題は見つかりましたか
寸前まで気を抜かずに離れから残心までいつも先輩に「いい射だよ」と言って頂いている射を、これから自信を持って練習していきたいと思います。
――今後の意気込みをお願いします
先生(西野敏哉監督)も言われていた通り、116中という結果では早稲田大学弓道部の『日本一』という目標には全く届かないので部全体のレベルを上げていくのはもちろん、僕も全体のレベルを上から引っ張っていけるような存在になれたらいいなと思います。20射皆中を目指せるような人間になれるようにやっていきたいと思います。今日の的中では全く満足いかないので前回17中、今回16中という結果以上の最高的中を目指していきたいです。