今年も東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)の季節がやって来た。男子1部リーグに所属する早大弓道部は、これまで二年連続で1部リーグ最下位に沈んでいる。来シーズンも1部リーグで戦うためには、まずは一勝が欲しいところだ。早稲田の初戦の相手は法大。リーグ戦では一度も勝利できていない強敵だ。試合では両者ともに安定した立ち上がりを見せたが早大は中盤で崩れ、法大にリードを許してしまう。最後までその差を覆すことはできず、勝利には及ばなかった。
序盤、1立目で早大は選手8名中4名が、法大は8名中5名が皆中を出す立ち上がり。宮川晃弥(スポ2=茨城・清真学園)や牧山千莉主将(スポ4=千葉)といった経験と実力を兼ね備えた選手がチームを引っ張り、他の選手もそれに応える形でチーム全体としていい雰囲気が流れていた。法大もその実力を遺憾なく発揮し、2立目が終わった時点で早大が51中、法大が57中。早大が6中差を追う展開となった。
落でチームを支えた宮川
異変が起こったのは3立目。これまで8射7中と好調だった千葉智弘(先理2=東京・早大学院)や、壱ノ立で落前を務めていた黄揚翔平(法4=神奈川・山手学院)が1中を出し、チームが大きく崩れてしまう。この立で壱ノ立は8中にとどまり、法大に決定的な差をつけられてしまった。4立目からは千葉、黄揚に代わって、村岡晃輔(文構1=群馬・高崎)、大森青馬(政経3=千葉)を投入し、巻き返しを図った。両者ともにこの立で皆中を出すなど健闘したが、その差は埋まらず。早大120-法大137と17中の大差をつけられての敗北となった。
4立目で投入され巻き返しを図る大森
「良いところは良かったが、崩れてしまって反省点もある試合だった」と牧山主将は振り返る。これまでの課題であった、立ち上がりの不調は徐々に克服出来ている。残るはその調子をいかに20射の間維持するかだ。1部リーグに属する大学はどこも強豪であり、1本のミスを取り返すことが非常に難しい。選手一人ひとりの集中力が試されている。また、今回の試合では1年生の村岡が皆中を出して見せるなど、下級生の成長が感じられる場面もあった。「自分が中てることで下から部全体の調子を上げていけたらいい」と語った村岡。チーム全体を底上げすべく、更なるレベルアップを誓った。
(記事 菊元洋佑、写真 菊元洋佑)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
壱ノ立
大前 千葉 12射 8中
村岡 8射 5中
弐的 長沼 20射14中
落前 黄揚 12射 5中
大森 8射 6中
落 宮川 20射17中
弐ノ立
大前 村上史哉(法2=熊本) 20射14中
弐的 阿部悠理(教育3=宮城・仙台一) 20射15中
落前 内田稔己(基理3=福岡・福岡大大濠) 20射17中
落 牧山 20射19中
コメント
牧山千莉主将(スポ4=千葉)
――リーグ戦の初戦を終えてみていかがですか
チームの目標として、自分たちがやるべきことをしっかりやる、ということでやっていました。試合内容は良いところは良かったのですが、崩れてしまうところもあって、反省点もある試合でした。
――具体的にどのような反省点がありますか
良い的中を出していても途中で大きく崩れてしまう部分があって、これをやってしまうと試合では勝てなくなってしまうので、大きな反省点です。
――20射19中という結果についてどう受け止めていますか
今週も調子が悪くはない中で、やってきたことをやることはしっかりできたと思います。初矢を甘く抜いてしまったというのは、もう一回反省してやっていかなければならないところです。
――チームの良かった点は何でしょうか
全員がいい調子だったわけではないですが、その中でしっかり、気持ちで中てようとしてくれた部分が見受けられました。今日初めてリーグ戦に出た子も、しっかり弓は引けていたので良かったと思います。
――離れで苦しんでいる選手が多い印象を受けました
自分に自信をもって離れを出せる人が多くはないのですが、その中でも的中は出さなければならないので、それぞれがやるべきことをやる、ということは徹底させていきたいです。
――夏の合宿ではどのような練習をしましたか
合宿ではリーグ戦を見据えて、20射の立を多めに行いました。
――今後の意気込みは
今日は負けてしまいましたが、まだまだリーグ連は続くのでしっかりと下を向かずに前を向いて一戦一戦を戦っていきたいと思います。
内田稔己(基理3=福岡・福岡大大濠)
――今年がリーグ戦初出場でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか
事情があって過去二年間リーグ戦に出場できず、今年が初出場でしたが、指導陣や主将の牧山さんがいつも言われているように、試合でも練習でもやることは変わらないので、普段通りに的に対して真摯(しんし)に向き合うことだけ意識して引いていました。
――20射17中という結果についてどのようにお考えですか
17中という数字自体には満足しているのですが、抜いてしまった3本がもうひと踏ん張りできていれば中っていただろうという射だったので、その反省を生かしつつ次につなげたいです。
――悪かったと思う点は
射の内容自体が良いとは言えないのですが、気持ちで的に合わせて中てているので、現在出来る射の中ではベストに近い射が出来ましたが、射自体の改善点がまだ多々あるのでそこは頑張っていきたいです。
――離れに苦しんでいたようにも見えました
離れはもともと早く話すことが多かったのですが、3年になったくらいから緊張する場面だと本当に離せなくなることがあって、今日の試合もその傾向に苦しみました。離れたくても離れられないことがあるので、弓手で押し込んで中てにいきました。
――今後どのように修正していきたいですか
今の射でもきれいに引けている射はあるので、それを20本やり切れるようにするのが今後の修正点です。
――夏の合宿ではどんな練習をされましたか
牧山さんとお互いどれだけ練習したかを競い合っていて、量だけでなく質にもこだわって練習していたので、今回のリーグ戦にはかなりつながったと思います。
――今後の意気込みをお願いします
3年にして新人なので、むしろ新人賞を狙いに行くくらいの気持ちで、調子には乗りすぎず、気付いたらタイトルに届いている、くらいの気持ちで真摯(しんし)に的に向き合っていきたいと思います。
村岡晃輔(文構1=群馬・高崎)
――入部して初の公式戦でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか
僕は緊張しがちなので、スタメンに選ばれなくてほっとした反面、やはり悔しさもありました。実際に番が回ってきたときは嬉しさと不安とが半々くらいでした。
――緊張はありましたか
とても緊張していました。引いているときは緊張しかありませんでした。
――その中で皆中を出されました
自分が気を付けることは伸びるということだけだったので、そこだけを意識して引いた結果だと思います。
――その次の立では崩れてしまいましたが
自分ではいつも通り引いていたつもりだったのですが、後になって力が入り過ぎていたことを指摘されて、いつもの癖が出てしまったと思いました。
――日々の練習ではどのようなことをされていますか
射込みと立という二種類の練習があり、射込みでは自分の理想とする射に向けて射技を高め、立では緊張に慣れることを目標にして練習しています。
――今後はどのように部に貢献していきたいですか
今、早稲田の弓道部全体としてはあまり中っていない状況なので、自分が中てることで下から部全体の調子を上げていけたらいいと思います。