全国から集まった大学、その数、236校。参加選手の総数、およそ4800人。日本一の座をつかむため、全国の強豪がここ神戸の地に集結した。この全日本学生選手権(インカレ)を制したチームには、日本一の栄誉と秋に行われる王座決定戦(王座)への切符が与えられる。今年のインカレは台風10号の影響を考慮して前倒しで行われた。初日に行われたのは男子団体戦。早大は優勝目指して気合十分で臨んだが、決勝トーナメントで宿敵・慶大に敗れ二回戦敗退。ベスト8に終わった。
台風接近に伴う混乱を回避するため、今年のインカレは日程が変更された。14日に男子団体の予選から決勝までをすべて行い、15日は競技が中止に。そして最終日である16日に女子団体の予選と決勝が行われる。この日程変更の結果個人戦は中止が決まり、全国制覇は団体戦に託された。また、競技時間の短縮のため決勝進出ラインの引き上げが行われ、予選通過校数が24校から16校となった。例年以上に過酷な予選となった今大会。男子団体は千葉智弘(先理2=東京・早大学院)が皆中を出すなどの活躍を見せて15中を記録し、決勝トーナメント進出を決めた。
ベスト8に残った男子団体
迎えた決勝トーナメント一回戦。相手は中央大だ。早大にとっては昨年度の全関東学生選手権(全関)で敗れている相手だけに、チームには緊張感が漂う。結果は中央大が実力をいかんなく発揮し18中。対する早大は気迫のこもった射で19中。5人中4人が皆中を出すという好的中を見せた早大が、中央大を辛くも退けた。二回戦に駒を進めた早大の次なる相手は慶大。こちらも一回戦の相手校を1中差でかわして二回戦進出を決めていた。慶大は毎年の定期戦の他、秋の関東学生連盟リーグ戦(リーグ戦)の入れ替え戦でも激しく争う因縁の相手。ここ数年は、早大が入れ替え戦で慶大を下してリーグ戦1部残留を維持している。
安定した的中を出した千葉
だがここで気がゆるんだか。一回戦で19中を出した早大はまさかの13中に沈み、慶大に敗北を喫してしまう。大きく的中を落とした要因を「勝って、優勝が見えてきたところで自分の射に集中できなかった」と村上史哉(法2=熊本)は分析する。強豪校を破って緊張が解けた瞬間に足元をすくわれた形だ。今シーズンの早大の弱点でもある、精神面の脆さがここでも現れた。レギュラー選手の的中に波があることは今後改善すべき課題の一つだ。試合後に選手たちは悔しいと口をそろえた。それは自分たちへの戒めであると同時に、更なるレベルアップを図る誓いの言葉でもあるだろう。秋にはリーグ戦がある。インカレ優勝校同様に、リーグ戦優勝校にも王座への切符が与えられる。「リーグ戦はチーム全体で戦っていくことになるので、下からの底上げや、レギュラーが安定した的中を出していくことが大事になる」と牧山千莉主将(スポ4=千葉)は語る。今大会でつかみ損ねたものをつかむために、早大は既に次の舞台へと気持ちを切り替えている。
(記事 菊元洋佑、写真 菊元洋佑、岡田理佳子)
結果
▽男子団体
牧山、千葉、村上史哉、阿部悠理(教3=宮城・仙台一)、宮川晃弥(スポ2=茨城・清真学園)
予選
牧山 ×○○○
千葉 ○○○○
村上 ×○○○
阿部 ○××○
宮川 ×○○○
20射15中
決勝トーナメント一回戦
○早大19中―中央大18中
決勝トーナメント二回戦
●早大13中―慶大16中
コメント
牧山千莉主将(スポ4=千葉)
――今日の結果を受けて、今の率直なお気持ちは
一言でいうと悔しいです。日本一を目指していたのですが結果はベスト8で、勝たないといけないところで負けてしまったというのはとても悔しいです。
――個人としての今日の出来はいかがでしたか
予選では大前の仕事でもある初矢を入れるということもできず、さらにその後の決勝トーナメントでは自分が1中を出してしまって、全関同様に自分のせいでチームを勝たせてあげられなかったというのが悔しいです。
――久しぶりの大前でしたが、大前というポジションはどうでしたか
大前はこれまでずっとやってきた場所だったので、特に引きづらさとかはありませんでした。
――チーム全体の良かった点は
去年のインカレは久しぶりに予選を通過してベスト16、今年はベスト8と、順位を上げて来られているので、チームとしての実力はついてきているのだと思います。
――チーム全体の悪かった点は
全体としてはチーム力がまだまだ弱いという点です。もっと下からの底上げが欲しいところです。
――自身の反省点は
こういう言い方はあまり好きじゃないのですが、アリーナの独特の雰囲気にのまれたというか、やられてしまって、自分通りの射ができなかったのが反省点です。
――次の目標を教えてください
一か月後のリーグ戦は自分にとって最後のリーグ戦になるので、そこで悔いなく優勝して、王座につなげていきたいと思います。
――今後重点をおきたい練習は
リーグ戦はチーム全体で戦っていくことになるので、下からの底上げや、レギュラーが安定した的中を出していくことが大事になります。これからの合宿ではチーム全員で力をつけていきたいと思います。
千葉智広(先理2=東京・早大学院)
――今日の結果を受けて率直な今の気持ちは
正直に言うと悔しい気持ちが一番です。もう一勝はできたかな、とは思っています。勝てば王座が近づく、というところで慶応に負けてしまいましたが、お互いの力量もわかっていて、実力的には同じくらいのチームだったので、だからこそ勝ちたかったです。
――個人的な的中は安定していたようでしたが
今日は射の調子は全然よくなくて、まともに引けた射も全然なかったのですが、その中で出来ることをしっかりやれて、それが的中に表れたというのは自信になりました。
――今後の練習で気を付けたい点は
とにかくきれいに離れることです。離れがきれいだと的中にも自信にもつながりますし、外せない場面が出てきたときに、詰め切れる力になるのかなと思います。
村上史哉(法2=熊本)
――一回戦で19中した後大きく的中を落としてしまいましたが、チームの雰囲気はどうだったのでしょうか
1回戦は次どうなるか分からないということや、相手の中央大は以前負けている相手でもあるということで緊張感があったのですが、そこで勝って、優勝が見えてきたところで自分の射に集中できなかったのだと思います。
――試合日程が変更になって、予選から決勝まで一日で行われることになりましたが
日程の変更は戸惑うところもあるのですが、それはどの学校も同じなので、関係ないかなと思います。
――個人戦が中止になったことについてお気持ちを聞かせてください
個人戦は進出していたので引きたい気持ちもあったのですが、天候はもうしょうがないので、そこは割り切っています。
――次の目標は
今回はベスト8で負けてしまいましたが、次のリーグ戦はシーズンの締めくくりであると同時に、このシーズンがどんなものであったのかはリーグ戦の結果で決まってくると思うので、勝って締めくくりたいです。
――リーグ戦は今日以上の強豪校との連戦になりますが
相手校は強いところと当たりますが、弓道は相手以前に自分との闘いなので、そこは気にせずに、自分の納得いく射をできるように頑張りたいです。
――今後の改善点は
今日抜いてしまったのがどちらも一本目だったので、一本目を外さずに、的に中てられるように射を磨いていきたいです。