試合が終わると、肩の荷が下りたかのように、選手たちは笑みを浮かべた。東京都大学連盟リーグ戦を最下位で終え、迎えたこの日の1部2部入れ替え戦。負ければ降格というプレッシャーがかかる大一番の相手は、宿敵・慶大だった。しかし早大は序盤から正確に的を射抜き続け、最終的中は131対128。見事勝利を収め、1部残留を勝ち取った。
秋晴れのさわやかな気候のなかで行われた一戦。牧山千莉(スポ3=千葉)と千葉智広(先理1=東京・早大学院)が快調なスタートを切ったが、1立目が終わった時点で25対28と、劣勢からの出だしとなる。2立目で50対49と慶大の的中を上回ると、3立目が終わって76対76。勝負は互角の展開となる。
今シーズン通して一番安定感があった牧山
重圧がかかる中での4立目。壱ノ立が15中を出し慶大と差をつけると、弐ノ立も13中となんとか粘り、ここで3中差をつけて一歩リード。しかし依然として予断を許せない状況のなか、勝負は最終立に突入する。慶大の壱ノ立が14中を出す一方、早大は村上史哉(法1==熊本・熊本高校)らの活躍も届かず13中と、差を詰められる。続く慶大の弐ノ立も13中。11中以上なら白星となるこの場面でも、早大は落ち着いていた。冷静に14中を当て、慶大を上回り勝利。この瞬間、1部残留も決定することとなった。
早大は来年も1部リーグを戦う
勝利でシーズンを締めくくった早大。この日を最後に、現4年生はチームを去ることとなる。この1年を振り返り、この日20射皆中で勝利に貢献した千葉は言う。「(弓を)引いている人だけではなくて、全員が勝ちたいという雰囲気で応援したり、『全体でまとまって勝つ』ということができる、良いチームだったなと思います」。主力の牧山や千葉、宮川晃弥(スポ1=茨城・清真学園)らはチームに残るため、来年度の早大にはさらなる飛躍への期待がかかる。今季得た経験を糧に、新生・ワセダの1年が始まる。
(記事・写真 望月優樹)
結果
初立
大前 牧山 20射19中
弐的 千葉 20射20中
落前 村上史哉(法1=熊本・熊本高校) 20射17中
落 中谷透 (基理4=東京・早実) 20射13中
弐ノ立
大前 佐藤匠 (法1=東京・早大学院) 20射18中
大貫真央(教4=東京・帝京大高) 8射 5中
弐的 宮川 20射18中
落前 志岐伊織(スポ4=群馬・前橋西) 20射17中
落 幸明千尋(スポ4=東京・城北) 20射15中
コメント
千葉智広(先理1)
――ことし一年間の振り返りをお願いします
全関東(全関東学生選手権)に出させていただいて、そこではあまり良い結果を残せていなくて。その後全日(全日本学生選手権)やインカレ(全国大学選手権)には出られなくて、悔しい思いをしていたんですけど。リーグ戦でいい結果を出すことができて、良いシーズンだったなと思います。
――本日の試合を振り返っていかがですか
まずはチームが勝てたことと、それに自分が貢献することができてよかったです。それがすごく嬉しいです。
――来年以降に向けた目標をお願いします
主将(渡邊顕士、社4=東京・日体荏原)もおっしゃっていたように、チームが日本一を目指しているので、インカレなどで優勝すれば王座にいけるんですけど、リーグ戦で1部1位になればそれでも王座(全日本学生弓道王座決定戦)にいけるので。次回のリーグ戦は全勝を目指したいです。
――この試合で4年生は第一線を退きます。どのようなチームでしたか
弓道は的と自分とのなかでどれだけ当てられるかという、個人競技ではあるんですけどチームとして戦っている以上、流れや気持ちの面、場の雰囲気もあって。そのなかで(弓を)引いている人だけではなくて、全員が勝ちたいという雰囲気で応援したり、『全体でまとまって勝つ』という、良いチームだったなと思います。